March 25, 2009

original atmosphere


vals01


vals02


先週末は日帰りでvalsへ行ってきた。
といっても温泉じゃなくて、
最近竣工したZumthorの住宅を見るため。
友人に誘われて、運よく中にも入れた。

話を聞く限りコストや工期はそれほどいい条件だったわけでもないみたいで、
個人的にはそれがいい方向に影響していた気がする。
Zumthorといえば最近の作品で時に顕著だけれど、
彼の持つ個人的な感性をいかにかたちにしていくかということに
重点が置かれていて、
それが作品の魅力にもなっているけれど、
一方でそれに対して窮屈さを感じることもあった。

この住宅は積み木のようにできているのだけれど、
木の層が外と内にあって、
外側のレイヤーは何の上にも乗っていなくて
内側のレイヤーからつられているような状態。
個人的にはZumthorがこのようなことを
やったということに結構おどろいて、
というかそういった不純さをできるだけ消そうとすることで
生まれる緊張感を彼は大切にしているんだと思っていて、
それを素直に見せてしまうことに戸惑いさえ感じた。
しかも屋根も完全にスケルトンで、
もちろん積雪荷重をある程度計算しているんだろうけど
防水はしていなくて梁の上に石が乗っているだけで、
言ってみれば屋根本来の役割を果たしているわけではない。
さらには壁に三角形の飾りが取り付けられていて、
正直何なのかさっぱりわからなかった。

中は壁・床・天井すべて木なのだけれど、
それぞれのエレメントで種類を切り替えていて、
マッシブな空間なのだけれど暑苦しくはない。
(ケルンのコルンバ博物館でもパッと見はほとんど
同じなのだけれど、
実は素材を切り替えていて、
時間が経つにつれて次第に違いがはっきりしてくるように
設計してあるらしい。)
シャワールームには彼らしいこだわりが見られて、
洗面台までもがすべて木で作られていた。
建具のディテールはさすがで、
とくに引き戸はすごくかっこよかった。

Zumthorの作品は一応だいたい見ているのだけれど、
この作品は今までとは少し違う印象を受けて、
今までの作品では彼の意志のダイレクトさが
建築の魅力となっていたのだけれど、
この住宅ではそれが少しルーズになっていて、
かといって破綻しているというわけではなく、
それが逆に複雑さをうんでいる。
それはクライアントなどの条件の影響も受けているのかも
しれないけれど、とにかく
彼の作り出す空間のラグジュアリーさが過剰になることなく
もう少し肩の力抜けた感じで存在していて、
個人的にはすごく好きだった。
Peter Maerkliが「彼は家具職人であって建築家ではない」と
評していたと聞いたことがあるけれど、
そういった意味での過剰なこだわりみたいなのが抜けて、
抑えるとこは抑えながらもう少し大らかに空間を作っているように
思えた。

まあこれは少し穿った見方であって、
おそらくお金と時間をかけたもっと特別なプロジェクトの方が
世間では評価されていくのだろうけど、
個人的にはこういった素朴なプロジェクトが好きだ。
これから彼がどんな作品を建てていくのか楽しみ。


taz001 at 05:16│Comments(4)TrackBack(0)

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この記事へのコメント

1. Posted by koohsuke   March 26, 2009 02:50
これを見るとやはり誘ってもらえなかったのはすごい残念に思えてきました…。
2. Posted by yoichi   March 26, 2009 12:13
5 初めまして、
5月にそちらへ旅行に行く予定なのですが、
差し支えなければ、この建物の場所をお教え頂けないでしょうか。
thermeのすぐ近くですか?
3. Posted by shin   March 26, 2009 21:48
ズントーの建築は一見シンプルで正直な印象だけれども、実は構造的にも視覚的にもすごく操作をしているなという印象があります。バルスの実はキャンチの天井だったり、木の構造なのにシルバーに塗っていたり・・・おそらく彼の著書のタイトルが「atmospher」であるように、存在の正しさよりそれがどのように認識、感じられるのかという事を大事にしているのだと思います。そういう意味で、今回のものも話を聞くとすごくズントーらしいなと思いました。中を見ることができたのはすごくうらやましいです。
4. Posted by taz001   March 29, 2009 23:58
>koohsuke

それはGさんに言ってください 笑
今度また他の写真も見せるよー

>yoichiさん

初めまして。
この建物は温泉を通り過ぎて
ヴァルスの中心から見て右手にある山の
頂上付近にあります。
道はそれほど複雑ではないので
大丈夫だと思いますが、
片道40分くらい歩くので
軽いハイキングです。

>shinさん

そうですね。
この住宅に関してはよりそれが
複雑になっていました。
atomosphereという言葉は
学校でも繰り返し使っていました。

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