2008年10月19日
殺人ツーシーム
昨日のダルビッシュのピッチングは凄かった。
短期決戦におけるエースの役割は単に試合を抑えることにとどまらないようです。
短期決戦におけるエースの役割は単に試合を抑えることにとどまらないようです。
●3・4・5番の胸元を…
「相手打線にダメージを与えようと思った」というダルビッシュ。ダメージとは、西武打線に内角攻めを行い、フォームをがたがたに崩す、ということだ。
ダルビッシュは中島や後藤に「殺人的」なツーシームを投じた。捕手の鶴岡が「左投手のスライダーのような」と表現したほど、凄いキレだった。149キロで胸元にツーシームを投じたら、打者はたまらない。ライオンズのクリーンアップを封じたばかりか、CS第2ステージ全体を支配しようという野心ある投球だった。
1試合を抑えるだけでなく、短期決戦全体の流れを左右しようという投球が出来るのは、12球団でもダルビッシュだけだろう。こういうことを公言した投手も、80年代黄金期の東尾修くらいだったと思う。東尾はしばしばシリーズ序盤に登板し、内角攻めで相手の主力打者のフォームを崩し、以後も抑えこむという投球を見せた。
●ファイターズ投手陣の「作戦」
吉井理人投手コーチのブログにしばしば「作戦」というフレーズが登場するのだが、今回ダルビッシュは試合後のインタビューで「西武打線にダメージを与えたかった」とわざわざ公言した。これも「作戦」の一環のように感じる。
ファイターズの先発投手陣でパワーピッチャータイプはダルとグリン。スウィーニー、藤井、武田勝の3人は球威とキレで抑えるのではなく、緩急で抑える技巧派タイプだ。初戦のグリンは通用しないことが分かった以上、第6戦のダルビッシュまで繋ぐためには3人の技巧派が西武打線をかわさなければならない。
ダルビッシュが内角攻めを公言したことへの期待は、西武打線が考え込むこと。「自分のフォームが崩されたのではないか」と疑念を持つことで、次に登場する技巧派の攻めがやりやすくなる。ダルビッシュはそこまでベンチに期待されて、応えたというわけだ。
第3戦の先発は武田勝だ。武田はスピードは無いが、大胆に右打者の胸元を突いて、内角を意識させたところで、外角にチェンジアップを落とすのが基本的な投球スタイル。昨日のダルビッシュが西武打線にダメージを与えているならば、無用に内角を突かなくても、西武打線は十分内角を意識してしまっているだけに、自然と腰の引けた打撃となって、武田の術中にハマる、とうう算段だろう。
さて・・・
●「ナカジマ」は「ナガシマ」
西武の黒江コーチは中島裕之について「長嶋さんに似ている」という。チャンスに強くて、本能のままに打撃をする、という点が似ている、そうだ。
長嶋茂雄には様々な伝説があるが、ノムさんの「ささやき戦術」が効かなかった選手だったらしい。ノムさんのささやき戦術は王貞治には通用したそうだ。「あれ?ワンちゃんグリップがいつもより下がっていない!?」と言っただけで、打席の中でずっとグリップの位置を気にしていたというが、長嶋さんは「そうかなぁ!?」と言ってクリーンヒットを放ったらしい。
ナカジマがナガシマに似ているのであれば、昨日のダルビッシュの作戦はナカジマには効かないということになるのだろう。これは西武打線全体に言えることだが、若く勢いのある西武打線は、昨日と今日で切り替えてくるだろう。ダルビッシュの昨日の記録は凄すぎて、切り替えやすい。何て言うか、陸上の日本選手権に一人だけウサイン・ボルトが走っているようなレベルの投球だったから。
というわけで、ファイターズの「作戦」は大変高等だったのだが、あまり通用しないような気がする…。
全ては武田の投球次第、ということだが。武田は時々大炎上するかならなぁ。昨年の日本シリーズのように。
いずれにしても、今日の試合が天下分け目だ。もしも、ファイターズの「作戦」がハマって、西武打線の勢いを止めた形で今日の試合を取れば、「2勝2敗」でも一気にファイターズに流れが傾くだろう。
・・・
そして、今日で岡監は見納めになっちまうんですかねぇ。
自分で言うのもなんですが、また今年も「中日対日ハム」の日本シリーズとなれば、ちょっとCS是非論ですわねぇ。「ガンバレタイガース」という思いもありますが、何か最近のタイガースのグラウンド内外の話を見ていると、新たな暗黒時代の始まりという気もしないでもないのですが・・・
「相手打線にダメージを与えようと思った」というダルビッシュ。ダメージとは、西武打線に内角攻めを行い、フォームをがたがたに崩す、ということだ。
ダルビッシュは中島や後藤に「殺人的」なツーシームを投じた。捕手の鶴岡が「左投手のスライダーのような」と表現したほど、凄いキレだった。149キロで胸元にツーシームを投じたら、打者はたまらない。ライオンズのクリーンアップを封じたばかりか、CS第2ステージ全体を支配しようという野心ある投球だった。
1試合を抑えるだけでなく、短期決戦全体の流れを左右しようという投球が出来るのは、12球団でもダルビッシュだけだろう。こういうことを公言した投手も、80年代黄金期の東尾修くらいだったと思う。東尾はしばしばシリーズ序盤に登板し、内角攻めで相手の主力打者のフォームを崩し、以後も抑えこむという投球を見せた。
●ファイターズ投手陣の「作戦」
吉井理人投手コーチのブログにしばしば「作戦」というフレーズが登場するのだが、今回ダルビッシュは試合後のインタビューで「西武打線にダメージを与えたかった」とわざわざ公言した。これも「作戦」の一環のように感じる。
ファイターズの先発投手陣でパワーピッチャータイプはダルとグリン。スウィーニー、藤井、武田勝の3人は球威とキレで抑えるのではなく、緩急で抑える技巧派タイプだ。初戦のグリンは通用しないことが分かった以上、第6戦のダルビッシュまで繋ぐためには3人の技巧派が西武打線をかわさなければならない。
ダルビッシュが内角攻めを公言したことへの期待は、西武打線が考え込むこと。「自分のフォームが崩されたのではないか」と疑念を持つことで、次に登場する技巧派の攻めがやりやすくなる。ダルビッシュはそこまでベンチに期待されて、応えたというわけだ。
第3戦の先発は武田勝だ。武田はスピードは無いが、大胆に右打者の胸元を突いて、内角を意識させたところで、外角にチェンジアップを落とすのが基本的な投球スタイル。昨日のダルビッシュが西武打線にダメージを与えているならば、無用に内角を突かなくても、西武打線は十分内角を意識してしまっているだけに、自然と腰の引けた打撃となって、武田の術中にハマる、とうう算段だろう。
さて・・・
●「ナカジマ」は「ナガシマ」
西武の黒江コーチは中島裕之について「長嶋さんに似ている」という。チャンスに強くて、本能のままに打撃をする、という点が似ている、そうだ。
長嶋茂雄には様々な伝説があるが、ノムさんの「ささやき戦術」が効かなかった選手だったらしい。ノムさんのささやき戦術は王貞治には通用したそうだ。「あれ?ワンちゃんグリップがいつもより下がっていない!?」と言っただけで、打席の中でずっとグリップの位置を気にしていたというが、長嶋さんは「そうかなぁ!?」と言ってクリーンヒットを放ったらしい。
ナカジマがナガシマに似ているのであれば、昨日のダルビッシュの作戦はナカジマには効かないということになるのだろう。これは西武打線全体に言えることだが、若く勢いのある西武打線は、昨日と今日で切り替えてくるだろう。ダルビッシュの昨日の記録は凄すぎて、切り替えやすい。何て言うか、陸上の日本選手権に一人だけウサイン・ボルトが走っているようなレベルの投球だったから。
というわけで、ファイターズの「作戦」は大変高等だったのだが、あまり通用しないような気がする…。
全ては武田の投球次第、ということだが。武田は時々大炎上するかならなぁ。昨年の日本シリーズのように。
いずれにしても、今日の試合が天下分け目だ。もしも、ファイターズの「作戦」がハマって、西武打線の勢いを止めた形で今日の試合を取れば、「2勝2敗」でも一気にファイターズに流れが傾くだろう。
・・・
そして、今日で岡監は見納めになっちまうんですかねぇ。
自分で言うのもなんですが、また今年も「中日対日ハム」の日本シリーズとなれば、ちょっとCS是非論ですわねぇ。「ガンバレタイガース」という思いもありますが、何か最近のタイガースのグラウンド内外の話を見ていると、新たな暗黒時代の始まりという気もしないでもないのですが・・・
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この記事へのコメント
1. Posted by やま 2008年10月19日 22:23
お疲れ様です。
こんなの発見しました。賢介、こんなことしてたのね。 かわいいです。
http://ameblo.jp/t-kensuke3/page-1.html
火曜が勝負ですね。
セはとりあえず虎が頑張ってくれて一安心ですな。
こんなの発見しました。賢介、こんなことしてたのね。 かわいいです。
http://ameblo.jp/t-kensuke3/page-1.html
火曜が勝負ですね。
セはとりあえず虎が頑張ってくれて一安心ですな。
2. Posted by 野球狂 2008年10月20日 19:11
ご無沙汰です。
おっしゃる通り、今の球界、絶対的切り札・数字以上の影響力という意味で‘エース’と呼べるのはダルビッシュだけでしょう。
報知の見出し‘2勝2敗、日ハムほぼ王手’には笑えましたが、ここまで書かれる投手はそうなかったような。
他球団は一番手、或いは一番数字のいい投手ですもんね。
今年のルイス、岩隈が近い所でしょうか。
今年こそはダルビッシュ対巨人重量打線を見てみましょう、笑
おっしゃる通り、今の球界、絶対的切り札・数字以上の影響力という意味で‘エース’と呼べるのはダルビッシュだけでしょう。
報知の見出し‘2勝2敗、日ハムほぼ王手’には笑えましたが、ここまで書かれる投手はそうなかったような。
他球団は一番手、或いは一番数字のいい投手ですもんね。
今年のルイス、岩隈が近い所でしょうか。
今年こそはダルビッシュ対巨人重量打線を見てみましょう、笑
3. Posted by 純正野球ファン 2008年10月21日 20:33
やま様
熱心に応援する姿に驚きましたよ。ちょっと引いたw。まー、しかし上手くは行きませんなー。ここまで来ただけでも良しとしなくちゃいけないかな。
野球狂様
ダルビッシュ対小笠原、日本シリーズで見たいですが、西武・巨人の壮絶な打ち合いもいーかもしれませんよ。
熱心に応援する姿に驚きましたよ。ちょっと引いたw。まー、しかし上手くは行きませんなー。ここまで来ただけでも良しとしなくちゃいけないかな。
野球狂様
ダルビッシュ対小笠原、日本シリーズで見たいですが、西武・巨人の壮絶な打ち合いもいーかもしれませんよ。