座考

気になるアレやコレや、ちょっと座って考えてみよう

カテゴリ: ピロリ菌

兵庫県神戸市西区に住む20代後半の女性です。ピロリ菌の検査をしたきっかけは、胃が痛くて食欲が無かったり吐いたりする事が多く医師から「十二指腸潰瘍」か「胃潰瘍」を疑われていたからです。ピロリ菌の検査を受けたのは22歳の時で、21歳の時に細菌感染性の胃腸炎にかかりその際に受けた血液検査の結果が悪かった事が事の発端です。 21歳の時の血液検査がどう悪かったのかと言うと、「下痢と高熱で脱水症状になっているにも関わらずヘモグロビンが10程度の貧血」で脱水症状の時は血液が濃縮されるのでヘモグロビンは上がっているはずなのにこの値で、普段はもっとひどい貧血で、その貧血の裏には「出血を伴う重大な疾患があるのでは?」と疑惑を持たれていました。しかし、その時はお金が無かったので、それ以上の詳しい検査を行わず放置していました。 しかし、半年程経った夏頃から食欲が無くなり胃が痛くなる事も多かったため、病院へ行くと「前に貧血だったのでもっと詳しい血液検査(ピロリ菌検査も含めた)や内視鏡で胃や十二指腸の内部を見てみましょう」と言われました。内視鏡は怖かったので拒否しましたが、ピロリ菌検査と貧血の詳しい検査は受ける事になりました。検査を受けた病院は、血液検査の機材の無い診療所が少し大きくなったような小病院で、機材が無いため1週間後に結果を聞く事になりました。 検査の結果は、「ピロリ菌が陰性だったのでピロリ菌除菌をする必要が無い」との事だったので安心しました。もしピロリ菌陽性なら、しばらく薬を飲んで通院する事になるので陰性で良かったです。医師の説明によると、ピロリ菌が胃の中に居ると胃・十二指腸潰瘍になっている確率が高く、もっと詳しい検査が必要になっていたそうで、拒否した内視鏡検査を受ける事になっていました。 診察・貧血の検査・ピロリ菌検査の費用の合計は薬代等も含めて保険適応で5000~10000円以内だったと思います。ピロリ菌検査は症状が無い場合は保険適応にならないそうですが、私のように「胃が痛い」「吐く」と言ったように何かしらの症状があり医師が必要とした場合は保険が適応になります。 私の場合は貧血と胃痛のような些細な症状がきっかけになって、本来なら保険適応では無いピロリ菌検査を安価な金額で受ける事ができました。ピロリ菌検査を安価で受けるには、「何か気になる症状」を医師に伝えて「ピロリ菌検査を希望している」と言うと場合によっては必要性が認められ、保険適用でピロリ菌検査を受ける事ができるでしょう。

年齢との関係でいえば、高齢者ほどピロリ菌への感染率が高くなっています。20歳までの世代では1割にも満たない感染率が、60歳を超えると8割前後にまで急上昇するのです。これは、ピロリ菌の感染源と関係があります。 主な感染源は井戸水や河川ですが、衛生環境に問題があると、それらに排便などが混入する場合があります。排便の中にピロリ菌が混じることもあり、そういった井戸水などを飲むと感染しやすくなります。上下水道の衛生環境は、時代が下るにしたがって整備されましたが、その点で高齢者はピロリ菌の感染率(保菌率)が高いのです。そして大都市ほど上下水道の整備も早く、郊外では遅れて整備されたため、出身地域によっては60歳より下の世代でも高い感染率があります。 日本国内では上記の通りですが、各国の状況によっても異なります。上下水道が整備されている先進国ほど日本に近い年齢構成ですが、発展途上国などは比較的低い年齢層でもピロリ菌感染率は高くなっています。 男女比は、特段の違いはないと思われますが、はっきりとはしていません。男女による感染率に差はないとする論文があるものの、男性の方が検査による陽性の割合が高かったとするデータもあるためです。とはいえ、そのデータも男女比は6対4程度と、特段の差はありませんでした。

通常、胃の中は胃液によってpH1~2程度の強い酸性に保たれています。pH6~7程度がピロリ菌の活動に適していますが、 このような状況では通常の菌は生きられません。しかし、そのような環境下でもピロリ菌は棲み続けていられるのです。 これには、2つの理由があります。 1つ目は、表層粘液の中で活動しているためです。胃粘膜とは、いわゆる胃の壁で、常時胃液と接触しています。胃液に溶かされないよう胃粘膜が分泌するのが、表層粘液です。表層粘液中には、pH8.2程度と弱いアルカリ性である重曹も含まれており、胃液をある程度中和し、胃を守る働きがあります。ただし、これだけではピロリ菌は棲み続けられません。ある程度弱まったものの、酸性であること自体は変わらないためです。それを解消するのが2つ目の理由です。 2つ目は、ピロリ菌自体がバリアを張っているためです。ピロリ菌は、ウレアーゼという酵素を生み出します。この酵素は、胃の中の尿素を分解する作用があり、アンモニアを生成します。アンモニアは、pH11程度と強いアルカリ性を持っており、胃液の酸性を中和する作用があります。 つまり、アンモニアというバリアを自らの周囲に張って、強い酸性の胃液から身を守っているのです。 以上2点が、ピロリ菌が胃液で死なない理由です。

ピロリ菌の除菌が完了した後で、再度感染することは非常にまれです。しかしながら、除菌後の検査で再感染が認められる場合もあります。ただし「そもそも除菌が完了していなかった」ケースがほとんどです。 ピロリ菌の除菌治療は、最終検査で陰性判定が出ると完了です。ところが、検査によって陰性判定が出たとしても、必ずしもピロリ菌が除去されたとは言い切れません。なぜなら、ピロリ菌が弱りつつも生き残っているような状況では、検査で偽の陰性判定が出てしまう場合があるためです。この場合、弱ったピロリ菌に対して追加の投薬が行われることもないため、ピロリ菌は再度力を回復させ、活発に動き回ることとなります。 除菌後1ヶ月以内に検査を行うと、このようなケースに陥る可能性が高いのです。このため、最終検査は通常、投薬期間が終了してから約3ヶ月後に行われます。3ヶ月ほどのタイムラグを設けることにより、たとえ上記のパターンであったとしても、ピロリ菌が復活しだしているため、陽性判定が出やすくなります。 上記の「除菌が完了していなかった」ケース以外に、本当の再感染もまれにあります。感染源は未だはっきりと解明されてはいませんが、経口感染が主な原因です。ピロリ菌保持者と同じコップを使用しての回し飲みや、キスなどで感染するといわれています。 しかし、その確率は2%以下という研究結果もありますので、気にし過ぎることはないでしょう。

ピロリ菌の除菌中、アルコール(飲酒)は控えましょう。これには2つの理由がありますが、いずれも肝臓に関することです。 まず1点目は、肝臓への負担の問題です。除菌中は抗生剤を、朝と夕方の2回服用します。薬自体、肝臓にある程度の負担を強いますが、その上にアルコールが入ることにより、さらなるダメージを招きます。 そして2点目は、代謝の問題です。アルコールは体内で、アセトアルデヒドという物質に分解されます。これは一般的に二日酔いの原因と見られており、頭痛や頻脈、動悸や悪心などの症状を引き起こす、人体に有害な物質です。ただ、肝臓内にはこれをも分解してくれる、アセトアルデヒド脱水素酵素という有益な酵素があります。ところが、ピロリ菌除菌のための抗生剤は、この酵素の働きを抑制してしまうのです。このため、通常はお酒に強い人であっても、悪酔いは避けられません。 以上2点が除菌中にアルコールを避けるべき理由ですが、2点目に関しては2次除菌に用いるメトロニダゾールが問題であり、1次除菌に用いるクラリスロマイシンはアルコールに作用しません。むしろ、1次除菌の成功率が僅かながら上昇したデータもあります。 とはいえ、1点目の理由である肝臓への負担に関しては変わりません。やはり除菌中のアルコールは素直に控えるべきです。

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