「うちのお店の原価率は適正なのでしょうか?」よく耳にします。
先日も弊所の「無料相談窓口」コーナーで「試算表を見ると月によって原価率が大きく変わるのはなぜでしょうか?」「他店の人と情報交換するのがいいと聞くのですが、それぞれの原価率が違い迷ってしまいます。」等々、原価率に関する質問が増えています。弊所でクライアントと共有しているKPI(キーパフォーマンスインジケーター)「儲けのコックピット」で原価は、収益性分析にも生産性分析にも大きな影響を及ぼします。それくらい原価は経営判断のための重要な要素なのです。そこで今回は原価率のメカニズムを解説してみたいと思います。
【原価を構成する内容は図の通り。】

図3-1





専門的に言うと、商業簿記と工業簿記で考え方が違います。ベーカリーが製造(販売)業であることから、考え方としては工業簿記を用いるべきかもしれませんが、それはセントラルキッチンを持つ、大きなベーカリーに任せて、リテイルベーカリーは商業簿記で十分だと思います。ただし商業簿記とはいえ、1.売上に応じて変動するものしないものを把握する。2.毎月の在庫棚卸を実施する。3.ロスのメカニズムを理解する。4.仕入値交渉、値上実施などの心づもり。5.原価率を考慮した品ぞろえの工夫。の5つのポイントが重要だと思っています。では一つずつ見ていきましょう。

1.売上に応じて変動するものを原価とする。
何個のパンを売ろうが家賃も変わりませんし、機械を購入した時の借入金返済額は変わりません(厳密にいえば使用頻度によって機械類の摩耗度合いは変わりますが)。私は、原材料と包装材料のみを原価とするのが基本と思っています。売上高を100とした場合の原価率が30%なら粗利率は70%。包材も含め原価ととらえ、パンを1つ売ると儲け(粗利益)がいくらなのかを把握するためにも原価は大切なんですね。

2.在庫棚卸が影響する意味
月によって原価率が違う原因は、在庫の棚卸を行わないからです。つまり棚卸を行っていないということは、試算表の表している数値は原価率ではなく仕入率なのです。仕入率となると、材料をまとめ買いした月は率が悪くなり、翌月はその反動で良くなる・・・経営判断に困りますよね。もう一つ言うと、棚卸を行わないとロス額を算出することも難しくなります(このロスに関しては次の項目でお伝えします)。しかし毎月末に棚卸を行うことは簡単ではありませんね。5Sルールに基づき(整理・整頓・清掃・清潔・躾)、保管場所の決めることと発注基準となるメモリをつけておくなど工夫しておくといいと思います。また棚卸在庫を少なくすることで、品質管理ロスが防げ原価率が下がり、また資金繰りも良くなるなど良いこと尽くしです。面倒くさがらず頑張ってみましょう。

今回はここまで。次回は、3.4.5について解説したいと思います。