July 20, 2009

poorness


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この監督の作品を観るのは初めてなのだけれど、
原作を書いている長嶋有がすごく好きなので観てみた。
まず原作の中で全体を通じてあるダウナーな雰囲気が
ここでもコミカルに描かれているのがよかった。
主に原作についてのことになるけど、
失業とか離婚とか浮気とか
シチュエーションとしては明らかに幸せとはいえない中で、
それをドラマティックに描くことなく、
何となくしたたかに生きている親子がすごく素敵だった。
いわゆる不幸な状況が続くとそれは容易に物語に回収されて
しまいがちだけれど、
ここではそこで踏みとどまって、
その状況を淡々と描いている。
その先に幸せがあるのか不幸があるのかというのを
問題としていなくて、ただ今日の次には明日があるだけだという事実を
いかに忠実に捉えるかということに集中しているように思う。
もっとも映画においてはそれが少し弱められて、
ドラマ性が感じられてしまったのがちょっと残念かも。

こういった上昇志向のない人たちは世の中では
いろいろな名前をつけられて虐げられているけれど、
そういったものを避けながら生きていくというのも
すごく大事なことで、それは一つの意志と捉えてもいいのではないか?
有名になることとか、何かを変えることとか、
そうゆうことに躍起になっている人たちだけが
別にすごいわけではないと思う。
何か特別な場所に行こうとするのではなくて、
今いる場所がどれだけすばらしいところかを
見つけられることのできる能力というのは
とても重要なことだし。

さらに付け加えると、カマドウマに代表されるように、
モノに対する視点の鋭さはさすがで、
しかもそれは決して洗練されたものではなくて、
けっこうかっこ悪かったりするのだけれど、
それが同時に心地よさを生んでいる。
小説での続編ともいえるような「ねたあとに」では
その部分がより強化されているように思う。
こうやって世界をじっくりと見て、
それをそのままかたちにするという姿勢は、
いろいろと考えさせられるところが多い。

taz001 at 06:08│Comments(0)TrackBack(0)

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