04
昨日書いたとおり、埼玉県は行田市にある「忍城」を訪ねたさい、
珍しいものを食したので、忘れないうちに記しておこうと思う。

P1120039
行田の町の至るところに、斯様な幟が立っている。
「ゼリーフライ」。いわゆるご当地名物だが、他の場所ではまず耳にしないどころか、
埼玉県内でも行田市にしか、こんな食べ物は無いらしいのだ。


20
冒頭写真の御三階櫓から南へ15分ほど歩いたところにある「水城公園」の一角に、
その元祖ともいえる、古ぼけた造りの小さな店が建っている。
屋根には大きく「行田名物 ゼリーフライの店 駒形屋」とある。

08
1本60円。注文すると、さほど待つこともなく、揚げたてを箸に刺して渡してくれる。
小ぶりなコロッケのようで、噛り付いてみると、はたして
味は衣の付いていない、コロッケそのもの。
うっすらソースがついていて、初めて食べたにも関わらず、
懐かしい風味が口いっぱいに広がってくる。

09
もちろん、ぷるぷる菓子の「ゼリー」なんぞを揚げた食べ物ではないし、甘い物でもない。
おから、ジャガイモを練り混ぜた、いわば「野菜まんじゅう」。
細かく刻んだネギ、ニンジンなどが少量入っている。
脂っこくなくて食べやすいので、コロッケが嫌いな人でなければ、
あっという間に完食できてしまえるだろう。

この食べ物、明治の頃からあるようで、
名前の由来は、銭のような形をしているからそれが訛ったものであるとか、
当時、東京の方で流行り出したゼリーというハイカラな菓子の名に
あやかって名付けただけだとか、諸説あってハッキリ分らないようだ。
(ちなみに、ゼリー状で知られる寒天というものは日本にも17世紀ごろにはあったらしい)

美味しいのだが、「ゼリーフライ」という名前からはどうしてもこの味が
ダイレクトにイメージできないため、食べ終わった今でも
なんとなく違和感が残っている(笑)。
こうしたテイクアウト専門の店のほか、肉屋で売っていたり、
焼きそばなど他の料理店のサイドメニューに置いてあるところも多く、
行田市内ではあちこちで食べることができる。


10
また、行田にはもうひとつ風変わりなメニューがある。
それが、この「フライ」という食べ物だ。
お好み焼きを、やや薄く伸ばして鉄板で焼いたような感じのもので、
普通のフライには具はキャベツ程度しか入っておらず、
オプションで卵や肉を注文すると包んで焼いてもらうことができる。
味付けや生地の厚さは、店によってまちまち。

油で揚げていないのに「フライ」というのは、なんともユニークだが、
ゼリーフライと同様、名前からは全然想像もつかないので、
そういうものだと分かってはいても、
いざ実物が運ばれてきたとき、その違和感に思わずニヤニヤ笑ってしまった。

これも、お好み焼きが好きな人であれば、美味しく頂けることだろう。
ビールのつまみにも丁度いい感じだ。

12
この「フライ」は、市街地から遠く離れた、石田堤のそばにポツンと立つ一軒
えんまん堤」というプレハブ小屋のような店で食した。
ここまで来るのに、随分と歩いたうえ、周りには他に店らしい店もなく、
石田堤を観に来た人にとってはオアシスのような存在といえよう。
おばちゃん2人が丁寧に焼いてくれて、少し雑談なども交わし、楽しいひと時が過ごせた。
フライは1枚330円。安い。ビールを頼んだら、お通し代わりに煮物(無料)も出してくれた。


11
この店にも「ゼリーフライ」(70円)があったので頼んでみた。
「駒形屋」のものより一回り大きく、見た目はやや揚げすぎた感じの色だが、
箸で割ってみると、外はカリカリ、中がホクホクとして、これまたビールが進む(笑)。
こうして各店のものを食べ比べてみるのも面白いかもしれない。

忍城の郷土博物館の近くにある「かねつき堂」という店も、
「ゼリーフライ」と「フライ」の両方が味わえるとのことで勧められたが、
何度かテレビなどに取り上げらている有名店のようで、
外観も観光客向けにずいぶんと繕っているようなので敬遠した。
実際観光客には人気だし、旨いのだろうと思うが、
こういう場所では、なるべく今回書いたような「素のまま」の店を私は利用したい。

地元の人に聞いてみると、「ゼリーフライ」も「フライ」も
好きな人は頻繁に食べるし、そうでない人はたま~に食べる程度だそうだ。
その辺は普通のご当地グルメと変わりないらしい。
以前書いた、川越の太麺焼きそばといい、埼玉B級グルメはなかなかに興味深い。

P1120377
(駒形屋のゼリーフライをまとめ買いした図)
2種ともまさにB級の郷土食であって、決して有難がるような食べ物ではないが、
何と言っても安いし、その庶民臭さが私にとっては親しみやすく好感が持てた。
行田以外には、全然定着していないところも頑固な感じがして良いではないか。
頻繁にふらりと食べに行けるような距離ではないのが残念だが…。


(詳しく解説しているサイト)
http://www.nisshin-oillio.com/report/kikou/vol1.shtml

関連ランキング:郷土料理 | 行田市駅