2007年12月18日

ジョニー黒木の引退

 千葉ロッテファンから愛されたジョニー黒木が12月2日、引退を表明した。

 ジョニーはロッテファンだけじゃなく、野球ファンから愛された魂のエースだった。私もジョニーの引退は本当に残念で、もう少しだけでいいから、そのピッチングが見たかった。きっといい投手コーチになるのではないかと思っている。

 黒木知宏という投手がいたこと、その投手の最高の投球を見ることが出来たこと。これを忘れたくないから、今日は書きます。

 ジョニーはなぜ愛されたか。それは、ジョニーの熱いピッチングだからだろう。大した変化球があるわけでもない。飛び切りのスピードボールを投げるわけでもない。しかし、ジョニーは自分の中にある「熱」を放ちながら投げていた。そういう気持ちで打者を抑えられるということを証明してくれた。

 ジョニーの引退に繋がったのは肩の故障だった。2000年、肩の違和感を抱えたままシドニー五輪に出場。準決勝のキューバ戦で好投を見せるも、コントレラスに抑えられ日本は完封負け。3位決定戦でも韓国に敗れメダルを逃した。
 この年、ジョニーはシーズン10勝12敗と振るわなかった。翌年、ジョニーは開幕から鬼気迫る投球を見せる。前半戦だけで11勝4敗。しかし、オールスター出場後、肩の故障を治すため二軍落ちし、結局、全盛期の力を取り戻すことは出来なかった。

 01年のジョニーの投球は強く印象に残っている。「本格派とはこういうものか」と思わせる内容だった。投球の大半はストレートとカーブ。この2つの球種で打者を完全に圧倒していた。ストレートは145キロ前後ながらキレ・球威が尋常ではなく、低目を突いて行って、打者はファールを打つのが精一杯という印象。バットを押し返すほどの球威が本当に鮮烈に頭に残っている。

 この投球をしていたとき、既にジョニーの肩はボロボロだったのだろう。

 結局、無理が祟ってということなのだろうが、ジョニーのそんな生き様を責める気にはなれない。もちろん、願わくば復活して欲しかった。ただ、そんなジョニーの生き様も素晴らしいと思う。素直に称えたいと思う。

 「この試合で潰れてもいい」と思う気持ちで投げていたんだろう。周りが止めるべきじゃないかという思いもある。しかし、そこで「はい、そうですか」とマウンドを降りる男だったら、ジョニーは投手として、ロッテのエースとして大成したことはなかっただろう。

 ジョニーの最大の魅力は打者に向かっていく精神力だった。見ているこっちが震え上がる場面で、きっちりと腕を振って最高のボールを投げられるって、月並みだけど物凄い精神力だと思う。それは、平々凡々と生きている我々ではおよそ体験できない世界。そこで誰もが認めるボールを投げていた「意気に感じるハート」って凄い。

 それ故の故障、引退だったと思うのだ。

 引退と聞いて残念な思いもした。しかし、すっぱり辞められるくらい、復活に賭けてきたんだろう。ジョニーが自ら降りた、諦めたってことは、本当に続ける力が残っていないくらい、ここまで投げてきたんだろうと思います。

 本当にいい投手でした。

 ありがとう、ジョニー。


 次は放送席で野球への熱い思いを伝えて欲しいと思います。

ted9aoki23 at 22:54│Comments(2)TrackBack(0) プロ野球 

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この記事へのコメント

1. Posted by 3gou   2007年12月19日 21:26
先日の日の丸の重みトピにてシドニー五輪でのジョニーのことをコメントしようと思っていた矢先の引退報道でした。正直、あまり残念という気持ちはありません。ただただ、お疲れ様でしたという感謝の念でいっぱいです。
ジョニーは、自分をいっぱしの野球ヲタ(ってほどでもありませんが)に引きずりこんだきっかけとなった選手です。その彼の引退は自分にとって一つの時代の終わりを感じさせます。
時あたかもいよいよNPBがMLBの二軍と化す勢いが増して来ました。王監督も来年限りですし、果たして自分は再来年以降のNPBに興味を持つことができるのか不安になってしまいます。

ま、何はともあれジョニー、君は本当に格好よかったよ。ありがとう。
2. Posted by 純正野球ファン   2007年12月26日 21:51
3gou様
>君は本当に格好よかったよ
 全く同感です。本当に格好良かった!本当にもう一度、あのピッチングが見たかったですね。

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