2014年07月10日

奥山貞三の生きる知恵−新書を読もう 「地方にこもる若者たち : 都会と田舎の間に出現した新しい社会」

「地方にこもる若者たち : 都会と田舎の間に出現した新しい社会」 阿部真大 朝日新書

阿部真大:wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%98%BF%E9%83%A8%E7%9C%9F%E5%A4%A7

Facebook友達の宮崎に住む尾崎哲夫さんの読書会で使われる新書である。


表紙裏の解説では、
都会と田舎の間に出現した、魅力的な地方都市。若者が地方での生活に感じる幸せと不安とは―?気鋭の社会学者が岡山での社会調査を元に描き出す、リアルな地方社会の現実と新しい日本の姿。

章立ては現在篇に3章、歴史篇に1章、未来篇に2章である。

この新書は阿部氏が重要な個所は太字にしてくれ、かつ篇ごとに要約を書いてくれてありわかりやすいかと思うと違って、そうは問屋が卸さないのである。
歴史編のJ−POP についてグループ名はわかっても、具体的なアルバム名や歌の題名になるとお手上げで、読みながらYOU TUBEのお世話になった。


現在篇 地方にこもる若者たち

第1章 若者と余暇―「ほどほどパラダイス」としてのショッピングモール

ここは軽くザーッと読む。P82の「まとめ」をさらに要約する。

1.1990年代以降のモータライゼーションが生み出した大型ショッピングモール等が立ち並ぶ郊外は地方の若者にとって「ほどほどの楽しみ」になっている。

2.地方都市の「ちょうどよい」感じは田舎とも大都会とも違い理想的な場所になっている。


第2章 若者と人間関係―希薄化する地域の人間関係

P83の「まとめ」をさらに要約する。

3.モータライゼーションは家族と同世代の仲間だけで構成される、煩わしさのないノイズレスな人間関係は若者たちの地方都市の魅力を高める。

4.地域社会での若者たちの人間関係は希薄であるが子育てなどをきっかけに新たに地域社会に参加していく可能性がある。


第3章 若者と仕事―単身プア/世帯ミドルの若者たち

5.地方の若者の仕事に対する満足度は友人・家族に対するそれより著しく低い。90年代以降の構造的不況による労働条件の悪さがある。

6.仕事への低い満足度は仕事のやりがいや親の同居(パラサイト生活)によってカバーしているが一時的なものである。一部の若者は新しい仕事を始め現状打破を図るものも出てくる。


歴史篇 Jポップを通して見る若者の変容

第4章 地元が若者に愛されるまで

1.80年代、若者の自分らしさとは社会への「反発」により担保されていた。彼らの地元は退屈な日常を象徴した。
⇒「反発の時代」…BOOWY

2.90年代、地域社会の空洞化や管理教育の見直しは若者の反発すべき「大人の世界」の安定性を崩壊させる。自分らしさは夢を叶えようと努力することで獲得される。
⇒「努力の時代」…B‘z

3.若者の努力は競争となり、「勝ち組」「負け組」を作る。それを避け、「人と人との関係性」によって自分のアイデンティティを見出す。
⇒「関係性の時代」…ミスチル

4.2000年代、モータライゼーションは第1章で書かれたような「楽しい地元」を出現させた。
⇒「地元の時代」…キック
⇒2010年代 「ポスト地元の時代」…ワンオク、ラッド(cf:第5章)


未来篇 地元を開く新しい公共性

第5章「ポスト地元の時代」のアーティスト

1.   2010年代、「他人のことはわからない」という前提を持ちながらも「他人と衝突しながら自分を高める」という価値観をもち、自分らしさも他者との出会いの中で試行錯誤しながら見つけるようになる。

2.  社会の安定性の崩壊は公共性を喪失させた。「ポスト地元の時代」では「新しい公共」の構築が求められる。
○2010年代は「新しい公共」…民主党政権のもとで唱えられた旧来の血縁や地縁によらない新しい人的ネットワーク
○ONE OK ROCK(ワンオク)…「柔軟な決断主義」、謙虚な俺様…エモ(エモーショナル・ハードコアに略)の影響を受ける。
○RADWIMPS(ラッド)

第6章 新しい公共性のゆくえ

1.流動性・多様性の増す現代社会におおいて、若者たちは2極化する。

・「分離」(違う者同士互いに干渉し合わない)
…ハイポコミュニカティブ(過少にcommunication志向)→男性に多い

・「統合」(違う者同士がぶつかり合い落としどころを探っていく)
   …ハイパーコミュニカティブ(過剰にcommunication志向)
→女性に多い

2.「ギャル的マネジメント」とは身近な人間関係の多様性に意識的で、同質的な仲間集団に対する愛着心は強く、異質な他者とのコミュニケーションをいとわず集団をまとめ上げていくような仕切り方をさす。

・「分離」→「統合」へとステップアップするのに必要な資質
 ⇒内にこもる若者を外に引き出す鍵
 ⇒「新しい公共」の構築への鍵

3.阿部氏は、現在「こもっている」若者は「同化」ではなく「分離」の段階にあると書く。 

○(P182)多様性への対応
・第1段階 抵抗…違いを拒否する<抵抗的> 
・第2段階 同化…違いを同化(無視)させる<防衛的>
・第3段階 分離…違いを認める<適応的>
・第4段階 統合…違いを生かす・競争優位につなげる<戦略的>


teddy__boy at 00:30│Comments(0)TrackBack(0)clip!新書 | 生き方

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