咲-Saki-連続SS

竜華「ネズミハナビ」


 
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竜華「屋台ってだけやのに、ついつい買い過ぎるわ」

怜「お祭り気分って怖いなあ……財布の紐も緩なっとるし」

竜華「あ! 怜、くじ引きやって!」

怜「はぁ、言うとるそばからこれや」

竜華「一等は麻雀牌か……試しにやってみよか?」

怜「やるだけ無駄やと思うけどな~」

竜華「ウチこういうの引き強いんやって」

怜「期待せんと見とくわ」

竜華「酷いなあ……おっちゃんこれ一回ええ?」

「らっしゃい!!……って、清水谷の竜ちゃんやんけ」

竜華「誰かと思うたら隣のおっちゃんか」

「となると後ろの子ーは怜ちゃんか?」

怜「こんばんは~」ペコリ

「なんやえらい可愛い浴衣着とるもんやから、どこのお嬢さんかと思うたわ」

竜華「せやろー? ほんなら一回させてーや」

「よっしゃ、特別に500円を100円にまけたろ」

竜華「気前ええな~……これ、どないやろ?」

「39番は……あー、六等やな」

竜華「え~、はずれやん。これほんまに当たり入っとるん?」

「は、入っとるに決まっとるやろ!! あんまり怖いこと言うたらあかん!!」

竜華「おっちゃんがまたこっすい商売しとったって、おばちゃんに言い付けよ」

「言い掛かりは勘弁してくれや!! ほら、はずれオマケしたるさかい」

竜華「しゃーないなあ」

怜(えげつないわ……)

「そろそろ花火も上がるんやろ? 神社のとこにええ場所あるで」

竜華「ほんま? それはありがとうな~」

怜「頑張ってや~」

「気ぃつけてな~」

怜「ええおっちゃんやな」

竜華「おばちゃんに頭上がらへんねん」

怜「セーラ達どこにおるんやろ」

竜華「河川敷の方に行っとるってメールあったけど、どないする?」

怜「うーん、どないしよ」

ハーバターイーテー オネガイー

竜華「セーラからメールや」

怜「なんやって?」

竜華「えーっとな……河川敷人多すぎて今から来るの厳しいかもやって」

怜「あらら」

竜華「おっちゃんが言うとった神社の方行こか」

怜「せやな」

怜(セーラなりに気をつこうてくれたんやろか……)

ヒュルルルルルル


ドーン……

竜華「わ、花火始まってもうたやん! 急ぐで怜!」

怜「はいはい」

ヒュルルルルルル



ドーン……


………………

竜華「思ったより遠くなかったわ」

怜「せやな」

竜華「あと何発くらい残っとるんやろ」

怜「結構上がっとったからなあ」

竜華「そこ、座ろか」

怜「ん……」


ヒュルルルルルル

ドーン……

パラパラ……

怜「りゅーか……」

ヒュルルルルルル

「…………、」

ドーン……

竜華「……え? 何か言うた?」

怜「ううん」フルフル

竜華「そっか」

ヒュルルルルルル



ドーーーンッッ



竜華「……今のが最後みたいやね」

怜「……短かったな、花火」

竜華「次見られるの、いつやろう」

怜「阪神かオリックスが優勝した時ちゃう?」

竜華「それは落ち着いては見れへんやろな~」アハハ

怜「…………なあ、竜華」

竜華「何?」

怜「膝枕、してくれへん?」

竜華「ええけど、ちょっと待って?」

怜「ん?」

竜華「先に……これ、しよか」ゴソゴソ

怜「さっきのはずれやん……何入ってんの?」

竜華「これや」

怜「……何これ」

竜華「あれ、怜知らんの? ネズミ花火」

怜「ああ、ネズミ花火か。実物見たことなかったわ」

竜華「ならちょうどええやん。これ先にやろ」

怜「……おまけしてもろて一人一袋ずつって、なんか詐欺臭いなあ」

竜華「まあ100円やったし」

怜「ほんとは500円やん」

竜華「気にしたらあかんって」

カチッ

竜華「はい、蝋燭つけたで」

怜「これ、どうすればええん?」

竜華「端っこに火い着けてからすぐ地面に投げるだけや」

シュッ

ポイ

竜華「……ほら」


……シュルルルルルルルルッ


怜「おお、すごいなぁ」


シュルルルルルルルル

プシュッ


怜「消えてもた」


竜華「おもろいやろ?」

怜「おもろいわ……せやけど、儚い」

竜華「儚い、か」

怜「うん」

竜華「……ウチな、ネズミ花火と怜って、似てる気がすんねん」

怜「私?」

竜華「うん」

怜「……何となく、わかる気がするわ」

ゴソゴソ

怜「自分が一番輝ける時は一瞬しかないから、頑張って進もうとする」

シュッ

怜「もがいて、足掻いて、それでも前に進みたいねん」

ポイ

怜「せやけど本当は、ぐるぐるぐるぐる同じとこ回っとるだけで」

……シュルルルルルルルルッ

怜「またすぐに消えてしまう」

シュルルルルルルルル

プシュッ

怜「それが見ていて、儚い――――」

怜「麻雀やってそうや」

怜「一巡先が見えるだけで」

怜「本当は三軍の、弱い自分のままなんや」


竜華「怜……」

怜「花火、なくなってしもたな」

竜華「……まだウチのが残っとる」


シュッ

竜華「ウチが似とると思ったんは、儚いからやないんよ」

ポイ

竜華「自分の体削ってまで、誰かのために頑張った」

シュルルルルルルルルッ

竜華「一瞬でもええやん、ぐるぐる回っててもええやん。きっと誰かのためになっとる」

シュルルルルルルルルッ

怜「でも」

竜華「でもやない。花火も頑張っとるやん」

シュルルルルルルルルッ

竜華「ネズミ花火が回っとる間は、ほら」


シュルルルルルルルルッ


竜華「怜の顔がよう見えるで」


シュルルッ

プシュッ

竜華「さ、片付けて帰ろか」

フッ

竜華「花火拾うて、水かけて持って帰ろな」

怜「…………」

竜華「ん? どうしたん?」

怜「な、何でもない」

竜華「そっか……って、もうこんな時間やん!! 急がんと、今日何時まで外出許可下りてん?」

怜「あ、えっと、な?」

竜華「何?」

怜「外出やなくて、外泊許可の方とってきてん」

怜「竜華んち、泊めてくれへん?」

………………

怜「お湯まで貸してもろて、申し訳ないわ」

竜華「祭で汗かいとるし、気にせんとってや」

怜「……さっきの続き」

竜華「え?」

怜「結局膝枕してもらってないやん」

竜華「あ、そうやった……ほら、おいで」ポンポン

怜「んしょ……」コテン

ポフッ

竜華(あ……れ……?)

怜「やっぱり落ち着くわ~」

竜華(何やろ、この違和感)

怜「このまま寝てまうかも」

竜華(怜ってこんなに――――軽かったっけ)

怜「……竜華? どうしたん? 怖い顔しとるけど」

竜華「あ、え? そんな顔しとった?」

怜「気のせいやったら大丈夫やけど」

竜華「別にどうもしとらんで~」ナデナデ

怜「そっか……ふぁぁ、あ」

竜華「もうおねむなん? そのまま寝ちゃってもええよ」

怜「久しぶりのお出かけやったからな……お言葉に甘えてちょっと眠らせてもらうわ」

竜華「はいはい、おやすみ、と、き――――」

チュゥゥッ

怜「……っぷは」

怜「えへへ、おやすみな、竜華」

竜華「ちょ、」

竜華(い、今のは反則やって……!!)ドキドキドキドキ

怜「…………すぅ」

竜華「……おやすみな、怜」

………………

怜「…………ん」

怜(ここ、竜華のベッド……)

怜(わざわざ運んでくれたんかな)

怜「ええっと……三時半……か」

怜「妙な時間に目え覚めてしもたな――――こほっ」

怜「けほっ、けほっ……ごほっ」

怜「けほっ……うわ」

怜(血……手ぇ洗ってこ)


ジャー


ガチャッ

モゾモゾ

怜「竜華……起こしてもうた?」

竜華「…………」

怜「寝とる……?」

怜「あんな、竜華」

怜「私、もう一緒に花火見られそうにないわ」

怜「あと一年、生きられそうにないんやて」

怜「今はな、何とか安定しとるんやけど、次いつ発作が来るかわからん」

怜「……生きるって、辛いな」

怜「ネズミ花火って、ほんま的を射とるわ」

怜「私も、消える前に、ちょっとでも輝けたんやろか」

ギュッ

怜「……なんでやろな、」

怜「手、洗っただけやのに」

怜「背中が濡れて冷たいで、竜華……」

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To be continue...