自然が人に与える影響を探る
謎解けるまで真摯に研究

 日常生活で意識しなくても感じている音やリズム。人間には聞こえない自然が発する音には、人間のリズムと偶然にも一致するものもある。こうした音やリズムは人間の感覚に影響を及ぼしているのだろうか。間多均先生は、そんな何気ない疑問から新しい発見に挑戦している。

   ◇   ◇

 大学時代から「液晶」について研究を続けてきた間多先生。転機が訪れたのは帝京大学理工学部の「電気・電子システム工学科」が「ヒューマン情報システム学科」に変わってから。「人間の営みを理解する」という学科の理念もあったが、何よりも人と自然がどのように影響を及ぼし合っているかに関心があった。そこで自然が発する電磁波や音波が、人間の感覚に対してどのような影響を与えるかを調べる研究を始めた。

 現在は、メトロノームを2つ用意し、故意にリズムをずらしながら人間がどこで不快に感じるようになるか統計を取り調査している。 

 自然が発する音の中には、音域が低いために人間には聞こえない音もある。地震が起こる前に動物たちが慌ただしく活動したりするのも、地面が揺れる前に発生する非常に低い音を感知しているからではないかといわれている。

 地球の周りの電離層という空間と地表の間で響き合う「シューマン共振」のうち7・88ヘルツは、人間の脳がリラックスしているときに発生するといわれているα波と同じ周波数だ。偶然の一致なのか、何らかの影響を受けているのか、まだ疑問は解かれていない。

 「音楽を聴かせると牛の乳の出がよくなるといった研究結果が出てきたときに、はっきりとした証拠が見つかるまで論文を調べ、証拠がなければ信じない」という堅実さを持つ間多先生。今挑戦している問題の真実を明らかにするには、苦労の道が待っているかもしれないが、ごまかすことなく真摯(しんし)に問題と向き合いながら、研究を続ける。

 まだ・ひとし 1970年、武蔵工業大学電気通信工学科卒業。72年、東京農工大学大学院電気工学専攻修士課程修了。同年、日立化成工業(株)に入社。77年に東京工業大学で工学博士取得。89年に帝京大学理工学部に赴任し、現在に至る。