2009年08月08日

洗ひ髪 湿気の欠片が 雲を刺す

YAMAHA 遮光カーテンで薄暗い午前中の部屋。エアコンの電源を入れて、「往診たのむ」とメールを送る。まだ、酒が抜けないのか頭痛が酷い。冷蔵庫までよろめき歩き、牛乳をがぶ飲みする。そうして蒲団に潜り込む。
 正午には、テレビのタイマーで起こされる。空腹をコンビニ焼き蕎麦で補う。そうして蒲団に潜り込む。気分も悪かったんだ。疲れていたし。一四時頃に鍼灸医見習いの友人からの電話に起こされる。「もしもし。お疲れ様です。今、池袋だけど、向かって良いですか?」と云う。「よろしく」と答えた俺は、多少の片付け整理整頓を行い、友を待つ。
 友人がインターホンを押す前に、郵便屋さんのインターホンに応対した。浜松のバンドマンからのプレゼントであった。それは音源であった。俺は、それをBGMとして流しながら友を待つ。アァインジャスッフォーウェイティンオナフレン。同時に、必ず、かの 邪智暴虐の上司を除かなければならぬと決意した。俺には政治がわからぬ。
 そういえば、俺は、朝、母親から電話があり、何かを喋っていた気がする。はっきり憶えていないんだが、それは事実さ。そうだ、思い出した。「今月分の薬が届いたよ。サンキュー」とメールを送信したら、電話をかけてきたんだった。世間は殺伐としている。部屋の中は涼しい。
千鳥格子 やがて、友人は訪れた。「先週、(針を)打たなかったから、体が悲鳴をあげているよ。」と半ば冗談を仄めかすように云う俺だが、事実、首と肩がバキバキに痛くて、月曜日から辛かったのが事実である。友人は、「うわあ、久々に重症だねえ」と云った。もはや触診で明白なのであり、自覚症状以前に、それは自身が指を当てるだけでも張っているのが知れるのであり、体が柔らかかったら自分自身で針を打ちたいぐらいである。
 俺は、過去、様々な部位に炎症を起こして膿んでしまって、「これは裁縫針を刺して膿を取り除こう」なんつって安易な発想で患部に針をブッ刺したら、根は奥深く、全く膿瘍に届かず、ますます患部を悪化させて高熱を出したこともあるので、知識はある程度必要である。あれ、今、俺は何を云いたかったんだっけ。
 友人は、時間をかけて、手を替え品を替え、しかも俺は、「いいよ、できるところまでで。この後、予定があるだろう」と妥協をしたのに、俺の体の痛みを取り除いた。諸手を挙げて賞賛したい。今現在、時間が経って、ちょっと痛みが戻ってきたところもあるが、飲酒によって痛みを散らしているし、少なくとも、明日のサマーソニックに参加する体力は戻してくれたことに感謝したい。だって、首と肩がバキバキに痛いと、まず元気がなくなるでしょう。外出したくなくなるでしょう。気分が沈んでくるでしょう。だけど、痛みが取れたらたちまち気持ちも盛り上がるのである。
 どちらが先かは分からない。密接な、交感神経と副交感神経と、肉体と精神のバランスが、人を元気にするか落ち込ませたりするか、そして逃亡するか出頭するのである。極めて繊細な綱渡りをしているというわけだ。
CBGB 俺は、素直な気持ちで友人に問うた。「何で、こんな痛い目を合わなければならないわけ?姿勢が悪いから?頭が大きいから?運動不足?寝相?」。友人は、困った顔で、「いや〜、何とも云えないけれど、何かしらの衝撃があったわけでもなければ、やっぱりストレスとかになるんじゃないのかなあ。姿勢や寝相の悪さだけじゃ、こんなに酷くならないと思うよ」と答える。
 眼首肩腰の辛さは、ストレスのせいだなんて、地上波のCMで流れているぐらいのメジャーな回答である。ああ、典型的。ああ、日本人。ああ、三十路手前。良かった、俺は普通の人間だ。極めて、平均的な人間だ。……嘘。でも、一億総中流なんて、謙虚ぶった上流志向のようでますます肩が凝るぜ。堕ちよ、……なんつって、……って感じさ。

tequila_blog at 23:09│Comments(0)TrackBack(0)clip!

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