桃太郎ジーンズのレザーラベル
 物持ちは悪い方ではないと思う。だから、ジーンズのヒザがすり切れても平気で穿いていたし、そこがパックリと開いても何の抵抗感もなかった。
 ところが、周囲から非難の声が。「そんな服で職場に出られては困る」「不惑を過ぎた社会人が、みっともない」「カッコ良いなんて思ったら、大間違いだぞ」などなど…。確たるポリシーがある訳でも、無理にカッコつけている訳でもなくて、単に「捨てるほどでもない」と思って穿き続けていただけなのに。

 不本意な圧力に押され、私はジーンズを新調することにした。今度は“オトナ向け”にしよう。
 岡山県倉敷市の「藍布屋」。ユニークな藍染め製品を販売している企業で、ラインナップに「桃太郎ジーンズ」がある。岡山って、桃太郎の“地元”だし、国産ジーンズ発祥の地でもあるそうです。

 数種類ある中で、選んだのは「銅丹レーベル」。他のシリーズに比べ、色合いが鮮やかで、生地が少々ソフトにできているらしい。細部の作り込みも特徴とのこと。近くに取扱店が無かったので、ネット通販で購入した。

 ジーンズの印象は無骨。だけど、桃への妙なコダワリが見られて面白い。
 フロントボタンやリベットには桃の意匠。裏には本藍染めの布が張られており、ここにも桃の柄が。右の腰背部に留められたラベルは厚い本革で、こちらには桃太郎のトレードマーク。右の後ポケットには、桃を連想させる円弧のステッチが2本。両脚の股側に走る縫い目は、糸が桃色だったりするぞ。

 細かな凝りようはともかく、穿き心地が気に入った。見た目の重厚さとは裏腹に、脚を通した肌触りは意外に軟らか。温かささえ感じる。何日か穿くうちに、腰がしっかりと包まれるような安定感を覚えるようにもなった。
 数週間後には、早くも下半身に馴染んできた。実は、見栄を張って1インチ細いサイズにしていたので、ちゃんと穿けてホッとしたよ。

 末永く付き合っていけそうなジーンズだ。じっくりと穿き込んで、味わい深く“育て”たい。そのためにも、私の腹周りだけは、これ以上育てないようにしなければ…。