「前進よーい、前へ」(著者・木元寛明)甲陽書房・1999年1月25日発行・初版・252ページ・2200円+税。

 

<木元寛明(きもと・ひろあき)プロフィル>

昭和二十生まれ。広島県出身

昭和四十三防衛大学校卒業(一二期)。

昭和五十二年陸上自衛隊幹部学校(指揮幕僚課程二三期)卒業。

昭和六十二年第二戦車大隊長。

平成元年陸上自衛隊幹部学校(幹部高給課程三四期)卒業。

平成二年西部方面総監部訓練課長。

平成四年第七一戦車連隊長。

平成八年富士学校機甲科部副部長。

平成十年陸上自衛隊幹部学校主任研究官。

平成十二年陸上自衛隊退官(陸将補)。

退官後、セコム(株)研修部で幹部社員研修担当。

平成二十年以降、軍事史研究に専念。

 

 著書は、「前進よーい、前へ」のほかに、「指揮官―思索の足跡」(かや書房・2000年)、「本当の戦車の戦い方―陸上自衛隊の最前線を描く」(光人社NF文庫・平成2011年)、「陸自教範『野外令』が教える戦場の方程式―戦いには守るべき基本と原則がある」(光人社NF文庫・2011年)、「戦車隊長―陸上自衛隊の機甲部隊を指揮する」(光人社NF文庫・2012年)、「ある防衛大学校生の青春―治安出動はついに訪れず」(光人社NF文庫・2013年)、「戦術学入門―戦術を理解するためのメモランダム」(光人社NF文庫・2016年)、「戦術の本質 戦いには不変の原理・原則がある」(サイエンス・アイ新書・2017年)など多数。

 

 「前進よーい、前へ」(木元寛明・甲陽書房・1999年)の【はしがき】で著者の木元寛明氏は次のように述べている(一部要旨抜粋)。

 

 (略)……とまれ、消耗することもなく。幹候校での日々は過ぎていった。暑気がいまだ残る一〇月上旬、折からの土砂降りの雨とすさまじい落雷の中で、待望の職種と任地が示達された。

 

 銃剣道場はスコールのような雨にけぶり、轟く雷鳴と稲妻の青白い光がいっそう演出効果を盛り上げた。二百余名の候補生は整列し、期待と不安の交差した複雑な心境で、自分の名前が呼ばれるのをひたすら待った。

 

 「木元候補生」「はいッ」「直轄、機甲科、戦車教導隊、富士」「はいッ」。(機甲科、戦車教導隊、富士)と、頭の中で反芻してみる。(うん、戦車か、希望どおりだな) 小躍りしたい気持ちであった。

 

 この瞬間、わが人生の方向が定まった。戦車とともにやっていこう――と胸に誓ったことを、三十数年後の今日、鮮やかに思い出す。

 

 初めて乗った戦車は、米軍供与のM4中戦車であった。あれから三十余年を経て、戦車の進歩は著しく、コンピューターを駆使したハイテク化が常識となったが、戦車の本質、戦車乗員に求められる気質にはいささかの変化もない。そのようなことを、三十余年の時空を行きつ戻りつしながら書いてみたい。(以下略)