2011年02月15日
日本選手権在り方論
ラグビー日本選手権は今週土曜日に準決勝ですが、この大学生と社会人が対戦する仕組みって一体、どうなんでしょうか。
2019年ラグビーW杯まであと8年。世界で戦う人材をラグビー界はどうやって育てていけばいいんでしょうか。
2019年ラグビーW杯まであと8年。世界で戦う人材をラグビー界はどうやって育てていけばいいんでしょうか。
●あまりに寂しい早稲田の結末
本題に入る前に早稲田の話を少々。はっきり言って、わしは今年の早稲田を買いかぶっていたかな、と正直思う。
ディフェンスをチームの柱に掲げたいたチームにあるまじきディフェンスの破綻。社会人相手にらしさを発揮できぬまま終わってしまった。「一年間積み上げてきたものを発揮しよう」というモチベーションだ
けでは、まともな試合にならないほど力の差が広がっていることに、正直ちょっと愕然とした。
早稲田に今年揃った人材は、逸材ばかりで、これだけのメンバーでこの程度か、と思ってしまった。もうちょっとやってくれると思っただけに、残念だった
●帝京は大学王者らしさを見せたが…
大学王者はトップリーグ上位の東芝と対戦。体幹の強さとか、接点での奮闘は大学王者としての帝京らしさを見せた。この試合を見て、正直早稲田は勝てないなと、改めて痛感した。
が、結果は43対10である。
試合の行方がわからないということは無かったし、力の差は歴然ということは正直認めざるを得ない。
大学が社会人上位に勝ったのは清宮早稲田の集大成とも言える2005年度シーズンの早稲田が最後だった。このときの清宮監督は選手権で勝つことよりも、社会人相手に勝つことを一つの目標としていたことと、意外と格下に苦戦するトヨタの持ち味(?)が噛み合った結果だった。
この試合の前も、大学と社会人のレベルの違いに議論があったが、この勝利でしばらく「早稲田が勝ったんだから」と封殺されてしまった感がある。
●サッカーは上手い事人材を育てている
先日、オランダリーグで18歳の宮市がプロ初ゴールをあげたニュースが飛び込んできた。サッカーは協会挙げて10代の選手を育成していることが、ここにきて実を結びつつあるように感じる。何年か前に川渕氏が「ジュニア世代の育成の重要性」について熱っぽく語っていたが、エリートプログラムを2003年に立ち上げて、Jのユースチームと高校サッカーがいい役割分担をしているように感じる(詳しくは知らないけど)。
アジアカップを見ていて若い選手がどんどん海外に出て行っている現実にも改めて驚いた。海外の高いレベルを吸収している選手が、日本代表に並んでいるから、ワールドカップでベスト8とか言う目標もある程度信憑性を感じられる。
それに比べてラグビーはどうなんだろう。
●一番いい4年間をどう過ごすか
今年の高校日本代表が発表されていたけれども、ラグビーのこの営みって何年も変わらない。高校ラグビーで熱く燃えて、代表に選ばれて遠征して試合して、大学に入学して…。
この大学に入るのってどこまでその選手の成長に貢献しているのかと思うのである。まったく縮まらない社会人との差を考えると、この大学生が日本代表になって世界と戦う上で、大学4年間の経験ってどれくらいプラスになっているのかと感じる。
サッカーとラグビーの違いは、ラグビーは大学こそが花形という昔ながらのイメージが強くあること。プロとしての待遇を考えても、ラグビーの方が規模が小さくて、高校から直接トップリーグに進むよりも、大学行ってからというワンクッションがあった方が、人生設計を考える上でも有効に作用する。
もちろん、桐蔭の松島君のように直接海外のクラブに進む選手もいるけど、あくまで特例のような気もする。結局、代表レベルに積極的にマイケル・リーチや山中亮平を呼んで鍛えるという手段くらいしか、18歳から22歳の4年間を有効に使うしかない。
●大学ラグビーのレベルを上げなきゃ
結論としては大学ラグビーのレベルを劇的に上げないと、2019年のラグビーワールドカップで日本代表は成果を挙げることは難しい、と考えるのだ。
本来、大学に進んでいた人材が、今後トップリーグに進むという方向性は考えにくい。現実的じゃない。
こういうことは協会がリーダーシップをとってやっていかなきゃいけないと思うんだけど、なんか10年前からほとんど変わっていないように思える。
2019年まであと8年だから、今の高校生、大学生が自ずと日本代表の主力になっていく。そこから逆算した強化プランを作っていかないと間に合わない気もする。学生だしプロじゃないんだからという議論もあるだろうが、ワールドカップで戦う相手はみんなプロなわけだし。
例えば、大学に籍を置きながらトップリーグのチームに加わる仕組みとか、考えられないもんだろうか。いや、現実的じゃないな。
こういうことをもう何年も考えているのですが、なかなかいい答えが出ません。いずれにしてもシーズン終了間際の日本選手権で一発勝負をするより、トップリーグの二軍と大学生の有望選手で選抜した選手のゲームを増やすとか。
どうやっても、大学生の「選手権を勝ちたい」というモチベーションとの両立が難題になってくる。そういうモチベーションは否定できないし、見方によっちゃちっぽけな世界なんだけど、そのちっぽけな世界にこそ、大学ラグビーの持つある種の美しさがあるわけで。
その両立を本気になって考えることが必要な気がします。
本題に入る前に早稲田の話を少々。はっきり言って、わしは今年の早稲田を買いかぶっていたかな、と正直思う。
ディフェンスをチームの柱に掲げたいたチームにあるまじきディフェンスの破綻。社会人相手にらしさを発揮できぬまま終わってしまった。「一年間積み上げてきたものを発揮しよう」というモチベーションだ
けでは、まともな試合にならないほど力の差が広がっていることに、正直ちょっと愕然とした。
早稲田に今年揃った人材は、逸材ばかりで、これだけのメンバーでこの程度か、と思ってしまった。もうちょっとやってくれると思っただけに、残念だった
●帝京は大学王者らしさを見せたが…
大学王者はトップリーグ上位の東芝と対戦。体幹の強さとか、接点での奮闘は大学王者としての帝京らしさを見せた。この試合を見て、正直早稲田は勝てないなと、改めて痛感した。
が、結果は43対10である。
試合の行方がわからないということは無かったし、力の差は歴然ということは正直認めざるを得ない。
大学が社会人上位に勝ったのは清宮早稲田の集大成とも言える2005年度シーズンの早稲田が最後だった。このときの清宮監督は選手権で勝つことよりも、社会人相手に勝つことを一つの目標としていたことと、意外と格下に苦戦するトヨタの持ち味(?)が噛み合った結果だった。
この試合の前も、大学と社会人のレベルの違いに議論があったが、この勝利でしばらく「早稲田が勝ったんだから」と封殺されてしまった感がある。
●サッカーは上手い事人材を育てている
先日、オランダリーグで18歳の宮市がプロ初ゴールをあげたニュースが飛び込んできた。サッカーは協会挙げて10代の選手を育成していることが、ここにきて実を結びつつあるように感じる。何年か前に川渕氏が「ジュニア世代の育成の重要性」について熱っぽく語っていたが、エリートプログラムを2003年に立ち上げて、Jのユースチームと高校サッカーがいい役割分担をしているように感じる(詳しくは知らないけど)。
アジアカップを見ていて若い選手がどんどん海外に出て行っている現実にも改めて驚いた。海外の高いレベルを吸収している選手が、日本代表に並んでいるから、ワールドカップでベスト8とか言う目標もある程度信憑性を感じられる。
それに比べてラグビーはどうなんだろう。
●一番いい4年間をどう過ごすか
今年の高校日本代表が発表されていたけれども、ラグビーのこの営みって何年も変わらない。高校ラグビーで熱く燃えて、代表に選ばれて遠征して試合して、大学に入学して…。
この大学に入るのってどこまでその選手の成長に貢献しているのかと思うのである。まったく縮まらない社会人との差を考えると、この大学生が日本代表になって世界と戦う上で、大学4年間の経験ってどれくらいプラスになっているのかと感じる。
サッカーとラグビーの違いは、ラグビーは大学こそが花形という昔ながらのイメージが強くあること。プロとしての待遇を考えても、ラグビーの方が規模が小さくて、高校から直接トップリーグに進むよりも、大学行ってからというワンクッションがあった方が、人生設計を考える上でも有効に作用する。
もちろん、桐蔭の松島君のように直接海外のクラブに進む選手もいるけど、あくまで特例のような気もする。結局、代表レベルに積極的にマイケル・リーチや山中亮平を呼んで鍛えるという手段くらいしか、18歳から22歳の4年間を有効に使うしかない。
●大学ラグビーのレベルを上げなきゃ
結論としては大学ラグビーのレベルを劇的に上げないと、2019年のラグビーワールドカップで日本代表は成果を挙げることは難しい、と考えるのだ。
本来、大学に進んでいた人材が、今後トップリーグに進むという方向性は考えにくい。現実的じゃない。
こういうことは協会がリーダーシップをとってやっていかなきゃいけないと思うんだけど、なんか10年前からほとんど変わっていないように思える。
2019年まであと8年だから、今の高校生、大学生が自ずと日本代表の主力になっていく。そこから逆算した強化プランを作っていかないと間に合わない気もする。学生だしプロじゃないんだからという議論もあるだろうが、ワールドカップで戦う相手はみんなプロなわけだし。
例えば、大学に籍を置きながらトップリーグのチームに加わる仕組みとか、考えられないもんだろうか。いや、現実的じゃないな。
こういうことをもう何年も考えているのですが、なかなかいい答えが出ません。いずれにしてもシーズン終了間際の日本選手権で一発勝負をするより、トップリーグの二軍と大学生の有望選手で選抜した選手のゲームを増やすとか。
どうやっても、大学生の「選手権を勝ちたい」というモチベーションとの両立が難題になってくる。そういうモチベーションは否定できないし、見方によっちゃちっぽけな世界なんだけど、そのちっぽけな世界にこそ、大学ラグビーの持つある種の美しさがあるわけで。
その両立を本気になって考えることが必要な気がします。