110925 (7)
JR京浜東北線、品川駅のひとつ隣にある「大井町」。
ここ数年、駅前はすっかり奇麗に再開発されてしまっているが、
一歩路地を入ると、程よい寂れ具合の商店やら飲み屋がまだ相当数、残っている。

東急大井町線のガード下に沿って延びた
アーケードに軒を構える、信州酒場「浅野屋」もそのひとつだ。
酒飲みで、この赤提灯と色褪せた暖簾に心惹かれぬ者はあるまい。

110925 (6)
店内に入ると1枚板のカウンターが2枚、入口から奥へまっすぐ伸びている。
「コの字」型のカウンターが普通だが、こんなレイアウトはなかなか珍しい。
脇に、一応小さなテーブル席もある。
奥の席やトイレへ行く客は、カウンターの間を通っていく形になる。
向かい合わせに話す常連客の、会話の邪魔にならぬようにするのが、
大人としての気遣いといえよう。

110925 (1)
一番の名物は、煮込み(400円)。
赤褐色の味噌(おそらく八丁味噌で信州系ではない)を使った、
ちょっと風変わりで、どろっとした濃厚な味わいが特徴である。
八丁味噌の味が嫌いでなければ、やみつきになるはずだ。
これに豆腐を加えた「煮込み豆腐」も旨い。これからの季節は特に。

110925 (4)
煮込みは、カウンターの脇に置かれた鉄鍋にて、小柄な女将さんが沸々と煮込む。
立ち込める味噌の匂いが、また食欲を誘うのだ。
奥の厨房ではおやじさんが調理にあたっている。

110925 (5)
それ以外の献立も充実している。
この日は焼き魚(サバ)、マカロニサラダを頼んでみた。
日本酒は普通の本醸造1本槍なのが、残念といえば残念だが、
こういう場では無粋なことは言わずに飲む。
ホッピー(390円)はボトルでは出てこず、生ホッピーをジョッキに注いでくれる。

110925 (3)
「信州酒場」という割に、信州の酒や食べ物を売りにしている店ではないのだが(笑)、
納豆オムレツ、ポテトフライといった居酒屋らしいツマミも充実し、丁寧に作ってくれる。
これで焼き鳥があれば完璧なのだが、ぜいたくは言うまい。
ご飯やみそ汁(これは信州味噌)も出すので、定食スタイルで一杯飲む客も多いようだ。

110925 (2)
この昭和的雰囲気、昭和に育った者にとって心底から落ち着ける。
店の主人が相撲好きのようで、店の壁には関取りの名札が並んでおり、
常連も相撲がやっているときはテレビを見ながら、勝った負けたの雑談を交わす。

一見、この手の店は入りづらそうだが、最初にちょっとだけ勇気を出して扉を開け、
座ってしまえばこちらのもの。どっしりと飲めばいい。
ひとしきり飲み食いしても3000円でお釣りがくる。値段も実に良心的だ。

大井町周辺も、昔に比べて今風の飲み屋が増え、
この「浅野屋」のような古くからの店は次々と姿を消しつつある。
逆風に負けず、昭和の風情を大事にして末長く頑張ってほしいと心から願う。
未訪問だが、学芸大学に姉妹店があるらしい。


関連ランキング:居酒屋 | 大井町駅下神明駅西大井駅