2011年08月20日
三高優勝と当世高校野球気質
甲子園、おもしろかったー。
今年の夏の甲子園は西東京代表・日大三高が10年ぶり2回目の優勝を果たしました。
今年の甲子園は昨年の興南のような圧倒的な優勝候補が不在で、福島・聖光学院、東東京・帝京、日大三、福岡・九州国際大付が「4強」と目されていました。他の学校が早々と姿を消す中、日大三は新潟・日本文理(一昨年の準優勝校)、島根・開星(名物・野々村監督のラストイヤー)、智弁和歌山、千葉・習志野(春の関東大会優勝校)といった強豪を次々と破り、準決勝の岡山・関西戦、決勝の青森・光星学院戦ではいずれも打線が爆発。圧倒的な強さで優勝を飾りました。
日大三の小倉監督は西東京大会に優勝したときこんなようなことを言っていました。
「こういうレベルの高い子が集まったチームをどうしても甲子園に連れて行かなければというのはプレッシャーだった」
三高打線は確かに強力でしたが、西東京大会では都立日野に7回1点差に迫られたり、決勝でも早実2対1というクロスゲームを辛くもモノにした勝利でした。甲子園で圧倒的な力を発揮した三高でしたが、そこに至る過程は決して平坦ではなかったということです。
小倉監督は恐らく毎年、そういうプレッシャーと戦っていたと思います。2001年に全国制覇を果たして、全国から注目されるチームになりました。その後もスイスイと勝つのは難しいです。過去10年の夏の大会で、2回優勝しているのは連覇した駒大苫小牧のみ。20年に広げても智弁和歌山と大阪桐蔭のみです。
毎年有望選手が集まる中で、甲子園に行くのが当たり前、優勝が求められるなかで監督さんと続ける重圧は大変なものだったろうなあと思います。この「甲子園優勝2回」という肩書きを持っておられる現役の監督さんは、帝京の前田さん、智弁和歌山の高島さん、横浜の渡辺さんくらいなものでしょう。この10年で2回という今回の優勝は、小倉さんにとってうれしいというか、胸をなでおろしていることでしょう。ホント、このチームで優勝できなければ、どうやって優勝するのだというくらいのチームでしたからね。
日大三の打線は好機に畳み掛ける強さにあると思います。その原動力はバントですよね。無死一塁はまず間違いなく送ってくる。まずスコアリングポジションに進めて投手にプレッシャーをかける。そういう攻撃が目立ちます。今日の決勝も7回、先頭打者が出塁して2番に送らせて、そこから3番のタイムリーと続いて大量点を取ったのでした。
私は送りバントの是非は実はよくわかりません。攻撃的に行ってうまくいくケースもありますし。ただ、チームとしての型と試合の流れを読んでやればいいんだと思います。三高の場合、「まずバント」は徹底されていましたし、普段どおりの攻めをすることで、その後の打者も自分の仕事をすることが出来たと思います。
だから、私は点差によって強攻というのは、高校野球に限ってはあまり好みません。例え点差があっても「まず1点」というのはその後の試合展開を左右していくと思います。三高は負けていてもバントをしたと思いますが、残念ながらそういうケースが甲子園ではありませんでした。
もう一つ三高打線の特徴はランナーがいる場面でよく打つということです。今日の先生も二死から走者が二人出塁し5番の高山君が3ラン本塁打。ツーアウトからですから、もうちょっとがんばればというシーンなんですが、そこから走者を許した動揺を三高は見逃しません。恐らく相当な自信があるからだと思います。こういう場面で打てるのは。
これは高校野球全体の傾向なのか、何かピンチのなると守っている方が歯止めが利かなくなる傾向があります。きっかけは2006年の智弁和歌山対帝京の9回表4点差を逆転し8点、その裏5点取られてサヨナラ負けって試合だったと思いますが、まぁ、こういう1イニングの大量点が多い。これで4年連続決勝は2桁得点で決着したのですが、劇的な逆転ゲームが多かったのも、何か象徴しているように思います。空気に流されやすいというか、攻めてるほうも守っている方も何かザーッと流されやすいのが今時の高校生気質なんでしょうかね。大観衆を敵に回しても向かっていく負けん気のある学校が出てきてほしいものです。
いずれにしても三高は強かった。光星学院は良く勝ち上がりましたが、ちょっと気の毒でしたね。
今年の夏の甲子園は西東京代表・日大三高が10年ぶり2回目の優勝を果たしました。
今年の甲子園は昨年の興南のような圧倒的な優勝候補が不在で、福島・聖光学院、東東京・帝京、日大三、福岡・九州国際大付が「4強」と目されていました。他の学校が早々と姿を消す中、日大三は新潟・日本文理(一昨年の準優勝校)、島根・開星(名物・野々村監督のラストイヤー)、智弁和歌山、千葉・習志野(春の関東大会優勝校)といった強豪を次々と破り、準決勝の岡山・関西戦、決勝の青森・光星学院戦ではいずれも打線が爆発。圧倒的な強さで優勝を飾りました。
日大三の小倉監督は西東京大会に優勝したときこんなようなことを言っていました。
「こういうレベルの高い子が集まったチームをどうしても甲子園に連れて行かなければというのはプレッシャーだった」
三高打線は確かに強力でしたが、西東京大会では都立日野に7回1点差に迫られたり、決勝でも早実2対1というクロスゲームを辛くもモノにした勝利でした。甲子園で圧倒的な力を発揮した三高でしたが、そこに至る過程は決して平坦ではなかったということです。
小倉監督は恐らく毎年、そういうプレッシャーと戦っていたと思います。2001年に全国制覇を果たして、全国から注目されるチームになりました。その後もスイスイと勝つのは難しいです。過去10年の夏の大会で、2回優勝しているのは連覇した駒大苫小牧のみ。20年に広げても智弁和歌山と大阪桐蔭のみです。
毎年有望選手が集まる中で、甲子園に行くのが当たり前、優勝が求められるなかで監督さんと続ける重圧は大変なものだったろうなあと思います。この「甲子園優勝2回」という肩書きを持っておられる現役の監督さんは、帝京の前田さん、智弁和歌山の高島さん、横浜の渡辺さんくらいなものでしょう。この10年で2回という今回の優勝は、小倉さんにとってうれしいというか、胸をなでおろしていることでしょう。ホント、このチームで優勝できなければ、どうやって優勝するのだというくらいのチームでしたからね。
日大三の打線は好機に畳み掛ける強さにあると思います。その原動力はバントですよね。無死一塁はまず間違いなく送ってくる。まずスコアリングポジションに進めて投手にプレッシャーをかける。そういう攻撃が目立ちます。今日の決勝も7回、先頭打者が出塁して2番に送らせて、そこから3番のタイムリーと続いて大量点を取ったのでした。
私は送りバントの是非は実はよくわかりません。攻撃的に行ってうまくいくケースもありますし。ただ、チームとしての型と試合の流れを読んでやればいいんだと思います。三高の場合、「まずバント」は徹底されていましたし、普段どおりの攻めをすることで、その後の打者も自分の仕事をすることが出来たと思います。
だから、私は点差によって強攻というのは、高校野球に限ってはあまり好みません。例え点差があっても「まず1点」というのはその後の試合展開を左右していくと思います。三高は負けていてもバントをしたと思いますが、残念ながらそういうケースが甲子園ではありませんでした。
もう一つ三高打線の特徴はランナーがいる場面でよく打つということです。今日の先生も二死から走者が二人出塁し5番の高山君が3ラン本塁打。ツーアウトからですから、もうちょっとがんばればというシーンなんですが、そこから走者を許した動揺を三高は見逃しません。恐らく相当な自信があるからだと思います。こういう場面で打てるのは。
これは高校野球全体の傾向なのか、何かピンチのなると守っている方が歯止めが利かなくなる傾向があります。きっかけは2006年の智弁和歌山対帝京の9回表4点差を逆転し8点、その裏5点取られてサヨナラ負けって試合だったと思いますが、まぁ、こういう1イニングの大量点が多い。これで4年連続決勝は2桁得点で決着したのですが、劇的な逆転ゲームが多かったのも、何か象徴しているように思います。空気に流されやすいというか、攻めてるほうも守っている方も何かザーッと流されやすいのが今時の高校生気質なんでしょうかね。大観衆を敵に回しても向かっていく負けん気のある学校が出てきてほしいものです。
いずれにしても三高は強かった。光星学院は良く勝ち上がりましたが、ちょっと気の毒でしたね。