2009年02月12日

15秒ルールを大歓迎する

 NPBが野球規則8・04「塁に走者がいないとき、投手はボールを受けた後12秒以内に打者に投球しなければならない。投手がこの規則に違反して試合を長引かせた場合には、球審はボールを宣告する」を厳格適用する方針を打ち出した。

 私はこの方針は大賛成なのだが、すこぶる評判が悪いようだ。こちらの調査では8割近い人が「反対」だという。

 全く信じられない現象だ。



●野球=長い

 かつて野球をよく見に行っていた(特に中高年の世代かもしれんが)人が、野球場から遠ざかっている理由としてよく耳にするのは「野球は長い」というもの。サッカーに比べると、野球の長さは郡を抜いている。1試合平均が3時間以上では、2時間以内に終わるサッカーに比べると「長い」「飽きる」というのはうなずける。

 自他共に認める「純正野球ファン」ですら、プロ野球は長いと感じている。高校野球と比べれは平均の試合時間は1時間近く長い。NPBの平均時間で「夏の甲子園」をやると、第4試合が終わるのは22時過ぎということになる。同じルールでどうしてこんなに違うのか。

 NPBの試合時間の長さは、何とかして欲しいと感じていた。昨季、NPBは交代時間短縮を打ち出し、試合時間の6分短縮に成功したが、さらなる試合時間短縮のため、「本丸」とも言うべき部分に手をつけた。それが、投球間隔の短縮である。


●野球規則を厳格適用

 公認野球規則によれば、走者無しの場合、投手は12秒以内に投げなくてはならないらしい。NPBは「厳格適用」と言いながら「15秒以内」という方針を打ち出した。

 これはルールで定められたものであり、これまで日本野球はあまりにも投球間隔に対してルーズな対応をしてきた。試しに昼間、高校野球を見て、その足でNPBの球場に足を運ぶと良い、その投球間隔の長さに間違いなくうんざりするはずである。

 試合時間が長いのはあらゆる部分で「新たなファン」を奪うだろう。特に子供である。子供は30分とじっとしていられない。私も子供の頃、円山球場の席に座っていた記憶は希薄である。とにかく、我慢していられない。飽きるのだ。未来の野球ファンと言うべき子供たちが試合そっちのけで「ファールボール漁り」に血道をあげるのは憂うべき光景だ。

●ダルビッシュが怒るのも無理は無い

 「15秒ルール」の存在を世に広めたのはダルビッシュだろう。ダルビッシュが怒るのも無理は無い。昨年、ダルビッシュが先発した試合の平均時間は2時間58分。NPB全体よりも14分も短い。一番短いのは岩隈と投げあい、わずか2時間8分で切り上げた試合もあった。ダルビッシュにしてみれば「よりによってオレに言うか」というものだろう。

 比較対象として挙げて申し訳ないが、タイガースのベテラン左腕・下柳の場合、平均は3時間23分だった。

 ダルビッシュが「15秒ルール」をナンセンスと取るのは仕方ないのだ。

●メジャーは平均2時間台

 海の向こうの大リーグはここ30年、平均試合時間が3時間を超えたことがないという(参考)。確かに外国人投手の投球間隔はきわめて短い。

 私はかつて「プロ野球が終われば帰れる」というアルバイトに従事したことがあるが、ロッテのエリック・ヒルマンと日本ハムのキップ・グロスが投げ合った試合に当たったときは、思わずガッツポーズをしたものだ。早く終わるからである。

●複雑化を美徳とした日本

 なぜ、日本の投手は投球間隔が長いのだろうか。考えられるのは捕手のサインの複雑さだろう。かつて、伊原三塁コーチは捕手が出すサインを三塁コーチャー図ボックスからのぞき見て、右手の甲の筋を見てサインを見破ったと言う。

 こういうコーチがいるから、捕手のサインは自ずと複雑化した。そして、それを「美徳」として捉える風潮があった。

 ただ、こうした複雑化は試合時間の長時間化に繋がった。

 答えは簡単で、こうした風潮を「悪」とみなせばいいのである。捕手はメジャーのように簡素化されたサインを出すだろう。

●効果は出ている

 投球間隔が長い代表的な投手はタイガースの藤川だった。その藤川が11日の練習試合では、極めて短い間隔で投球していた(それでも違反をとられたが)。

 15秒ルール導入の本質は厳格に適用することよりも、各投手が「15秒ルール」を意識させることにあると思う。その意味では、早くもその効果が出ている。試合時間は効果的に短縮するだろう。
 
 さらに知恵を使えば、投球間隔が短いことを利用した投球も可能になるだろう。ロッテの村田兆治はストレートとフォークボールの2種類で勝負した投手だが、異常に投球間隔が短かったと言う(村田はノーサインで放っていた)。

 村田と対峙する打者は「次は何が来るのか」という頭の整理がつく前に、村田が大きく振りかぶっていたと言う。これが効果的で、迷えるうちにどちらかに絞ることが出来ず打ち取られていたと言う。

 また、マウンドに居る時間を短くすることで、先発投手の負担が軽減されるのではないだろうか。400勝投手の金田正一は投球間隔が短かったと言う。なんでも、早くベンチに帰りたかったからだという。マウンドにいることは精神的な負担も大きいだろう。もしかしたら、メジャーの投手が中4日に耐えられるのは、間隔の短さとも直結しているかもしれない。


●審判団に注文


 現在は勇気を持って15秒ルールを適用している審判団だが、オープン戦の間はこの方針を貫いて、どんどん適用して欲しい。

 そうすることで各投手の意識が変わる。それだけで十分である。

 レギュラーシーズンに入ったら、適用には慎重であって欲しい。四角四面の対応を求めているわけではない。せっかくの勝負が「15秒ルール」で妨害されるのは興ざめだ。それくらい私でも分かる。

 ただ、そのうち確信犯的に投球間隔を長くする投手も出てくるだろう。そのときは、あまりに目に余る場合、見せしめ的に適用すればいい。

 「決め事」というのは運用する側の裁量が大事だ。これだけ話題になれば、それだけで効果は十分出ると思う。

ted9aoki23 at 22:02│Comments(2)TrackBack(0)この記事をクリップ!NPB2009 

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この記事へのコメント

1. Posted by やすゆき   2009年02月13日 20:57
こんばんは
投球間隔が長いと、テレビ観戦してるこちらも「次はどこに投げるのか?」なんて考えながら見てしまいます。見る側の意識改革も必要でしょうか?

>投球間隔が短いことを利用した投球も可能になるだろう。
アメフトで言うところの"ノーハドルオフェンス"みたいなものですね(^_^)
2. Posted by 純正野球ファン   2009年02月19日 21:52
やすゆき様
 コメントどうもありがとうございます。

 「次はどこに投げるのか」はまさに野球の醍醐味です。ランナーがいるときは投球間隔のルールはなくなりますので、あまり意識改革は必要ないかなと思います。

 確かに「ノーハドルオフェンス」と似ていますね。上原もノーサインではないにせよ投球間隔が短かったですね。二人ともフォークピッチャーなのが面白いのですが、上原の投球を見ていると「何で初球ねらわねーんだ」と憤っているうちに、追い込まれて、凡退というパターンをよく観た気がします。

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