シアターシンドローム(演劇症候群)

北海道の新聞記者の松本悌一による、札幌演劇についてのシアターシンドローム(演劇症候群)ブログ

2009年01月

やまびこ座・こぐま座プロデュース人形劇 アイヌの超人伝説「空とぶ少年 ポイヤウンペの冒険」3

 過去、「シンデレラ」などを題材に人形劇を制作してきたやまびこ座が、アイヌ民族のユカラ(英雄叙事詩)を初めて人形劇化。専門家に指導を仰ぎ、衣装の研究などに1年の歳月をかけて、初演を迎えた。

 突然悪者にさらわれた妹とフィアンセを助けるため、神に力を授かって、空を飛んで悪者を追いかける少年ポイヤウンペの活躍を描く。

 アイヌ文化伝承者として知られる故織田ステノさんが語ったものが原作。当初、この原作を元にもう少し脚色した作品作りを考えていたようだが、専門家の意見を取り入れ、原作に忠実に再現するよう軌道修正。人形劇としては不自由だったかもしれないが、まずは本番にこぎ着けたこの試みに拍手。

 人形劇としては前半、女の子二人がさらわれるシーンでは、悪者が女の子を捕まえると、人形三体の後ろで使い手たちが団子状態になって、見苦しかったが、これは再演を重ねる内に修正されるはず。

 最後は、アイヌ民族の踊り。とてもオリジナリティあふれる舞台になっていると思う。ぜひ多く再演を重ねて、育ててほしい作品だ。

(2009年1月17日14:00、札幌市こどもの劇場やまびこ座)

劇団遊劇社第13回公演 小作品集(アンソロジー)『ソウ』3

個人的に、小説の短編集が嫌いです。舞台設定、人物設定をいちいち頭に入れ直さなければならず、特に最初の数ページがまどろっこしいからです。

この作品も、小説だったり、落語だったり、さまざまな短編をつなぎ合わせて一本の作品にまとめたもの。いろんな役者の組み合わせによる二人芝居(私が見た回は「進藤智生×かとうしゅう」の組み合わせでした)なので、人物設定は思ったより分かりにくくはないのですが、やっぱり短編集の弱点はそのままです。

話によっては面白いものもあるので、そこそこ楽しめるのですが、そもそも、何でこんなかたちで上演したのでしょうか。ホームページを見ても、劇場で配られたチラシを見てもよく分かりません。ホームページでは、飲み会の様子を紹介したり、単に見に来てと呼びかけたりするより、もっと制作意図とかを解説すべきじゃないでしょうか。芝居を見れば分かるというのは、ちょっと乱暴かと。

(2009年1月12日午後、札幌・シアターZOO)
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