2012年06月10日
RUGBY Pacific Nations Cup 日本VSトンガ プレビュー
本日14時、秩父宮ラグビー場でパシフィックネーションズカップ第2戦、日本対トンガのテストマッチが行われます。
新生エディジャパンにとって大事な大事な試合です。
トンガは昨年のワールドカップで負けた相手ですからね。
新生エディジャパンにとって大事な大事な試合です。
トンガは昨年のワールドカップで負けた相手ですからね。
●エディジャパンの試金石
パシフィックネーションズカップ(PNC)はエディジャパンにとってはじめて「骨のある相手」との公式戦。アジア5カ国対抗は日本にとって格下の相手だった。2015年ワールドカップで世界のトップ10を狙うエディジャパンにとって、PNCははじめての真剣勝負。トンガ、サモア、フィジーはいずれも世界のトップ10を狙う好敵手だ。
サモア、フィジーはW杯でベスト8に残った実績がある。トンガは決勝トーナメントに進出したことはないが、昨年のW杯では決勝進出したフランスを予選で破る「番狂わせ」を演じた。いずれもW杯で「何か」を為し遂げた。日本にはそういう実績はまだない。その意味ではいずれも格上で、2015年に日本が「何か」を為し遂げるためには、これから3年でこの3カ国を「圧倒」できるくらいの力をつけなければならないだろう。
日本は昨年のPNCで優勝している。PNCクラスの大会だと日本はこの3カ国と対等に渡り合える。W杯で「何か」を為し遂げるためには、更なる実力が必要というわけだ。
今回の各国来日メンバーはいずれも2015年を見据えて新ヘッドコーチを迎え、新たなチーム作りにチャレンジしている段階だ。欧州でプレーする選手もそこそこ来ている。サモアは大会後にあるスコットランドとのテストマッチを見据えて、主力級(トゥシ・ピシとか)の来日は控えているそうだが。
日本もエディジャパンが新たなチーム作り(JAPAN WAY)に取り組んでいる段階で、代表スコッドの観点から言えば、この大会の結果がそのまま今のチームの実力を反映していると言えるだろう。
●フィジー戦で見えたJAPAN WAY
エディさんはこれまでと違うアプローチでの日本代表スタイルを目指している。JAPAN WAYとはどのように定義されるだろうか。
その姿が見えたのがFijiとの初戦だった。
日本は「日本人」で構成されたチームだ。これまでの外国籍選手のパワーやテクニックに頼ったチーム作りではなく、日本らしいスタイルを標榜している。「外国人」頼りは結局、外国のチームの後追いになり、それでは何年経っても外国チームを上回ることが出来なかった。エディさんはそうではなくて、まさしくJAPAN WAYである個性あるプレーを目指している。
アタックはキックを使わず、短いパスで相手の懐に飛び込んで、すれ違いを狙う。まさしく大西鉄之祐先生が目指した「接近・展開・連続」のまず「接近」のアプローチを試している。具体的に言うと、ポイント周辺にボールキャリアーを多く立たせる。立ち位置は相手のディフェンスと極めて近い。そこへ速いパスを通して、いくつかのフェーズを重ねて、最終的にラインブレイクを狙うというものだ。サントリーでも多用した攻撃のファーストアプローチである。
フィジー戦ではこの試みは垣間見えた。にもかかわらずスパッとしたラインブレイクは皆無だった。なぜか。やぱりブレイクダウンで苦しんで、テンポが上がった攻撃が出せなかったためだろう。接点で高く入ってしまい、フィジーに抱え込まれるようなタックルを受け、次々とボールを奪われた。外国籍プレーヤーに頼らないスタイルではある程度この局面は覚悟しなければならなかったが、あまりに上手くいかなかった。
接点で相手よりも低く入れれば、そこからクイックボールが出て魅力的な攻撃が出来る。走力で相手を凌駕しようというエディさんなんで、これは時間をかけてフィットネスを向上させていけば、もっと早い攻撃が出るだろう。それも後半20分以降に。ここはまだまだ発展途上だと思いたい。
ディフェンスはしつこいタックルで相手にボールを蹴らせる戦略。これもある程度上手くいったが、それでも3トライを奪われた。いずれも身体能力で勝る相手に1対1の局面を作られて、その1対1で負けた。これもある程度仕方がない。3トライくらいは覚悟しなければならなかった。
試合は25対19でフィジーが勝利した。点差以上に実力差があったと言える内容だった。フィジーがPGをもっと決めていれば、点差はもっと開いていた。トライ数も3対1で、日本の1トライはモールを押し込んでのペナルティトライ。相手の裏に出て走りきったトライではなかった。
●トンガ戦への課題
トンガはフィジーとは似て非なるスタイルだ。自由奔放にボールをつないでくるフィジーに比べて、トンガは接点の強さを前面に出して、キックを多用し陣地を稼いでくるチームだ。特に10番のカート・モラスのゲームメイクは素晴らしく、W杯でもモラスのキックを軸に試合を組み立て、日本に付け入る隙を与えなかった。
トンガのゲームプランは接点で日本を制圧し、ペナルティやターンオーバーからキックで敵陣に入り、敵陣でも接点で勝負し、ペナルティで得点を重ね、トライも狙っていく。フィジー、サモアに比べてオーソドックスなスタイルだ。とにかく接点で負けたのがW杯で、日本にとってここをいかに打開するかが最初のポイントとなる。
今日、日本はアウトサイドセンターにニコラス・ライアンを起用してきた。接点で相手に負けないことを強く意識した布陣といえるだろう。日本は細かいパスでフェーズを重ねるところからゲームを始めるのだが、その「接近」で連続支配が出来るかがポイントとなる。100%は望まないが、いくつかテンポアップした局面を作って、相手の裏に出る攻撃を仕掛けたい。
攻撃で注目はナンバー8に入るヘンドリック・ツイである。今日が初キャップとなる。ツイの特徴はスピードあるサイドステップである。接点周辺でボールをもらうと細かいステップでタックラーをかわして前に出るスピードがある。佐々木にも同様の特徴があるが、ツイはより懐が深い。彼がボールキャリアーとなってステップで交わして前に出るようだと、攻撃の大きな推進力となる。相手のディフェンスラインを下げるような5メートル、3メートルのゲインがフィジー戦では出来なかったが、ツイの攻撃力に期待したい。
ディフェンスはフィジー戦よりも幾分楽になると見ている。フィジーの7人制仕込の繋ぎに比べると、トンガはもう少し守りやすいように思える。低くしつこいタックルとノーペナルティーが日本にとって大きな課題である。
もう一つはキック処理だ。モラスはキックを多用するSOでバック3のディフェンス、あるいはハイパント対策、さらにはラインアウトも重要になってくる。
初戦を見る限りエディジャパンはまだまだ原石の段階で、トンガ相手に楽な試合は望めないだろう。しかし、昨年のワールドカップで敗れている相手だし、ホーム秩父宮で勝ってJAPAN WAYの可能性を見せてほしい。
とにかくラグビーが2019年に向けてもっと注目度を上げるために、手っ取り早い方法は代表が強くなることしか考えられない。天気も良くなったし、満員の秩父宮で観衆を熱狂させるエディジャパンを見せてほしい。
私も現地行きます! うぉーーーー! 盛り上がってきた!!!!
パシフィックネーションズカップ(PNC)はエディジャパンにとってはじめて「骨のある相手」との公式戦。アジア5カ国対抗は日本にとって格下の相手だった。2015年ワールドカップで世界のトップ10を狙うエディジャパンにとって、PNCははじめての真剣勝負。トンガ、サモア、フィジーはいずれも世界のトップ10を狙う好敵手だ。
サモア、フィジーはW杯でベスト8に残った実績がある。トンガは決勝トーナメントに進出したことはないが、昨年のW杯では決勝進出したフランスを予選で破る「番狂わせ」を演じた。いずれもW杯で「何か」を為し遂げた。日本にはそういう実績はまだない。その意味ではいずれも格上で、2015年に日本が「何か」を為し遂げるためには、これから3年でこの3カ国を「圧倒」できるくらいの力をつけなければならないだろう。
日本は昨年のPNCで優勝している。PNCクラスの大会だと日本はこの3カ国と対等に渡り合える。W杯で「何か」を為し遂げるためには、更なる実力が必要というわけだ。
今回の各国来日メンバーはいずれも2015年を見据えて新ヘッドコーチを迎え、新たなチーム作りにチャレンジしている段階だ。欧州でプレーする選手もそこそこ来ている。サモアは大会後にあるスコットランドとのテストマッチを見据えて、主力級(トゥシ・ピシとか)の来日は控えているそうだが。
日本もエディジャパンが新たなチーム作り(JAPAN WAY)に取り組んでいる段階で、代表スコッドの観点から言えば、この大会の結果がそのまま今のチームの実力を反映していると言えるだろう。
●フィジー戦で見えたJAPAN WAY
エディさんはこれまでと違うアプローチでの日本代表スタイルを目指している。JAPAN WAYとはどのように定義されるだろうか。
その姿が見えたのがFijiとの初戦だった。
日本は「日本人」で構成されたチームだ。これまでの外国籍選手のパワーやテクニックに頼ったチーム作りではなく、日本らしいスタイルを標榜している。「外国人」頼りは結局、外国のチームの後追いになり、それでは何年経っても外国チームを上回ることが出来なかった。エディさんはそうではなくて、まさしくJAPAN WAYである個性あるプレーを目指している。
アタックはキックを使わず、短いパスで相手の懐に飛び込んで、すれ違いを狙う。まさしく大西鉄之祐先生が目指した「接近・展開・連続」のまず「接近」のアプローチを試している。具体的に言うと、ポイント周辺にボールキャリアーを多く立たせる。立ち位置は相手のディフェンスと極めて近い。そこへ速いパスを通して、いくつかのフェーズを重ねて、最終的にラインブレイクを狙うというものだ。サントリーでも多用した攻撃のファーストアプローチである。
フィジー戦ではこの試みは垣間見えた。にもかかわらずスパッとしたラインブレイクは皆無だった。なぜか。やぱりブレイクダウンで苦しんで、テンポが上がった攻撃が出せなかったためだろう。接点で高く入ってしまい、フィジーに抱え込まれるようなタックルを受け、次々とボールを奪われた。外国籍プレーヤーに頼らないスタイルではある程度この局面は覚悟しなければならなかったが、あまりに上手くいかなかった。
接点で相手よりも低く入れれば、そこからクイックボールが出て魅力的な攻撃が出来る。走力で相手を凌駕しようというエディさんなんで、これは時間をかけてフィットネスを向上させていけば、もっと早い攻撃が出るだろう。それも後半20分以降に。ここはまだまだ発展途上だと思いたい。
ディフェンスはしつこいタックルで相手にボールを蹴らせる戦略。これもある程度上手くいったが、それでも3トライを奪われた。いずれも身体能力で勝る相手に1対1の局面を作られて、その1対1で負けた。これもある程度仕方がない。3トライくらいは覚悟しなければならなかった。
試合は25対19でフィジーが勝利した。点差以上に実力差があったと言える内容だった。フィジーがPGをもっと決めていれば、点差はもっと開いていた。トライ数も3対1で、日本の1トライはモールを押し込んでのペナルティトライ。相手の裏に出て走りきったトライではなかった。
●トンガ戦への課題
トンガはフィジーとは似て非なるスタイルだ。自由奔放にボールをつないでくるフィジーに比べて、トンガは接点の強さを前面に出して、キックを多用し陣地を稼いでくるチームだ。特に10番のカート・モラスのゲームメイクは素晴らしく、W杯でもモラスのキックを軸に試合を組み立て、日本に付け入る隙を与えなかった。
トンガのゲームプランは接点で日本を制圧し、ペナルティやターンオーバーからキックで敵陣に入り、敵陣でも接点で勝負し、ペナルティで得点を重ね、トライも狙っていく。フィジー、サモアに比べてオーソドックスなスタイルだ。とにかく接点で負けたのがW杯で、日本にとってここをいかに打開するかが最初のポイントとなる。
今日、日本はアウトサイドセンターにニコラス・ライアンを起用してきた。接点で相手に負けないことを強く意識した布陣といえるだろう。日本は細かいパスでフェーズを重ねるところからゲームを始めるのだが、その「接近」で連続支配が出来るかがポイントとなる。100%は望まないが、いくつかテンポアップした局面を作って、相手の裏に出る攻撃を仕掛けたい。
攻撃で注目はナンバー8に入るヘンドリック・ツイである。今日が初キャップとなる。ツイの特徴はスピードあるサイドステップである。接点周辺でボールをもらうと細かいステップでタックラーをかわして前に出るスピードがある。佐々木にも同様の特徴があるが、ツイはより懐が深い。彼がボールキャリアーとなってステップで交わして前に出るようだと、攻撃の大きな推進力となる。相手のディフェンスラインを下げるような5メートル、3メートルのゲインがフィジー戦では出来なかったが、ツイの攻撃力に期待したい。
ディフェンスはフィジー戦よりも幾分楽になると見ている。フィジーの7人制仕込の繋ぎに比べると、トンガはもう少し守りやすいように思える。低くしつこいタックルとノーペナルティーが日本にとって大きな課題である。
もう一つはキック処理だ。モラスはキックを多用するSOでバック3のディフェンス、あるいはハイパント対策、さらにはラインアウトも重要になってくる。
初戦を見る限りエディジャパンはまだまだ原石の段階で、トンガ相手に楽な試合は望めないだろう。しかし、昨年のワールドカップで敗れている相手だし、ホーム秩父宮で勝ってJAPAN WAYの可能性を見せてほしい。
とにかくラグビーが2019年に向けてもっと注目度を上げるために、手っ取り早い方法は代表が強くなることしか考えられない。天気も良くなったし、満員の秩父宮で観衆を熱狂させるエディジャパンを見せてほしい。
私も現地行きます! うぉーーーー! 盛り上がってきた!!!!
トラックバックURL
この記事へのコメント
1. Posted by hau 2012年06月11日 12:24
ターンオーバーが……