2008年12月08日

大学ラグビーheat up!!

 雪の早明戦からですから、もう20年大学ラグビー見てるんですね。

 大学ラグビーは面白い、素晴らしい。他のスポーツではなかなか味わえない魅力があります。



●早明戦は見逃してはいけない!

 ラグビー好きを自認するくせに、昨日の早明戦は見に行かず、家で見てしまいました。何せ、今年の明治は酷かった。

 筑波、日体、帝京、慶應に負けて大学選手権に出場できないのは24年ぶり。24年前は交流試合(懐かしい!対抗戦とリーグ戦の上位校がたすきがけに対戦していた)の勝者が出場していたので、大学選手権が出場8チームによって行われていた時代。明治が対抗戦5位以内に入れないなんて、前代未聞もいいところです。

 さらに、昨年の早明戦もファンの期待を裏切られるものでした。全勝対決とか言われながら、終わってみれば71対7。明治凋落を決定付ける試合だった。「まぁ、今年は見に行かなくていいだろ」という楽観論が自分を支配したのは、物凄く後悔している。


 今更という批判はさておき、明治の気迫は本物だった。ロッカールームから出てきた明治フィフティーンの「泣き顔」を見たとき、これはヤバイと直感した。

 ロッカールームで明治首脳陣がかけた言葉はおおよそ想像できる。「勝っても負けてもこれが最後だ。大学選手権に出場できないが、早明戦がラストチャンスだ。お前ら明治だろ。先輩は皆、早稲田に勝つためにやってきた。今日勝てば、大学選手権に出られない事実は消えないが、全ては報われるんだ。下馬評が何だ。勝って、お前らが明治だということを証明しろ!」。おおよそこんなところだろう。こう言われれば、大抵の伝統校は奮起できる。それだけの歴史があるからだ。

 昨日の明治を見たとき、96年の早慶戦に勝った慶應を思い出した。当時の慶應は青学に勝てず、選手権出場もかなわなかった。そんな慶應が早稲田に勝った。一戦にかける気迫が、早稲田を上回ったのだ。昨日の明治もまさにそれだ。

 大学生、つまりは18歳から22歳までの若者だ。上手く行っているときは乗りやすいが、一旦つまづいた後悔も人一倍だ。昨日の試合前、明治は「悔いている涙」だった。


●挑戦者、明治

 84回の歴史を数える早明戦は幾つもの「伝説」が残っている。この伝説は主に早稲田寄りのものが多いが、例えば、かつてBブロック(要するに二部)に落ちた早稲田がBブロックで全勝し、早明戦も勝った、とか。明治絶対有利の下馬評の中、大西鐵之祐が新聞片手に「マスコミはこう(明治有利と)書いとるが、君たちはどうだ?新聞を(明治圧倒的有利)を信じるか、このワシを信じるか?勝負に絶対は無い、だが絶対を信じへんやつは敗北するんや、信じることは力や!信は力なりや!(選手たちの返事に一間おいて)よーしグランドで死んで来い!心配するな骨はわしが拾たる!」と送り出し、勝ったという話、とか。

 昨日の明治も全く同じ状況だったろう。ここまで追い込まれたかどうか知らないが、こういう状況になったら、学生の場合、立場は逆転する。

 明治は80分間、挑戦者で早稲田は終始受け身だった。技術や戦術以前に、勝敗はここで決まっていたように感じる。結果論ですが。大学ラグビーの場合、ある程度、プレーヤーの個人的能力が接近していると、勝敗を最後に左右するのは、モチベーションの部分なのだろう。昨日、己の存在を証明すべきは明治だった。その自覚がまだ明治に残っていたのが、私には嬉しかった。早稲田を応援する私だけれども、昨日の明治の存在は喜ぶべき姿だった。大学ラグビーにその姿を見たから、大学ラグビーに惹かれたのであって、それが失われてなかったことを確認できたのは、昨日の収穫だった。

●さて、選手権

 大学選手権の組み合わせが決まった。早稲田が明治の分まで頑張って選手権優勝を勝ち取ると、それはそれで素晴らしいストーリーなのだが、現実は厳しそうだ。

 早稲田はよりによって関東学院と初戦で対戦する。早稲田と関東の対決は21世紀の大学ラグビーをリードしてきた。去年も関東学院が大麻事件で出場停止になっていなければ、決勝の舞台でぶつかっていたことだろう。だが、関東は半年の出場停止を受け、今年は東海大、法政大に敗れリーグ戦3位に沈んだ。早稲田も対抗戦優勝を逃し、手負いの明治にも完敗した。

 両校が初戦で当たるのは心苦しいが、これも今年から抽選による組み合わせとなった宿命だろう。熊谷での対戦は器が小さい難もあるが・・・。

 この対戦は全く行方が分からない。早稲田の弱点ははっきりしている。去年までのスクラムの有利性が失われ、接点で力負けする場面が目立つ。このフェーズで後手に回ると、挽回する術を早稲田は身につけていない。関東は3位に沈んだとは言え、この部分は強い。長所を生かせば早稲田には十分勝てる、と踏むはずだ。
 
 早稲田には二つの道がある。一つは、欠点を補う方法。もう一つは、欠点をはっきり欠点と自覚して、別の部分で勝負するか。前者は清宮監督就任以降、築いていたスタイルだし、後者は長年の伝統のスタイルだ。基本的に前者を追い求めていた今年のチームが今から転換するのは難しいだろう。だが、私は敢えて後者への転換を求めたい。明治が伝統の力で意地を見せたように、早稲田にはまだすがるべき伝統があると自覚すれば、試合は早稲田有利に傾くだろう。80分間走りまくるべきだ、と思うが、どっちに舵を切るか。ここはコーチ陣の器量だろう。

 選手権の本命は東海大、対抗は帝京大としたい。両校とも今年がほぼ初優勝。大学ラグビーに地殻変動をもたらす新興勢力だ。東海は1回戦が日大、2回戦は恐らく同志社だろう。楽な組み合わせになるが、そこで早稲田、関東の勝者と対戦する。現状ならばどちらも勝てる相手だが、早稲田・関東の勝者はどっちになっても「覚醒」している。その相手とどのような試合になるか注目だ。

 帝京は初戦で対抗戦引き分けの慶應と対戦する。慶應は昨年もリーグ戦優勝の東海との対戦を制し、決勝まで進出した。名うての試合巧者だ。ここで勝てば、準決勝国立は法政大との対戦となるだろう。慶應・法政は見てみたいカードだが、帝京も実力を付けている。早稲田に勝って一皮剥けた印象がある。

 いずれにしても、今年の大学選手権は波乱含みだ。
  

ted9aoki23 at 22:01│Comments(0)TrackBack(0) ラグビー08〜09 

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