哲舟の呑む喰う浸かる、歴史に憩う

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グルメ・呑み喰い処

黒田官兵衛の足跡を追う、城とグルメと温泉たび(4) ~兵庫・番外 編~

2月は短いせいか、なんだか気ぜわしくて毎年あっという間に過ぎてしまう。
前回記してから、またしばらく間が開いてしまったが、先日行った
姫路・鳥取・岡山の旅路からの続きと雑感を上げて、締めくくりとしたいと思う。

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岡山であまりのんびり出来なかったのは残念だが、やむなく神戸まで戻って、
そこから、「粉もの」の町、新長田へ。友人に紹介してもらった「ひろちゃん」という店で、念願の明石焼きを食べる。姫路のタコピアで食したのは「明石焼き風たこ焼き」だったので、今度は本当の明石焼きを食べたいと思っていたのだ。やかんに入った出汁を椀に注ぎ、それに付けて食べる、ふんわり柔らかい粉物。地元の人は単に「玉子焼き」と呼ぶ理由がわかる。出汁はそのまま飲んでも上品な薄味で、とても美味しい。

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これも関東に居たら、ほとんど食べる機会のない「ソバめし」。焼きそばとご飯を
一緒に炒めるという、ユニークな食い物。それにしても関西人は本当に焼き物、粉物が大好きなんだなあ。食は生活の一部だから、鉄板もまた生活の一部。関東では粉物屋というと、大抵は自分で焼かなければいけないのだが、関西はお店の人が焼いてくれるのも、美味しい理由かもしれない。そのほうが楽に美味しく食べられていい。

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そのまま元町のホテルに泊まり、翌朝はホテルに荷物を預かってもらって、
神戸電鉄の粟生(あお)線に、のんびり揺られ「三木上の丸」駅へ。兵庫県三木市別所町にある、とても長閑な駅。あいにくの雨となったが、気にせず向かう。

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ここに何があるのかといえば、駅から歩いてすぐのところに、三木城の跡があるのだ。
そう、三木城といえば、秀吉が「三木の干殺し」と呼ばれる苛烈な兵糧攻めを行なったところ。また、竹中半兵衛がこの陣中に没したことで知られる。

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こういう絶壁を登ってみると、その昔は堅城だったのだろうな、と感じさせる。

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本丸に到着。何もないのかと思ったら、以外に色々な遺構があって、
これは「カンカン井戸」と呼ばれる当時から残る井戸。石を投げ込むと「カンカン」と音がすることから付いた名前だそうだ。鉄柵に覆われ、石は投げられないようになっている。

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当時の城主、別所長治の銅像もあった。背後の丘には辞世の句を刻んだ石碑がある。
「今はただ うらみもあらじ 諸人の いのちにかはる 我身とおもへば 」
鳥取城の吉川経家、備中高松城の清水宗治と同様、開城の条件として我が身を犠牲にした義将。これら3名は、もう少し有名になってもいいのではないかと思う。

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長治の自刃や、三木合戦の様子を描いた絵の描かれた案内板があった。
ちなみに黒田官兵衛は、この合戦が始まってまもなく、有岡城(伊丹城)で捕らえられ、1年間の幽閉生活を送る羽目になった。助け出された後、官兵衛はこの三木城攻めの陣中に復帰したという。

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本丸跡から城下を見下ろす。今回の旅では、秀吉が行なった「三大城攻め」と呼ばれる戦の舞台、
鳥取城(鳥取)、備中高松城(岡山)、三木城(兵庫)を、一度に訪ねることができたのも、これまた嬉しい限りであった。鳥取城と三木城はそれぞれ「渇え殺し」「干し殺し」と呼ばれる過酷な兵糧攻めをかけられ、備中高松城は有名な「水攻め」である。


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さて、再び神戸・元町方面へ戻って、近くにある花隈城を見にいく。ここは
荒木村重が有岡城、尼崎城で信長の軍勢に敗れたあと、執念深く立て籠もった城の跡。村重は結局ここでも破れ、毛利家を頼って中国地方へと落ち延びていく。

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現在、城跡にはかなりの量の石垣が積まれて天守台が設けられるなど、公園化しているが、
この石垣は当時のものではなく、模擬的に造られたものらしい。荒木村重が逃げた後、これを攻め落とした池田恒興がすぐ近くに兵庫城を築くため、花隈城は取り壊した。いずれにしろ当時はかなり大規模な城だったようだ。

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そのまま、神戸の南京町(中華街)へ。春節の催し準備の真っ最中で、程よい賑わい。

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南京町に来たからには、名物「豚まん」で有名な老祥記(ろうしょうき)へ。
土日などは行列が絶えない店だが、雨模様で平日の午前中ということもあり、2~3人しか並んでいなかったが幸運だった。

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持ち帰る人が多いし、私も今まではそうしてきたのだが、今回は店内で
出来たてをいただいてみることにした。フカフカして旨い。1個90円。これでビールでもあれば最高なのだが、この店は本当に豚まんしか無いのである・・・(笑)。豚まんといっても、一口サイズの小さいものなので、10個も平らげてしまった。

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少し海岸のほうへ歩き、「神戸華僑歴史博物館」をサラッと見学し、海軍操練所の跡へ。
ここは幕末に、勝海舟が築いた海軍学校があったところ。当時、ここに坂本龍馬、陸奥宗光なども通っていた。なかなか面白いモニュメントが建っている。

さて、この旅もそろそろ終わりが近づいてきた。
新神戸駅に出て駅弁を買い、新幹線で帰京。なんとも名残惜しいが仕方ない。

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ちなみに購入した弁当は、これ。「官兵衛の築城弁当」。
写真がうまく撮れなかったので淡路屋のサイトから拝借した。城型の陶器はなかなか良くできているが、たいそう重くて嵩張るので、持って帰ってくるのに苦労した(笑)。中身は鶏つくね、鶏唐揚げ、きんぴら蓮根、官兵衛焼き印入り卵焼、竹炭薩摩揚げ、菜の花煮、人参煮、かやく御飯。味は普通においしいが、、容器に比べて中身には取り立てて特徴がないかな。

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官兵衛の弁当は持ち帰ってきたもので、実は新幹線の中で食べたのは、
この「肉めし」(1000円)。淡路屋の主力商品。国産牛のもも肉のローストをサフラン風味のご飯に敷き詰めてある。これ、結構好き。量がやや少ないのと、添え物がしょぼいのは難点だが。関東の駅弁大会とか東京駅の駅弁屋では淡路屋の弁当は売っていないので、なかなか食べるチャンスがない。

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あと、お土産で買ったものといえばこちら。姫路城の売店にて。官兵衛のお椀方の兜を模した、ぐい飲みだ。実用にするよりも飾っておきたくなる。

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姫路城のお屋敷庭園の建物玄関に展示されていた官兵衛の騎馬人形。
なかなか精巧に出来ているので、欲しかったけどもちろん売り物ではない・・・(笑)。

とまあ、こんな感じで有意義な4日間の旅でございました。鳥取や岡山は、いずれも随分と昔に行って以来、久しく足を運んでいなかったので、今回は本当にいい機会だった。またいつでも行きたいものだ。

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最後に1枚。太閤ヶ平(秀吉本陣)から見た鳥取城。

忍城のまち行田で、足袋(たび)の工場を見学してきた。

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映画 「のぼうの城」で、にわかに脚光を浴びている、埼玉県の行田市。
石田三成が水攻めにしたとされる、忍城跡があることで有名な街だ。

去年、ここを訪れて忍城や、ゼリーフライの日記を書いたときはあまり反応がなかったが、
今年は映画の影響で、かなりの人が同記事を検索して観に来てくれているらしい。

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まだ訪れていなかった、丸墓山古墳にも行ってみた。石田三成が本陣を置いたところである。
山といっても古墳だから大した高さではないが、それでも街を一望する眺めは素晴らしい。
当然、忍城の戦いがあった頃とは様変わりしているが、往時を偲ぶには絶好のスポットといえる。

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さて、今回の目的は何かというと、レキシズルのIT奉行・小松さん(左)のお招きにより、
足袋(たび)の工場を見学させてもらいに来たのである。
そう、行田は日本一の足袋の産地。今でも国内シェアの8割をまかなっているとか。
右にいらっしゃるのが、「後藤足袋有限会社」の後藤安男さんで、この道40年の社長さん。

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さっそく、工場の中に入れてもらうと、職人さんたちが一所懸命、足袋作りに精を出していらした。

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皆さん、まさにベテランといった風格。我々にとって、初めて見るような機械を
器用に使いこなし、それぞれの工程で作業に没頭している。機械はドイツ製のものだそうだ。
この工場は後藤社長のお父さん、お兄さんと続いてきて、約70年の歴史があるとのこと。

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若奥さん風の人も、しゃきしゃきと手を動かしている。
細かい説明は省くが、ここでは全9工程の作業が行われていた。

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レキシズルスペースで使われている、ポップ足袋は受注生産の特注品のため、
通常の白い足袋の合間をみて、注文された数だけがつくられている。
ひときわ異彩を放つデザインの柄足袋だが、実に手際よく完成されていく。
一通り見ていたが、1足あたり15分もかからなかったのではなかろうか?

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完成の図。この工場では、1日にだいたい1000足ほどが生産される。
1ヶ月あたりで2万~2万5千も作るとか。今の時代、日常的に足袋を履く人は少ないが、
それでも、この小さな工場で、そんなに作られているのを聞くと、すごいなあと思う。

日本の伝統文化、そして、それを作る職人さんたち、どちらも本当に素晴らしい。
こういう現場を見ると、我々も日本文化を守っていかねば・・・と強く思う。

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いやあ、良いものを見せてもらった。
ちょうど昼時なので空腹を満たしに、小松さんの案内で、うどん屋に入る。
「奥秩父」という名前の、手打ちうどん屋。地元では割と有名らしい、民家風の店だ。

行田といえば、やっぱり「ゼリーフライ」や「フライ」がすぐに思い浮かぶが、
実は先週も来てそれは食べているので、
さすがに違うものが食べたくて、うどん屋に入ったのだ。実は埼玉は、うどん処なのである。

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「きのこ汁うどん」の大盛(700円)を注文した。もりうどんにして、麺の食感を楽しむ。
つけ汁は熱くて、きのこがタップリと入っている。他に肉うどん、鴨南うどんがある。
写真でお分かりのように、不揃いの太さの麺は、きしめんを思わせる。まさに手打ちならでは。
しっかりとした弾力があって、箸が進むこと・・・。

蕎麦は置かずに、うどんだけで勝負しているのが素晴らしい。
フライといい、うどんといい、小麦粉料理が伝統的なのは、米が貴重だった時代の名残なのだろうな。

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棟方志功が愛したことで有名な、「十万石まんじゅう」の本舗、ふくさやにも立ち寄り。

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おなじみの「十万石」の焼印の代わりに、のぼうの城の登場人物らの名が刻まれた商品もあった。
こういう商品で地元が盛り上がるのは良いことである。

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秩父鉄道の「行田市駅」に到着。改札の横にも、のぼう様のパネルが・・・(笑)。
この日は久しぶりに時間ができたので、このまま秩父へと電車に揺られて行ってみることにした。
とりあえず、今日はここまで。続きはまた。
 

煮込み・やきとん・ワインの組合せがおいしい大衆酒場「山利喜」

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江東区森下。清澄通りと新大橋通りがまじわる森下交差点近くには、
池波正太郎の小説「鬼平犯科帳」にも、ひんぱんに登場する「二ツ目橋」(二之橋)が架かる。
昭和の中ごろまで、この一帯はドヤ街だったところで、今も下町の風情が色濃い。

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そんな街の歴史を、古くから見守ってきた店が「山利喜」。
創業は大正14年(1924)、すでに三代続く大衆酒場である。
「やまりき」という店名は、創業者の山田利喜造の名前からとられたようだ。

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歴史ある店ということで、もっと古びた感じだと思っていたが、意外にも5階建てのビル。
2009年に建物老朽化のために建て替えたそうで、すぐ近くには3階建ての新館もある。
もっと昔から知っていれば・・・と一瞬悔いたが、中に入ると新しさの中にも老舗らしい気品と風情が漂っていた。

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この店一番の名物は、「煮込み」(580円)。煮込みにしては高価な値段ながら、
運ばれてきたものを見ると、素焼きの皿にぎっしり乗った大ぶりのモツが、
まだグツグツと音を立てて煮えており、妙に納得してしまう。

なんでも、ツユは40年継ぎ足しで使っているとか。
野菜や豆腐はなく、肉だけが入った煮込みは純粋に肉と脂の味を堪能できる。
毎日6時間煮込んでいるだけあって、プリプリとして軟らかく、口の中でとろける感覚。

味付けは八丁味噌系。かなり脂の多い部位を使っているので、脂っこい。
脂ギッシュなので、個人的にはもう少しあっさりしているほうが好みだが・・・これはこれで美味しい。
そんなことを言いつつ、一皿ではあきたらず、お代わりをしてしまった(笑)。

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店のほうでも推奨しているのが、ガーリックトーストと(3切れ300円)一緒に味わう食べ方。
肉をトーストにのせてもいいし、煮込みの残り汁に浸して食べてもいい。これまた美味しい…。
こういう脂っこくて、体に悪そうなものほど美味しさを感じるのはなぜだろう・・・(笑)。

じつに新鮮な味わいだ。
3代目主人はもともと、フレンチの職人だったから、こういう粋な組み合わせができたようだ。

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だから、豚肉と鶏レバーのテリーヌ(800円)とか、
春キャベツとクルトンのサラダ(500円)など、欧風のつまみも何種類か出している。

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肉や洋食に合うものといえば、ワインである。1本3200円から、ちゃんと揃えてある。
煮込みに赤ワインなんて、普段はあまりやろうと思わないが、いざ試してみると、これがいける。

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もうひとつの名物が「やきとん」だ。1本150円から。まず良心的なお値段。
かしら、しろ、がつ、たん、軟骨など10種類ほどあり、いずれもしっかりとした歯応えと味付け。
やきとんには、ワインよりもやはり焼酎などのほうがしっくり来る。

「伝説」というオリジナルの麦ボトル(900ml 3000円)があった。
程好い麦の風味が飲みやすく、ワインとともに空にしてしまったのは言うまでもない(笑)。

創業者は太平洋戦争でなくなり、店も焼け、先代(2代目)主人は、バラックから店を建て直したという。
建物や雰囲気は新しくなっているが、そうした歴史のある店は、やはりどこか違うなと感じた。
開店前からちょっとした行列ができる人気店だから、お訪ねの際は予約するか開店直後に駆け込むべし。

この店、昔いた会社の上司の行きつけであり、
10年近くぶりにお会いして一緒に飲んだのだが、とても気持ち良く酔うことができた。

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大軍で円卓を囲むのに便利、亀戸の中国料理「三國志」

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亀戸駅前の中国料理店『三國志』。
月に一度の三国志イベント「三国志街道の集い」の会場として知られる店だ。

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いつもはこの店、上記イベントの感想で紹介しているだけなのだが、
前に一度、忘年会でも利用したことがあるのと、
先日は「普通の客」としても利用させてもらったので、その視点から紹介しておきたい。


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店内は結構広く、三国志の人物絵が所々に飾られているなど、
私のように、三国志が好きな人は一発で気に入るはず(笑)。

ホールも厨房の人も、みんな中国人。チャイナ服を着た女将さんもお姉さんも、
給仕のときは一見、愛想がなさそうだが、実は気さくで日本語も普通に話せるから、
コミュニケーションをとってみると面白い。アットホームな感じだ。

ランチは麺類、飯類が800円前後、それにプラスしてバイキングが置いてあるので
実質、食べ放題。がっつり食べたい人にはお得。オーダー式の食べ放題(1700円)もある。

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別に三国志にちなんだ料理はないが、宴会メニューはなかなか手が込んでいる。
とくに前菜や、冬瓜スープ(フカヒレ・クコの実・金華ハムなどが入ったスープ)は、
野菜の外皮をそのまま容器として使っているものがワゴンに乗って運ばれてきて、
見た目でも楽しめて大変場が盛り上がった。

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点心類や炒め物、炒飯などは、日本人向けの標準的な味。
癖がなくて普通に美味しいですが、鶏とカシューナッツ炒めは
結構な辛味が効いていて、個人的にはポイント高い。

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紹興酒は「三国演義」ラベル入りで、これはファンとしてはそそられる(笑)。
ラベルに曹操の絵が入った魏は3年物、呉(孫権)は5年物、蜀(劉備)は10年物。
伏竜(孔明)は18年物。 この店オリジナルの紹興酒ではなく、
横浜中華街などの料理屋でも時々みかけるが、なかなか面白い。とても呑みやすい紹興酒。
値段の都合でまだ魏と呉しか呑んだことがないが(笑)、いずれ三国と孔明を制覇したい。

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宴会は3時間飲み放題で4000円から。2時間だともう少し安いはず。
料理の好みや値段など、いろいろ融通もきく。
普通のテーブル席と大人数用の円卓があり、1人客から100人規模の大軍での貸切まで、
幅広い用途に使えるので宴会には最適な店といえる。


料理の種類は豊富ながら、特筆すべき専門メニューがあるわけでもなく、
都心から少し離れた亀戸という場所ではあるが、近くへ行った際や、
宴会の場所に迷った際などに、お試しあれ。
「食べログ」でも結構レビューされているので、ご興味のある方は以下からもどうぞ!


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上野ガード下の大衆酒場「大統領」と、激辛チヂミが旨い「古家」

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上野、御徒町。アメ横の中の飲み屋街は、なかなかにディープな空間で、
ただうろついているだけで、飲兵衛心をおおいにくすぐってくれる。

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よくお付き合いしてもらっているカメラマンと2人して、
ひさびさに、ガード下の老舗「もつ焼き 大統領」へ立ちよってみた。

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最近、支店が通りをはさんだ反対側に、移転してリニューアルオープンしたが、
私が入りたいのは、やっぱりこちら。本店である。
真昼間から、親爺たちが店頭に出したテーブルで、モツをつつきながらグビグビやっている。

上野はいまや、女性が喜ぶような小洒落た駅になってしまったが、
昔の上野といえば「男はつらいよ」や「あしたのジョー」に出てくるような、
くたびれた光景が似合っていたし、この大統領周辺はそんな面影がまだ残っている。

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もつ焼きに似合うのは、やっぱりホッピー。まぁ、ハイボールでも熱燗でも良いのだが(笑)。
つくねはタレがお勧め。

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名物ともいえるモツ煮込みは、日によって匂いや味に差がある。
臭みが残っていることがあって、安定しないのが残念かな。旨いんだけどね。

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まあ、こうやって大鍋でかき回しているのを見ると、つい注文したくなってしまうのだが。
全体的に食べ物の味は並だし、カウンター内の店員のおっさんは無愛想だが、
この雰囲気は、界隈に最近沢山できている新しい飲み屋では味わえない、
年季の入った居心地の良さがある。この風情は何物にも代えがたい。

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カウンター席を見回してみると、親爺さんたちに混じって
若い人やカップルの姿も結構あり、みんな笑顔で飲んでいるのがいい。
さて、大統領ではそんなに腹一杯になるまで喰わず、たいていハシゴをする。


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この日に向かったのは、通りをはさんで10mほど歩いたところにある「韓国居酒屋・古家(こが)」。
ちなみに、ここの4Fに「はなこ」というTバック居酒屋があるが、それはいいとして(笑)。
韓国料理店、しかも少ないとはいえチェーン系の店に私が入るのは珍しいが、
ここにはお目当てのものがある。

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これ。唐辛子チヂミである。ご覧のように青唐辛子がたっぷり混ぜ込まれていて、
とても辛い。口の中がピリピリとして、体がカッと熱くなってくる。
辛いけどパリッとした食感が良く、1切れ食べたらまた1切れ食べたくなるという、
何故か、やみつき感のあるチヂミだ。辛い物好きな人にはぜひおすすめしたい。

この店、本格的な焼肉などもあって、隣の人たちが食べているのを見ると旨そうなのだが、
いつも大統領の後に行くため、チヂミとお新香ぐらいしか注文したことがないのである(笑)。

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チヂミを食しながら、このマッコリをぐいぐいと呑む。
壺のような器で、湯呑みサイズの椀に、ひしゃくで注ぐスタイルは
本場風というのだろうか。韓国には行ったことがないので分からないが。

普段はあまり飲みたいと思わないのだが、
どぶろく風味で、乳酸菌飲料のようなやさしい味がするマッコリは、
こういう辛い物や焼肉には不思議と合うのだ。
チヂミの辛さを緩和させてもくれるので、ちょうど良いのである。

こうして額に汗しながら辛い物を食すのは身体に良い気がする。
胃袋に良いのかどうかは分からないけれども・・・(笑)。
韓国人らしき若い店員たちの対応も良いし、次回は最初からここに行ってみるか。

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頑固な姿勢は武士道のごとし、もつ焼き「はがくれ」

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「武士道と云ふは、死ぬ事とみつけたり」の一節で知られる、
佐賀鍋島藩につたわる江戸時代の書物を、「葉隠」(はがくれ)という。
その名を冠した渋い店が、世田谷区のはずれにある。
場所は世田谷公園のすぐ南、下馬1丁目交差点のそば、民家と見まがうような造りの店だ。

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最寄駅はどこかといえば、東横線の祐天寺駅か田園都市線の池尻大橋。
どちらからも徒歩15分ほど歩くという立地は不便だし、店内もご覧のように奇麗とはいえないが
食通も唸らせる味自慢の店としてかなりの人気を誇っている。

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メイン料理は1本130円からの「もつ焼き」。
昔ながらの表記で「焼き鳥」とも書いてあるが、実際には豚肉を使った「やきとん」だ。
かしら、たん、ガツ、てっぽう、しびれなど。なかなか丁寧に焼いてくれる。
芝浦の食肉市場から厳選して仕入れたものだけを使用しているとのこと。

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常連客の一番人気は、この店自慢の牛レバ刺し(750円)。
ありきたりな表現だが、トロトロと舌の上でとろけるような絶妙な味わいで、
一度味わったらクセになること必至だ。国産和牛、それもメス牛の生食用のレバーを使っている。
私は普段、レバーは焼いたのも食べないし、注文しないのだが、
ここのレバ刺しは別。勧められて喰ったら、うまいのなんの。

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本来は、長年の看板メニューだったが、例の「ユッケ」事件があってから、
現在は「裏メニュー」となってしまい、どうしても食べたい人だけに提供しているという。
食べたい人は、ノートに名前を記帳し、自己責任で味わうことになっている。
だから、私も個人的には旨いと思うが、万人にはお勧めできない。あくまで自己責任で…。

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これらの肴によ~く合うのが、50~60種はあろうかという本格焼酎。
品ぞろえにも驚かされるが、その安さにもびっくり。不二才、天狗櫻、中々、兼八など
芋焼酎、麦焼酎から栗焼酎、沖縄の泡盛が380円から呑める。

すべて主人が気に入ったラインアップ。
個人的に好きな、土佐の栗焼酎ダバダ火振、富乃宝山、赤兎馬も400~500円台。
個人的にあまり飲みたいとは思わないが、森伊蔵980円、魔王700円。
安いと思ってしまうが、主人にいわせれば「これが適正価格」なんだとか。
なるほど、他の店が高すぎるのだ。量もグラスになみなみ入れてくれる。

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生ビール、ホッピー、サワー類も当然あるが、
日本酒の熱燗を頼むと、このように女将(お母さん)が薬缶から直接注ぎに来てくれて嬉しくなる。
ちなみに主人は二代目。40歳ぐらいか。もっぱら調理に専念しているのでほとんど喋らない。
男は黙って…のタイプである。料理の味が良いのだから、それでいいと思う。
客の相手をしてくれるのは、お母さん。
先代が数年前に引退して以来、基本的には母子2人でやっている模様。

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日替わりメニューも、季節感、手作り感があって良い。
牛もつ煮込み、冷やしトマト、さつま揚げ、ミノ焼きなどがおすすめ。

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こちらも本来は裏メニューのラーメン。この日は、もやしそばを頼んでみた。
この手の店でラーメンが食べられるのも驚きだが、
下手な中華料理店顔負けの味で、シメに最高の一杯。
適度なしょっぱさが酔い醒ましにいい(笑)。

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店内はカウンターが6席ほどで、小さなテーブルが3卓。
常連ばかりかと思いきや、初めて来たらしい女性2人連れの姿もあって、客層は幅広い。
こんな立地で大丈夫なのかと思っうが、すぐに一杯になってしまうから心配なさそうだ。
大人数で訪れるのはおすすめできない。せいぜい3人までか。

最近はかなり有名になったようだが、味のわりに値段も安く、
昔と変わらぬスタイルを貫き続ける、末長く応援したい店のひとつだ。

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