2008年10月16日
パCS2開幕
明日から埼玉西武ライオンズと北海道日本ハムファイターズによりクライマックスシリーズ第2ステージが開幕です!
猫の目のように変わるCS制度ですが、今年から日本シリーズと同じ4戦先取となりました(昨年は3戦先取)。更にリーグ優勝チーム(1位通過ではない!)には1勝のアドバンテージがあります。つまり西武は3つ勝てばCS優勝で、ハムは4つ勝たなきゃいけないということです。
初戦の流れで一気に行ってしまう3戦先取に比べ、4戦先取の場合、優勝チームは踏ん張りが効くように思います。日本シリーズでもストレートの4連勝は滅多にありませんからね。2000年代に2回もあったことは遺憾ですが。
猫の目のように変わるCS制度ですが、今年から日本シリーズと同じ4戦先取となりました(昨年は3戦先取)。更にリーグ優勝チーム(1位通過ではない!)には1勝のアドバンテージがあります。つまり西武は3つ勝てばCS優勝で、ハムは4つ勝たなきゃいけないということです。
初戦の流れで一気に行ってしまう3戦先取に比べ、4戦先取の場合、優勝チームは踏ん張りが効くように思います。日本シリーズでもストレートの4連勝は滅多にありませんからね。2000年代に2回もあったことは遺憾ですが。
●好対照過ぎる両チーム
まず単純に西武とハムのリーグ成績を比較してみましょう。
ライオンズはチーム打率2位(1位は楽天)、打点、本塁打、盗塁は1位、三振も1位。チーム防御率も2位でした。強力打線でリーグを制覇した。一方で、投手力も堅実に試合をまとめてきたチームです。
一方ファイターズ。打率、本塁打、打点が最下位。犠打は1位で盗塁は4位でした。チーム防御率は1位で、典型的な守り勝つチーム。総得点よりも総失点が多いというのもファイターズの特徴でしょう。
となればファイターズの投手陣対ライオンズの打撃陣という構図になりそうですが、ファイターズはブルペンに不安があり、ライオンズは打線を牽引していたGGやブラゼルが故障で出場が難しい。「ねじれ」た両チームのコンディションが際立ちます。
●勝てる気がしない・・・
両チームの対戦成績は14勝9敗だが、西武ドームでの試合となるとライオンズの7勝2敗1分。特に5月と8月には西武ドームでハムは3タテを食らっている。
私は5月5日の試合を見に行っていたのだが、5回表で0対6とリードされたライオンズが本塁打3本で逆転し、8対6で競り勝ったという試合だった。この試合の印象は強烈だった。この2日後、ライオンズはダルビッシュを相手に4対3でサヨナラ勝ち(デーブ大久保コーチが興奮のあまり肉離れをした試合)。
このシリーズがパリーグのペナントを左右したと思う。ライオンズはこのあたりから首位を巡航し、ファイターズは遂にライオンズを追う展開となった。ライオンズの打線とファイターズのブルペンという両チームの明暗をくっきり分けた試合となった。
ファイターズは9月の西武ドームでのシリーズを2勝1敗で勝ち越したが、西武ドームコンプレックスをどこまで払拭できたか疑問。私は正直、ライオンズに勝てる気がしないのだが・・。
●1位チームの憂鬱
ライオンズは終盤戦不調に陥り、優勝を決めながらも7連敗を喫した。終盤のチーム状態からどのように立て直しているのか興味深いが、約2週間ぶりに実戦を戦うというのは不安もいっぱいだろう。
これまでセパでCS制度が採用されているが、第2ステージで1位チームが勝ちあがったのは06、07年のファイターズのみ。ホークスは一度も勝てず、昨年のジャイアンツも3連敗で中日の前に沈んだ。今季は4戦先取とアドバンテージがあるため、これまでとは全く同じという比較は出来ないが、ライオンズにこういった不安が付きまとうのは仕方が無い。
むしろ終盤のチーム状態の悪さをリフレッシュできる期間だったと捉えられればいい。
まぁ、ライオンズに関しては身内でケンカをするほどの余裕もあるようなので、優勝のプレッシャーも感じずに伸び伸びとやるのではないだろうか。
●複雑な4戦先取制
西武が勢いづくかどうかは第2戦のダルビッシュを攻略するかどうかだろう。初戦ももちろん大事なのだが、ダルビッシュが出てくる第2戦で競り勝てば、一気に流れはライオンズに傾くだろう。
北京五輪後のダルビッシュはとてつもない凄みを持っている。9月は5試合に先発し全て8イニング以上投げ、奪三振は4試合で二桁。与四球は5試合でわずかに2つという内容だ。梨田監督はダルが投げる第2戦は当然計算に入れているだろう。
一方、ライオンズはダルを叩けば一気にいけると踏んで研究を重ねているだろう。ハムはダルが投げる試合は特に特別の集中力を発揮する。9月15日にダルが9回に4失点し逆転された裏に、再逆転してサヨナラ勝ちしたように、ダルが放ると「この試合は負けられない」と打線全体も集中するように感じる。
最近、短期決戦で「勢い」が重視される傾向にあるけれども、裏を返すとダルのようにチーム全体が「大黒柱」と認める存在が居ない事に起因しているのではないだろうか。エースは単に「計算できる」という以上に、チーム全体に「今日は勝つだろう」という妙な安心感と、「負けたら大変」という危機感を同時に植えつけられる存在と考える。そういう存在がダルビッシュだろう。
ファイターズにしてみれば第2戦を取れればそれでOKかと言えば、そうではないだろう。1戦のアドバンテージを消すためには序盤3戦で2勝1敗は最低条件。出来れば、3連勝で一気にライオンズを追い詰めたいだろう。となれば、初戦も極めて大事になる。初戦を落とせば場合によっては小松を温存したオリックスの二の舞になりかねないからだ。一方、ライオンズは初戦を取れれば、次の2戦は気楽に戦える。1勝2敗で第4戦を迎えてもまだ負けられる余裕もあるというわけだ。
なんだか当たり前のことを言っているようだが、CSの流れを占う上でも1戦目は重要と言えるだろう。ところが、問題は1戦目を大宮で戦うということだ。
●なぜ大宮か・・・
ライオンズにしてみればホームを離れて「地方球場」で初戦を戦うというのは気の毒でならない。営業を睨んでの戦略だろうが、選手の意向はまるで無視されていると言わざるを得ないだろう。
これで初戦にダルビッシュが出てきてくれれば、ダルは地方球場・外の球場は苦手ときているので、まだ助かったが、ハムは当然ダルを回避してきた。
大宮開催は西武には嫌な印象を与え、ファイターズはそうでもないだろう。負けられないプレッシャーの中で大宮で第1戦を迎えるのは、シリーズ全体の流れにも影響しかねない。
こういう現状を見ると、日本のプロ野球選手はまだまだ地位が低いんだなぁと思わざるを得ない。ジャイアンツが宮崎でキャンプを張るつもりが「激励会」と称して、ホテルで2時間たちっぱなしで話を聞かされ、宮崎にはたった2日しか行けないという事態に陥っているらしい。
昭和のプロ野球選手を称して「男芸者」(親会社のお偉いさんの酒席にゲストとしてよく使われたから)と呼んでいたというが、そういう体質はいまだに残っているのだろう。経営側と選手側が垂直の関係にあると思い込んでいる経営者がいまだに多いということを象徴している。
話が逸れるが、新日本石油ENEOSの田沢投手がドラフト指名されてもメジャーに行く意向を示しているが、日本のプロ野球のこういう体質を直さなければ、田沢のようなケースは跡を断たないだろう。選手の「権威」を損なわせるような行為はファンも望んでいないだろう。自チームの勝利を危うくするような「サービス」まで「ファンサービス」と称して正当化することはやめてもらいたい。
まず単純に西武とハムのリーグ成績を比較してみましょう。
ライオンズはチーム打率2位(1位は楽天)、打点、本塁打、盗塁は1位、三振も1位。チーム防御率も2位でした。強力打線でリーグを制覇した。一方で、投手力も堅実に試合をまとめてきたチームです。
一方ファイターズ。打率、本塁打、打点が最下位。犠打は1位で盗塁は4位でした。チーム防御率は1位で、典型的な守り勝つチーム。総得点よりも総失点が多いというのもファイターズの特徴でしょう。
となればファイターズの投手陣対ライオンズの打撃陣という構図になりそうですが、ファイターズはブルペンに不安があり、ライオンズは打線を牽引していたGGやブラゼルが故障で出場が難しい。「ねじれ」た両チームのコンディションが際立ちます。
●勝てる気がしない・・・
両チームの対戦成績は14勝9敗だが、西武ドームでの試合となるとライオンズの7勝2敗1分。特に5月と8月には西武ドームでハムは3タテを食らっている。
私は5月5日の試合を見に行っていたのだが、5回表で0対6とリードされたライオンズが本塁打3本で逆転し、8対6で競り勝ったという試合だった。この試合の印象は強烈だった。この2日後、ライオンズはダルビッシュを相手に4対3でサヨナラ勝ち(デーブ大久保コーチが興奮のあまり肉離れをした試合)。
このシリーズがパリーグのペナントを左右したと思う。ライオンズはこのあたりから首位を巡航し、ファイターズは遂にライオンズを追う展開となった。ライオンズの打線とファイターズのブルペンという両チームの明暗をくっきり分けた試合となった。
ファイターズは9月の西武ドームでのシリーズを2勝1敗で勝ち越したが、西武ドームコンプレックスをどこまで払拭できたか疑問。私は正直、ライオンズに勝てる気がしないのだが・・。
●1位チームの憂鬱
ライオンズは終盤戦不調に陥り、優勝を決めながらも7連敗を喫した。終盤のチーム状態からどのように立て直しているのか興味深いが、約2週間ぶりに実戦を戦うというのは不安もいっぱいだろう。
これまでセパでCS制度が採用されているが、第2ステージで1位チームが勝ちあがったのは06、07年のファイターズのみ。ホークスは一度も勝てず、昨年のジャイアンツも3連敗で中日の前に沈んだ。今季は4戦先取とアドバンテージがあるため、これまでとは全く同じという比較は出来ないが、ライオンズにこういった不安が付きまとうのは仕方が無い。
むしろ終盤のチーム状態の悪さをリフレッシュできる期間だったと捉えられればいい。
まぁ、ライオンズに関しては身内でケンカをするほどの余裕もあるようなので、優勝のプレッシャーも感じずに伸び伸びとやるのではないだろうか。
●複雑な4戦先取制
西武が勢いづくかどうかは第2戦のダルビッシュを攻略するかどうかだろう。初戦ももちろん大事なのだが、ダルビッシュが出てくる第2戦で競り勝てば、一気に流れはライオンズに傾くだろう。
北京五輪後のダルビッシュはとてつもない凄みを持っている。9月は5試合に先発し全て8イニング以上投げ、奪三振は4試合で二桁。与四球は5試合でわずかに2つという内容だ。梨田監督はダルが投げる第2戦は当然計算に入れているだろう。
一方、ライオンズはダルを叩けば一気にいけると踏んで研究を重ねているだろう。ハムはダルが投げる試合は特に特別の集中力を発揮する。9月15日にダルが9回に4失点し逆転された裏に、再逆転してサヨナラ勝ちしたように、ダルが放ると「この試合は負けられない」と打線全体も集中するように感じる。
最近、短期決戦で「勢い」が重視される傾向にあるけれども、裏を返すとダルのようにチーム全体が「大黒柱」と認める存在が居ない事に起因しているのではないだろうか。エースは単に「計算できる」という以上に、チーム全体に「今日は勝つだろう」という妙な安心感と、「負けたら大変」という危機感を同時に植えつけられる存在と考える。そういう存在がダルビッシュだろう。
ファイターズにしてみれば第2戦を取れればそれでOKかと言えば、そうではないだろう。1戦のアドバンテージを消すためには序盤3戦で2勝1敗は最低条件。出来れば、3連勝で一気にライオンズを追い詰めたいだろう。となれば、初戦も極めて大事になる。初戦を落とせば場合によっては小松を温存したオリックスの二の舞になりかねないからだ。一方、ライオンズは初戦を取れれば、次の2戦は気楽に戦える。1勝2敗で第4戦を迎えてもまだ負けられる余裕もあるというわけだ。
なんだか当たり前のことを言っているようだが、CSの流れを占う上でも1戦目は重要と言えるだろう。ところが、問題は1戦目を大宮で戦うということだ。
●なぜ大宮か・・・
ライオンズにしてみればホームを離れて「地方球場」で初戦を戦うというのは気の毒でならない。営業を睨んでの戦略だろうが、選手の意向はまるで無視されていると言わざるを得ないだろう。
これで初戦にダルビッシュが出てきてくれれば、ダルは地方球場・外の球場は苦手ときているので、まだ助かったが、ハムは当然ダルを回避してきた。
大宮開催は西武には嫌な印象を与え、ファイターズはそうでもないだろう。負けられないプレッシャーの中で大宮で第1戦を迎えるのは、シリーズ全体の流れにも影響しかねない。
こういう現状を見ると、日本のプロ野球選手はまだまだ地位が低いんだなぁと思わざるを得ない。ジャイアンツが宮崎でキャンプを張るつもりが「激励会」と称して、ホテルで2時間たちっぱなしで話を聞かされ、宮崎にはたった2日しか行けないという事態に陥っているらしい。
昭和のプロ野球選手を称して「男芸者」(親会社のお偉いさんの酒席にゲストとしてよく使われたから)と呼んでいたというが、そういう体質はいまだに残っているのだろう。経営側と選手側が垂直の関係にあると思い込んでいる経営者がいまだに多いということを象徴している。
話が逸れるが、新日本石油ENEOSの田沢投手がドラフト指名されてもメジャーに行く意向を示しているが、日本のプロ野球のこういう体質を直さなければ、田沢のようなケースは跡を断たないだろう。選手の「権威」を損なわせるような行為はファンも望んでいないだろう。自チームの勝利を危うくするような「サービス」まで「ファンサービス」と称して正当化することはやめてもらいたい。