2011年03月01日
サントリーの美しい勝利
ラグビーシーズン終了。
日本選手権決勝はサントリーが三洋電機を下して見事に優勝しました。エディ・ジョーンズＧＭ兼監督は就任一年目で見事にタイトル奪取。「アグレッシブアタッキングラグビー」が見事に実を結びました。
日本選手権決勝はサントリーが三洋電機を下して見事に優勝しました。エディ・ジョーンズＧＭ兼監督は就任一年目で見事にタイトル奪取。「アグレッシブアタッキングラグビー」が見事に実を結びました。
三洋に勝った！
日本選手権3連覇中の三洋。今年も強さを発揮していて、準決勝の出来だけで見ると「サントリーは苦しいかな」と予想していました。
ディフェンスが硬く、どれだけ攻めても一瞬で切り返されてしまう。私は言葉が悪いんですが「もらったトライ」と呼んでいるのですが、インターセプトとか、カウンターとか、ターンオーバーからのトライとかをそう呼んでいます。もちろん、運じゃないことはわかっていますよ。丁寧に言うと「フェーズを重ねずに取ったトライ」。いずれにせよ、三洋はこういうトライのとり方が多いし上手い。
日本選手権準決勝の東芝戦はその最たるもので、東芝は一生懸命攻めていたのに、一瞬で三洋に取り返されて結局20点近くあった点差を逆転されたのでした。
攻めても攻めても一瞬で取り返してくる三洋に対してサントリーはいくつかの「原則」を決めて、それを忠実に実行しました。
�‥精垢�競っているときは攻め続ける
サントリーは攻撃ラグビーですが、点差がある程度つくとキックも有効に使っていました。後半、点差がついたところでピシに替えてヒューワットを入れたのがその証です。この辺の切り替えは見事なもんでした。三洋には基本的にキックで攻めると蹴り合いになって徐々に三洋ペースに引きずり込まれます。カウンターでＦＷ、ＢＫ関係なく奔放に走ってくる攻撃が脅威ですから。サントリーは自陣からでも果敢に攻めました。このテンポは見ていて楽しかったですね。
�▲侫А璽困鮟鼎佑襪海箸魘欧譴覆�
サントリーはポンポン攻めるんですが、決して大きく振って無理な展開を仕掛けることはありませんでした。そうしたときは、必ずといっていいほどトライまで持って言ってましたね。
グラウンドの端から端までポジションに関係なくディフェンスラインを敷く三洋に取っては、大きく振ってもらって攻めてもらったほうが、ターンオーバーのチャンスが広がります。
逆にサントリーは常に2人目、3人目のサポートプレイヤーがいるところで接点を作りました。これが丁寧でしたね。だから、いくらフェーズを重ねてもターンオーバーをチーム全体が恐れていない。この戦術理解が優れていたと思います。
この攻撃を支えたのはＳＨの日和佐。日本代表スコッドにも選ばれましたが、この一年、グレーガンの下、大きく成長してとても魅力的な選手になりました。彼が「パスマシン」にならずに常に持ち出して、相手ディフェンスの的を絞りにくくして「ズレ」を生み出していました。最初の小野沢のトライは日和佐から小野沢と渡ったトライでしたが、パスは少なく抜いていくサントリーの「こう攻めるんだ」という意思が非常に感じられたトライでした。
��ディフェンスはとにかく集中
三洋のラインアタックは実はあまり怖くない。むしろ、崩れた局面で手数をかけずに取ってくる。そこをサントリーは意識して、非常に集中力の高いディフェンスをしました。
最初にサントリーがトライをとる前に、三洋はゴールラインまで迫るのですが、わしは「ああ、トライだ」と思っていたところ、ライアン・ニコラスが見事なトライセービングタックルをしました。この集中力、最後まで切れませんでしたね。
エディさんの心意気
サントリーのエディ・ジョーンズは世界に名だたる名将ですが、今年一年「日本の目指すラグビー」を志向してくれたと思います。
ラグビーは守りあいになればなるほど、大きいチームのほうが有利です。ですから、小さいチームが大きいチームに勝とうとするならば、まずボール支配率で上回って、運動量で上回って、攻め続けなければならない。守っているときでも、常に攻撃権を奪回できるよう、守らなければならない。「粘り強く守れば相手が蹴ってくれるさ」と鷹揚に構えていては、なかなかチャンスは訪れない。
話は逸れますけど、それでも少ないチャンスで勝つ方法もあるとは思います。ただ、今年の早稲田とサントリーの違いは、自陣からの攻撃ですよね。サントリーの攻撃を見ると、やっぱりリスクを恐れず自陣からでも攻めるべきでした。ただ、早稲田は自陣からの「攻め方」が仕込まれていなかったかもしれません。両センターの突破力に頼る傾向がありましたからねぇ。山中を基点とせず、山中を突破役にする攻め方にすれば、良かったのかもしれませんが、そこまで仕込む時間が無かったということでしょうか…。
サントリーに話を戻すと、とにかく運動量で相手を上回って攻め続ける。そのコンセプトがシーズンが深まるにつれて高まりました。
浅いライン、日和佐の動き、ピシのループ・・・サントリーの攻撃を語るキーワードはいくつもありますが、いずれも速いラグビーを標榜していました。
三洋や東芝のスタイルも一つの個性だし、強さの象徴だと思いますが、わしはやっぱり今年の最後にサントリーのスタイルが勝ったのは良かったなと思います。
もう一つ見逃せないのは、スクラム。サントリーは決勝でスクラムで組み負けなかった。運動量の高いラグビーを支えたのはサントリーのフロントローだったように思います。あの頑張りがロック、3列の運動量を支えていたと思います。
さあ、ラグビーシーズンは終わってここからは9月のワールドカップに向けた日本代表の強化シーズンが始まります。スタンドで決勝を見守ったジョン・カーワンはこのエディさんの心意気をどう受け取ったでしょうか。
日本選手権3連覇中の三洋。今年も強さを発揮していて、準決勝の出来だけで見ると「サントリーは苦しいかな」と予想していました。
ディフェンスが硬く、どれだけ攻めても一瞬で切り返されてしまう。私は言葉が悪いんですが「もらったトライ」と呼んでいるのですが、インターセプトとか、カウンターとか、ターンオーバーからのトライとかをそう呼んでいます。もちろん、運じゃないことはわかっていますよ。丁寧に言うと「フェーズを重ねずに取ったトライ」。いずれにせよ、三洋はこういうトライのとり方が多いし上手い。
日本選手権準決勝の東芝戦はその最たるもので、東芝は一生懸命攻めていたのに、一瞬で三洋に取り返されて結局20点近くあった点差を逆転されたのでした。
攻めても攻めても一瞬で取り返してくる三洋に対してサントリーはいくつかの「原則」を決めて、それを忠実に実行しました。
�‥精垢�競っているときは攻め続ける
サントリーは攻撃ラグビーですが、点差がある程度つくとキックも有効に使っていました。後半、点差がついたところでピシに替えてヒューワットを入れたのがその証です。この辺の切り替えは見事なもんでした。三洋には基本的にキックで攻めると蹴り合いになって徐々に三洋ペースに引きずり込まれます。カウンターでＦＷ、ＢＫ関係なく奔放に走ってくる攻撃が脅威ですから。サントリーは自陣からでも果敢に攻めました。このテンポは見ていて楽しかったですね。
�▲侫А璽困鮟鼎佑襪海箸魘欧譴覆�
サントリーはポンポン攻めるんですが、決して大きく振って無理な展開を仕掛けることはありませんでした。そうしたときは、必ずといっていいほどトライまで持って言ってましたね。
グラウンドの端から端までポジションに関係なくディフェンスラインを敷く三洋に取っては、大きく振ってもらって攻めてもらったほうが、ターンオーバーのチャンスが広がります。
逆にサントリーは常に2人目、3人目のサポートプレイヤーがいるところで接点を作りました。これが丁寧でしたね。だから、いくらフェーズを重ねてもターンオーバーをチーム全体が恐れていない。この戦術理解が優れていたと思います。
この攻撃を支えたのはＳＨの日和佐。日本代表スコッドにも選ばれましたが、この一年、グレーガンの下、大きく成長してとても魅力的な選手になりました。彼が「パスマシン」にならずに常に持ち出して、相手ディフェンスの的を絞りにくくして「ズレ」を生み出していました。最初の小野沢のトライは日和佐から小野沢と渡ったトライでしたが、パスは少なく抜いていくサントリーの「こう攻めるんだ」という意思が非常に感じられたトライでした。
��ディフェンスはとにかく集中
三洋のラインアタックは実はあまり怖くない。むしろ、崩れた局面で手数をかけずに取ってくる。そこをサントリーは意識して、非常に集中力の高いディフェンスをしました。
最初にサントリーがトライをとる前に、三洋はゴールラインまで迫るのですが、わしは「ああ、トライだ」と思っていたところ、ライアン・ニコラスが見事なトライセービングタックルをしました。この集中力、最後まで切れませんでしたね。
エディさんの心意気
サントリーのエディ・ジョーンズは世界に名だたる名将ですが、今年一年「日本の目指すラグビー」を志向してくれたと思います。
ラグビーは守りあいになればなるほど、大きいチームのほうが有利です。ですから、小さいチームが大きいチームに勝とうとするならば、まずボール支配率で上回って、運動量で上回って、攻め続けなければならない。守っているときでも、常に攻撃権を奪回できるよう、守らなければならない。「粘り強く守れば相手が蹴ってくれるさ」と鷹揚に構えていては、なかなかチャンスは訪れない。
話は逸れますけど、それでも少ないチャンスで勝つ方法もあるとは思います。ただ、今年の早稲田とサントリーの違いは、自陣からの攻撃ですよね。サントリーの攻撃を見ると、やっぱりリスクを恐れず自陣からでも攻めるべきでした。ただ、早稲田は自陣からの「攻め方」が仕込まれていなかったかもしれません。両センターの突破力に頼る傾向がありましたからねぇ。山中を基点とせず、山中を突破役にする攻め方にすれば、良かったのかもしれませんが、そこまで仕込む時間が無かったということでしょうか…。
サントリーに話を戻すと、とにかく運動量で相手を上回って攻め続ける。そのコンセプトがシーズンが深まるにつれて高まりました。
浅いライン、日和佐の動き、ピシのループ・・・サントリーの攻撃を語るキーワードはいくつもありますが、いずれも速いラグビーを標榜していました。
三洋や東芝のスタイルも一つの個性だし、強さの象徴だと思いますが、わしはやっぱり今年の最後にサントリーのスタイルが勝ったのは良かったなと思います。
もう一つ見逃せないのは、スクラム。サントリーは決勝でスクラムで組み負けなかった。運動量の高いラグビーを支えたのはサントリーのフロントローだったように思います。あの頑張りがロック、3列の運動量を支えていたと思います。
さあ、ラグビーシーズンは終わってここからは9月のワールドカップに向けた日本代表の強化シーズンが始まります。スタンドで決勝を見守ったジョン・カーワンはこのエディさんの心意気をどう受け取ったでしょうか。
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この記事へのコメント
1. Posted by 沈丁花 2011年03月03日 11:18
日本人だけで運動量豊富なあれだけのチームを毎年のようにつくってくる早稲田も見事ですが
トップリーグは外人も使え個人スキルも経験を積めますので日本がつよくなるためには運動量の豊富なトップリーグのチームが絶対に必要でしたよね。
サントリーはそんなチームになっていきそうでこれからが楽しみです。
トップリーグは外人も使え個人スキルも経験を積めますので日本がつよくなるためには運動量の豊富なトップリーグのチームが絶対に必要でしたよね。
サントリーはそんなチームになっていきそうでこれからが楽しみです。
2. Posted by 沈丁花 2011年03月03日 11:30
縦に推進力のあるスクラムハーフがサントリーに入ってくるということのようですが
スクラムハーフを併用されると、
ますますサントリーは守りづらいチームになっていきますよね。
サンヨーがどう手当をしてくるのか来季も楽しみです。
スクラムハーフを併用されると、
ますますサントリーは守りづらいチームになっていきますよね。
サンヨーがどう手当をしてくるのか来季も楽しみです。
3. Posted by 純正野球ファン 2011年03月03日 21:01
コメント感謝です！
フーリー・デュプレアですね！ 世界最高のＳＨです！！ 持ち出して自分でリズムを作って、縦にも抜ける。すばらしい選手ですよ。日和佐はグレーガン、デュプレアから学べる世界で一番幸運なＳＨとなりますね。
サントリーは従来型の「展開ラグビー」を超えたスタイルを見せてもらいました。日本代表も強気にフェーズを重ねて、近場を素早く抜いていく、50センチのギャップも見逃さない、そんなラグビーを追及してほしいです。
フーリー・デュプレアですね！ 世界最高のＳＨです！！ 持ち出して自分でリズムを作って、縦にも抜ける。すばらしい選手ですよ。日和佐はグレーガン、デュプレアから学べる世界で一番幸運なＳＨとなりますね。
サントリーは従来型の「展開ラグビー」を超えたスタイルを見せてもらいました。日本代表も強気にフェーズを重ねて、近場を素早く抜いていく、50センチのギャップも見逃さない、そんなラグビーを追及してほしいです。
