世の中からマラソン大会の大半が消えてしまって約1年。

身体のポンコツ化が著しい私としては、大会があってもなくても大して変わらない。

どうせまともに走れない。

まあ、そんなポンコツと今年も1年よろしくお願いします。
もう3月になるけど。

さて、今回のシューズは、メーカーとしては初お目見え。
ホカオネオネだ。

既にクリフトンを使っていて、その良さも堪能しているけど、ホカオネオネは基本取扱店舗が少なく、地方にいると顕著。
リンコン、クリフトン、ボンダイぐらいしかお目にかけることができない。
他は必然ネットに頼るしか無い。
現物が見られない状況で、「厚底高速ジョガー」を希望。

選んだのがこちら。

カーボンX




カーボンX(先代)。
ホカオネオネの中ではレーシングシューズに該当するが、他のレースシューズの名前が何とも紛らわしい。

カーボンロケット。
ロケットX。
カーボンX。

ロケットとカーボンとXと組み合わせて並び替えただけ(^_^;

この中からカーボンXをチョイス。ちょうどモデルチェンジ前で値段も安かったし。
カーボンXを選んだ理由は、ロッカー構造が顕著だったから。
私の脚は高反発シューズにマッチしていない('A`|||)
カーボンXであれば、反発よりもロッカー構造の方が特徴に出ていると思ったのだが・・・結果、大ビンゴ。

今回はこのシューズのソールをネタに、カーボンを使ったシューズについてちょっと考えてみた、という話題。

ひとまず、カーボンXのソールを一通り見てみる。

カーボンXサイド




横から見るとつま先がせり上がったロッカー構造。
これがカーボンプレートで固められていれば綺麗なロッカーが実現できているだろうと思ったが、想像以上。
あわよくばカーボンプレートの反発も貰えるかな?と思ったけど、

プレートが硬くてビクともしねぇ(; ̄Д ̄)

シューズの反発というのは、シューズが吸収したエネルギーを素早く・・・足が地面を離れる前に返してくれることだ。
そして、プレートであれば、プレートを変形(この場合は曲げる)することで吸収するのだが、

私の体重と脚力ではプレートを曲げられねぇ('A`|||)

ということで、反発は全然得られず。
まあ、キロ4を切るくらいになると、もしかしたら、ちょっとくらいは恩恵があるかもしれない。気のせいかもしれないが。
ただ、構造的に、脚力があっても反発はそんなに得られないハズだ。
これはメタレーサーと同じ。詳しくは後述。

プレートは、ミッドソール中央に挟まれている模様。
上層の白いPROFRYは高クッション・高反発という売りらしい。
下層が面白いことにアウトソールも兼ねている。アウトソールを省略しているのではなく、材質を兼ねたものにしている。

カーボンXアウトソール




見ての通り、アウトソールは貼られていない。
最近、廉価版を中心にアウトソールを省略するシューズがしばしば見られるようになった。
ホカオネオネだとリンコンが顕著。まあ、なんでアレは買う気がしない。

ただアウトソールを省略されると、グリップと耐久性が一気に落ちる。普通のEVAはグリップなんぞ全くない。
基本的に地面に接地する部分については、アウトソールは省略するべきではないと思っている。

なので、カーボンXも心配していたのだが、この下層ミッドソールが見事にアウトソールを兼ねている。
グリップは及第点ぐらいだが、耐摩耗性は普通のアウトソール並か、やや高いくらいだ。
ほとんど屈曲しないので元々減りにくい(曲がった所が減りやすい)のだが、それにしても十分な耐摩耗性。
その代わり、ミッドソール材としてはやや硬い。

総じて、ソールに柔らかさは感じない。
上層のPROFRYがやや柔らかいのだろうが、真ん中にあるカーボンプレートのせいで文字通り半減。
ミズノのウエーブとかもそうなのだが、ソールにプレートを挟み込むと、プレートの下層側のクッション効果が激減する。
硬いプレートが地面の代わりになって、プレートから上側しかクッションとして機能しなくなるのだ。

クリフトンは非常に柔らかく、クッションがあったのだが、カーボンXはレースシューズらしくクッションは低い。
ただ、厚底のおかげで衝撃はほとんど感じない。
カーボンXの立ち位置は、ターサーのようなレーストレーナーのようだが、ターサーより保護性が断然高い。
これは期待通りだ。

余談だが、ソール裏側から見ると穴が空いている所からカーボンプレートが見える。
踵から着地して、ロッカーを活かして転がると判らないが、ロッカーを無視するように中足部からフラットに着地すると、ぽこん、ぽこんと音がする。
まあ、そうだろう。
それはいいのだが。

吸盤のようになって抵抗になってない・・・?

気のせいだと思いたい。

ただ、接地抵抗の大きいシューズではある。
なにせ、接地面が広い。
安定性は高いのだが、接地面が高いとグリップとは別に接地による転がり抵抗が入ってくる。
クルマの燃費に関わる転がり抵抗と同じ。
足が転がるが、イマイチ軽快感にも欠ける(^_^;

そんなカーボンX。
期待通り高速ジョグに使用中。
ぶっちゃけ、ジョグ以上のペースを出すのがキツい。ジョグ以外できない(^_^;

ロッカーが強力。ともかくプレートが硬い。
そのせいで接地中は足の動きに冗長性がない。キッチリカッチリプレートの湾曲に沿って転がるしかない。
そのため、着地したらスムースに転がる一方、踏ん張りが効かない。
ぐっと、力を溜める瞬間が作れない。
作りたければ、踵から着地してのロッカーを止めて、フラットに着地して着地の瞬間に溜めを作る感じか?
それでロッカー機能が壊れて、力業でプレートが曲がると多少反発が効いてくる感じだ。

また、ソール幅も広いので、横に対しても冗長性がない。つまり、横方向への屈曲がないので脚が垂直立ちを強制される。
結果、足跡が一直線になるような走り方がしづらい。
両足が平行に、いわゆるナンバ走りを強制される感じだ。

走りづらい、と表現するのも憚れる感じだが、他のシューズとは違って走り方を強要されるところはイマイチ。
イマイチではあるが、私としては許容範囲で、快適に厚底シューズでスピードを出せるところを推したい。

しばらく使った結果、今ではかなり慣れて、違和感無く使えるようになって来た。
割と違和感無く使えるアシックスのライドシリーズとは違い、正直慣れが必要だろう。


ここからは、改めてカーボンプレートの役割を考えてみよう。
今、各社カーボンプレート入りシューズを出して、ラインナップを持っているのが当たり前の時代になった。
しかし、カーボンプレートが入っているから即「高反発」とはなっていないようだ。

実のところ、カーボンプレートが入ればどんなものでも高反発シューズになる訳では無い。
カーボンプレートと一概に言うが、実のところはカーボン繊維を混ぜた樹脂だ。一般的に言うCFRP。
そもそもの話、CFRPの最大の特徴は「軽量性」だ。
つまり、

金属に比べると軽い!

だ。
多くは金属の代替材料として使われている。

CFRPは軽量なのに金属並み、場合によっては金属以上の弾性率を持っているので、金属との置き換えが可能ならば大幅な軽量化が見込める、というのが一般的な使い方。

ここで、出てきた「弾性率」だが、ゴルフのカーボンシャフトのように「曲げると勢いよく戻る」とかゴムのような「跳ねる」イメージの弾性を想像するかもしれないが、弾性率とは変形のしにくさを表す。

つまり、カーボンプレートってのは、「軽くて変形しにくい板」っていうのが最も端的に特徴を表した言葉だ。それ以上のものではない。
それを踏まえると、カーボンプレート入りシューズというのは、軽量性を除けば機能的には、

シューズに鉄板が入っている

みたいなシューズだ。極論だが。

なので、本質的には、固くて曲がらないシューズになっている。
重要なのは、その固いプレートにどのような機能性を持たせるかだ。

高弾性=変形しにくいプレートをシューズに入れると何故いいのか。

例えば、カーボンXであれば、屈曲させずロッカー(転がる)構造を持たせることで力を入れずに体重移動が可能にできる。
では、「高反発」とは何だろう?

変形しにくいというのは、言い方を変えると変形させるのに大きな力を要するということ。
そして、その変形が元の形に戻る時、変形時に加えられた大きなエネルギーを放出することになる。
そのエネルギーを推進力になると「反発力」となる。
なので、

そのそも固すぎて変形しないとエネルギーを蓄えられないので反発力は得られない。

今回のカーボンXがこれ。
私が過去にレビューしたズームフライやメタレーサーに比べても固い。基本的には「曲がらない」プレートとして設計しているのではないかと思う。
ただ、厳密には大きな力をかければいつかは変形するので、その時エネルギーを蓄えられることになる。私の脚力ではなかなかできないが。

しかし、次の問題は、放出されたエネルギー(元の形状に戻る時のエネルギー)が推進力になるかだ。

メタレーサーの時にも書いた記憶があるのだが、プレートがアウトソールと平行に配置される限りは、プレートが屈曲して戻る時のエネルギーは、前方には向かない

つま先立ちの状態でプレートが屈曲している状態で、そこからプレートが元の形に戻ると斜め前方上に反発力が得られるように思えるが、実のところ、アウトソールが地面に接地している限りは真上にしか行かない。
アウトソールが接地している限りは、その接地点ではアウトソールと地面は平行であり、アウトソールとプレートが平行な限り、プレートの反力は地面に対して垂直にしか働かない。
まあ、真上へ反発力が得られるなら、それはそれで意味はあるのだが。

・・・めんどくさいことは置いて、結論だけ言えば、固いプレートで前への推進力を得たいのであれば、アウトソールに対して傾けて配置しないと前方に反発力が得られないハズだ。
そういう構造にしないのであれば、ロッカーであれ、単なる安定性向上であれ、他の機能を持たせるつもりでないといけない。

単にカーボンプレートを入れれば、どんなものでも高反発を得られるということはない。

あと、バカバカしいほど当たり前の話を言えば、

高弾性プレートによって追加エネルギーを得られることはなく、自分が発揮したエネルギーしか得られない。

もし、高反発シューズのおかげでタイムが向上したというのであれば、今まで履いていたシューズがエネルギーをリターンしてくれなかった、または、

自分が無駄にしていたエネルギーをシューズが吸収して、推進力として返してくれるようになった

かのどちらかだ。
そして、薄底シューズというのは、そもそも変形してエネルギーを吸収できない(少ない)。
エネルギーを吸収しないからそもそも無駄に使うこともない。シューズは

つまり、高反発シューズで単純に速くなったというなら、身体がエネルギーを無駄に使っていたと言う方がしっくりくる。
具体的には、着地のエネルギー(ジャンプした高さからの位置エネルギー)を身体(筋肉)で吸収して、推進力に使うことができなかったのではないか。
それをシューズが行ってくれたので速く走れるようになった、というのが納得がいく。

本質的には、高反発シューズというのは、厚底とセットであるべきだと思う。
厚底によって、身体で衝撃を吸収する必要を無くし、シューズで吸収する。それによって身体を保護する。
厚底が吸収したエネルギーが、身体に(推進力に)リターンされなければ遅くなるが、しっかりリターンしてくれれば遅くなることもない。
着地の衝撃を身体で受けなくてもスピードを犠牲にすることが無いので、後半になってもダメージ無く走れる、というのが厚底高反発シューズ最大のメリットと思っている。
薄底であれば、別に高反発を持たせなくてもそもそもエネルギー吸収しないんだから、エネルギー効率的にはどうでもいい気がする・・・。

厚底高反発シューズで、5000mのような短い距離で速くなったという場合、従来が薄底シューズやスパイクを履いていたのであれば、元々身体の使い方という面でエネルギー効率がまずかったのでは無いかという疑念がある。


カーボンXの話だったはずが、だいぶ脱線した気もするけど書きたいことは書いた(^_^;
予定通り!

カーボンプレート入りシューズが乱発されているけど、目的を持った構造をしていないとただ硬いだけのシューズに終わるんだよ!っていうのが今回のお話。
各メーカーの技術力の見せ所だね!
この点、間違いなくナイキが一番うまくやっている。

ただひたすら私が使えない(恨み節)というだけだ。


さて、次回(いつになるか不明)は、いよいよ「反発するカーボンプレート入りシューズに挑んだ」というお話。