2012年06月07日

スカイツリー/ソラマチと地元商店街のこと

先日、桑沢デザイン研究所の「デザインの視点」という授業で、
3年生200人ぐらいを前に授業してきました。

就業経験の無い学生相手は・・と何度かお断りしたのですが、
熱心に口説かれてしまいました。

何年か後にデザビレに来てくれるかしら・・と思いつつ、
他の回の講師はデザイナーの業務や業界について説明したとのことで、
私はデザイナーが起業しての苦労や成長、デザビレについてお話しました。

デザビレは知ってから数年後に入居を希望する人が結構いるのです。

写真(1)

さて、本日はスカイツリーとソラマチに行って来ました。
ソラマチは観光客目当ての物販にデパ地下を組み合わせたような店舗構成で、
地元には一切お金を落とさせない、という決意すら感じるぐらいです。

ただし、平日昼間に多いはずの団塊〜シニア向けの品揃えは不十分なので、
近隣でも対抗する余地はありそうですが、
この世代に街中まで足を伸ばす体力があるかは疑問です。

結局、スカイツリーとソラマチだけで消費が完結してしまい、
近隣に人が流れていかないようです。

写真(2)
(台東区方面)

スカイツリーと地域商店街については、
「大西宏のマーケティング・エッセンス
 スカイツリー効果の明と暗
」で、
ダイヤモンド・オンラインの作家・ジャーナリストの莫邦富さんの記事を
紹介しながらまとめています。

地元商店街は、観光客にとっては「非日常」というほど魅力的ではなく、
地元客は「非日常」を求めてソラマチに行ってしまうということでしょう。
自ら変化し、対応する必要性を説いていることについては同感。

開業前は多少賑わっていた地域も、開業後は閑散としてしまっているようです。
私も地元の人が「アルカキットやオリナスがガラガラだから買い物しやすい」と話しているのも聞きました。

2010年暮れぐらいにイトーヨーカドーが曳舟にできているので、
近隣商店街はこれでさらに厳しいことになっているでしょう。

もっとも、スカイツリー開業後の苦戦は予想の範囲内ではなかったでしょうか。
2006年にはスカイツリー候補地として決定しているのですから、
十分な魅力づくりと発信をする時間はあったはずです。

店舗単位で見ると、
スカイツリー開業による集客に期待した「他力本願」なところは失敗し、
自ら店舗の魅力を発信し続け、ファンを育て、繁盛していたところは、
さらに賑わっているのではないかと思います。

ただでさえ商店街全体の底上げは、考え方もヤル気も資金力も異なる商店が集まっているのですから、それらをまとめていくのは難しいですよね。

集客を図るために、助成金を活用し、アート系イベントなどを誘致した商店街もあるそうですが、助成金の切れ目が、縁の切れ目で、地元に定着しないことも少なくないとか。

また、墨田区では地域の魅力づくりということで、
行政が主導で「地域ブランド商品」の開発をしていたのですが、
区外から有名なコーディネーターやデザイナーを招いて、
地元企業をリードしてもらい「商品」を作りました。
これらが地元にどのようにプラスになるかは、これから評価が下されるでしょう。

私は、外部のデザイナーにデザインを与えてもらい、
一時的な話題性でメディアに取り上げられて、中途半端に商品が売れてしまうと
「自ら商品開発やデザインをする能力や機会を失う」のではないかと危惧します。

同様に、地元の商店などでも、スカイツリー開業前の集客に頼り、
本質的な自社の強みを活かす商品やサービスの開発をしないで、
思いつきのスカイツリー関連商品で一時的な人気を得ても、
これから数年してスカイツリーが陳腐化したときに、対策を立てられるのかと心配になります。

スカイツリー景気に便乗するのではなく、
自社の本質的な競争力を高めるために活用する、
という姿勢が望ましいのではないかと思いますが、
もう遅いのかもしれません。

ちなみに、台東区側では、何もしなくても集客できると考えているのか、雷門前に歪んだカタチの観光センターを作ったぐらいで、目立った取り組みがありません。

モノマチは台東区南部を盛り上げているのですけれど、「行政」じゃなくて「有志」のイベントです。行政の協力があればもう1年早く開催できたはずです。
そして、墨田区のように新たに商品を作るのではなくて、今ある資源を有効に活かして、本来持っている魅力を再提案しているだけですね。

※実際は資金が無いので、新商品開発ができないので、
ほんとうは潤沢に資金がある墨田区の取り組みがうらやましい。
同じように使えたら、地域企業の実力を高めるために使うのですが・・。

この記事へのコメント
まったくもって仰る通りです。

墨田区の推進協議会のメンバーとして
このような状況になることに対して警鐘を鳴らして
集まりがあれば発言していましたが
無視され続けました。
税収が上がればとか、地価が上がればといった事のほうが
主だったのではと勘ぐりたくなります。
多くの区民からしたら下地もコンセンサスも無いので
寝耳に水といった感じの方が多いです。

ビジネスライクの区外の業者に荒らされる事も心配です。

墨田区の観光プラザの運営に関しても
天下り+区外のブレーンですから
悲しくなります。

逆に深川のような資金が無くてもアイデアで
地元を盛り上げる下地が奪われたのではとも思っています。

浅草はタワーの潜在力を越えてるおかみさん会があるので
羨ましいです。
Posted by 牛猫 at 2012年07月09日 12:35
牛猫さま
コメントありがとうございました。

地元の人たちの力を活かし、結集するのは
大切だけれどたいへんな仕事です。

お金を払って外部に委託したほうがシンプルで責任を取らなくて済むこともあるでしょう。

どうすれば、
地域の人が主体となって地元を盛りあげるようになるか、
簡単だけれど難しい課題です。

Posted by 鈴木 at 2012年07月09日 13:59