2010年01月30日
キャンプイン2010
いよいよキャンプインです。わしなりの見所なんぞ少しばかり。
巨人 4連覇に死角はあるか?
昨年は日本一。日本シリーズに出て無かったりで実感はないが巨人はリーグ3連覇中。今年4連覇となるといよいよ黄金時代ということになる。
選手層は厚い。層を厚くさせる要因は常に定位置争いがあること。二塁手と外野の一角は恒常的に空いている。これは西武の黄金期に遊撃と左翼手が空いていたのと同じ構図で、定位置を固定しすぎると人心が倦む。それを防いでいる効果がある。というわけで、二塁は木村拓也が引退し脇谷と新外国人のゴンザレスの争いになるが、若い中井も食い込んでくるだろう。もう一つは、大田の存在。彼が三塁に定位置に回るとガッツ小笠原が一塁に回り、李がベンチに退く。中井、坂本、大田と並ぶ内野陣はスケールが大きく夢が広がるが、そこまで今年伸びるかどうか。
外野もラミレス以外はレギュラーが決まっていないと言っていい。亀井が一流選手になりかけている様子だし、新人王の松本が中堅とみるのが素直な見方だが、ベテランの高橋、谷、ルーキーの長野が争いに割り込んでくるだろう。こういう争いが選手層に繋がっている。なるほど、強いというわけだ。
キャンプ序盤に若手がどれくらい登用されるかにまず注目したい。
注目選手 山口鉄也
ジャイアンツが黄金時代に入るかどうかのミソはやはり投手陣である。昨年までブルペンを支えた山口が先発に転向するのは、グライシンガー、ゴンザレスに替わる日本人の「エース」を育成したいと言う首脳陣の意向だろう。
貴重な左の中継ぎを先発に回すのだから、これは大きなチャレンジである。山口自身がそれに応えなければ、全ての計算が狂うことになる。
中日 若手の奮起を期待したい
打倒巨人の一番手だがチーム力は開く一方のようにも感じる。原因はレギュラーの固定化か。「アライバ」が不動だし、森野の三塁、一塁にブランコ、外野は和田までが決まっている。となれば外野手争いが起こって然るべき出し、去年はそこから藤井と野元が出てきた。
この流れが続くのか、続かないのか。投打ともに揃っているだけに、イキのいい若手が出てこないとチーム力の一層の向上は望めない。
注目選手 平田良介・堂上直倫
出てこなければならない若手、ということになるだろう。平田は順調に伸びているという見方も出来るし、伸び悩みという気もする。スケールの大きさは他に並び立つ選手がいないだけに、今年は一気に中堅の定位置を獲りたい。
もう一人の堂上は背番号1を背負う。地元名古屋出身で期待は大きいが、もう4年目だ。いい加減一軍に定着したい。堂上が三塁に定着し森野を外野に追い出すようだと面白いが・・・。
ヤクルト 徒手空拳の中から…
去年は何とか3位に食い込んだが終盤の失速を目を覆うばかりだった。そこは選手層の薄さが原因。内野も外野もレギュラーが固定化され脅かす存在が皆無だった。今年は遊撃に藤本がFAで加入。少し活性化の兆しがある。若手だと上田、中堅だと飯原あたりが外野争いに加わると面白いが、所詮は外国人選手頼りの構図に変わりはない。あと、背番号1を継承した青木だろう。このチームはやっぱり主力の活躍具合でチーム成績が大きく変動する。
それでも、去年、青木が苦しみながら3位をキープできたのは、機動力を生かすスタイルがチーム全体に定着しているからある程度期待できるだろう。
問題は先発投手陣。館山と石川という軸に誰が加わるか。由規、増渕、赤川、村中と伸び代の期待できる高卒投手を立て続けに獲っているだけに、そろそろ結果が欲しいところ。
注目選手 石井弘寿
2006年WBCで李スンヨプに逆転本塁打を喫して以来、まともに投げていない石井。今年はいよいよ故障も癒えて、めでたく一軍復帰となりそうだ。昨年、故障から復活しセットアッパーで活躍した五十嵐の穴を埋める活躍を期待したい。
阪神 真弓体制の真価が問われる
20世紀と21世紀で最も評価を変えたのがタイガースだろう。暗黒の90年代から2000年代に突入すると優勝争いの常連となった。
ただ、昨年はやや陰りが見えた。それでも今年は城島を迎え、補強偏重のチーム構成に拍車をかけた。当然、城島の出来がチームの浮沈を左右する。新井、金本、城島、ブラゼルと並ぶ打線は強烈だ。これが額面通り働けは下位に入る鳥谷、関本といったプレーヤーがラクな立場でプレーできるだろう。
問題は上位打線なのだが、最近当たった試しのない外国人だがマートンは上位打線で長打を期待されないポジションで使われることになる。決まっていないライトを含めてこの辺の争いが焦点か。
投手陣は巨人、中日に比べてややスケールに劣る。15勝出来そうな投手が出てこないのだが、岩田、能見、安藤はある程度期待できるだけに、藤川までをいかに繋ぐかがポイント。若手の奮起無しでは上位進出は望めない。
阪神は元々強くなかったチームなので、今年も上手く行かないようだと、またまた暗黒時代の始まりかもしれない。補強偏重のチーム強化策は公共事業偏重の景気対策みたいなもので、あまり長くは続かないのだ。
注目選手 上本博紀
赤星の電撃引退でタイガースは1・2番をどう構成するかが最大の課題だが、救世主になってほしい逸材だ。広陵早稲田とエリート街道を歩み、本物の中村勝広2世が現れた印象。
盗塁に才能があり、マートンと1・2番を構成するか、あるいは平野と1・2番を構成すれば面白い存在。逆に言えば、本来は下位でのほほんとやるしかない鳥谷を上位打線に持って来るようだとタイガースは厳しい。タイガースが攻撃力をアップさせるには上本がどうしても「1番セカンド」に定着して欲しいところだろう。
広島 野村監督でチームの雰囲気は?
球団としては満を持しての監督就任。野村謙二郎新監督が一体どれくらいチームを掌握できるのかが注目。
そもそも選手層は薄く、Bクラス常連になりつつあるカープ。野村監督で生まれ変わるとは・・・正直って思えないのだが。
レギュラーは4番の栗原以外誰がどこの打順になるのか不透明で、そろそろ栗原に並ぶ大砲が欲しいがレギュラー候補は天谷、赤松、東出、小窪・・・と小粒なプレーヤーばかり。となれば走塁で攻撃力アップを目指したいが、ヤクルトに比べてもスケールの小ささは否めない。あとは外国人次第か。
投手陣も大黒柱のルイスが抜けて大竹、前田、斎藤といった選手に頼らざるを得ない。後ろは割としっかりしているだけに、先発でどれくらい新戦力が出てくるか。今のところ、最下位候補だなぁ。
注目選手 今村 猛
春の優勝投手。1年目ならば雄星よりも活躍する可能性がある。スピードはないが制球力は十分。加えて左打者の膝元にタテ軌道で落ちるスライダーはプロでも食える球筋だ。
普段から茫洋としており、性格も周囲に左右されない強さがありそうで、高校時代のインタビューを読んでも、言葉に幅がある。なんと言うか頭がいい感じなのだ。
雄星が泣きながらメジャーではなく日本で野球をやると宣言したとき、それを見た今村が「そんなに泣くならメジャーに行けばいいのに」と呟いた。この選手の感性はどこまでも面白い。
広島と言うチーム事情ならば一軍デビューも早そうで、そういう場でどういう姿で投げるのか見てみたい。
横浜 尾花「たたき上げ」監督に期待
投手コーチ一筋に歩んできた尾花高夫がついに監督の座に登り詰めた。横浜は村田、内川、吉村と中軸に頼もしい選手が並び、投手陣はもう一つのチーム事情なだけにいい人選だと思う。
フロントも今年は尾花を迎えるにあたり頑張った。泣き所の捕手にロッテの橋本将を獲得し、ハムのターメル・スレッジも獲得。3番から内川、村田、スレッジ、吉村と並ぶ打線は強烈だ。ニ遊間と外野に若手が出てくれば結構地力のあるチームを作れそうだ。
投手陣はロッテから清水を獲得した。あとは伸び悩みの小林太、高崎、山口俊などなど期待できる若手が目白押しで、尾花のアドバイスでどこまで伸びるか。
注目選手 坂元弥太郎
完全にえこひいきな人選なんですが、スワローズ、ハムで地味に働いた坂元弥太郎が横浜に迎えられた。クローザーの大穴候補かもしれない。球威のないストレートとよく落ちるフォークで経験は十分。クローザーに必要なのは球威とかびっくりするような変化球ではなく、安定感だ。これまでの経験を生かせばいい働きが出来る気がする。
坂本龍馬の「サカモト」と、岩崎弥太郎の「ヤタロー」を合わせて、サカモトヤタロー、なんか今年は旬な気がしませんかね。
北海道日本ハム 戦力ダウンは免れないが…
先発の一角を占めた藤井とスウィーニーが退団。打線では中軸だったスレッジが退団と、優勝チームの割には戦力ダウンは必至。だが、今までも数々の主力を失いながらチーム力を維持してきた伝統があるだけに、今年も優勝候補の一角ということになるだろう。
大大大黒柱のダルビッシュと武田勝に次ぐ先発投手の育成が課題だが、一軍コーチとして手腕を期待した小林コーチが急逝。まぁ、いろいろとあるチームだが、そこを力に変えて欲しい。元々、実戦で鍛えるタイプのチームなだけにまぁ、誰かが出てくるでしょう。
野手はスレッジの穴をどう埋めるか。元々、大して期待できない金子、小谷野高橋信二が去年は狂い咲きで優勝に貢献しただけにある程度の戦力ダウンは覚悟しなければならない。だからこそ投手陣に頑張ってもらいたいのだが。森本の復調や、中田、陽といった若手のブレイクなど、去年とは違った形の上積みが欲しいが、中田はどうなんだろう。いい加減我慢して使ってみたい気もする。
注目選手 ダース・ローマシュ匡
先発の一角に食い込んで欲しい。去年は大型連休に急遽一軍デビュー。ストレートで押しまくる投球が印象に残った。ハムのいいところは若手を使うときも「出来ないことまでは期待しない」という姿勢。ダースも当然変化球を投げなくてはいけないのだが、変化球が一軍クラスではないと判断し、ストレート一本で放らせた。
ということは当然、変化球を磨いてきているだろう。今年はその成果を見せる場だろう。
東北楽天 ブラウン新体制でどうなるか
ノムさんが去りチームが今年も上位に定着するかは極めて不透明だ。チームとしてどこまで一つになれるか、から始まるような気がする。
思えばこの選手層で2位に食い込んだのはやはり「魔術」と言うべきか。山崎、鉄平が中軸だが、それ以外の定位置争いは難しい。体力のない選手を入れ替わり立ち代り使い、個々の能力を生かし、伸ばして2位に入ったノムさんの手腕は感服する。
となればブラウン体制で去年の成績を維持することは極めて難しいように思える。投手陣は岩隈、田中と大駒があるだけに去年も苦労したブルペンの体制をどう整備するか。依然として課題は多い。
注目選手 マー君・・・?
期待の若手、というのが思いつかない。思えば楽天はプロに入って一軍で経験を積んだ選手ばかりのような気がする。そろそろ二軍から実績を積んだ若手が伸びてきてもいい頃だと思うのだが、出てこないとなるとこのチームの二軍の育成力に疑問符をつけざるを得ない。ノムさんという個性の強い指導者の手腕に寄りかかったチーム作りをしていただけに、そこから自ら脱却しようと言うフロントの意欲は感じるが、その後にどんなビジョンを持っているのだろうか。
ソフトバンク 投手陣の整備が急務だが
一昨年は最下位。去年は3位と浮き沈みの激しいソフトバンク。ソフトと西武が上位に定着しないあたりに戦国パリーグを象徴していると思う。
和田、杉内など好投手が並び、大場、巽、大隣といったアマチュアで抜群の実績を挙げている投手を集めているだけに投手王国が出来ても不思議ではないのだが、そうならないのが不思議なところ。去年、彗星の如く現れた摂津も勤続疲労はあるだろうし、投手陣整備がまずは課題ということか。
野手陣はいい加減、小久保松中頼りからの脱却が急務である。長打力のある選手が揃っていても、攻撃力に怖さをかんじないのは、どうもチームの考え方の問題もあるように思える。
注目選手 イ・ボムホ
WBCでダルビッシュから同点タイムリーを打ったのが記憶に新しい。長打力もあって三塁守備も上手い選手だ。短期決戦だと日本と十分対抗できたが、シーズンとなるとどうか。ロッテに入ったキム・テギュン同様、韓国球界のレベルがドの程度アップしたのかいい尺度になるだろう。松田との定位置争いに注目だ。
西武 常勝のDNAは健在
去年は4位に沈んだが攻撃力はナンバーワン。抑えのグラマンが故障したのが痛かった。今年もブルペンの出来不出来が左右するだろう。小野寺や大沼といったあたりが抑えをやれれば問題ないのだが、そこはちょっとわからない。キャンプでどこまで鍛えられるか。
野手陣は故障さえなければリーグ一だろう。中村、中島といったあたりは球史に残る大物選手かもしれない。特に中村は55本塁打のシーズン記録を破る可能性を有した現役唯一の選手と言っていい。
とにかくブルペン次第なので、今年はいろんな意味でブルペンはにぎやかになるだろう。
注目選手 雄星
やっぱりこの選手は注目しなければならない。ストレートの速さは目を見張るがコントロールもイマイチで変化球ももう一つ。一年目からの活躍は期待できないかなと思ったが、自主トレでのマスコミとの対応やら何やらを見ていると、この選手の野球に取り組む姿勢には非常に好感が持てる。
課題は山積みだがその課題をキャンプで克服するかもしれないと思わせる。キャンプでの一挙手一投足が楽しみな選手だ。
ロッテ 西村徳文次第
ロッテはボビー・バレンタインという強烈な個性でチームを強化してきた。ボビーに替わり叩き上げの西村監督が就任したが、元々チームとして常勝の気質がないだけに、ここ数年でかつての万年Bクラスに逆戻りする可能性がある。特に西村監督の雰囲気は何となく山本コウジ監督に被るのだが。
注目選手 荻野貴司
ロッテが一本釣りで獲得した外野手。身長172センチのリードオフマンタイプをドラフト1位で獲得することは極めて珍しい。雄星といった大物に向かわず獲っただけに、ロッテのスカウト陣はそれなりに自信があるんだと思う。一番センターに定着する可能性もあり、どんな選手だかキャンプでよくよく見極めたい選手。
オリックス 岡監劇場始まり始まり〜
さすがは岡監。大トリであります。秋のキャンプからわれわれを楽しませてくれる岡監劇場。いよいよキャンプインでますます注目です。
とにかく岡監ったら「イチにサンスポ、ニにデイリー、サンシがなくて、ゴに野球」って感じですから、初日からネタ満載でいくでしょう。
岡監がキャンプでするもう一つの仕事は「えこ贔屓采配」の基となる選手の見極め。早くも阪神からバルディリスを獲得しえこひいき満載ですが、他にもT岡田とかえこひいきの対象になりそうな選手がいっぱいです。
しかし、いかんせん阪神に比べると注目度が著しく低いオリックス。選手をその気にさせ、マスコミをはべらせる岡監劇場から目が離せません。
注目選手 抑え投手
どうも小松を抑えにするという話もあります。岡監は試合中はあんまり物事を考えられない体質なんで、7回8回9回を誰に任せるかは非常に重要です。どうも左投手の延江あたりが岡監のおめがねに叶っているようですが、この辺ががっちりしてくると、案外強いでぇ。先発はおるしなぁ。
・・・・・・・・・・・・・
あー、疲れた。感想としては、野球は個人種目ですねえ。
チーム作りと言ってもその監督の意図を感じれる選手とそうでない選手がいるでしょう。キャンプで誰が監督の意を受けて選手としてレベルアップを図れるか。漫然とやってちゃクビですからね。厳しい世界だなぁと思います。
昨年は日本一。日本シリーズに出て無かったりで実感はないが巨人はリーグ3連覇中。今年4連覇となるといよいよ黄金時代ということになる。
選手層は厚い。層を厚くさせる要因は常に定位置争いがあること。二塁手と外野の一角は恒常的に空いている。これは西武の黄金期に遊撃と左翼手が空いていたのと同じ構図で、定位置を固定しすぎると人心が倦む。それを防いでいる効果がある。というわけで、二塁は木村拓也が引退し脇谷と新外国人のゴンザレスの争いになるが、若い中井も食い込んでくるだろう。もう一つは、大田の存在。彼が三塁に定位置に回るとガッツ小笠原が一塁に回り、李がベンチに退く。中井、坂本、大田と並ぶ内野陣はスケールが大きく夢が広がるが、そこまで今年伸びるかどうか。
外野もラミレス以外はレギュラーが決まっていないと言っていい。亀井が一流選手になりかけている様子だし、新人王の松本が中堅とみるのが素直な見方だが、ベテランの高橋、谷、ルーキーの長野が争いに割り込んでくるだろう。こういう争いが選手層に繋がっている。なるほど、強いというわけだ。
キャンプ序盤に若手がどれくらい登用されるかにまず注目したい。
注目選手 山口鉄也
ジャイアンツが黄金時代に入るかどうかのミソはやはり投手陣である。昨年までブルペンを支えた山口が先発に転向するのは、グライシンガー、ゴンザレスに替わる日本人の「エース」を育成したいと言う首脳陣の意向だろう。
貴重な左の中継ぎを先発に回すのだから、これは大きなチャレンジである。山口自身がそれに応えなければ、全ての計算が狂うことになる。
中日 若手の奮起を期待したい
打倒巨人の一番手だがチーム力は開く一方のようにも感じる。原因はレギュラーの固定化か。「アライバ」が不動だし、森野の三塁、一塁にブランコ、外野は和田までが決まっている。となれば外野手争いが起こって然るべき出し、去年はそこから藤井と野元が出てきた。
この流れが続くのか、続かないのか。投打ともに揃っているだけに、イキのいい若手が出てこないとチーム力の一層の向上は望めない。
注目選手 平田良介・堂上直倫
出てこなければならない若手、ということになるだろう。平田は順調に伸びているという見方も出来るし、伸び悩みという気もする。スケールの大きさは他に並び立つ選手がいないだけに、今年は一気に中堅の定位置を獲りたい。
もう一人の堂上は背番号1を背負う。地元名古屋出身で期待は大きいが、もう4年目だ。いい加減一軍に定着したい。堂上が三塁に定着し森野を外野に追い出すようだと面白いが・・・。
ヤクルト 徒手空拳の中から…
去年は何とか3位に食い込んだが終盤の失速を目を覆うばかりだった。そこは選手層の薄さが原因。内野も外野もレギュラーが固定化され脅かす存在が皆無だった。今年は遊撃に藤本がFAで加入。少し活性化の兆しがある。若手だと上田、中堅だと飯原あたりが外野争いに加わると面白いが、所詮は外国人選手頼りの構図に変わりはない。あと、背番号1を継承した青木だろう。このチームはやっぱり主力の活躍具合でチーム成績が大きく変動する。
それでも、去年、青木が苦しみながら3位をキープできたのは、機動力を生かすスタイルがチーム全体に定着しているからある程度期待できるだろう。
問題は先発投手陣。館山と石川という軸に誰が加わるか。由規、増渕、赤川、村中と伸び代の期待できる高卒投手を立て続けに獲っているだけに、そろそろ結果が欲しいところ。
注目選手 石井弘寿
2006年WBCで李スンヨプに逆転本塁打を喫して以来、まともに投げていない石井。今年はいよいよ故障も癒えて、めでたく一軍復帰となりそうだ。昨年、故障から復活しセットアッパーで活躍した五十嵐の穴を埋める活躍を期待したい。
阪神 真弓体制の真価が問われる
20世紀と21世紀で最も評価を変えたのがタイガースだろう。暗黒の90年代から2000年代に突入すると優勝争いの常連となった。
ただ、昨年はやや陰りが見えた。それでも今年は城島を迎え、補強偏重のチーム構成に拍車をかけた。当然、城島の出来がチームの浮沈を左右する。新井、金本、城島、ブラゼルと並ぶ打線は強烈だ。これが額面通り働けは下位に入る鳥谷、関本といったプレーヤーがラクな立場でプレーできるだろう。
問題は上位打線なのだが、最近当たった試しのない外国人だがマートンは上位打線で長打を期待されないポジションで使われることになる。決まっていないライトを含めてこの辺の争いが焦点か。
投手陣は巨人、中日に比べてややスケールに劣る。15勝出来そうな投手が出てこないのだが、岩田、能見、安藤はある程度期待できるだけに、藤川までをいかに繋ぐかがポイント。若手の奮起無しでは上位進出は望めない。
阪神は元々強くなかったチームなので、今年も上手く行かないようだと、またまた暗黒時代の始まりかもしれない。補強偏重のチーム強化策は公共事業偏重の景気対策みたいなもので、あまり長くは続かないのだ。
注目選手 上本博紀
赤星の電撃引退でタイガースは1・2番をどう構成するかが最大の課題だが、救世主になってほしい逸材だ。広陵早稲田とエリート街道を歩み、本物の中村勝広2世が現れた印象。
盗塁に才能があり、マートンと1・2番を構成するか、あるいは平野と1・2番を構成すれば面白い存在。逆に言えば、本来は下位でのほほんとやるしかない鳥谷を上位打線に持って来るようだとタイガースは厳しい。タイガースが攻撃力をアップさせるには上本がどうしても「1番セカンド」に定着して欲しいところだろう。
広島 野村監督でチームの雰囲気は?
球団としては満を持しての監督就任。野村謙二郎新監督が一体どれくらいチームを掌握できるのかが注目。
そもそも選手層は薄く、Bクラス常連になりつつあるカープ。野村監督で生まれ変わるとは・・・正直って思えないのだが。
レギュラーは4番の栗原以外誰がどこの打順になるのか不透明で、そろそろ栗原に並ぶ大砲が欲しいがレギュラー候補は天谷、赤松、東出、小窪・・・と小粒なプレーヤーばかり。となれば走塁で攻撃力アップを目指したいが、ヤクルトに比べてもスケールの小ささは否めない。あとは外国人次第か。
投手陣も大黒柱のルイスが抜けて大竹、前田、斎藤といった選手に頼らざるを得ない。後ろは割としっかりしているだけに、先発でどれくらい新戦力が出てくるか。今のところ、最下位候補だなぁ。
注目選手 今村 猛
春の優勝投手。1年目ならば雄星よりも活躍する可能性がある。スピードはないが制球力は十分。加えて左打者の膝元にタテ軌道で落ちるスライダーはプロでも食える球筋だ。
普段から茫洋としており、性格も周囲に左右されない強さがありそうで、高校時代のインタビューを読んでも、言葉に幅がある。なんと言うか頭がいい感じなのだ。
雄星が泣きながらメジャーではなく日本で野球をやると宣言したとき、それを見た今村が「そんなに泣くならメジャーに行けばいいのに」と呟いた。この選手の感性はどこまでも面白い。
広島と言うチーム事情ならば一軍デビューも早そうで、そういう場でどういう姿で投げるのか見てみたい。
横浜 尾花「たたき上げ」監督に期待
投手コーチ一筋に歩んできた尾花高夫がついに監督の座に登り詰めた。横浜は村田、内川、吉村と中軸に頼もしい選手が並び、投手陣はもう一つのチーム事情なだけにいい人選だと思う。
フロントも今年は尾花を迎えるにあたり頑張った。泣き所の捕手にロッテの橋本将を獲得し、ハムのターメル・スレッジも獲得。3番から内川、村田、スレッジ、吉村と並ぶ打線は強烈だ。ニ遊間と外野に若手が出てくれば結構地力のあるチームを作れそうだ。
投手陣はロッテから清水を獲得した。あとは伸び悩みの小林太、高崎、山口俊などなど期待できる若手が目白押しで、尾花のアドバイスでどこまで伸びるか。
注目選手 坂元弥太郎
完全にえこひいきな人選なんですが、スワローズ、ハムで地味に働いた坂元弥太郎が横浜に迎えられた。クローザーの大穴候補かもしれない。球威のないストレートとよく落ちるフォークで経験は十分。クローザーに必要なのは球威とかびっくりするような変化球ではなく、安定感だ。これまでの経験を生かせばいい働きが出来る気がする。
坂本龍馬の「サカモト」と、岩崎弥太郎の「ヤタロー」を合わせて、サカモトヤタロー、なんか今年は旬な気がしませんかね。
北海道日本ハム 戦力ダウンは免れないが…
先発の一角を占めた藤井とスウィーニーが退団。打線では中軸だったスレッジが退団と、優勝チームの割には戦力ダウンは必至。だが、今までも数々の主力を失いながらチーム力を維持してきた伝統があるだけに、今年も優勝候補の一角ということになるだろう。
大大大黒柱のダルビッシュと武田勝に次ぐ先発投手の育成が課題だが、一軍コーチとして手腕を期待した小林コーチが急逝。まぁ、いろいろとあるチームだが、そこを力に変えて欲しい。元々、実戦で鍛えるタイプのチームなだけにまぁ、誰かが出てくるでしょう。
野手はスレッジの穴をどう埋めるか。元々、大して期待できない金子、小谷野高橋信二が去年は狂い咲きで優勝に貢献しただけにある程度の戦力ダウンは覚悟しなければならない。だからこそ投手陣に頑張ってもらいたいのだが。森本の復調や、中田、陽といった若手のブレイクなど、去年とは違った形の上積みが欲しいが、中田はどうなんだろう。いい加減我慢して使ってみたい気もする。
注目選手 ダース・ローマシュ匡
先発の一角に食い込んで欲しい。去年は大型連休に急遽一軍デビュー。ストレートで押しまくる投球が印象に残った。ハムのいいところは若手を使うときも「出来ないことまでは期待しない」という姿勢。ダースも当然変化球を投げなくてはいけないのだが、変化球が一軍クラスではないと判断し、ストレート一本で放らせた。
ということは当然、変化球を磨いてきているだろう。今年はその成果を見せる場だろう。
東北楽天 ブラウン新体制でどうなるか
ノムさんが去りチームが今年も上位に定着するかは極めて不透明だ。チームとしてどこまで一つになれるか、から始まるような気がする。
思えばこの選手層で2位に食い込んだのはやはり「魔術」と言うべきか。山崎、鉄平が中軸だが、それ以外の定位置争いは難しい。体力のない選手を入れ替わり立ち代り使い、個々の能力を生かし、伸ばして2位に入ったノムさんの手腕は感服する。
となればブラウン体制で去年の成績を維持することは極めて難しいように思える。投手陣は岩隈、田中と大駒があるだけに去年も苦労したブルペンの体制をどう整備するか。依然として課題は多い。
注目選手 マー君・・・?
期待の若手、というのが思いつかない。思えば楽天はプロに入って一軍で経験を積んだ選手ばかりのような気がする。そろそろ二軍から実績を積んだ若手が伸びてきてもいい頃だと思うのだが、出てこないとなるとこのチームの二軍の育成力に疑問符をつけざるを得ない。ノムさんという個性の強い指導者の手腕に寄りかかったチーム作りをしていただけに、そこから自ら脱却しようと言うフロントの意欲は感じるが、その後にどんなビジョンを持っているのだろうか。
ソフトバンク 投手陣の整備が急務だが
一昨年は最下位。去年は3位と浮き沈みの激しいソフトバンク。ソフトと西武が上位に定着しないあたりに戦国パリーグを象徴していると思う。
和田、杉内など好投手が並び、大場、巽、大隣といったアマチュアで抜群の実績を挙げている投手を集めているだけに投手王国が出来ても不思議ではないのだが、そうならないのが不思議なところ。去年、彗星の如く現れた摂津も勤続疲労はあるだろうし、投手陣整備がまずは課題ということか。
野手陣はいい加減、小久保松中頼りからの脱却が急務である。長打力のある選手が揃っていても、攻撃力に怖さをかんじないのは、どうもチームの考え方の問題もあるように思える。
注目選手 イ・ボムホ
WBCでダルビッシュから同点タイムリーを打ったのが記憶に新しい。長打力もあって三塁守備も上手い選手だ。短期決戦だと日本と十分対抗できたが、シーズンとなるとどうか。ロッテに入ったキム・テギュン同様、韓国球界のレベルがドの程度アップしたのかいい尺度になるだろう。松田との定位置争いに注目だ。
西武 常勝のDNAは健在
去年は4位に沈んだが攻撃力はナンバーワン。抑えのグラマンが故障したのが痛かった。今年もブルペンの出来不出来が左右するだろう。小野寺や大沼といったあたりが抑えをやれれば問題ないのだが、そこはちょっとわからない。キャンプでどこまで鍛えられるか。
野手陣は故障さえなければリーグ一だろう。中村、中島といったあたりは球史に残る大物選手かもしれない。特に中村は55本塁打のシーズン記録を破る可能性を有した現役唯一の選手と言っていい。
とにかくブルペン次第なので、今年はいろんな意味でブルペンはにぎやかになるだろう。
注目選手 雄星
やっぱりこの選手は注目しなければならない。ストレートの速さは目を見張るがコントロールもイマイチで変化球ももう一つ。一年目からの活躍は期待できないかなと思ったが、自主トレでのマスコミとの対応やら何やらを見ていると、この選手の野球に取り組む姿勢には非常に好感が持てる。
課題は山積みだがその課題をキャンプで克服するかもしれないと思わせる。キャンプでの一挙手一投足が楽しみな選手だ。
ロッテ 西村徳文次第
ロッテはボビー・バレンタインという強烈な個性でチームを強化してきた。ボビーに替わり叩き上げの西村監督が就任したが、元々チームとして常勝の気質がないだけに、ここ数年でかつての万年Bクラスに逆戻りする可能性がある。特に西村監督の雰囲気は何となく山本コウジ監督に被るのだが。
注目選手 荻野貴司
ロッテが一本釣りで獲得した外野手。身長172センチのリードオフマンタイプをドラフト1位で獲得することは極めて珍しい。雄星といった大物に向かわず獲っただけに、ロッテのスカウト陣はそれなりに自信があるんだと思う。一番センターに定着する可能性もあり、どんな選手だかキャンプでよくよく見極めたい選手。
オリックス 岡監劇場始まり始まり〜
さすがは岡監。大トリであります。秋のキャンプからわれわれを楽しませてくれる岡監劇場。いよいよキャンプインでますます注目です。
とにかく岡監ったら「イチにサンスポ、ニにデイリー、サンシがなくて、ゴに野球」って感じですから、初日からネタ満載でいくでしょう。
岡監がキャンプでするもう一つの仕事は「えこ贔屓采配」の基となる選手の見極め。早くも阪神からバルディリスを獲得しえこひいき満載ですが、他にもT岡田とかえこひいきの対象になりそうな選手がいっぱいです。
しかし、いかんせん阪神に比べると注目度が著しく低いオリックス。選手をその気にさせ、マスコミをはべらせる岡監劇場から目が離せません。
注目選手 抑え投手
どうも小松を抑えにするという話もあります。岡監は試合中はあんまり物事を考えられない体質なんで、7回8回9回を誰に任せるかは非常に重要です。どうも左投手の延江あたりが岡監のおめがねに叶っているようですが、この辺ががっちりしてくると、案外強いでぇ。先発はおるしなぁ。
・・・・・・・・・・・・・
あー、疲れた。感想としては、野球は個人種目ですねえ。
チーム作りと言ってもその監督の意図を感じれる選手とそうでない選手がいるでしょう。キャンプで誰が監督の意を受けて選手としてレベルアップを図れるか。漫然とやってちゃクビですからね。厳しい世界だなぁと思います。