2015/12/15

TALI「ソルティロード」



僕が若いころには既にメディアミックスという商法が定着していて、核となる商品のノベライズやらコミカライズやら、周辺グッズも合わせて有象無象がこれでもかと販売される展開にうんざりしていたものですが。

今となってはその周辺状況も柔軟に楽しむのが作法だなと思い、なんとなく触れた派生作品も、その作品が単独で面白い限りバッチコイという感じで楽しむようにしています。勿論時間もお金も有限ですので1つのコンテンツのすべてを享受できるわけではないのですが、まぁそういう心意気でありたいということです。おっさんになればなるほど情報アクセスにも摩擦係数を感じるようになりますしね…。

今回の本も別に買うつもりではなかったのですが、本編であるところの「蒼き鋼のアルペジオ」と並んで売ってたので買ってみたら、意外と自分の好みだったので今のところ続けて買っちゃっています。「アルペジオ」本編は艦これSF版ではありませんが、要は人格を持った第二次大戦風の艦船の姿をした少女を戦わせたりツンデレさせたりする海洋冒険SFなわけですけども。「ソルティロード」はそこから冒険とか戦艦とか戦闘とかSFとかを取っ払ったもはやよくわからないナンセンスギャグになってるのです。

本編のハードかつ甘い雰囲気を大切にしたい人は憤るのかもしれませんが、あくまでお気楽な上滑りが存在できるのも本編由来のキャラ付けがあるからだと思いますし、これはこれでありなのかも。タカオたちのキャラも、僕自身は本編との齟齬をあまり感じないで読むことが出来ました。一部クサい青春モノの香りもあって好物なのです。恥ずかしい展開でも照れなく見栄を切る作者さんの資質なのでしょう。

自分の好きな(オリジナル)キャラはメンタルモデル並に摩訶不思議なキャラクターであるところの、タコのパウルくんですねー。格ゲーが強かったり陸上で普通に生活したりする謎の存在です。

付言しておくと原作漫画「蒼き鋼のアルペジオ」も当然ながらめちゃくちゃ面白いですのでこちらもSFなどに興味があればお薦め。アニメ版「アルス・ノヴァ」は原作よりオーソドックスなテーマのSFとなっております(劇場版は未見)。



海洋冒険SFといえばいろいろありますが、僕が好きなのはアニメ版の「青の6号」です。世界初のフルデジタルアニメという触れ込みでしたが、「アルペジオ」もフル3DCGアニメとして世に出た訳で、比べてみて潜水艦物におけるCG技術の進歩を比較してみるのも面白いかもしれませんよ。

teamlink_oka at 22:08|PermalinkComments(0)TrackBack(0)漫画 

2015/12/13

「劇場版 ガールズ&パンツァー」



通称ガルパンでもう大体のアニメファンには話が通じるほどのメジャー作品という感じのある作品の、待望の劇場版を観てきました。ネットを見る限りほぼ絶賛という感じの評ですが、まさに全部のせという表現が相応しい感じでしたね。

敢えてしかたのないケチをつけるとしたら物語の欠如ということだと思いますが、TV版を観ないでこの映画だけを観るということはあまり考えられないので、そこもいうだけ野暮なのかもしれず。

戦車道という武道を架空のものとして納得できるか、その非現実性をエンタメとして受け入れられるかというハードルを越えられれば、極上の映像体験ができることは間違いないので、興味があるならば(TV版の予習もした上で)映画館で今のうちに体感しておくことをお勧めします。

その上で、僕の要望というか感触的に、TVシリーズで主な舞台だった学園艦が今回ほとんど脇に追いやられていたのが、なんというか寂しいなとは思いました。TV版での学園艦のシンボリックな存在感は、登場する戦車の再現性やアクションと天秤に釣り合うぐらいの大きさだったと思うのです。TV版第一話のラストから、僕にとっては一つの主役といってもよかった。戦車道という嘘っぱちを納得させてくれる世界そのものだった気がします。大洗との繋がりと同様に扱われても良いと思うのですが…。

ま、学園艦で練習以上の戦車戦をやって船を傷つけることはできませんので舞台にならないのは必然かもしれませんが、もしこれ以上の展開があるとしたら、TV版にあったキャラクターたちが暮らす場所としてかけがえのない存在だということを再認識させてくれる展開があると良いなと思います。



teamlink_oka at 21:40|PermalinkComments(0)TrackBack(0)アニメ 

2015/12/06

伊藤計劃「ハーモニー」



ネットでは語られ尽くしている作品ですので小説についてはその傑出さも欠点も僕などが今更付け加えることなどないのですが、先日アニメ映画版を観まして、いろいろもどかしい思いになりましたので、それを自分用に書き残しておくことにしました。

アニメは多少の改変はあれ筋道は原作通りに進むのですが、原作の世界観を背景として2人の主人公の少女たちによるより伝わりやすい関係性をクローズアップするという作り方は、漫画原作をドラマにする際のいかにもTV局っぽい伝統的な作法を感じたのですが。

伊藤計劃が書いたハーモニーの切実さは、その背景とこそ有機的に「調和」していたはずで。序盤のアフリカのひまわり畑も、日本もバグダッドもチェチェンにおいても、どこか書割めいていて、作った人たちがそれを信じてないようにしか思えないのでした。端的に言えば、制作側から感じる世界観への表現の意欲が感じられないというか。誤読とまではいいませんが。

この映画の作りには、舞台の上に椅子一個を置いて演者が語る独白劇のように感じさせられました。この形式そのものが正しくないというわけではないですし、ハーモニーという物語によりマッチさせる方向性もありえたと思います。ですがやはり、伊藤計劃が書いた世界を映像化するならば、彼が「視ていない」もの(なおかつ彼の世界が内包するもの)を映像にする意志が必要だったのではないでしょうか。たとえファンが非難する結果になったとしても。

他方、原作は病床で書かれたということで、それは極めて個人的で、情報アクセスに制限の感じる場所での原作者自身のための独白劇だったという想像を禁じえず、そういう意味ではアニメ版は伊藤計劃に肉薄しようとする意図だったのだろうかと考えることも出来ます。

冒頭と最後に登場するWatchmeはどうみても「生きている墓石」だったのですが、それはProjectItohというよりは、括弧書きの「伊藤計劃」にさらに括弧をかぶせるようなものでしかない気がするのです。ehtmlを読むのならば原作を読めば事足りる訳ですからね。

出来るならばアニメで初めてこの物語を観た人は、原作に触れて、その書き急いでいる
感を、書けなかったこと書きたかったことを想像して欲しいと思います。それから、もう一度この映画を観ると、亡くなった人を追いかけることの難しさを感じるかも、しれません。





こちらも賛否両論あるEGOISTの主題歌ですが、僕は嫌いじゃないです。虐殺器官も早く観たいですね。

teamlink_oka at 22:32|PermalinkComments(0)TrackBack(0)小説 | アニメ

2015/12/02

「放課後のプレアデス」その後



放課後のプレアデスについては、昨日Amazonにレビューを投げまして、内容について僕の思うところはそちらを読んでいただければと思うのですが。こちらには、放送終了後も話題というか可能性を繋ぎ続ける、その後の状況について書いておきたいなと。

僕が最近ずっと気になっているのは、コンテンツの消費の仕方/され方の現状と、未来はどうなっていくのかということでして。ゲームがあふれていた90年代、アニメが増産されていった00年代を過ぎ、両者とも産業としての基盤の脆弱さばかりが露呈するようになってきた昨今も、ネットの拡大と技術進歩で消費のスピードだけは上昇する一方になっているわけで。エロゲーなど、その速度にみあわないジャンルは大きく衰退するという事実も浮かび上がっています。

アニメ会社の倒産なんかも(虫プロを例に上げることもなく、昔からもあったことではありますが)表立ったニュースとして、まとめサイトなどを基点にその周辺状況をすら消費するという感じで、まるで情報にむらがる蝗のような状態だなと。食べられればなんでも口にするよというのはちょっとさもしい気もしますけど。

こういう状況ではありますが、消費できるリソースがあって、あっちに箸をつけこっちをつまみ食いして贅沢に楽しみつづける景気の良いオタクがいるのは、それはそれでめでたいことだと思うのですが…多分きっと消費されにくいというか、小さくでも腹持ちの良いコンテンツを望む人も少なからずいると思うのです。いつまでも愛せるような。多くの人が時間もお金も余裕が徐々に狭まってくる傾向にあると思いますしね。
それを有するためには、ニッチさ・カスタマイズの幅など核にある強固な普遍性を有するかどうかだと思うのですが。
プレアデスに対して僕が惚れ込んでいるのはそこだったりします。
そのへんは上記のレビューで書いたとおりです。

この作品、パッと見こそ魔法少女物ではあるものの、少し観ればオタクが望むような媚びた展開が薄いのに気づいて、それを望んだ人は脱落してしまう。だけど、よく噛んで食べる人がもうちょっと噛んでみようと思うならば、その先には染みこんだ味が出てくるような。具体的には伏線を撒き終わり、各キャラクターを掘り下げ始める第四話以降で、ハマる人が多いんではないでしょうかね。
僕自身はYoutube版を観ていたというのもあるのですが、OPや第一話のめちゃくちゃ美しい空を自由に飛び回る映像からぞっこんだったんですけどね。そういえば、空を飛ぶこと自体が、昔から人間が共有してきた夢だと思いますし。

僕は、フィルムの外の周辺情報をしらずとも、フィルムそれ自体で楽しめるのが一番良いと思っています。それはどんな媒体でも変わりがありません。他者との共感を共有するための方法としての作品鑑賞があることは事実ですが、自分の中の優先順位は低く、まずは自分と作品との対話であるべきだと考えます。だから、同じ作品を繰り返し観るとしても、最初に情報無しで感じた第一印象というのが大切です。あとからスタッフのコメントなりネットの反応なりで補完された情報で分かった気になるというのは、能動的な鑑賞であるとはあまりいいたくない。あくまで僕のスタイルですが。
別に批評を必要とするような難解さがあればいいというわけでもないですよ。どのような形であれ、心にフックを引っ掛ける資質が備わっていると、そのような気にさせてくれる作品になっていくのではないかと。情報量であれ、批評性であれ、詩情であれ。

そして、そのように感じた一番最初の感触が、結局自分に大きな影響を与えていると、ずっと後になって気づくことが結構あります。すぐに気づかないのは自分の能力が高くないせいだと思いますが。でも、最初に触れた時の感覚を信じること(盲信ではなく、気に留めておくぐらいのこと)は、前向きなことだと思いますよ。

話が逸れましたが、今回でいえばプレアデスみたいに特長を持つ作品は、だからこそ消尽してしまわない強さを持っているし、僕は支持するに足るものだと思っています。

放送終了後、ノベライズ「みなとの星宙」の著者である菅浩江先生が中心となって、ネットにスタッフ側と消費者側を繋ぐ緩いコミュニティが形成されつつあります。グッズ販売のブランドまで作ってしまった先生のバイタリティは、ずっと追いかけている僕らみたいなファンも関係者も皆驚いていると思いますが、それは作り上げられたコンテンツへの自信と信頼があってこそでしょう。言い方が難しいですが、表現を目いっぱいまではしないというか、抑制が効いてるところも、作品としての質を高めていると思いますし、制作に携わった方々も自覚していらっしゃるんじゃないかと。
それらを元にした今の盛り上がりは、いわば熾火のようなものですが、制作の発端になったスバルから最近も新商品が登場したりと、前向きな情報も出つつあって、今後への期待が高まります。

アニメファンからは会社名がブランドとして毀誉褒貶を受けるアニメ会社は、現行の制作方式で言えば実質的には下請け会社みたいなもののようです。消費速度も画面の解像度も上がる一方の現場で、どのような手段をとっても期日までに作品を仕上げなくてはならず、制作環境も更新され、現場に培われた技術の継承も難しいというのでは、外部から覗き見ても非常に厳しいの状況なのだろうとしか思えません。
だからこそ、簡単に消費されてしまわないコンテンツ(もちろんお仕着せでは駄目ですが)の制作と、作り上げたコンテンツの長期的利用というのはこれからますます重要視されるべきものだと思うのです。多分、アニメの総量はいずれ減少傾向に向かうでしょうし…短編アニメの増加もその一端でしょう。プレアデスのスタッフが制作しNHKで放送された「思いのかけら」も、2分ながら高品位な作品でした。
プレアデスは1クールでBD売り上げもヒットとはいえませんでしたが、その内容が示す普遍性と可能性には今度も期待できると信じています。

もちろん、ファンが長期的に支援する中で、ファンと制作側の相互作用によって作品が(良い意味でも悪い意味でも)変質していくものだってあるわけですが、それもまた消費の一つの形でしょう。
翻ってプレアデスは、現状では支持するコアな人たち(制作側含む)が支えている面がありますが、より息の長いキャラクターたちとして愛されていくためには、やはりコラボ元であるスバルの大なり小なりの関与も必要になってくると思いますね。最近は子供の遊び場を備えたディーラーも多いですので、そこに会長がいたりすると似合うと思うんですけどね…。

あとはそうですね、その普遍性を証明するために、もっと低年齢層にアピールできる機会があることを願いたいですね。話題になった児童書版「放課後だけの魔法使い!」ですが、オタクだけでなくて実際に小学校なんかで子供たちに読まれているといいなと…。






teamlink_oka at 22:54|PermalinkComments(0)TrackBack(0)アニメ 

2015/05/12

「放課後のプレアデス」



カラー(エヴァンゲリオン)やトリガー(キルラキル)などにスタッフが移籍し、一部で存続も危ぶまれるのではと思われていたアニメスタジオ・ガイナックスの最新作は、魔法使いを扱ったジュブナイルSFファンタジー「放課後のプレアデス」となり、現在放送中です。絶賛…ではなく一部の通好みな作品といった受容のされ方に見受けられますけどね。

メインビジュアルだけを見ればこてこての萌えアニメにしか見えませんが、その中身は抒情的かつSF風味を散りばめ、これまでオリジナル作品で話題を提供してきたガイナックスの伝統にもふさわしい作品となっています。

まるで水饅頭のようなプレアデス星人に頼まれて「宇宙船のエンジンの欠片」を探すべく、近似する平行世界から集められた五人の少女たちが、一気に青空から宇宙にまで飛び出してしまうスケールの冒険と、身近な人々との心の交流を、全く同じ感触で経験していくという物語なのですが。

なんといっても少女たちの飛行シーンの美しさが素晴らしく、またそれを論理面で支えるSFマインドも心をくすぐられるものがあります。とはいっても、SF用語をすっ飛ばしても観ていられる画面の心地よさはそれだけで説得力のあるものです。

ヒロイン「すばる」と謎の少年の交流も、昔懐かしいジュブナイル作品の香りを漂わせています。物語は中盤を迎え、そろそろターニングポイントが訪れそうな気配ですが…。

自動車会社である富士重工(スバル)とのコラボも話題になりますが(魔法の杖が車のドライブシャフトで、何故か車のエンジン音が響いたりする)、それを緩やかに昇華させて、真の意味でのモラトリアムにいる少女たちの可能性を物語にしてあるところに好感をいだきます。

今の時代は将来への不安から、少年期から大人への目標をしっかり持って暮らさなければならないと急き立てる風潮が、リアルにもアニメにも多くあると思うのですが…成長する子供たちが一時与えられた幸せな時代に迷い、旅をする価値は減じていないのだと、送り手の信念をも感じられる作品です。この春のオススメ作品ですね。




こちらは4年前にYoutube用でのプロモーション用に制作された短編作品で、現在のTVシリーズのパイロットフィルムのようなものです。観比べてみるのも面白いかもしれません。

teamlink_oka at 21:14|PermalinkComments(0)TrackBack(0)アニメ