シアターシンドローム(演劇症候群)

北海道の新聞記者の松本悌一による、札幌演劇についてのシアターシンドローム(演劇症候群)ブログ

弦巻楽団#20「アンダー・ザ・レインボウ」

 個人的には大のお気に入りの弦巻楽団。でも今回は残念でした。

 ホテルに缶詰にされた小説家。小説のアイデアに困っていると、隣の部屋にやってきた夫婦と知り合う。その夫婦を題材に、殺人事件の小説を書き始める。その夫婦が実際に殺人を起こしているのか、小説の中だけの世界なのか、虚々実々のストーリーが展開する。

 プロットのアイデアは分かります。目指しているところも分かります。でも芝居として面白くない。ひとつは、主人公の小説家に何ら感情移入できないから。だから見ていても、「なんか、私に関係ない話」と思ってしまいます。
狂言回しの役どころのホテルマンには、もうちょっとかき回してほしい。

 それから、冒頭に出てくる若い旅行客。ちょっとだけ登場するので、きっと最後に何か意味を持たせて再登場させるのかと思ったら、登場せず。プログラムを見ると、「日替わり出演/弦巻楽団演劇研究講座生」とあります。うーん、舞台に出したい気持ちは分かるけど、とってつけたような登場人物は疑問です。

2014年7月5日(土) 札幌・シアターZOO

イレブンナインプレゼンツdEBoo#1「12人の怒れる男」

元富良野塾の納谷真大さんのユニットが、イナダ組の女優、小島達子をプロデューサーに迎えての第1弾。映画化も舞台化も数知れない名作に挑みます。

舞台はアメリカ、裁判所で市民が評決する陪審員室から一歩も出ない密室劇。父親を殺した罪で起訴された少年は、有罪間違いなしに思えたのだが、12の陪審員の議論で有罪の確証が揺らいでゆく。


冒頭、陪審員役の12人が登場する場面だけで、面白い芝居になることが分かります。12人それぞれの個性が表現された衣装、立ち居振る舞い、綿密に演出された立ち位置など、素晴らしい。

その後の展開も息つかせす、スピーディ。それぞれの個性も物語が展開するにつれて際立ちます。

さすが、納谷さんの演出。チケットが、公演前に売り切れるという、札幌では異例の人気もうなずけます。

ひとつだけ気になったのは、読後感というか、観客の気持ち。昔、この映画を見終わった後は、「陪審員って、選ばれたら大変だけど、いい制度だな、アメリカって、やっぱ自由の国なんだな」と日本人ながら、嬉しい気持ちになりましたが、この芝居の読後感は「最後まで頑張ってたあの人、やっと落ちた(自説を曲げた)な」というもの。知らず知らずに、登場人物に敵対心を持っている自分に気づきました。

16日、札幌コンカリーニョ

札幌ハムプロジェクト全体興行2014 「カラクリヌード」

 5年ぶりに見るハムプロジェクト。そういえば、5年前は、なんか近未来設定の世紀末みたいな芝居が多かったな〜と思っていたら、今回もそうでした。

 で、以前の近未来設定の芝居は面白いと思ったのがひとつもなかったのですが、今回は、いいです。あくまで比較の問題ですが。

 15人の出演者が繰り広げるマスゲームのような身体表現。場面によっては迫力があります。年老いた研究者1人を3人が体を寄せ合って表現、声も3人合わせることで不気味な存在を演出していて、面白い。舞台外ですが、入場料を1500円と休めに設定、その分、開演前と幕間の物販(ビールとか、ホットドックとか)で稼ごうという試みもグッドです。

 一方、マスゲームはうるさすぎる面も。ちょっとハイテンション過ぎて、制御できていない場面が多々ありました。そして、これが舞台全体の印象を支配している感じになってしまいます。ドタバタ劇のような。それから、いくつかエピソードが盛り込まれていますが、どれもこれも中途半端。だれが主人公か分からず、感情移入もできません。どれか一つのエピソードをもっと書き込んで、ドタバタを抑えたら、きっと素晴らしい舞台になるのでは?

 それから、ホットドックとか、客席を回って売ったらどうでしょう? あんまり売れてなさそうだったので。余計なお世話?

(5月1日、札幌・コンカリーニョ)

札響特別演奏会 アキラさんのモダンコンサート2014

今、クラシック担当なので、芝居より、圧倒的にコンサートに行く機会が多くなっています。別のブログを立ち上げようかと思ったのですが、とりあえず、コンサートの話も入れさせてください。

で、テレビなどで人気の宮川彬良指揮によるコンサー。あの、髪も服も派手な人です。

宮川が個人的に親しい(と舞台上で発言していた)歌手、米良美一がゲスト。「もののけ姫」のファルセットの人です。
米良が最近昭和歌謡を歌っているので、宮川がゲストに呼びたかったらしいのですが、マイクを通しての歌声は、まるで銭湯で歌うおじさん。キタラの音響が良すぎて、歌声が反響しすぎです。

それから、昭和歌謡に札響はもったいないです。バイオリンなんか、ピチカートばっかり。

お客さん、子供が多かったけど、知らない歌ばっかりで退屈したのではないでしょうか。ますますオーケストラ嫌いにならなきゃいいんだけど。

きっと、親しみやすい音楽を札響に弾かせて、クラシックの間口を広げようという狙いなんだろうけど、これじゃ広がらないと思う。それより、ちゃんとしたクラシック音楽の解説を分かりやすくするとか、クラシック本流で勝負した方がいいと思うけどなあ。
(4月26日、札幌コンサートホール・キタラ)
 

復活! こまつ座 「化粧」

今月から5年ぶりの札幌勤務、8年ぶりの文化部勤務となりました。
担当はクラシック音楽ですので、あんまり芝居は見られませんが、見たものはアップしていきたいと思います。

で、復帰第1弾は、帯広出身の女優、平淑恵による一人芝居。渡辺美佐子の当たり役に平さんがどう挑むか、に注目です。

結論ですが、10年早い。いや、20年かも。一言で言うと、枯れてない、っていうか、枯れた演技ができない(または枯れた演出ができていない)。

特に舞台化粧を施しながら、状況説明をしていく前半、後半のようにストーリーや舞台に変化がないため、役者一人だけが観客にさらされます。実際に化粧をしていく面白さがあるのですが、それ以外は退屈です。もっと悲哀を感じさせるとか、何かないと、集中できません。

多分、役者はかなりプライドなげうって大胆な演技をしているつもりかもしれませんが、なんか頑張っている感がして空回り。役者のせいなのか、演出(鵜山仁)のせいなのか・・・。

でもきっと再演を重ねていくのでしょうから、今後に期待です。

終演後、「舞台装置の全部見せます」みたいな趣向がありました。舞台監督が出てきて、装置の仕組みを説明したり、観客の質問に答えたり。30分ほどでしたが、なかなか面白い取り組みでした。

(3月18日、 紀伊國屋ホール)
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