私はデータセンターや、回線サービス、レンタルサーバ等々、主にインフラの設計から運用までを担当する部署におります。色々なインフラに携わってきましたが、今回は今年で5年目を迎えましたlivedoor Wirelessについてとりあげたいと思います。
livedoor Wirelessとは?
livedoor Wirelessとは2005年12月に開始された公衆無線LANサービスで、 山手線内に2200個のアクセスポイントを設置して802.11bgの無線LAN環境を提供しています。この屋外に設置した2200個ものアクセスポイントを4年以上運用してきた間には色々な苦労がありました。サービスが開始されるまでの道のり
具体的なサービスのイメージが決定してから、サービスインするまでにはざっくりあげてみただけでも、下記のような工程があります。- コスト算出
- ネットワーク構成検討
- 認証方式検討
- 登録方法検討
- 課金方法検討
- 機器選定
- 設置場所選定
- サービス提供エリアの選定
- サービス提供に必要な通信事業者としての申請作業
- サポート窓口設置
- 構築作業
- 検証作業
「設置場所選定」と「機器選定」
設置場所を選定する過程において色々な候補があがりました。- 自動販売機の上
- ビルの屋上
- マンションのベランダ
- 郵便ポスト
- 公衆電話
- 街路灯
- 電柱
求める条件としては電源の心配がなく、光ファイバーの管路があり、ある程度の高さの場所ということで電柱が最適であることは明白でした。最終的に東京電力に申請して電柱に設置することとなりました。
電柱にアクセスポイントを設置する作業は下の写真のようにおこないます。
バケット車一台に作業者が4人もいます。
しかも警察署への届出や区や都への届出等色々な手続きが必要です。なので機器故障のたびに新しいアクセスポイントが買えるほどの費用が発生することになるのです。
そんな場所に設置する機器選定をどのうようにおこなったかというと、数十ページにおよぶRFPを開示して色々なメーカーに呼びかけました。10社以上のメーカーが1ヶ月ぐらいかけて提案書を作成してくれました。
RFPにはあったら便利な機能や数年後を見越した拡張機能等、「必須」、「ある程度必須」、「あれば便利」の三段階ぐらいの重要度で、搭載して欲しい機能について記していました。今、振り返ってみると電柱に設置したり、メンテナンスしたりする上で、耐久性が一番必須だったと思います。
最終的に選ばれたアクセスポイントがこちらです。

もっと目立つ感じにしたかったのですが、使っていい色の種類や数が決まっているのでこのデザインになりました。
設置から4年経ってみて結果的に選定した機器の耐久性がどれくらいのものであったのか故障に関する記録を調べてみました。機器の交換や現地調査を実施したような障害の件数は全部で112件ありました。年間30件弱ですね。
これが多いのか少ないのかについては比較する対象がないので一概には言えませんが、数百、数千といったサーバやネットワーク機器を利用した経験から言って、とても優秀な数字だと思います。
何色だったとかは書けませんが100台買ったネットワーク機器が数年間で半分以上壊れたこととかありましたし、数千万円もする高価な機器も365日、24時間のオンサイト保守に必ず入ります。年に一回ぐらいは必ず保守のお世話になります。
これら障害の原因の内訳を見ていくと以下の通りとなります。
アクセスポイントの故障 約50件
外的要因によるもの 約20件
上流回線等アクセスポイントに問題がないもの 約10件
その他はっきりしないが、電波干渉が原因と思われるもの 30件
| ※実際の写真 | |
他の工事の際の事故![]() | アンテナが完全に折れてしまっています。 |
| ケーブルが切れてしまっています。 | |
交通事故 | 電柱が粉々です... |
過去に一番多くのアクセスポイントが使えなくなった障害は2006年8月14日の停電でした。この時は2200ほぼ全てのアクセスポイントが停止しましたが、幸い給電が復旧した際に起動してこなかったものは1台もありませんでした。
電波干渉
IEEE802.11b,gという無線LANの規格では、複数の機器が同時に通信できるよう、 利用する周波数帯域を分割しています。その分割した周波数帯域をチャンネルと呼びます。同じエリアに存在するアクセスポイントが、このチャンネルを同じ値に設定すると電波干渉が発生します。 電波干渉が発生していると思われる問い合わせがあった場合は、まず、アクセスポイントの死活監視のアラートが出ていないかどうか確認し、続いてリモートから該当するアクセスポイントに接続できているユーザがいるか確認します。 アクセスしている人がいない場合はアクセスログから最後に使われた時間を調べます。こうして正常に動作していることを確認した後ににアクセスポイントの再起動を行います。再起動時にアクセスポイントは一番干渉の少ないチャンネルを選んで起動します。これにより電波干渉による接続障害を回避します。 上記の対応でほとんどの接続障害は復旧することができます。 なので、現在では定期的に自動でアクセスポイントの再起動を実施して電波干渉による接続障害軽減につとめています。
現在では、他の公衆無線LAN事業者とのローミングや、大学等の教育機関や商業施設への公衆無線LANの導入をすすめております。
最近、接続ログを見ているとiPhoneだと思われるMACアドレスが多く見られるようになりました。色々なデバイスの普及により無線LANの利用シーンがひろがっていくのと同時に、livedoor Wirelessの利用エリアも拡げていきたいと思います。

