2010年03月03日
『映画配給、買い付けの裏側について』堀達郎さん
一昨日、映画「キャタピラー」の演技で「第60回ベルリン国際映画祭」の最優秀女優賞を受賞した女優の寺島しのぶさんに、トロフィーが手渡されました。
日本の俳優の受賞は1964年の左幸子さん、1975年の田中絹代さんについて35年ぶり3人目。
寺島さんの受賞もあって、映画「キャタピラー」には、フランスから“配給”のオファーが来ているそうです。
カンヌ、ベネチアと並ぶベルリン国際映画祭は映画の売買も行われるフィルムマーケットも開かれています。
そこで、今夜はすでに完成した映画や、これから作られる作品を買い付け、宣伝、公開する、映画の“配給”について考えます。映画がヒットすれば、大きな利益を得られますが、失敗の影響で会社が倒産というケースもあります。
そんな映画の配給とは、いったいどんな世界なのか?そして本当にいい作品を見つけ、送り出そうとしている人たちは、どんな苦労を抱えているのでしょうか?
今夜の15ミニッツはなどの配給に関わった方をお迎えして、映画配給の裏側や苦労、そこに浮かび上がる問題点について考えます。

ゲスト:堀達郎さん(エイベックスエンターテイメント営業事業本部映像制作部洋画ルーム)
エイベックスで「レッドクリフ」「アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン」に関わり、その前にいたギャガ・コミュニケーションズでは「オペラ座の怪人」や「きみに読む物語」スティーブン・セガールの沈黙シリーズなどを担当されています。
:映画の配給はどんなものですか。
映画の配給は大きく分けて二つで映画を買う、買った映画を世に出していく、劇場、ビデオ、テレビに放映に配給していく機能とそれに伴う宣伝で3つの柱があります。
:買い付けから公開まではどのぐらいかかりますか。
大体大きい作品だと出来上がる前からなので2年か3年かかるものが多いです。
日本の俳優の受賞は1964年の左幸子さん、1975年の田中絹代さんについて35年ぶり3人目。
寺島さんの受賞もあって、映画「キャタピラー」には、フランスから“配給”のオファーが来ているそうです。
カンヌ、ベネチアと並ぶベルリン国際映画祭は映画の売買も行われるフィルムマーケットも開かれています。
そこで、今夜はすでに完成した映画や、これから作られる作品を買い付け、宣伝、公開する、映画の“配給”について考えます。映画がヒットすれば、大きな利益を得られますが、失敗の影響で会社が倒産というケースもあります。
そんな映画の配給とは、いったいどんな世界なのか?そして本当にいい作品を見つけ、送り出そうとしている人たちは、どんな苦労を抱えているのでしょうか?
今夜の15ミニッツはなどの配給に関わった方をお迎えして、映画配給の裏側や苦労、そこに浮かび上がる問題点について考えます。

ゲスト:堀達郎さん(エイベックスエンターテイメント営業事業本部映像制作部洋画ルーム)
エイベックスで「レッドクリフ」「アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン」に関わり、その前にいたギャガ・コミュニケーションズでは「オペラ座の怪人」や「きみに読む物語」スティーブン・セガールの沈黙シリーズなどを担当されています。
:映画の配給はどんなものですか。
映画の配給は大きく分けて二つで映画を買う、買った映画を世に出していく、劇場、ビデオ、テレビに放映に配給していく機能とそれに伴う宣伝で3つの柱があります。
:買い付けから公開まではどのぐらいかかりますか。
大体大きい作品だと出来上がる前からなので2年か3年かかるものが多いです。
角谷浩一さん:買い付けのものは映画のほかに小説を翻訳して出すとか読む前に買ってしまう場合もあるんですね。韓国映画でこの人がぐっときているからその人の過去の映画をざっと買っちゃえとかありますよね。
あります。
角谷:映画は新作ばかりではなし、これは日本でやったらこれくらいで買って、このくらいの宣伝費で公開うーんと、良い映画だけど諦めることはありますか。
いっぱいありますね。
角谷:安いから買っちゃってけどなっとか。これだけの超大作だけど一緒に買えという抱き合わせの時もありますよね。
抱き合わせはだいぶ減ってきましたけどね。
角谷:タレントのバーターみたいなものですよ。買い付けといっても目利き師だけでももたない。これから育てていかないといけない監督、役者さんもいるよね。こいつは日本向きに流行るぞと思ったら映画の中身はともかく買っちゃえということもある?
顔で選ぶのはかなりギャンブルですね。かわいい女の子でもノーネームはかなりヒットにつながらないことが多くて。
角谷:この値段なら買うならこの値段なら無理で諦めることはありますか。
僕の中では鉄則ですね。絶対映画はビジネスなのであとちょっとというところは超えちゃうとそれだけはリスク。
角谷:映画の中身は言えないけど、あの映画面白かったよと別の宣伝部に言ったらうちも欲しかったけど手が出ませんでしたという話をする人がいるんですよ。最後まで頑張ったんですけど、うちは手が出なくてエイベックスさんに落ちましたということがあるんですよね。
そういう場合もありますね。
角谷:買い付けは水物でありますね。夏休み映画に、お正月映画にぶつけようとして失敗することもあるし。
おっしゃるとおりですね。
角谷:僕らだって映画を褒めることはあります。お客さんが入るヒットになるかはわからないことがある。それを見ないのと驚くことがあるんですよ。同時に公開されるものがほかにどういうものがあるか。今、アバターのライバルはつらいですか。
アバターが大ヒットしたのでほかのお正月映画が大変だったかもしれませんね。
角谷:早めにDVD出しちゃえということになるんですね。
それは。
角谷:作品によりますがどのくらいで買えますか。
大きい作品だと億単位、売り抜けるいきなりビデオで出すものだと100万円単位です。
角谷:セガールの沈黙シリーズと言っているのは日本だけなんですよ。ソニーでやろうが沈黙という。最初につけた映画会社は怒らないの。
「沈黙の戦艦」でワーナーさんだったと思いますが、僕が担当した時には仁義を切りました。いいですよみたいな。
角谷:セガールさんの映画はソニーさんが多いですよね。
またちょっと変わって来るかと思いますが。
角谷:全部違う映画なんですよね。
:タイトルを募集していましたね。沈黙の〜。
角谷:セガールさんならこういう宣伝でこのぐらいとお付けになるんですか。
おっしゃるとおりです。スティーブン・セガールくらいなら過去の作品もはっきりしているし、そこから逆算で交渉していくことになりますね。
角谷:エイベックスさんとかギャガさんは日本にある配給会社ですよね。ワーナーさん、フォックスさん、ソニー、パラマウントのメジャー映画会社があってそこで作っている映画なのにエイベックスさんがやる映画があるじゃないですか。うちで撮った映画だけどうちでやらないということがるんですか。
大枠で言うとアメリカのスタジオで作った映画をアメリカ国内でやってほかの国は配給会社に売るという発想もあるし、逆にいけるからアジアだけは本社の子会社でやるとかあちらで比べているところもあるらしいですね。
角谷:最近の日本の映画の流行は日米同時公開という無理難題をやったらどうやって事前に情報を得るんですかね。
日米同時公開は本当に大変ですね。素材がないので宣伝のしようがないものなので来たらもの出すとか宣伝プランも時間もなくなって。来日とかの場合はアメリカのキャンペーンと同時に日本に呼びやすいとかバランスがありますね。
角谷:今のはハリウッドですけど、それがヨーロッパ、韓国、中国、台湾、香港、中東、インドはどんなふうに買い付けますか。
今はビジネスの観点でそちらのほうは難しくなっているのでヨーロッパ映画は若干来ているかなという感じで、インド映画は昔は一大ブームもありましたがいまはなかなか難しい。アジア映画も「レッドクリフ」のような大作は本当に取りに行きたいと思いますが。
噂から始まるときもありますし。
角谷:プロデューサーから電話ということもあるんでしょう。
それはいつも。信用できる情報だけを聞き出して。契約書にサインがされているかとか。出演者に。アイデアはどうだとかチェックして。
:アイデアや脚本が良くても作品がいまいちというケースも。
ありますね。出来上がるまではわかりませんね。監督のイメージしていたものと違ったとか主演が変わってしまったとかいろんなことが起こるので。
角谷:昔みたいに映画会社がコントロールして1970年に「トラ・トラ・トラ」というフォックスが物凄いお金をかけて、当初は黒沢明監督。降板。深作欣治監督が引き継ぐ。黒沢監督の「影武者」では勝新太郎さんが監督ともめて降板。映画というのは出来上がるまでは何が出てくるかわからないでしょう。堀さんが大ヒット作を出しても目利きだねと褒められないじゃん。
それは目利きとかは大事ですが、僕としてはビジネスとして作品を扱う。出来上がりはわからないものだとわかっているのでどんなものが出てきてもどう売っていくかを見て行くのが僕の仕事の一つかな。
角谷:逆に言うと、競りみたいにこのくらいなら買うと3本一緒なら半額、買うとかいう感じ。
それはなるべくしないようにしています。
:映画の配給で最も苦労する点はなんですか。
映画がこけたら会社も傾くみたいな責任感を感じて、確固たる確証は映画が公開されるまでわからない日々が頭を使っている時間が大変ですね。
角谷:配給する側も作っている最中もちょっと不安だから大物女優をブッキングしてちょい役で20分も出ないけど彼女が主演なように何とか誤魔化そうというところがあるよね。
方法の一つではあると思いますね。
:作品の出来がよければ結果が出るということでもないですよね。
はい、やはり宣伝が大事で。
角谷:でも、宣伝間違え、タイトル間違いも多いよね今。見る前に決めちゃう作品が増えているからでしょう。
いやーさすがに見てはいると思います。
角谷:見る前にタイトルが出ちゃったというのを何度か聞いた事がある。それはいくら何でもとは思うよ。
それは普通に難しいでしょうね。
角谷:タイトル間違いがいくつかあって、ポッドキャストでも指摘しましたが、今は言いませんよ。
:何で日本語になるとこのタイトルなのというのはありますよね。
角谷:名タイトルもあるのよ。それこそ「君に読む物語」は名タイトルだと思うけどね。こねくりまわすものもあるわけ。何でも原題でいいということもない。最近では社会の敵という映画があって「パブリック・エネミー」。同じようなフランス映画があって全然違う名前にした。タイミングとかみんな考えることが同じだから。
最近、「あの夏のこどもたち」というフランス映画を見たけれども、もうすぐフランス映画祭があって監督とかも来るんだけど、映画のプロデューサーで大ヒットも飛ばしたこともあるんだけど、映画会社、製作会社、未払いとかで借金でぱんぱんになって最後自殺しちゃう話で救いようがない話。残された家族と子供たち。ぎりぎりのところでやっているなと思いますけど、映画文化はそんなんで育たないんじゃないかと思うんですけど。
本当にそうですよね。ちょっと前まではもっと洋画が見られていた時代もありますし。
:ヒットの可能性のある作品はわかりやすかったり、有名なスターが出る作品ばかりになったりしませんか。
結果そうなりますよね。作っているアメリカのほうからもそうでありますし、そんな中良い作品を買えなくても見つけていくという姿勢は常に持っていたいと思います。
角谷:「スター・ウォーズ」とか「スタートレック」とかとにかくシリーズものにして別の物販もできてチャリンチャリンとなる仕組みがあって版権もあってとなってくると映画も別のマーケットの可能性ももつこともできるし。
もうすぐ公開される「ファンボーイズ」という映画でスターウォーズファンがエピソード1のフィルムを盗みに行く珍道中にトレッキーファンが妨害するという映画ファンしか面白くなさそうな映画でしょう。インディーズとかもアメリカにもいっぱいあるけれども、映画祭で賞を取らないと日本なんか入れてきてくれないじゃないですか。何とかならないですか。
何とかしたいんですけどね。日本マーケットに限らず世界でも賞で世界にアピールできるポイントだと思うんで。
角谷:いろんなきっかけ、話題になる材料を探すことで映画自体を押し上げていくということ。
そうですね。話題づくりは大事です。
角谷:それが本流のところと違うところで話題づくりになっちゃって、あの人とあの人が別れる前に撮った映画だからとかあるじゃない。トム・クルーズとニコール・キッドマンが「アイズ・ワイド・シャット」が別れる前後で微妙で見ちゃおうかなみたいなのがあるじゃない。映画で見ているんじゃなくて何で俺たちは見ているんだと。お客さんはお客さんなんだよね。映画って難しいね。
:収益優先だと埋もれてしまう危機感もありますよね。
それはありますね。
角谷:伝えなきゃと買え付けようとして会社に怒られることもあるの。
僕が思うくらいなら自分で止めますね。情熱的な先輩の方もいますし。業界の方全員映画が好きな方がやっているので。好きじゃないと出来ないですね。映画が好きで大学卒業したら映画をやろうと。会社に入ってしまったらビジネスです。ただ、ビジネスだけじゃなくていい映画を見つける力。お客さんを騙すのはよくない。
角谷:探し出してくれる映画会社に期待したよね。結果的に収支は何で計りますか。
収益がいいということはお客さんが見てくれたと。買うタイミングのところで達成感を感じますね。
角谷:アメリカでダメだったけど日本で大ヒットするだろうなとか、アメリカで大ヒットしたけど日本ではだめだろうなという差はどういうところにありますか。
端的に言うと、話題作りが日本でどうできるか。海外と違うつぼがあるので。新しさ。昔だと「ブレアウィッチ・プロジェクト」みたいな。何だかわからないぞとか。
角谷:似たようなハンディカメラの映画がその後出て来たので先駆者の映画になるよね。
映画を買い付ける人たちの思いもあるんですよね。ヨーロッパはハリウッドに負けないようにヨーロッパコープみたいな映画会社が出来てヨーロッパコープジャパンがあって日本にストレートにフランスで作られた映画が入ってくる仕組みを作ろうとしているし。堀さんの仕事も敵が多いし、予算も限られるし針の穴のような情報網を持っていないとだめですね。
そうですね。私の上司とかは買い付けの重鎮なので、属人的なコミュニケーションが大事です。
角谷:しょっちゅう海外に行くんですか。
最近はEメールで。日々情報が来て。
角谷:日本で見せたい映画とか思いはどんなものがありますか。
二つ、大人から子供まで楽しめる大ヒット映画を買ってくることと私の大好きな趣味の映画を買ってきて、アクション映画、ホラー映画を趣味の通じる人にご招待して。
角谷:夢のある仕事であり、物凄い胃がきりきりするような仕事ですね。
きりきりしますね。
角谷:初日でわかったりしますか。
それは初日で大ヒットはありますね。その後盛り上げたり。
角谷:東京ではヒットでそれ以外はだめとか、その逆はありますか。
都市型映画という言葉はあります。おしゃれな映画は都市部のほうがあたりますし。
角谷:「セックス・アンド・ザ・シティ」の失敗とかさ。
頑張ってすごいいい数字つきましたね。
角谷:「パイレーツ・ロック」は東京以外ダメだったとかさ。そういうふうになることもあるそうなんですよ。それは蓋を開けないとわからないものもあるし、食いつきが悪いということもあるそうなので。たくさん良い映画を見せて欲しいという思いがありますね。
みなさんも見て下さい。
(2010年03月01日J-WAVE JAM The World「15MINUTES」から)
あります。
角谷:映画は新作ばかりではなし、これは日本でやったらこれくらいで買って、このくらいの宣伝費で公開うーんと、良い映画だけど諦めることはありますか。
いっぱいありますね。
角谷:安いから買っちゃってけどなっとか。これだけの超大作だけど一緒に買えという抱き合わせの時もありますよね。
抱き合わせはだいぶ減ってきましたけどね。
角谷:タレントのバーターみたいなものですよ。買い付けといっても目利き師だけでももたない。これから育てていかないといけない監督、役者さんもいるよね。こいつは日本向きに流行るぞと思ったら映画の中身はともかく買っちゃえということもある?
顔で選ぶのはかなりギャンブルですね。かわいい女の子でもノーネームはかなりヒットにつながらないことが多くて。
角谷:この値段なら買うならこの値段なら無理で諦めることはありますか。
僕の中では鉄則ですね。絶対映画はビジネスなのであとちょっとというところは超えちゃうとそれだけはリスク。
角谷:映画の中身は言えないけど、あの映画面白かったよと別の宣伝部に言ったらうちも欲しかったけど手が出ませんでしたという話をする人がいるんですよ。最後まで頑張ったんですけど、うちは手が出なくてエイベックスさんに落ちましたということがあるんですよね。
そういう場合もありますね。
角谷:買い付けは水物でありますね。夏休み映画に、お正月映画にぶつけようとして失敗することもあるし。
おっしゃるとおりですね。
角谷:僕らだって映画を褒めることはあります。お客さんが入るヒットになるかはわからないことがある。それを見ないのと驚くことがあるんですよ。同時に公開されるものがほかにどういうものがあるか。今、アバターのライバルはつらいですか。
アバターが大ヒットしたのでほかのお正月映画が大変だったかもしれませんね。
角谷:早めにDVD出しちゃえということになるんですね。
それは。
角谷:作品によりますがどのくらいで買えますか。
大きい作品だと億単位、売り抜けるいきなりビデオで出すものだと100万円単位です。
角谷:セガールの沈黙シリーズと言っているのは日本だけなんですよ。ソニーでやろうが沈黙という。最初につけた映画会社は怒らないの。
「沈黙の戦艦」でワーナーさんだったと思いますが、僕が担当した時には仁義を切りました。いいですよみたいな。
角谷:セガールさんの映画はソニーさんが多いですよね。
またちょっと変わって来るかと思いますが。
角谷:全部違う映画なんですよね。
:タイトルを募集していましたね。沈黙の〜。
角谷:セガールさんならこういう宣伝でこのぐらいとお付けになるんですか。
おっしゃるとおりです。スティーブン・セガールくらいなら過去の作品もはっきりしているし、そこから逆算で交渉していくことになりますね。
角谷:エイベックスさんとかギャガさんは日本にある配給会社ですよね。ワーナーさん、フォックスさん、ソニー、パラマウントのメジャー映画会社があってそこで作っている映画なのにエイベックスさんがやる映画があるじゃないですか。うちで撮った映画だけどうちでやらないということがるんですか。
大枠で言うとアメリカのスタジオで作った映画をアメリカ国内でやってほかの国は配給会社に売るという発想もあるし、逆にいけるからアジアだけは本社の子会社でやるとかあちらで比べているところもあるらしいですね。
角谷:最近の日本の映画の流行は日米同時公開という無理難題をやったらどうやって事前に情報を得るんですかね。
日米同時公開は本当に大変ですね。素材がないので宣伝のしようがないものなので来たらもの出すとか宣伝プランも時間もなくなって。来日とかの場合はアメリカのキャンペーンと同時に日本に呼びやすいとかバランスがありますね。
角谷:今のはハリウッドですけど、それがヨーロッパ、韓国、中国、台湾、香港、中東、インドはどんなふうに買い付けますか。
今はビジネスの観点でそちらのほうは難しくなっているのでヨーロッパ映画は若干来ているかなという感じで、インド映画は昔は一大ブームもありましたがいまはなかなか難しい。アジア映画も「レッドクリフ」のような大作は本当に取りに行きたいと思いますが。
噂から始まるときもありますし。
角谷:プロデューサーから電話ということもあるんでしょう。
それはいつも。信用できる情報だけを聞き出して。契約書にサインがされているかとか。出演者に。アイデアはどうだとかチェックして。
:アイデアや脚本が良くても作品がいまいちというケースも。
ありますね。出来上がるまではわかりませんね。監督のイメージしていたものと違ったとか主演が変わってしまったとかいろんなことが起こるので。
角谷:昔みたいに映画会社がコントロールして1970年に「トラ・トラ・トラ」というフォックスが物凄いお金をかけて、当初は黒沢明監督。降板。深作欣治監督が引き継ぐ。黒沢監督の「影武者」では勝新太郎さんが監督ともめて降板。映画というのは出来上がるまでは何が出てくるかわからないでしょう。堀さんが大ヒット作を出しても目利きだねと褒められないじゃん。
それは目利きとかは大事ですが、僕としてはビジネスとして作品を扱う。出来上がりはわからないものだとわかっているのでどんなものが出てきてもどう売っていくかを見て行くのが僕の仕事の一つかな。
角谷:逆に言うと、競りみたいにこのくらいなら買うと3本一緒なら半額、買うとかいう感じ。
それはなるべくしないようにしています。
:映画の配給で最も苦労する点はなんですか。
映画がこけたら会社も傾くみたいな責任感を感じて、確固たる確証は映画が公開されるまでわからない日々が頭を使っている時間が大変ですね。
角谷:配給する側も作っている最中もちょっと不安だから大物女優をブッキングしてちょい役で20分も出ないけど彼女が主演なように何とか誤魔化そうというところがあるよね。
方法の一つではあると思いますね。
:作品の出来がよければ結果が出るということでもないですよね。
はい、やはり宣伝が大事で。
角谷:でも、宣伝間違え、タイトル間違いも多いよね今。見る前に決めちゃう作品が増えているからでしょう。
いやーさすがに見てはいると思います。
角谷:見る前にタイトルが出ちゃったというのを何度か聞いた事がある。それはいくら何でもとは思うよ。
それは普通に難しいでしょうね。
角谷:タイトル間違いがいくつかあって、ポッドキャストでも指摘しましたが、今は言いませんよ。
:何で日本語になるとこのタイトルなのというのはありますよね。
角谷:名タイトルもあるのよ。それこそ「君に読む物語」は名タイトルだと思うけどね。こねくりまわすものもあるわけ。何でも原題でいいということもない。最近では社会の敵という映画があって「パブリック・エネミー」。同じようなフランス映画があって全然違う名前にした。タイミングとかみんな考えることが同じだから。
最近、「あの夏のこどもたち」というフランス映画を見たけれども、もうすぐフランス映画祭があって監督とかも来るんだけど、映画のプロデューサーで大ヒットも飛ばしたこともあるんだけど、映画会社、製作会社、未払いとかで借金でぱんぱんになって最後自殺しちゃう話で救いようがない話。残された家族と子供たち。ぎりぎりのところでやっているなと思いますけど、映画文化はそんなんで育たないんじゃないかと思うんですけど。
本当にそうですよね。ちょっと前まではもっと洋画が見られていた時代もありますし。
:ヒットの可能性のある作品はわかりやすかったり、有名なスターが出る作品ばかりになったりしませんか。
結果そうなりますよね。作っているアメリカのほうからもそうでありますし、そんな中良い作品を買えなくても見つけていくという姿勢は常に持っていたいと思います。
角谷:「スター・ウォーズ」とか「スタートレック」とかとにかくシリーズものにして別の物販もできてチャリンチャリンとなる仕組みがあって版権もあってとなってくると映画も別のマーケットの可能性ももつこともできるし。
もうすぐ公開される「ファンボーイズ」という映画でスターウォーズファンがエピソード1のフィルムを盗みに行く珍道中にトレッキーファンが妨害するという映画ファンしか面白くなさそうな映画でしょう。インディーズとかもアメリカにもいっぱいあるけれども、映画祭で賞を取らないと日本なんか入れてきてくれないじゃないですか。何とかならないですか。
何とかしたいんですけどね。日本マーケットに限らず世界でも賞で世界にアピールできるポイントだと思うんで。
角谷:いろんなきっかけ、話題になる材料を探すことで映画自体を押し上げていくということ。
そうですね。話題づくりは大事です。
角谷:それが本流のところと違うところで話題づくりになっちゃって、あの人とあの人が別れる前に撮った映画だからとかあるじゃない。トム・クルーズとニコール・キッドマンが「アイズ・ワイド・シャット」が別れる前後で微妙で見ちゃおうかなみたいなのがあるじゃない。映画で見ているんじゃなくて何で俺たちは見ているんだと。お客さんはお客さんなんだよね。映画って難しいね。
:収益優先だと埋もれてしまう危機感もありますよね。
それはありますね。
角谷:伝えなきゃと買え付けようとして会社に怒られることもあるの。
僕が思うくらいなら自分で止めますね。情熱的な先輩の方もいますし。業界の方全員映画が好きな方がやっているので。好きじゃないと出来ないですね。映画が好きで大学卒業したら映画をやろうと。会社に入ってしまったらビジネスです。ただ、ビジネスだけじゃなくていい映画を見つける力。お客さんを騙すのはよくない。
角谷:探し出してくれる映画会社に期待したよね。結果的に収支は何で計りますか。
収益がいいということはお客さんが見てくれたと。買うタイミングのところで達成感を感じますね。
角谷:アメリカでダメだったけど日本で大ヒットするだろうなとか、アメリカで大ヒットしたけど日本ではだめだろうなという差はどういうところにありますか。
端的に言うと、話題作りが日本でどうできるか。海外と違うつぼがあるので。新しさ。昔だと「ブレアウィッチ・プロジェクト」みたいな。何だかわからないぞとか。
角谷:似たようなハンディカメラの映画がその後出て来たので先駆者の映画になるよね。
映画を買い付ける人たちの思いもあるんですよね。ヨーロッパはハリウッドに負けないようにヨーロッパコープみたいな映画会社が出来てヨーロッパコープジャパンがあって日本にストレートにフランスで作られた映画が入ってくる仕組みを作ろうとしているし。堀さんの仕事も敵が多いし、予算も限られるし針の穴のような情報網を持っていないとだめですね。
そうですね。私の上司とかは買い付けの重鎮なので、属人的なコミュニケーションが大事です。
角谷:しょっちゅう海外に行くんですか。
最近はEメールで。日々情報が来て。
角谷:日本で見せたい映画とか思いはどんなものがありますか。
二つ、大人から子供まで楽しめる大ヒット映画を買ってくることと私の大好きな趣味の映画を買ってきて、アクション映画、ホラー映画を趣味の通じる人にご招待して。
角谷:夢のある仕事であり、物凄い胃がきりきりするような仕事ですね。
きりきりしますね。
角谷:初日でわかったりしますか。
それは初日で大ヒットはありますね。その後盛り上げたり。
角谷:東京ではヒットでそれ以外はだめとか、その逆はありますか。
都市型映画という言葉はあります。おしゃれな映画は都市部のほうがあたりますし。
角谷:「セックス・アンド・ザ・シティ」の失敗とかさ。
頑張ってすごいいい数字つきましたね。
角谷:「パイレーツ・ロック」は東京以外ダメだったとかさ。そういうふうになることもあるそうなんですよ。それは蓋を開けないとわからないものもあるし、食いつきが悪いということもあるそうなので。たくさん良い映画を見せて欲しいという思いがありますね。
みなさんも見て下さい。
(2010年03月01日J-WAVE JAM The World「15MINUTES」から)



























