2006年01月31日

医学は科学ではない

医学は科学ではない



医学は科学ではない
ISBN:4480062785
203p 18cm
筑摩書房 (2005-12-10出版)
米山 公啓【著】

移動のJRの中で読み終えた本です。


医学を学んでいる人にとっては,非常にショッキングとも取れる題名の本ですが,少なくとも,科学を学んだことのある人で,医学もかじった人には納得できることかも知れません。


CoSTEPでも,医学ネタが多く取り上げられましたが,CoSTEPの受講生も医学すべてを科学的であると考えている人が多かったようです。

医学はその昔,医術と呼ばれていたように,術(すべ)だったものです。
経験則に基づき,症状を分類し,それに対して適切と考えられる薬草などを用いて,回復を待っていました。

医学が科学かどうかは,異論があるとは思いますが,私個人の意見では,臨床医学の中には,まだまだ科学的とは言えないものも多く含まれていると考えています。

臨床医学とは,医者や医療従事者が実際の患者さんを前に,治療や処置を行なっていくものです。
この本のなかでは,プラシーボ効果を例にあげて説明しています。

本来,プラシーボ(偽薬)を使っても病気は治らないはずです。
しかし,医者や医療従事者との信頼関係が確立している場合,偽薬によって治ってしまうことがあります。
また,本来の治療薬を処方していても,信頼関係がうまく構築されていない場合には,予想される効果が現れないこともあります。

対象が心を持ったヒトである以上,上記のような反応が起こるのは当たり前と言えば当たり前なのですが,再現性が科学の指標とするならば,とうてい科学とは言えない要素を多く含んでいます。

最近は,EBM(証拠に基づく医療)が注目を浴びていますが,統計学的に処理をしていくと,必ずその統計からはずれる症例が出てきます。


医学と名の付く分野の研究を行なっている私にとって,考えなければならないことは多そうです。

tehiro at 23:13│Comments(0)TrackBack(1) 

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