東大ロー 底辺合格者のブログ

どうも,お久しぶりです。

 

 ついこないだガキの使いを見たと思ったら,もう2月になってしまいました。早いですねー。

 早いといっても,今年の自分にとっては意味合いが違います。というのも,1月から働き出して,で気づいたら2月に入ったという感じで,必死だからこそ早かったのかな?という感慨があります。

 

25歳過ぎまで続いた学生生活とは,やはり違います。修習生の時も,定時で帰ってよかったとか,体調不良なら取り敢えず休んでいいとか,結局は研修生=学生でしたからね。今までバイトはしていましたけど,好きな時にちょこちょこ働くのとはやっぱり違います。

と言っても,まだ新人なので,先輩方に比べると業務量は著しく少ないです。特に4、5年目の先輩方はかなり忙しそうで,夜遅く,休みも返上でやることもあるっぽいですね。今のところは,私はそんなことはなくて,帰りにジムに寄ることもできています。それでも,修習生のときと違って,その場の思い付きでやりたいことをやるということは出来ませんで,本当に自分がやりたいことを見定めて,そのうえでスケジュールをパズルのように埋めていかないと回らなくなりました。

 

 さて,せっかく働き出したわけですので,働き出したからこそわかる実情?みたいなものを書いていければと思います。

 

1 新人の業務内容

業務内容としては,まずは弁護修習の延長のような感じで,だいたいは相談や事件で上司と同席する,上司に言われたリサーチをやる,簡単な書面を書いてチェックしてもらう,という感じです。ただ,そのリサーチ等の内容がだいぶ難しくなるのと,一応弁護士なので要求水準が高くなるという違いがあるってところです。

そもそも事務所によっては,最初は研修ばかりという所も多いです。中には最初からバリバリ一人で弁論とかやっている人もいますが,そういうところは例外という感じがしますね。いきなり一人前にはなれませんから。

人数構成的に相談できる上司がいない事務所の人は,苦労している感じでした。

 

調べものが基本になるので,自分がこれから扱う分野に限らず,基本書は取っておいた方が良いと思います。

 

2 環境

私のロー同期が入所した事務所はほとんどが企業法務系なわけですが,今は研修中等なので早く帰れるとはいえ,本格的に働きだしたらだいたい10時~24時が多数という感じですね(忙しいと9時~26時,暇なら10時過ぎ~21時みたいに幅はありますが)。この時間にいなければならないというわけではなくて,いないと仕事が終わらないわけです。

で,土日も休みとはいえどちらかは出て11時~19時くらいは働くんでしょうね。特に大手準大手ともなると土曜日はほぼ平日同様に働き,日曜日だけ4時間くらい働く,というサイクルになるっぽいです。

ある程度の給料がもらえるところは,基本的にこれくらい働くわけですね。外資系のような超実力主義の事務所,定型業務だけに一点特化することで限りなく効率化している事務所なんかは時短高給ですけど,まぁそれぞれデメリットはあるわけで。

 

パートナーの帰る時間が早いとかで自分も早く帰れると思ってた修習同期が今かなりショックを受けているので気を付けてください笑。

 

3 個人事件

 これが一番驚きましたが,たとえば個人事件は3割事務所に納入するみたいなところが多いと思います。でも,実際にはみんな隠れて個人事件をやっているみたいです。もちろん事務所業務に迷惑をかけるわけにはいかないのでむやみやたらに受任することはできませんが,お小遣い稼ぎといった感覚のレベルの事件はみんないちいち申告しないみたいです。

事務所の業務というのも忙しさの波がありますから,暇なときにやってみる分には安全そうですね。

 

 

こんなところでしょうか,また気が向いたら追加します。


そういえば1月ってなにも書いてなかったんですね,1か月1記事とか普通に吹き飛びましたね笑

今回は刑事裁判です。

刑事裁判は教官によって教える内容がかなり違うようですので,最低限のマニュアルとして活用してください。


1 基本手順

(0) 最重要ポイント

① どの科目でも同じだが,問題文をよく読む。

設問ごとに基準時(公判前段階で証拠が見られないのか,尋問も終わりすべての証拠が見られるのか),当事者の主張立証内容が異なる(「仮に○○を立証した時~という設問」)ことが多い。勝手に基準時より後に出る証拠を考慮に入れないこと。

→設問ごとの指定ページを見れば,おおよその配点がわかるから,これを参考に時間配分も決められる。 

② 意味合い・重みの検討に全力を注ぐ
→民事裁判と異なり,大量に間接事実を拾うことは求めていない(せいぜい5個)が,その分意味合いと重み(=具体的な反対仮説とその可能性の程度の検討)を入念に検討しなければならない。ここに大量配点があるから,適当に拾いまくってお茶を濁すことは出来ない。しっかり時間をかける。

⑴ 小問

316条の32の証拠制限等を書かせる問題。

→知識の吐き出しをさせようというものではない。配点割合も低いので(約1/4),さらっと現場思考で切り抜ける(ちなみに二回試験では集合で扱った小問と同じようなものが出た)。

意味合い重みをどこかで検討することになることが多いので,わからなければ適当に意味合い重みを書いておけば良いと思う。
→小問が壊滅してもAはつくらしい。気にするな!

※70期では証人採否と接見禁止決定についての小問が集合で出されたが,前者であれば「その承認を採用する必要性」という部分でその証人が主要事実をどう推認させるか・その重み,後者であれば「罪証隠滅された場合の影響」として働きかけ得る証人・証拠が主要事実をどう推認させるか・その重みを検討することになる。
 もちろん,上記はそれぞれ他に検討する事項はある(犯罪の重大性とか)が,それは参考書にも書いてあるはず。差は上記の意味合い・重みをきちっと書けているかどうかでつくっぽいので。

⑵ (公判前整理段階で)検察の主張する事実の意味合い重みを検討する設問

→いわゆる主張整理問。P主張の間接事実が存在したとした場合,その間接事実からどのように要証事実が推認されるのか(意味合い),その反対仮説として具体的に考えられるケースの可能性はどれくらいあるのか(重み)について書く。 

→ということで,証拠からP主張の間接事実が認められるか否かは検討対象ではない。「P主張の間接事実が存在したとして」という話だから。この部分は証拠上認められないから省くとか,逆にこの部分は付け足せるとか,P主張の間接事実をいじらないこと。そもそも公判前段階なので証拠は見られない。

 →内容としては以下の4ステップになる。

① 要証事実を把握(+記載)
→検察官は,証明予定事実記載書において「どの間接事実で,何の要証事実を立証します」ということを書いている。だから,記載書の該当箇所を抜き出せばそのまま要証事実になる。 

② 間接事実を把握
→これも検察官の述べる間接事実をそのまま引用しなければならないし,それで足りるから,証明予定事実記載書に書いてあることを引っ張ってくればよい。 

③ 意味合いを検討~経験則等
→経験則とは,たとえば「一般に,デブはエレベーターを使う」という「一般に,通常,普通は○○」というもの。この経験則により,「Aはデブ」という間接事実から「Aはエレベーターを使う」という要証事実が推認できる。
 そして,ある間接事実から,どのような経験則を経て,要証事実が推認されるのかを書くのが,意味合い。
 急いでいるといきなり反対仮説の検討に入りがちだが,前提として必ず経験則(意味合い)を検討すること。

 →順序としては,以下のようになる。

Ⅰ 経験則摘示
→普通,デブはエレベーターがあるならエレベーターを使う。

Ⅱ 本件への経験則のあてはめ(←忘れがち!注意。)
→本件建物にはエレベーターがあり,Aの体型は170cm120kgで脂肪率40%である(間接事実)から,エレベーターでここまで上ってきた(要証事実)。

 

※経験則のコツ
→一般に経験則は「原因ー結果」という関係が両事実にある場合に「一般に原因があれば結果もあるでしょう」と推認するものと言える。
→たとえば,上記のエレベーターであれば,デブだからこそエレベーターに乗るのであって,間接事実が原因になる。よって,経験則の骨は「一般にデブであればエレベーターに乗るでしょう」というものになる。
→逆に,「ダイエット意思がある」が要証事実だとして,「最近麺類を一切食べていない」という間接事実を考えてみると,「ダイエット意思があるから麺類を食べていないのだ」ということになるから,要証事実が原因,間接事実は結果。ということで,「一般にダイエット意思があれば,麺類も食べないでしょう」というのが経験則の骨ということになる。

→あとは適当に肉付けすれば考えている風を出せてよい。おススメは,「(反対仮説で指摘するような話の抽象論)が無い限り」というもの。
 たとえば,エレベーターでは下記のように「ダイエットのため階段を使っていたかもしれない」という反対仮説を指摘するが,これを抽象化すると「デブなのに敢えて運動する理由があった」という話になる。そこで,経験則では「一般にデブは疲れやすいから,あえて運動する理由が無ければ,エレベーターを使う」と書けば,なんとなく考えている風になる。
→具体的な話を書いてしまうと反対仮説の先取りになって棲み分けが出来てないと評されるので注意。余裕がなければ上記の骨だけで十分。

→場合によってはどちらが原因とも結果とも言えないこともあるが,上記のように意識して定型的に処理してしまう方が良いと思う。
 

④ 重みを検討
 →「意味合い」で触れる経験則が「間接→要証」を説明するストーリーであるのに対して,「重み」で触れる反対仮説とは「間接→not要証」を説明するストーリーである。

 この反対仮説の存在可能性が高まれば高まるほど,反比例的に「意味合い」の推認力=重みは弱まる。この検討により,各間接事実の推認力の程度が具体的にわかる(意味合いの段階だと推認力があることしかわからない)。

Ⅰ not要証事実の確認

 上記の例で言えば,「Aがエレベーターを使っていないこと」となる。
Ⅱ 「間接→not要証事実」となる具体的な仮説を考案する。

 たとえば,「Aはダイエットのために階段を使っていた」という具体的な仮説を指摘する。「何らかの理由でエレベーターを使わなかった可能性がある」では具体的でないので駄目。
Ⅲ Ⅱの具体的仮説の可能性程度を検討

 たとえば,もし建物が3階なら,ダイエットで階段というストーリーはそれなりに可能性がある。これに対して,もし建物が東京タワーなら,上記の例と異なり可能性はかなり低い。つまり,逆に言えば,東京タワーの場合はエレベーターを使ったのだろうと強く推認できる。

 このように,各具体的ストーリーの可能性の程度を検討することで,反比例的に意味合いの強さが図れる。

 ⑶「(尋問終了時点で)○○の事実が認められるかを検討する」もの。

→最後の設問で,配点も最も多い。⑵に加えて,証拠からどの間接事実が認定できるか(=検察官主張の証明予定事実が本当に認定できるか),そして総合考慮が必要になる。つまり,各間接事実から要証事実への意味合い・重みの検討も必須である点に注意。手順を以下確認する。

 ① 要証事実を把握する

 →要領に「○○について」と書いてあるので,これが要証事実である。

 ② 主張整理を参照して検討順序を考える

→大抵は,「争点整理の結果を参考にして」起案するよう指示されている。基本的には,最終公判前整理手続期日のところで争点整理の結果が確認されるので,これを参考にすることになる。

 ③ 証拠構造・間接事実の把握

→検察官がどのような証拠構造で立証しようとしているのかは,争点整理の結果だけではわからないので,証明予定事実記載書を確認する。


※間接事実の長さ

 長くなりがちだが,証明予定事実記載書を参考にすれば,せいぜい3行程度までとわかる。あまり長いと本来2つの事実を一つにしてしまっている恐れがある。

 ④ 各積極的間接事実につき,認定根拠を記載

→いわゆる認定プロセスで,検察官が掲げた積極的間接事実がどの証拠から認定できるかを書いていく。基本的には書証・証言・AQから認定する。認定自体が特に争われていないなら,簡単に認定して意味合い・重み検討に入ること。
※意味合い重みの方が大事なので,争いがあってもポイントに絞って。特に証言の信用性は下記の通りポイントが複数あるので書きまくれるが,要点に絞る意識を持つ。(当然要点はちゃんと書く)

 

 ※証言について

 重要な間接事実で,かつ検察側と弁護側で争われている(証言内容が真逆の者がいる等)場合は,きちんと信用性を検討したうえで証言から事実を認定することになる。

 信用性の検討は,

① 供述を裏付ける証拠の存否
→客観性の高い証拠(から認定できる事実)との符合,複数供述一致など。最も重要なファクター。「その供述通りなら出るはずの証拠が出ない(指紋付着など)」といった場合もこれにあたる。

② 知覚・記憶条件

→視認状況など。

③ 供述経過・不合理な変遷の有無
→特に核心部分であって普通忘れないようなポイントが変遷している場合は信用性が無くなる。逆に,一貫していれば信用できるというものでもない。

④ 事件・被告人との利害関係

⑤ 供述内容の具体性・合理性

⑥ 供述態度

を主に見ていくことになるが,上記の通り,証言全体を検討する必要は無い。その証言のどの部分から間接事実が認定されるのかを考え,その部分こそ証言の核であるから,信用性を検討する。

 

※被告人供述について

証言と基本的に検討視点は同じ。使い方は3つあり

 ① 認定自体を争う

→「そもそもそんなことはしていない」と主張する場合。基本的には認定根拠が信用出来ること+認定間接事実に関する部分の被告人供述が信用できないこと,と書く。

 ② 意味合い・重みを争う

→反対仮説通りのことが実際に起きたとして,その存在可能性を高めようとする場合。反対仮説の可能性の少なさを指摘するとともに,被告人供述の信用性を弾劾する流れになるだろう。

 ③ 消極的間接事実の提示

→他証拠から認められるものの他,消極的新事実として被告人が供述する場合。これも基本的には認定根拠の弾劾&被告人供述の弾劾という形を取ることが多い。

 なお,消極的間接事実の意味合い・重みがそもそも無いのであれば,そこまで厚く書かなくてよい(仮に信用出来ても推認力が低いままだから)。

  ④ 意味合い・重みの検討

 →認定して終わりとする者が多いが,配点の半分近くがあるので必ず検討すること。やるべきことは主張整理問と同じ。
 ⑤ 積極的間接事実の総合評価

 →検察起案でも書く内容だが,要は各間接事実の関係(相互関連するのか,独立存在なのか)を指摘したうえで,仮にnot要証事実であったとしてこれらすべて偶然認められるということがあるのか(いや無い)ということを書く。

 ⑥ 消極的間接事実の認定・意味合い重み検討

→一応⑤で「認められる」という結論に至ったのであれば,消極的間接事実を考慮してもなお合理的疑いは生じないかを検討しなければならない。逆に言えば,⑤で認められないとなったなら不要。

→弁護人が明白に消極的間接事実を指摘しているなら,その認定検討も配点があるはずなので,⑤で「認められる」とした方が良いと思われる。内容は積極方向と同様。

 ⑦ 結論

 消極方向を総合考慮したとしても,合理的疑いが生じないか否かを書く。

 
2 各論

 1 立証構造

 ⑴ 直接証拠

→その証拠の信用性が認められれば,推論の過程を経ずに直接,要証事実を認めることが出来る証拠。犯人性が問題となる場合の,被害者の被告人犯行目撃供述など。

 

※検察起案では被告人供述は(仮に自白でも)最後に検討するルールがあるが,刑事裁判では特にない(当然自白として補強証拠は必要)。

 とはいうものの,ほとんどの刑事裁判起案事例は争いがある事案で,被告人供述は否認ストーリーなので,トップに自白&補強証拠を書いて終わりというケースは少ない(まず積極証拠から検討するので,否認被告人供述はトップに来ない)。

 ⑵ 間接証拠

→要証事実の存否を間接的に(推論の過程を経て)推認させる事実である間接事実を認定できる証拠のこと。たとえば犯人性が問題となるケースにおける,犯人使用凶器に被告人指紋が付着していたことを示す鑑定書など。

 ⑶ 補助証拠

→証拠からその事実が認定できる程度=証明力について,その判断根拠となる証拠。たとえば直接証拠たる目撃証言であれば被告人の視力検査書(信用性アップ→被告人犯行ありと認定しやすくなる)など。
2 直接証拠による立証の場合

 →直接証拠が信用できる=要証事実認定となるので,議論はその信用性の有無に集約される=積極・消極の補助事実の総合評価になる。

  ※凶器指紋付着なども直接証拠の裏付けとして補助事実となる。もっとも,直接証拠の信用性が認められなければ間接証拠型に移行するところ,そこで凶器指紋付着を間接事実として用いることはもちろん可能である。

3 間接証拠による立証の場合

 →間接証拠型の場合も,間接証拠から狙った間接事実が認定できるのかという証明力は問題になる。

 

 →間接事実が認定できるとして,

 ①その間接事実があるとどのような推論に基づき要証事実が推認されるのか(意味合い)

 ②その推認力はどの程度か(重み)

 ③それらがどのような関係にあるのか(相互関係)

 ④組み合わせることで要証事実が認定できるのか(総合評価)

 が問題になる。
 
 →意味合い重みの議論をして欲しいため,こちらの間接証拠型が出題されることがほとんど。特に殺意等の内心については,自白していない限り間接証拠型になるので,よく出題される。

 

 

3 重要概念のまとめ

0 前提

→主要な犯罪の構成要件程度は覚えておく。検察のために必要ということもあるし,当事者が何を主張しているのかわからないおそれがある。

 

1 共謀

→共同正犯の成立要件の一つ(共謀&共同実行)。

→共謀=犯罪の共同遂行の合意(主観説)。内心であるから,自白以外はすべて間接証拠ということになる。大抵は,検察官の証明予定事実記載書・尋問調書によって,どれを使うかくらいはわかる。


※殺意でも同じだが,内心が要証事実の場合は,間接事実として「Aが何をしたのか」を積み重ねることで,その内心を推認するしかない。「Aが何をしたのか(見たのか,聞いたのか,言ったのか等)」を丹念に拾い集めると良い。

① 共犯性

→特定の犯罪の意思連絡(Aが共犯者と共同して特定の犯罪を行う意思を通じあっていたといえるかどうか)

※「特定の犯罪」が何を指すのかはきちんと把握する。「侵入強盗の意思連絡」なのであれば,反対仮説として「単なる侵入窃盗の意思連絡に過ぎなかった」というものが出るが,「なんらかの犯罪の意思連絡」という程度で把握してしまうと上記反対仮説は弾かれてしまう。

Ⅰ 謀議行為その他の意思疎通行為(客観的外形的な行為)

→意思疎通時の状況・そこに至る経緯・意思疎通後の事実経過など。メイン。

→「○○罪をやろう」という発言と承諾があれば問答無用で意思連絡ありとも思えるが,これはあくまでそういう情報伝達がなされたという事実であり,実際に共犯者の内心として相互認識があったことはやはり推認が挟まる(やる気もなく発言承諾するものでないという経験則)。

Ⅱ 役割分担,犯行への寄与

→相互認識したからこそある程度重要な行為をしていると推認。

Ⅲ 被告人と共犯者の関係・・・意思疎通行為の有無の前提

→客観的に意思疎通行為を認定できない場合や,黙示の意思疎通行為しか認められない場合には,犯行以前の関係性が重要となることが多い。

→知り合いだったから黙示でも意思疎通できたと推認。

 

② 正犯性

意思連絡はあったという前提で,かつ自己の犯罪を行う意思によっていたか。要は幇助ではないということを認定するための要件。したがって,反対仮説は「幇助では?(自分で進んでやっていないのでは?)」というものになる。

→したがって,間接事実としては「中心となって犯罪準備行動や実行行為,事後処理を担当した」「分け前が一番多かった,それなりにもらっていた」等が多くなる。

 

※強盗の意思連絡を検察が主張している際に,弁護人が強盗も窃盗も意思連絡は無いと主張したらどうするか。
→強盗の意思連絡を判断した後,強盗が認められないのであれば,窃盗の意思連絡を判断する。

  

2 殺意

 ⑴  殺意の意義

 →自己の行為によって人の死という結果が発生することを認識し,かつ認容すること

→意図型と認識型とよく分けられるが,これはわかりやすく言えば,事前に「なんとしてでも殺そう」と計画・意図して殺すものと,行為時に死ぬかもと認識しながら実行して殺したに過ぎないという2種に分けられるということ。要は謀殺なのか突発激情型なのかということ。

→当然事前に殺そうとする方(保険金殺人に多い)が立証すべき事実は多い(事前動機や準備等)。このため,意図型主張→ダメでも認識型主張とされる。裁判官としては,まず意図型が認められるか→認められないなら認識型はどうか,と考えていく。

 
 ⑵ 意図型と認識型

 →多くのパターンでは上記の通り意図型→認識型と検討していく。
 →両者の分かれ道は,「なんとしてでも殺そうと意図していなくてもそのような殺人行為に出ることはあるのでは?」という反対仮説が成り立つかどうかがポイント。
 たとえば,被害者に睡眠薬を飲ませて起きないようにしたうえでマシンガンを至近距離から放ったというのであれば,最早それは殺そうと意図していなかったとは言えないだろう。
 逆に,殴り合いの喧嘩をしていた最中に劣勢に陥り,反撃として近くにあった石で頭を叩いたら死んだというのであれば,「喧嘩開始当初は殺す意思は無かった」という反対仮説は到底排除できない。

 Ⅰ  客観的行為態様・その危険性(どのような凶器でどう攻撃したか)

→凶器の形状(長い程,刺せばヤバくなる),刺した部位・傷の方向(中心に近い程ヤバい),傷の深さ等。
→要は「そんなんやったら死ぬやろ…」という行為かどうかということ。

Ⅱ  結果発生の予見(行為の危険性の認識)

→無我夢中で振り回したら当たった等の被告人供述があれば,単に行為が危険だったと言うだけでなく,「きちんと自身の行為の危険性を認識したうえでやっている」ときちっと言う必要がある。 

 

3 正当防衛
⑴ 正当防衛の認定構造

① 急迫不正の侵害

→急迫とは,法益の侵害が現に存在しているか,差し迫っている場合を指す。

直接証拠は観念できないので,意味のある事実を認定して評価する必要がある。

② 防衛の意思(侵害に対応する意思)

 →自白は直接証拠となりうる。ただし殺意と同様,意味のある事実を認定して評価する必要。

③ 相当性

→評価の問題。

 

→そして,検察官は正当防衛が成立しないことを立証しなければならない。すなわち,急迫不正の侵害が無い(①否定)or積極的加害意思である(②否定)or相当でない(③否定,ただし過剰防衛)のどれかを立証するための間接事実を挙げてくることになる。

⑵ 急迫不正の侵害の認定

 →まず,何を急迫不正の侵害としているのかを明確に指摘する。それをしないと相当性の検討もできない。

 →Vが何もしていないのに正当防衛を主張することも無いので,大抵はVの侵害が既に終了していた(それ以上攻撃する意思を失った)ことを基礎づける事実が挙げられる(暴行中断等)。

⑶ 防衛の意思の認定

 →急迫不正の侵害に対応する意思。防衛の名を借りて攻撃しようという意思による行為(積極的加害行為)に出た場合に限り否定される。

 →侵害に対して明らかに過剰な攻撃をしているくらいか。あまりここで切ることは無い。
 

※もともと被害者側の攻撃を予期し,それに乗じて攻撃してやろうという積極的加害意図の話とは違う(こちらは,急迫性(←単なる予期では否定されない)が否定されるケース)。

 
⑷ 相当性の判断基準

→武器対等の原則があるが,体力差・年齢差・防衛行為の態様も考慮する。


※誤想防衛について

→誤想防衛であれば,Aの認識上正当防衛が成立する状態であれば良い。逆に言えば検察としては①②③のどれかについて×とAが認識し得た事実を言うことになる。

→大抵は正当防衛&誤想防衛なので,「正当防衛不成立を基礎づける事実をAも認識していたこと」という間接事実になる。

 

12日の発表後,実務修習地への挨拶回りも済み,終了証書も届き,やっと今落ち着いています。
同期の中には発表のわずか2日後から働き始める人もいて,なんというか凄いですね。

さて,やっとこさ修習も終わったので,対策について書いていこうと思います。71期以降の人は是非,参考にしてみてください。
今回は総論として,次回以降は科目ごとに書いていくつもりです。

なお,あくまで弁護士志望の人向け=修習を終えられればOKの人向けですので,悪しからず。



0,注意
 司法試験も新になったり人数が増減したりと変化が激しいですが,修習も負けず劣らず非常に変化が激しいです。
 研修所がスタンダードとして教える内容も変わりますし(よってされた説が記載された説に変更とか),二回試験の配点・出題傾向そして不合格率も60期前半とは全く異なります(このため一昔前のマニュアルは最早あまり貰っても嬉しいものではなくなっています)。
 これは,70期の僕の記事が最も役に立つんや!ということではなく,70期の僕の記事も71期以降の方には参考にならない可能性があるということです。特に,70期は最後の貸与世代。71期以降はまた不合格者が増えるかもしれません。その辺りは踏まえておいてください。

※個人的には,給費制に戻るとはいえ60期前半ほど貰えるわけではないこと,法曹人気低迷の中二回試験で落とすといよいよ人気が無くなること,追試が無いのでダメージが今の方が大きいことから,60期前半レベルの不合格率に戻るとは僕は予想していません。
 とはいえ,69期は民事弁護で述べるように悪問があったので不合格率が高く,その反動として70期はある程度真面目に勉強し,また二回試験にスタンダードな問題ばかり出たため,不合格率が非常に低くなったという経緯もあります。
 来年以降はいつも通り2パーセントくらいの不合格率になってもおかしくないので,用心はしておいてください。



1,修習の流れ・位置づけ
 修習は簡単に言うと
9月に司法試験合格
→12月頭に導入修習開始→12月末に終了
→1月頭から実務修習開始→8月お盆前に終了
→東京大阪周辺配属修習生のみ8月お盆明けから集合修習開始,それ以外は選択修習開始→9月末に終了
→10月頭から逆が開始→11月20日くらいに終了
→二回試験
 という流れです。
 で,修習終了と言われるためには,二回試験で合格すること&実務修習と選択修習で合格すること,が必要になります。つまり,二回試験でいくら優秀な成績を取っても,実務修習で問題を起こし一科目でも不可になると修了できません。
 といっても,二回試験以上に実務修習で不合格になる人は少ない(2,3年に1人いるかどうかというレベル)ので,与えられたタスクはこなす程度の真面目さで修習すればOKです。
 なるべくしない方がいいですが,病欠等も事前連絡すれば30日くらいは可能ですし,理由ある遅刻早退も連絡・遅刻早退届けをきちんとすればOKです(しないと大変なことになる模様)。


 となると,目下弁護士志望の人は二回試験を突破することが第一になるわけですが,正直な話,実務修習を真面目にこなした上で,集合修習で教わった内容(民事弁護のみ導入も少々)を復習すれば,二回試験は確実に合格します。

 実務修習中は,とにかく指導担当裁判官・弁護士・検察官に与えられたタスクを誠実にこなせば十分です。下手になんでも二回試験対策につなげて考える必要はない(=実務修習のうちから二回試験起案の型を覚え込む必要は無い)です。形式面は集合でやれば良い話。
 実務修習は,二回試験対策の基盤として必要な「法曹であれば最低限持つべき経験則相場感・手続知識・倫理」を養うことが第一の目標なんだと思います。
 これらが無いと,いくら集合修習で形式面を学んでも,突飛すぎる経験則を披露したり,重要な期日調書を見落としたり,一発懲戒事由になる法曹倫理違反行為をしたりして,二回試験で不合格になる可能性が生じてしまいます。


 もちろん,集合も期間が短いので,要件事実くらいは集合開始前にやっておいた方がいいかもしれませんが,それだって選択修習期間等にちょいちょいとやればよく,実務修習時から必死こいてやるほどのものではありません。

 また,導入は怒涛の勢いで過ぎていくので不安になるかもしれませんが,きちんと集合に活かすためにノートを取り,そして友人をクラスで作れたなら,それで十分です。


 結局,導入&実務修習はとりあえず修習中は真面目にやり,修習後の夜&休みの日はきっちり遊び,で二回試験固有の対策は集合で一気にやる,これでいいと思います。


※JPの実務修習について
 JとPについては,実務修習から本格的にリクルートが開始されます(導入でも起案はありますが,あくまで成績はつかないので)。

 Jについては,やはり実務修習において実施される起案すべてでA(上位3分の1)を取ることが必要条件となるようです。そのうえで,面接や経歴(志望度・学歴・年齢・ロー&司法試験成績・他事務所内定など,事務所就活と同じ)すべてが見られ,内定が出されます。最近は景気が良いため一時ほどの人気はなく,リクルートも難儀しているようです。ということで,特に女性は最初から諦めないでチャレンジしてみてください。

 Pについては,これもやはり検察起案はA(最低でもB上位)である必要があります。その上で,特に検察修習の取調べ等において熱意(=自分の生活を捨ててでも検察業務に身を捧げる気概)を示さなければなりません。また,J程では無いものの,やはり経歴は見られ,そこで足きりになってしまうこともあるようです。Pならなれるっしょ!なんて声もあるところですが,女性はともかく,男性は今でも競争率が高く結構難しいようです。

 まぁ起案については,後で述べる型さえきちっと覚えていけば,多分実務修習中は余裕でAを取れると思いますけどね。

 ところで,内定さえ出てしまえば,それから先は内定取消だけを怖がればいいわけですが,基本的に集合では
P→集合起案(2回ある)は,検察で上位3分の1を2回とも取って,他でE(下位5パーセント)をとらなければOK(取っても1回なら警告で済む?)。
J→裁判科目が上位3分の1であることはマスト。その他も下位3分の1を続けて取るとアウト?

という感じで,まぁA以外を取ったら即死ということは無いようですね。




2, 二回試験の対策総論
 では集合が二回試験対策にとって重要ということですが,一体何を意識して集合に臨めばいいのでしょうか。
 
 二回試験は不合格率が2パーセント前後で推移しており,しかも70期は1パーセントとなりました。
 このため,普通は落ちる試験ではないということは十分わかると思います。
 ただ,周りも受かることを前提に動くので,かえって不合格時のリスクが高くなり,不安が増大します。また,各科目即死地雷があると実しやかに囁かれているため,自分が思わずそれを踏んでいないかが気になるという怖さもあります。

 詳しくは各科目で書きますが,おそらく不合格になるのは
⑴問題文・手続書面を読まず,訴訟物・罪名・争点・当事者を大幅に外す。
⑵大半の人ができる法律構成を外し,なおかつ使うべき重要な事情を半分以上スルーしてしまっている。
⑶検討順序や検討事項など,最低限の型を一切守らない。
⑷依頼人の主張をガン無視。
⑸要検討事項のかなりの部分を途中答案にしてしまう

⑹救済のための小問が出来ていない

といったところです。細かなミスは全員がしているので,不合格にはなりません。上記も,少し見落としたとか,少し検討し損ねた部分があるとか,よく考えたら矛盾主張だとか,そういうレベルは問題なくて,「明らかにダメやろ…誰もやってないレベルのミスやん…」というレベルに至って初めて不合格になるものと思われます。

※よく,不合格原因に思い当たることはないのに不合格になったと書いている情報がありますが,よくよく聞いてみるとそのどれもが上記致命的ミスをしているのにそれに気付いていないだけっぽいです。


ということで,要は99パーセントの人ができること(で重要なもの)を出来なかった時に,落ちるわけです。ですから,集合では「最低限読むべき書面・守るべき検討順序・検討事項を知る,時間内に最低限の内容を答案化できるようになっておく」「集合で触れた知識問題(特に弁護系)は一応まとめておく」「大半の人が読む白表紙等(終局処分起案の考え方,事例で考える民事事実認定,類型別の3冊)の内容は把握しておく」という当たり前の事をきっちり出来るようになろうと意識してください。
 

 まぁ上記をやらなくても普通に受かる人の方が多いわけですが,やっておかないと本番でわからない問題が出たときに変な方向に行ってしまう=閃く可能性が高くなります。上記の対策をやっておけば,標準レベルの力はあるという自信がつき,「自分のわからないところは皆も出来ない。自分が知っている問題が出ているはずだ」という形で落ち着くことができ,変な閃きをしなくなります。
 二回試験の勉強は不要という人もいますが,それは受かったからこそ言える話で,たぶんその人に「お前落ちてたよ」と言ったら「勉強しとけば良かったー泣」と言うはずです。勉強しないのは危険すぎます。

 逆に上記を超えて勉強しすぎるのも良くないです。二回試験は「大半の人が出来るレベルを,あなたたもクリアできますか?」という試験なので,大半の人が出来る問題を大半の人が出来る程度に解けば,それで合格です。逆に,大半の人から外れてしまうと,不合格になる可能性は高まります。もちろん,ほぼすべての人が出来ていない中で出来ていれば跳ねるわけですが,出来ていなくても合格はできるわけです。逆に,ほぼすべての人が出来ている最重要論点を,中途半端に考えてスルーしたりすると,それだけで大ダメージです。合格すら出来なくなるかもしれません。

 要は,確実に合格するというのが目標なら,上記の「大半の人がやっている対策」だけをするべきだということです。


 次の記事からは,各科目において具体的に「このくらいのレベルを押さえておけば大半の人レベルになる」というものを示していきたいと思います。
 とりあえずこの辺で。




※追記

 最近話題になっているところでは話題になっていますが,修習記録をスキャンして電子データ化して共有する修習生は増えています。
 名称などを変えてあるとはいえ,生の事件記録を教材としているためプライバシーの問題があり,研修所では絶対にコピー・電子データ化しないように指導していますし,バレたら多分罷免されます。ですが,データの所持品検査なんて普通は出来ませんから,「どうせバレないだろう」と考えて,上記指導を無視してコピー・電子データ化するわけです。
 
 僕はそこまでして起案の対策をするほど真面目では無かった笑ので一切データ化していませんし貰ってもいませんけど,友人にも何人かデータ化・共有している人はいましたし,また上の代がデータ化したものを受け継いで起案練習をする人もいました。

 特に実務修習中の起案でいい成績を取らなければならないJ志望は,上記データであらかじめ練習しておいた方が何倍も有利なので,人脈がある修習生(上位学部・上位ロー出身者)はだいたい手に入れていたようです。
 ひどいと講義を録音している人もいましたしね。

 公平正義の裁判官がそういうことをしていいんかい!と思いますので,これから裁判官志望の人は是非真っ当な対策で好成績を取ってほしいですね(十分可能なはず)。


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