医療法務の専門家への道

行政書士法人名南経営 寺嶋紫乃公式ブログ

名古屋の行政書士法人名南経営で行政書士をしております。
建設業に特化したチームに所属ですが、それ以外の許認可業務全般に携わっています。

お客さまの新たなスタートはもちろん、既存事業の拡大にも全力でサポートします!
ブログを通じてもお力になれるよう、有意義な情報発信も。
よろしくお願いいたします。

前回、「出資持分」について説明させていただきました。

http://blog.livedoor.jp/terajimashino/archives/23279065.html

 

今回は「出資持分なし医療法人の移行」について見ていこうと思います。

 

【出資持分あり医療法人のデメリット】

①出資者が医療法人を去るときの「出資持分払戻請求」


出資持分あり医療法人の場合には、出資者に「払戻請求権」があります。

そのため出資者は、出資した割合に応じて医療法人の財産を返還してもらえます。

 ※出資額ではなく出資割合に応じた権利になります

 

返還は現金で行うのですが、その現金を用意することが困難となります。

多くの医療法人は財産を設備投資に充てているからです。

返還する現金を用意するために、設備売却をしたり、保健解約をしたり・・・
医療法人の経営に支障をきたす場合もあります。


 

②出資持分を相続させる場合の「相続税」


出資持分を相続させることはできるのですが、その場合、多額の相続税が発生します。

もちろんその税金は現金で払う必要がありますが、はたして相続人がそれだけの現金を
用意できるでしょうか?

そうなると、相続人は医療法人に対し払戻し請求をするということになります。

 

そうなれば①の問題も生ずることとなります。


 

このような問題を解決するために、国は平成1941日から持分なし医療法人の
設立しか認めないとしました。

 

 

では、持分あり医療法人から持分なし医療法人への移行に問題はないのでしょうか?


手続きは「定款変更」を行うだけですので、手間としては難しくありません。

しかし、この持分なしへの移行は医療法人に対して「贈与税」が課せられます。

(税金について私は専門外のため、詳細の説明は省略します。)

 

贈与税が発生するのであれば、誰も移行しようと思わないですよね。

そこで一定の条件を満たした場合には、その贈与税を非課税としました。

さらに平成2910月には、その条件を緩和させ移行を促進しています。


厚生労働省のHPより

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000180870.pdf

 


しかし持分なし医療法人への移行が必ずしも良しというわけでもありませんし、
そもそも条件を満たすかどうかも判断が必要になります。


「移行」すべきかどうかは専門家へ相談し、検討することをおすすめします。

社団医療法人には、出資持分あり医療法人と出資持分なし医療法人があります。

しかし、平成1941日から出資持分なし医療法人しか設立できなくなりました。

 

Q.「出資持分」とは何か?

A.出資者が保有する、出資持分に応じた払戻請求権

  (財産権のようなものです。)

 

つまり、出資者の払戻請求権の有無で、「持分あり医療法人」と「持分なし医療法人」が
区別されています。


 

Q.どうやって見分けるのか?

A.持分あり医療法人の場合、定款に出資持分の定めを設けています。

  (社員の退社に伴う出資持分の払戻し、
        及び医療法人の解散に伴う残余財産の分配に関する定め)

 

Q.では、定款を変更すればいつでも移行できるのか?

A.持分あり医療法人から持分なし医療法人へは「定款変更」を行えば
移行することはできます。

(定款にある出資持分の払戻しや残余財産の分配の定めを削除するだけです。)


しかし、持分なし医療法人から持分あり医療法人への移行はできません

 

Q.持分なし医療法人が解散した場合、財産は誰のもの?

A.国のものになります。

 

Q.割合は?

A.現状は、社団医療法人の76が持分あり医療法人、
  24が持分なし医療法人です。     (平成29年厚生労働省HPより)


 

割合を見るとまだまだ持分あり医療法人が多いですが、厚生労働省は
持分なし医療法人への移行を推奨しています。

平成2910から大きな税制改革が行われ、持分なし医療法人への移行の際に
贈与税がかからない措置などが講じられました。

 

どのような税制改革なのか?詳細は?

なぜ持分なし医療法人の移行をすすめるのか?


それは、また次回に・・・

医療法人は会社とは違い、法人としてできる業務が限られています。

大きく分けて4つの業務になります。

そして、医療法人であってもある要件を満たした医療法人しかできない業務もあります。


医療法人の目的を考える際には注意が必要です。

 

 

①本来業務

医師(歯科医師)が常時勤務する診療所又は介護老人保健施設の開設

 

⇒医療行為を提供する法人ですから、当然に行う・行わなければならない業務です。

 

 

②附帯業務

本来業務に支障のない限り、定款又は寄付行為に定めることで行うことができる業務

(1)医療関係者の養成・再教育

(2)医歯学に関する研究所の設置

(3)巡回診療所、へき地診療所等の経営

(4)疾病予防のための運動施設の設置

(5)疾病予防のための温泉利用施設の設置

(6)保健衛生に関する業務

(7)社会福祉事業の実施

(8)有料老人ホームの設置

 

⇒(6)は具体的に、薬局・鍼灸院の設置や訪問介護・通所介護を行うことが含まれます。

 注意が必要なのは(7)社会福祉事業の実施です。

 知事の認定を受けた「社会医療法人」しか行えない業務があります。

 

 

③収益業務

本来業務に支障のない限り、定款又は寄付行為に定めることにより
得た収益を開設病院等の経営にあてることを目的として行うことができる業務(13業種)

ただし、この業務を行えるのは「社会医療法人」のみです。

 

⇒業種については省略しますが、業務を行うには要件を満たす必要があります。

  ・反復継続的に行うこと

  ・「医療法人」としての社会的信用を傷つけるおそれがあるものでないこと

  ・名義貸しではないこと     等々・・・

 

 

④付随業務

定款変更等の手続きを要しないもので、③収益業務にも含まれないもの

 

⇒例えば、病院の建物内にある売店や敷地内で行う駐車場業があげられます。

 入院・通院患者やその家族を対象として行われるものになります。

このページのトップヘ