2011年02月02日
いよいよ日本選手権
トップリーグファイナルは三洋が悲願の初優勝。
強みがよく出た好ゲームでした。サントリーも健闘したのですが、試合の流れがきたときの三洋の集中力が優れていました。試合巧者だなあということです。
このゲームを含めて 横井章さんのブログが鋭すぎるので引用させていただく。
「ディフェンスとアタックでは、ディフェンスの方が有利」
「ディフェンスでトライする『アタッキングディフェンス』のチームが強い」
「FWが強い・とりわけ『スクラム』が強いチームの方が有利」
「アタックはキックを有効に使いエリアマネージメントをきっちりした方が強い」
「アタックはミスを少なくした方が強い:ミスを少なくするアタックの組み立てとしては、『パスを少なくし、縦のサポート』をしたチームが強い」
強みがよく出た好ゲームでした。サントリーも健闘したのですが、試合の流れがきたときの三洋の集中力が優れていました。試合巧者だなあということです。
このゲームを含めて 横井章さんのブログが鋭すぎるので引用させていただく。
「ディフェンスとアタックでは、ディフェンスの方が有利」
「ディフェンスでトライする『アタッキングディフェンス』のチームが強い」
「FWが強い・とりわけ『スクラム』が強いチームの方が有利」
「アタックはキックを有効に使いエリアマネージメントをきっちりした方が強い」
「アタックはミスを少なくした方が強い:ミスを少なくするアタックの組み立てとしては、『パスを少なくし、縦のサポート』をしたチームが強い」
●三洋対策は難しい
横井さんの指摘の一番目と二番目に特に着目する。ディフェンスはアタックより強いということを三洋はよく理解しているのではないか。
なんというか三洋のセットアタックは怖さがない。まともに攻めてもある程度実力が拮抗しているときは、そうそうディフェンスラインは破れない。トライを取ろうというより、攻めながら相手の弱点を探しているように映る。
サントリーは攻撃型のチームでひたすら攻め続けることで相手のディフェンスの穴を探す。それゆえ怖さがあるし、実際、あったと思う。
三洋の強みはディフェンスからのトライを常に狙っていて、それがチームの中でかなり高い意識で共有されていたように感じる。
象徴的なのが山田のトライだろう。トニー・ブラウンの魔法のようなターンオーバーから、左オープンに展開して、フランカーのユ・ヨンナムが蹴ったキックを山田が拾い上げてインゴールへというトライだった。山田にボールがすっぽり入るあたりにスター性を感じるのだが、それはさておき、ユのキックという状況判断や、トニー・ブラウンのターンオーバー直後の動きに、ディフェンスからのカウンターがいかに有効かという原則が凝縮されていた。
まず、トニーブラウンのターンオーバーはサイドアタックに出たプロップ畠山のボールをもぎ取ることから始まる。サイドから畠山が出てきたわけだから、オープン側に振ったほうが数的優位が生まれる。サントリーはブレイクダウンに人を割いているからだ。そりゃ、わかっているのだろうが、何の迷いもなく出来てしまうのだ。トニー・ブラウンクラスになると。
で、パスがわたってユ・ヨンナムなんだが、この時点でサントリーはアタックラインから急にディフェンスに切り替えているから、フルバックの位置に人がいない。当たり前なんだが。ユもそこはよくわかっているから、キックを蹴れる。もちろん、大外に山田という切り札があることへの信頼もあるだろうが。これは判断を誤れば当たってしまうわけで、そこで一気にカウンターアタックへの優位性が失われてしまう。
サントリーにしてみれば、このカウンターに対してどうやってディフェンスをすればいいのか、ということだ。「三洋はカウンターがあるから常にフルバックを残しておこう」なんてのは羹に懲りて膾をふかすということだろう。
というわけで、三洋対策は難しい。勝つには単に攻めきるしかないのだが、接点は強いし、FW・BK関係なくガツガツ接点で仕掛けてくる三洋に勝つのは非常に難しい。
●日本選手権での早稲田に注目したい
「横井原則」を踏まえて2月6日の日本選手権での早稲田対NTTドコモの試合に注目したい。
早稲田は大学選手権で帝京に破れた。内容的に完敗と言われているが、私の解釈はちょっと違う。早稲田はあと5分マイボールの時間が長ければ勝てたと思う。負け惜しみかもしれないが。それほど早稲田のアタックは近年まれに見る決定力だったし、ディフェンスも硬かった。帝京が2トライ目ではなく、PGで得点を重ねたのは、早稲田のディフェンス力を認めていたからだろう。帝京にあれだけボールを保持されながら17点という数字は「よく抑えた」と言えるし、12点しか取れなかったところに敗因があったと思う。もっと焦点を絞れば、スクラム・ラインアウトでの不利が響いたということだ。
日本選手権では早稲田はもっとボールを保持できるだろう。アタックもある程度やれるのではないだろうか。留意点としては大学よりも激しい接点でマイボールを失わせないために、寄りを早くすることだ。無理をして派手なオープン攻撃を仕掛けると却って苦しい。状況判断が求められる。
それから、大学相手で通用したハイパントが通用しないときにどうやって対処するか。帝京戦ではツイ、ボンドあたりにハイパントをことごとく撃墜された。そうなったときにNTT戦で同じことをやっていては進歩がない。そこでどういう状況判断をするか。深く蹴って蹴りあいに持ち込むか。あるいは自陣からでも積極的に攻めるか。
あとはディフェンスだ。辻監督は一年間、ディフェンスにこだわってきた。私は早稲田のアイデンティティは展開ラグビーではなく、ディフェンスだと思っている。前に出て相手を倒して、ボールを奪ってからの展開なのだ。その意味で、辻監督の方向性は正しかったと思う。「アタッキングディフェンス」の芽を作った一年になったと思う。今度の日曜日はそこを証明する試合をやってほしい。
横井さんの指摘の一番目と二番目に特に着目する。ディフェンスはアタックより強いということを三洋はよく理解しているのではないか。
なんというか三洋のセットアタックは怖さがない。まともに攻めてもある程度実力が拮抗しているときは、そうそうディフェンスラインは破れない。トライを取ろうというより、攻めながら相手の弱点を探しているように映る。
サントリーは攻撃型のチームでひたすら攻め続けることで相手のディフェンスの穴を探す。それゆえ怖さがあるし、実際、あったと思う。
三洋の強みはディフェンスからのトライを常に狙っていて、それがチームの中でかなり高い意識で共有されていたように感じる。
象徴的なのが山田のトライだろう。トニー・ブラウンの魔法のようなターンオーバーから、左オープンに展開して、フランカーのユ・ヨンナムが蹴ったキックを山田が拾い上げてインゴールへというトライだった。山田にボールがすっぽり入るあたりにスター性を感じるのだが、それはさておき、ユのキックという状況判断や、トニー・ブラウンのターンオーバー直後の動きに、ディフェンスからのカウンターがいかに有効かという原則が凝縮されていた。
まず、トニーブラウンのターンオーバーはサイドアタックに出たプロップ畠山のボールをもぎ取ることから始まる。サイドから畠山が出てきたわけだから、オープン側に振ったほうが数的優位が生まれる。サントリーはブレイクダウンに人を割いているからだ。そりゃ、わかっているのだろうが、何の迷いもなく出来てしまうのだ。トニー・ブラウンクラスになると。
で、パスがわたってユ・ヨンナムなんだが、この時点でサントリーはアタックラインから急にディフェンスに切り替えているから、フルバックの位置に人がいない。当たり前なんだが。ユもそこはよくわかっているから、キックを蹴れる。もちろん、大外に山田という切り札があることへの信頼もあるだろうが。これは判断を誤れば当たってしまうわけで、そこで一気にカウンターアタックへの優位性が失われてしまう。
サントリーにしてみれば、このカウンターに対してどうやってディフェンスをすればいいのか、ということだ。「三洋はカウンターがあるから常にフルバックを残しておこう」なんてのは羹に懲りて膾をふかすということだろう。
というわけで、三洋対策は難しい。勝つには単に攻めきるしかないのだが、接点は強いし、FW・BK関係なくガツガツ接点で仕掛けてくる三洋に勝つのは非常に難しい。
●日本選手権での早稲田に注目したい
「横井原則」を踏まえて2月6日の日本選手権での早稲田対NTTドコモの試合に注目したい。
早稲田は大学選手権で帝京に破れた。内容的に完敗と言われているが、私の解釈はちょっと違う。早稲田はあと5分マイボールの時間が長ければ勝てたと思う。負け惜しみかもしれないが。それほど早稲田のアタックは近年まれに見る決定力だったし、ディフェンスも硬かった。帝京が2トライ目ではなく、PGで得点を重ねたのは、早稲田のディフェンス力を認めていたからだろう。帝京にあれだけボールを保持されながら17点という数字は「よく抑えた」と言えるし、12点しか取れなかったところに敗因があったと思う。もっと焦点を絞れば、スクラム・ラインアウトでの不利が響いたということだ。
日本選手権では早稲田はもっとボールを保持できるだろう。アタックもある程度やれるのではないだろうか。留意点としては大学よりも激しい接点でマイボールを失わせないために、寄りを早くすることだ。無理をして派手なオープン攻撃を仕掛けると却って苦しい。状況判断が求められる。
それから、大学相手で通用したハイパントが通用しないときにどうやって対処するか。帝京戦ではツイ、ボンドあたりにハイパントをことごとく撃墜された。そうなったときにNTT戦で同じことをやっていては進歩がない。そこでどういう状況判断をするか。深く蹴って蹴りあいに持ち込むか。あるいは自陣からでも積極的に攻めるか。
あとはディフェンスだ。辻監督は一年間、ディフェンスにこだわってきた。私は早稲田のアイデンティティは展開ラグビーではなく、ディフェンスだと思っている。前に出て相手を倒して、ボールを奪ってからの展開なのだ。その意味で、辻監督の方向性は正しかったと思う。「アタッキングディフェンス」の芽を作った一年になったと思う。今度の日曜日はそこを証明する試合をやってほしい。
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この記事へのコメント
1. Posted by 熱き心の若人 2011年02月10日 00:36
よもやの完敗になってしまい残念です。
試合勘も鈍かったと思います。
純正さん、今度ゆっくりお話できれば幸いです。
試合勘も鈍かったと思います。
純正さん、今度ゆっくりお話できれば幸いです。