November 01, 2009

bring it back


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Altes Hospiz / Miller&Maranta
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今日はSt.Gotthardに行ってきました。
というのも手前味噌ですが、
事務所のやっているプロジェクトの現場を見に行くため。
この場所は標高約2100mで、来週には雪のためこの場所につながる道が
閉鎖されてしまうと知って、なんとか一度実際に見ておきたいと思って。

ごく簡単に説明すると、このプロジェクトは増築で、
元となる建物はもう300年以上前に建てられた。
プログラムはホテルで、既存の建物は2つだったのを
屋根でひとつにつないでいる。

で、もちろんシチュエーション自体がすばらしいというのもあるけれど、
この建物の建ち方がすごくよかった。
すごく不思議なボリュームで、
パッと見は周りとなじんで建っているのだけど、
よく見ると屋根の幾何学とかメインファサードの開口とかに
いろいろと細かい操作がなされている。
周りと関係しながらも少しだけずれているそのやり方がすごく絶妙。
通常こういった歴史的な建物の増築だと、
今までのものをそのまま再生させるか
古いものとコントラストをつけて新しいものを付け加えるかが
わかりやすい方法だけれど、
そのどちらもとらずにひとつひとつのものに対して的確な判断をしていくのは
すごく難しいことだと思う。
この建物においては、時間的にも空間的にも
今まであるものからの距離を測りながら少しずつ違っていて、
それによって改めて今あるものに対しての見方が少し
変わってくるような効果がある。

こういったパッと見のインパクトがないものは、
雑誌をぱらぱらとめくったりとか、
あるいはネットで画像を検索していると
簡単に見逃してしまうけれど、
その先に隠されているさまざまな豊かさがあって、
こういったものがもつ穏やかさだったりとか
大らかさは実際に行ってみるとすごくいろいろな感覚に呼びかけてくる。
自分としては建築はやはりその場所に行かなければ
得ることのできないいわく言いがたさを備えていなければいけないと思っていて、
それはすごく脆くて言葉にしにくいものだけど、
それに気づくことができるだけの敏感さを建築家は
持っている必要があるのでは。
もちろん建築家の職能についていろいろと議論がされていて、
いろいろなかたちで社会に関わっていくことが必要だとは思うけど、
そうゆうことをさかんに言う建築家に今の自分がほとんど興味をもてないのは、
大部分のそうゆう建築家がこういったわかりにくい要素を切り捨てて
マニフェスト的にすべてをわかりやすく言い切ろうとしていて、
その結果としてできたものがとても見るに耐えないようなクオリティしか
持ち合わせていないからだ。

もうスイスに来て3年になるけれど、
その中の経験としてすごく大きなものは、
「ふつう」であることの多様さであって、
言葉ではなかなか言い表すことのできないものを、
それでも簡単に結論をだそうとせずに
その都度向き合っていく姿勢で、
それをこの建物はかなりのレベルで体現していた。
もちろんまだ竣工はしていないので
ポテンシャルの域を出ませんが。

どんな状況であっても、
簡単に原理主義に陥らずに、
またただの保守反動にもならずに、
今もなおそこにあるべきかたちを見つけ出すことが
できたらなあというのが今の自分の関心だ。


taz001 at 06:15│Comments(0)TrackBack(0)

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