2011年11月15日
クローザーの憂鬱
日本シリーズ第3戦。ホークスが4対2で快勝しました。これで、第6戦に福岡に帰る光明が出てきました。安堵の一勝というところでしょうか。
9回、2点差、ホークスのマウンドにはクローザーの馬原ではなく、セットアッパーのファルケンボーグが立っていました。無理を承知で言えば、9回はもう一度馬原にチャンスを与えてほしかった。
9回、2点差、ホークスのマウンドにはクローザーの馬原ではなく、セットアッパーのファルケンボーグが立っていました。無理を承知で言えば、9回はもう一度馬原にチャンスを与えてほしかった。
●馬原に同情すれば
1戦、2戦と延長10回に決勝点を与えている馬原。同情すれば2試合とも同点の場面での登板でした。失点は二つともツーアウトから、初戦は小池に本塁打。二戦目は荒木内野安打、井端四球、森野レフト前タイムリーでした。不運と言っては同情が過ぎます。確かに二試合目は自信を失っている様子に見えました。重圧に潰れて、制球がアバウトになっていました。
クローザーは「気」で投げる部分があります。同点の場面とリードした場面で投げるのでは、モチベーションが違ってきます。ポストシーズンなんでそんな言い訳は通用しませんが、シーズン中に同点の場面で出てくるクローザーはあまり試合にフィットできずに、痛恨の一打を浴びる場面が多々あります。もう一イニングと考えるのか、これを抑えれば勝利というモチベーションが大きいのか、不思議です。
クローザーは勝ってもニュースにならず、負けると必ずテレビのスポーツニュースで放送される、誠に因果な商売です。私もスワローズを応援してきてイムへの信頼は絶対ですが、毎回ハラハラします。武田久も然りです。クローザーはそういうポジションなんでしょう。
●クローザーのプライド
今日のプレーヤーズゲストは阪神のクローザー・藤川球児でした。藤川はファンからの支持率の高いクローザーだと思いますが、その藤川が馬原について「やっぱりプライドはありますからね」とコメントしました。チームのブルペンが繋いできた襷をゴールまで持っていく。私はストッパーという言い方はあまり好きではありません。試合を締めくくる。クローザーという呼び名こそがふさわしいと思っています。
そのクローザーのプライドを考えると、岩瀬の姿が思い浮かびます。ドラゴンズには浅尾という非常に優れた、今シーズンのMVP有力のセットアッパーが居ます。浅はかな心理だと、浅尾を9回の方が今や安定感があるのではないかと考えてしまいます。しかし、落合監督は任期中、浅尾を試合の締めくくりに使う場面はあっても、岩瀬と浅尾の順番をひっくり返すことは基本的にありませんでした。
技術的に考察すれば、岩瀬は球威よりも制球力で勝負するタイプです。9回無死無走者で出て行って低めに集めて内野ゴロを3つ討ち取るスタイル。一方、浅尾は球威があって走者を背負った場面で出て行っても、三振が取れるタイプ。そう考えると、仮に力が落ちても岩瀬と浅尾の順番は崩さないのが適切なのかなと思います。
もう一つは精神面。落合監督が岩瀬と浅尾の配置転換を指示すれば、それはすなわち岩瀬の選手生命をも左右する話です。「まだ抑えられる」という思いを秘めながら、中継ぎのポジションを受け入れるのは結構きついでしょう。クローザーは「気」で投げていますから、岩瀬という選手のプライドを最大限尊重している起用法が、今の姿なのではないでしょうか。レギュラーシーズンでは打たれることもある岩瀬ですが、日本シリーズでは2004年以来、失点していないそうです。山井に替えたのも今となっては素直にうなずかなければなりません。(わしはそれでもあれは間違っていたと思っているが)。
そこで、今日の馬原です。この日本シリーズを考えると、やはり9回は絶好調のファルケンボーグで締めることで「このシリーズの抑えはファルケンボーグで行く」と宣言しました。勝ったし、その意味では正しい。しかし、馬原はどうなるでしょうか。「8回は行ってくれ」では、馬原はどうにも立ち直れないでしょう。敗戦処理で使うのもプライドが傷つきます。もちろん、抹消するわけにも行きません。さらに、来年以降も考えると、馬原の「気」にもう一度賭けてほしかった。それでピンチを招いたら、そこでファルケンボーグでも良かったのではないか。2点差ならば。。。
まぁ、一野球ファンの戯言ですけどね。馬原の事を考えると、このシリーズで立ち直るきっかけを作ってほしかった。その意味では3点、4点くらいの点差があれば尚良かったのだが。ドラゴンズは地味なダメージをホークスのブルペンに与えたことになります。先発は7回まで、8回は森福と金沢、9回はファルという形になった。この1イニングのラグをどうやって埋めていくかは、今後のシリーズを占う上でも大きな投手起用になったと思います。
●中日の余裕、ホークスの勢い
落合監督は敵地で連勝したことで極端に言えば、ナゴヤで3連敗してもOKという心境だと思います。今日はネルソンでしたが、明日あさってを山井、川井で行って、敵地でもう一度チェン、吉見で行くことが出来ます。どちらも中6日。しかも、山井と川井は短期決戦の経験豊富。まだ、全く慌てていないでしょう。山井と川井を打ちあぐねると、ホークスは苦戦することになります。ホークスは今日みたいに先発を打ち崩して早い段階でリードを奪って試合を有利に進めたいところです。もちろん、チェンの中4日もあるでしょう。CSで吉見を中3日で突っ込んだように、勝負どころは畳み掛ける投手起用もあります。
ホークスは明日は最多勝のホールトンで間違いないでしょう。焦点は第5戦。中4日で和田をつぎ込むと6戦は中5日の杉内、7戦は中4日で摂津ということになるでしょう。これはドラゴンズに比べると厳しいローテーションになります。
というわけで明日も大事。仮にホークスがホールトンで落とすとなると、中日はチェンを第5戦に突っ込んできて一気にキメに掛かってきます。ホークスは明日勝てば第5戦は若い山田、和田・杉内は中6日で万全を期すことも出来ます。私は山田は非常に能力の高い投手だと買っていますが、若くて経験がないのは否定できません。もし明日を落とすと後がなくなって和田を中4日で投入せざるを得ません。今日つかんだ勢いをナゴヤでどう持続させていくか、非常に興味深いシリーズです。
1戦、2戦と延長10回に決勝点を与えている馬原。同情すれば2試合とも同点の場面での登板でした。失点は二つともツーアウトから、初戦は小池に本塁打。二戦目は荒木内野安打、井端四球、森野レフト前タイムリーでした。不運と言っては同情が過ぎます。確かに二試合目は自信を失っている様子に見えました。重圧に潰れて、制球がアバウトになっていました。
クローザーは「気」で投げる部分があります。同点の場面とリードした場面で投げるのでは、モチベーションが違ってきます。ポストシーズンなんでそんな言い訳は通用しませんが、シーズン中に同点の場面で出てくるクローザーはあまり試合にフィットできずに、痛恨の一打を浴びる場面が多々あります。もう一イニングと考えるのか、これを抑えれば勝利というモチベーションが大きいのか、不思議です。
クローザーは勝ってもニュースにならず、負けると必ずテレビのスポーツニュースで放送される、誠に因果な商売です。私もスワローズを応援してきてイムへの信頼は絶対ですが、毎回ハラハラします。武田久も然りです。クローザーはそういうポジションなんでしょう。
●クローザーのプライド
今日のプレーヤーズゲストは阪神のクローザー・藤川球児でした。藤川はファンからの支持率の高いクローザーだと思いますが、その藤川が馬原について「やっぱりプライドはありますからね」とコメントしました。チームのブルペンが繋いできた襷をゴールまで持っていく。私はストッパーという言い方はあまり好きではありません。試合を締めくくる。クローザーという呼び名こそがふさわしいと思っています。
そのクローザーのプライドを考えると、岩瀬の姿が思い浮かびます。ドラゴンズには浅尾という非常に優れた、今シーズンのMVP有力のセットアッパーが居ます。浅はかな心理だと、浅尾を9回の方が今や安定感があるのではないかと考えてしまいます。しかし、落合監督は任期中、浅尾を試合の締めくくりに使う場面はあっても、岩瀬と浅尾の順番をひっくり返すことは基本的にありませんでした。
技術的に考察すれば、岩瀬は球威よりも制球力で勝負するタイプです。9回無死無走者で出て行って低めに集めて内野ゴロを3つ討ち取るスタイル。一方、浅尾は球威があって走者を背負った場面で出て行っても、三振が取れるタイプ。そう考えると、仮に力が落ちても岩瀬と浅尾の順番は崩さないのが適切なのかなと思います。
もう一つは精神面。落合監督が岩瀬と浅尾の配置転換を指示すれば、それはすなわち岩瀬の選手生命をも左右する話です。「まだ抑えられる」という思いを秘めながら、中継ぎのポジションを受け入れるのは結構きついでしょう。クローザーは「気」で投げていますから、岩瀬という選手のプライドを最大限尊重している起用法が、今の姿なのではないでしょうか。レギュラーシーズンでは打たれることもある岩瀬ですが、日本シリーズでは2004年以来、失点していないそうです。山井に替えたのも今となっては素直にうなずかなければなりません。(わしはそれでもあれは間違っていたと思っているが)。
そこで、今日の馬原です。この日本シリーズを考えると、やはり9回は絶好調のファルケンボーグで締めることで「このシリーズの抑えはファルケンボーグで行く」と宣言しました。勝ったし、その意味では正しい。しかし、馬原はどうなるでしょうか。「8回は行ってくれ」では、馬原はどうにも立ち直れないでしょう。敗戦処理で使うのもプライドが傷つきます。もちろん、抹消するわけにも行きません。さらに、来年以降も考えると、馬原の「気」にもう一度賭けてほしかった。それでピンチを招いたら、そこでファルケンボーグでも良かったのではないか。2点差ならば。。。
まぁ、一野球ファンの戯言ですけどね。馬原の事を考えると、このシリーズで立ち直るきっかけを作ってほしかった。その意味では3点、4点くらいの点差があれば尚良かったのだが。ドラゴンズは地味なダメージをホークスのブルペンに与えたことになります。先発は7回まで、8回は森福と金沢、9回はファルという形になった。この1イニングのラグをどうやって埋めていくかは、今後のシリーズを占う上でも大きな投手起用になったと思います。
●中日の余裕、ホークスの勢い
落合監督は敵地で連勝したことで極端に言えば、ナゴヤで3連敗してもOKという心境だと思います。今日はネルソンでしたが、明日あさってを山井、川井で行って、敵地でもう一度チェン、吉見で行くことが出来ます。どちらも中6日。しかも、山井と川井は短期決戦の経験豊富。まだ、全く慌てていないでしょう。山井と川井を打ちあぐねると、ホークスは苦戦することになります。ホークスは今日みたいに先発を打ち崩して早い段階でリードを奪って試合を有利に進めたいところです。もちろん、チェンの中4日もあるでしょう。CSで吉見を中3日で突っ込んだように、勝負どころは畳み掛ける投手起用もあります。
ホークスは明日は最多勝のホールトンで間違いないでしょう。焦点は第5戦。中4日で和田をつぎ込むと6戦は中5日の杉内、7戦は中4日で摂津ということになるでしょう。これはドラゴンズに比べると厳しいローテーションになります。
というわけで明日も大事。仮にホークスがホールトンで落とすとなると、中日はチェンを第5戦に突っ込んできて一気にキメに掛かってきます。ホークスは明日勝てば第5戦は若い山田、和田・杉内は中6日で万全を期すことも出来ます。私は山田は非常に能力の高い投手だと買っていますが、若くて経験がないのは否定できません。もし明日を落とすと後がなくなって和田を中4日で投入せざるを得ません。今日つかんだ勢いをナゴヤでどう持続させていくか、非常に興味深いシリーズです。