亀田家の行く末を考えるの巻絶賛仕事待ち中!雑記

2009年12月07日

銀座で寿司〜まろやかな時間〜

言い訳ですが、それはきっと12月のせい、寂しさや切なさを味わうには持ってこいの季節のせい、そんな12月を味わいすぎて食傷気味、きっと弱っていたんです。女子と銀座で寿司を食うなんていう大胆過ぎることをしてしまいました。すいません。反省してます。「銀座」「寿司」「女子」、どれを取っても私の人生には、高級過ぎる三種の神器、1つひとつでも、私が農民だとしたら3カ月分の年貢を納めねばならないクラス、それをあろうことか3つ一気にペロリしようだなんて天に唾、私がするはずがございません。そう、12月のせいなんです。

勝どき橋からは綺麗な夜景、その中に立ち並ぶタワーマンションを反射させた水面は美しく、喧騒の朝を待ち構える築地市場は凛とした佇まい。隣にいるその女性は、そっと遠くを見つめています。素敵空間にいることに、何の疑いも持ってらっしゃらないことは、その曇りない瞳を見ればわかります。寿司屋の前に着くと、カップルが「美味しかったね」「そうだね」「また来ようね」「ラブホテル行こうよ」「うん、私もそう思ってたの」という寿司の味なんて恋する2人にはどうでもいいと教えてくれる会話を連想させる表情で出てきました。カウンターに通され、大将が「さあ、ご注文は?」と気負った表情を向けてきたので、「瓶ビール1本、グラスは1つ」と返します。店内はとても静か、居酒屋とは違い、「ちんこ」だ「うんこ」だ「おめこ」だというトラッシュなトークは聞こえてきません。私もする気になれません。「店長のお任せコース」として差し出される寿司を見つめ、香り、運び、味わい、感想を言うのみに集中していました。寿司の合間にボソボソと近況報告をしてみますが、特に盛り上がらない…、寿司と言えば、お家で便利な「銀のさら」を思いつく私には敷居が高すぎたのか…、そんな世紀末とコスモを同時に感じていた時でした。「あっ、そうそー、言おう言おうと思ってた面白い話があってー」と隣のその女性が言い放ったのです。「これは期待できないに100万円!」と思ったのは確かですが、「きっと、面白くないからさ、その話は絶対しないでね、約束だよ」と突き放すには少し歳を取りすぎたのかもしれません。「なんだい?」、丁寧に言うと、彼女は嬉しそうに話し始めました。

「うふふ、この前ー、電話くれたときね、履歴見ながら、何かなぁって思ってケータイ持ってたらぁー、その時、エーピーでお酒買っちゃおうかなってちょっと悩んでたんだけどー、その時ね、前の彼氏からも偶然、連絡が来てー、取らなかったんだけどー、アハハ、何か面白かったのー」。

はい、想像以上に笑えません、微笑めません。というかわかりません。。何が面白いと感じたのか、ちょっと怖いくらいです。しかし、楽しそうに話すのですから、私が気づけていないだけかもしれません。何だ、どこだ、頭を回転させます。短いエピソード、キーワードは「電話」「エーピー」「前の彼氏」「偶然」「連絡」くらいなもの…、あっ、わかった、違った、キーワードはきっと「お酒」、その電話をどうしようか、センチメンタルに悩んでいたら、うっかり缶チューハイを万引きしちゃったとかそういう話だ、そうじゃないとそもそもエピソードとして成立してないし、省略しちゃいけないところをしちゃったスットコドッコイちゃんなんだ、うんそうだ、そうに決まってる、よーし、と極めてポジティブに考えた末に、私は言いました。「この際、言わせてもらうよ。お嬢ちゃん、そのエピソード全然面白くないよ、マジで」。あとのことは憶えていません。大切な日曜日の夜、その日2度目の勝どき橋を一人ぼっちで通ったのはきっと瓶ビール2本のせいではないはずです。12月のせい、そう、それしかございません。北風がいつもより冷たく感じたのも、そう、12月のせい。

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tetuo2 at 18:28│Comments(0)TrackBack(0) 日記 

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