tb編集室

出版社タバブックスの、編集したり、調べたり、書いたりするおしごとのページです

5周年を記念して(?)これまで弊社が出してきた本をご紹介する企画「もう読んだ?まだまだあるあるタバの本」。今年6月にタバブックスに入社したイカリがお送りしております。
 
今回はこちらー!

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櫛野展正『アウトサイドで生きている』です!

タバブックスの本は、世の中で”
「ほとんどない」ことにされている”ものに目を向けているものが多いと思うのですが、(7月新刊、小川たまか『「ほとんどない」ことにされている側から見た社会の話を。』もよろしくお願いします!)こちらもまさにそんな一冊です。

日本唯一の「アウトサイダー・キュレーター」を名乗る
櫛野さんが、独学自習で制作をつづける18人の表現者たちに寄り添い、その生き様にせまったこの本、誰に習うでも誰に頼まれるでもなく、そして誰の評価も必要とせず、ひたすらに作品を作り続ける姿には人間の底力や大きな可能性のようなものを感じます。

「自撮りの女王」としてメディアで人気の89歳のスーパーおばあちゃん西本喜美子さんに始まり、自分で採集した昆虫の死骸だけで武者人形や観音様をつくりあげたおじいちゃんなど、わき目もふらず自分の道を突き進む潔さや 過剰さに心を打たれるのですが、なかでもわたしが異常反応してしまったのはこの人。

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こちらの大沢さん、愛知県犬山市にあるカラオケ喫茶「パブレスト百万ドル」のマスターなのですが、その外観がこちらです。

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実は以前全国放浪中の友人から「とんでもないところを見つけた!」と写真が送られてきたことがあって気になってはいたのですが、このド派手な外観が、大沢さんが愛人とその間にできた子どもを本妻の手によって引き離され、その悲しみのあまりうまれたものだったなんて! 堂々と愛人つくったり、我が子に会いたい気持ちを外観に描いてしまったり、社会的に見たらまさにアウトなんだけど、そのどうしようもないほどの人間くささに惹かれ…はしないけどとにかく気になる! 

蛇足ですが、わたしがたまたま見つけた京都のアウトサイドスポット(?)、「カオスの間」を紹介させてください。

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この謎すぎるオブジェ看板に目を引かれ、入った店内はまさにカオス。

大正時代の医療器具、マネキン、春画、鳴り響く前衛的な音楽…はっきり言って最初は恐怖!
でも次第に、その居心地の悪さや自分の存在が脅かされる感じ…アートやんけ、となってきます。
店主もかなり面白い方で、こっそりと提供しているコーヒーがめちゃくちゃ絶品!
ついつい長居して、たしか3時間くらい滞在してしまったのでした。

京都にお立ち寄りの方は、ぜひ遊びに行ってみてください〜
Twitter:@kaosunoma
Instagram:@kaosunoma2012

「もう読んだ?まだまだあるあるタバの本」7冊目
櫛野展正『アウトサイドで生きている』
https://tababooks.stores.jp/items/5910131c428f2d86a90010bf

5周年を記念して(?)これまで弊社が出してきた本をご紹介する企画「もう読んだ?まだまだあるあるタバの本」。この6月にタバブックスに入社したイカリがお送りしております。
 
今回はこちらー!
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山下陽光『バイトやめる学校』です!

先週末「BOOK MARKET 2018」という本のお祭りに出店してきたのですが、タバブックスははたらき方にまつわる本を多く出しているせいか、「転職考えてて…」とか「いま就活中なんです」とか、ご自身のお仕事状況を話してくれるお客さんが多くいらっしゃいます。なかでも、この『バイトやめる学校』を手に取った女性が、「最初からホームラン打とうとするから失敗するんだってわかってるんですけどね…」とつぶやいていたのがやけに心に残っていて、そういう方にこそ読んでほしい! (のですが、わたしがアツくすすめすぎたせいか、その女性はそのまま去って行かれました…販売、心の機微…)

途中でやめる」というハンドメイドファッションブランドを主宰する山下陽光さんが、自分の好きなこと(というより苦にならずにできること)を細かく細かく見つめて(山下さん風に言うとガン見して)、現実と自分のなかのギャップを埋めてちょっとずつ自活していくための方法を書いたこの本には、資本主義が苦手な人が、どうやって暮らしていくか、どうやって最初の一歩を踏み出していくかのヒントがつまっています。「バイトやめる装置」ことスマホをつかった事例や、実際にバイトやめた/やめるかもな人たちの話を読んでいると、いまという時代を徹底的にガン見すれば、意外とできることがあるんじゃないの!? という気持ちになってくる勇気のわく一冊です。

自分の場合だと、タバブックスに入社して以降ブックイベントに出店する際にZINEをつくってブースの片隅で売らせていただいているのですが、これはいろいろ実感が得られて楽しいです。なにが楽しいかっていうと、そこにいろんなコミュニケーションが発生しているからなんじゃないかと思います。買ってくれた人には直接ありがとうが言えるし、ZINEのために寄稿してくれた人には儲けからお礼を買って渡したり、そういう本当にささやかな手のひらレベルの経済(と呼べるほどでもないけど)にふしぎと充実感が得られるのです。いきなり生活の糧を稼ごうとすると無理があるけど、バイトや会社をやめなくても、そういう「楽しい」を増やしていけるだけでもだいぶ気が楽になるんじゃないかなと思いました。

ストレスフルな会社生活から離れて自活していきたいあなたに、ホームランばかり狙おうとする優等生なあなたに、『バイトやめる学校』ギャンギャンおすすめします!

「もう読んだ?まだまだあるあるタバの本」6冊目
山下陽光『バイトやめる学校』
https://tababooks.stores.jp/items/595074b3b1b6192329014006


5周年を記念して(?)これまで弊社が出してきた本を毎週1冊ずつご紹介する新企画「もう読んだ?まだまだあるあるタバの本」。この6月にタバブックスに入社したイカリがお送りしております。
 
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あたらしい無職
丹野未雪『あたらしい無職』をご紹介したいと思います。

本書は出版業界を非正規雇用で渡り歩いてきたという丹野未雪さんが無職となり、その後一年間の正社員期間を経て再び無職となる足掛け3年間の日々がつづられた一冊です。

自分の話で恐縮ですが、昨年新卒で入った会社を辞めたあと5か月ほど無職でした。世の中への疑いも抵抗も弱めで、「みんながそうするものだから」くらいの気持ちで就活し、受かった会社でぬくぬくと働いてした自分がいきなり「33歳・無職」ってなんかいきなりアウトロー! とその状況をおもしろくも感じていたのですが、ちょうどその時期にこの本が出版されたので「これは!」とすぐに飛びついたのでした。

無職についての事前情報は少なく、なってみて初めて知ることが多かったのですが、『あたらしい無職』には“無職あるある”が散りばめられています。例えば、登録している転職サイトから「特別オファー」メールが届いてちょっと期待して開けたら明らかに大勢の人に送りまくってる大量採用の求人だったとか、ハローワークの雇用保険説明会になぜかカップルで参加している人たちがいるとか。周囲にはその手の話題を共有できる相手がいなかったので、「そうそう!」と妙にうれしくなってしまいました。

不安ながらも自由な無職期間と比べ、1年間の正社員期間の日記には胸がえぐられるような場面がいくつも出てきます。丹野さんが以前、尊敬する編集者SMさんのもとで働いていたころを振り返っている箇所、自分の憧れる存在のもとで働くことになって最初は喜ぶものの、その人からの期待に応えられず、どんどんと落ち込んでいき、関係が悪化していく様に、蟻地獄から抜け出せないような苦しい気分を覚えました。さらには正社員として働いていた会社で、そのSMさんが過去に自分に浴びせてきたようなきつい言葉を今度は自分が部下に吐いてしまいそうになります。

会社という組織のなかで適応しようとがんばればがんばるほど、本来持っていたはずの人へのやさしさってすり減っていくんじゃないかなと、最初の会社での自分の勝手な振舞いを思い返して落ち込んだり。会社で働く苦しさは、個人の問題じゃなくて構造の問題なんじゃないかと思うのですが、それを口に出すと「お前の器が小さいからだ」となってしまいそうだなぁ、とぐるぐる。

それとこの本のハイライトとも言えるのが、旧知の仲であるJ子さんにお金を借りるところなのですが、本当に困った時に頼れる他人がいるってけっこううらやましい! 弱みをさらけ出せることって、本当はつよいことなんじゃないの? なんて思います。
 
と、無職時代にザクザクと胸に刺さったので、去年8月に開催された丹野さんと、栗原康さん(弊社最新刊『菊とギロチン ―やるならいましかねえ、いつだっていましかねえ』でもおなじみ!)のトークイベントに参加し、WEBmagazine温度(わたしが無職期間中に立ち上げたサイトです)にその時の様子をレポートしました。おふたりの対談、めちゃくちゃ面白かったのでそちらも併せてお読みいただければ!

「もう読んだ?まだまだあるあるタバの本」5冊目
丹野未雪『あたらしい無職』
https://tababooks.stores.jp/items/59507513b1b6192347014dd9

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