❶REM - Mr.Children
Mr.Childrenが放つ最新にして最重量のガレージロック。映画『リアル〜完全なる首長竜の日〜』の主題歌。配信シングルとしてのリリース。意味深なアルペジオから始まるイントロから桜井和寿のファルセット、シャウトへ一気に雪崩れ込む。ヘビィーなギターリフとドラミングの傍で、ストリングスやピアノも適度にチラつかせている。 Mr.Childrenのパブリックイメージってまさしく"ポップスを鳴らす国民的ロックバンド"なんだけど、今回の"REM"は"ハードロックな国民的ポップス"として昇華させているが、ファンならずとも異質と感じる要因だろう。それは映画主題歌というタイアップを追い風にする力が、このバンドにはあるから。商業的だとか、意表を突いてるからとかではなく、世論や観客に向けて正々堂々と「音楽で叫ぶ」Mr.Childrenが、改めてズルい。

メランコリーなMV。演奏シーンと異次元のシーンがまさに交差していく。監督は丹修一。

REM
REM [MP3 ダウンロード]


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❷DAFT PUNK MEDLEY - PIGEON 
どういう経緯で見つけたのか思い出せないけど、確かSoundcloudで発見したんではないかと。"Pigeon(ピジョン)"はオーストラリア出身の5人組エレクトロポップバンド。Daft Punkの最新作『Random Access Memories』発売を祝い、彼らのヒット曲(全6曲)をカバー。彼らによるメドレーカバーは忠実かつ明瞭。遊び心とリスペクト精神に富んでおり、実にファンキーでタンサンブル。オフィシャルサイトやYoutubeで数曲のオリジナルも公開されているのでそちらも合わせて。下からフリーDLできます↓

「DAFT PUNK MEDLEY」のスタジオライブ映像。上手い...
※"Download"で落とせます。

他にもFree Downloadがまとめてあります



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❸夜間飛行 - 石崎ひゅーい
:CSの音楽チャンネルで初めて彼の姿を見たときはビックリした。「第三惑星交響曲」のMVで歌っていた彼は、夢か幻か、ハッキリ顔も見せることなく、ただマイク片手に飛び跳ね、そして歌い叫んでいたんだから。そんな個人的な出会いを思い出すような今回の「夜間飛行」。こういう”人を想えば想うほど感じる孤独”が2013年に歌われることに、強い意味があるとは残念ながら思わない。逆を言えば、ものすごく普遍的な感情を、ボロボロとこぼれ落ちていく言葉を、拾い集めながら歌っている石崎ひゅーいという一人の男の生き様に興味が湧いてこないだろうか。この曲で「ミュージックステーション」に出演したことも、出演後そのままこのMVを撮影したことも、石崎ひゅーいにとっては意味あることだと思うし、ライフ(人生)を濁らせることで表現できるライブ(表現)があるはず。「現代の尾崎豊」みたいなクリシェではなく、「夜空を飛びたいと抗う石崎ひゅーい」に、皆惚れるべき。

「ミュージックステーション」出演後に撮影されたMV。当日の模様はUstreamで生中継されました。

ナタリーでのインタビューも濃い内容。

夜間飛行
夜間飛行 [CD]


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❹Entertainment Remixes - Phoenix
:今年4月に4年振りの新作『Bankrupt!』を発売したフランスのエレポップバンド、Phoenix。5月にはアメリカのコーチェラフェスでヘッドライナーを務め、ライブバンドとしても円熟味が増したことを体現してみせてくれた。そんなPhoenix。ここ最近はアルバムからの収録曲を様々なミュージシャンにリミックスさせてはSoundcloudにアップしている。これが中々のキワどいチョイスと解釈ばかり。しかもフリーダウンロードとかなりお得だ。原曲を知らなくともまずはダウンロードしてみてはどうだろう? 『Bankrupt!』という間口の広いアルバムをさらに解放的に遊ばせては拡散させているこのリミックス企画。例えリミックスでも、彼らの音楽を聴く入口としては十分なクオリティです。

今年のコーチュラフェスでのライブ映像。R.ケリーなどが飛び入り参加した。
"Hot Natured Remix"以外フリーDL可能。

"Trying To Be Cool (Breakbot Remix)"もフリーDL可。

最新のリミックスは"Trying To Be Cool (Soul Clap Remix)"。フリーDL可。 


Bankrupt! (Deluxe Version)
Bankrupt! (Deluxe Version) [CD]


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❺アイドルばかり聴かないで - Negicco
自分も新潟出身なので「我らがNegicco!」と言うべきなのか...いや、ここはフラットに行きましょうか。でも、
ここ最近の地方アイドルの発展ぶりを見ていると、改めてNegiccoは希有な立ち位置にいるんだろうなぁ、と。先駆けていたから?ローカルだったから?いろんなタイミングが相まっているのも事実だが、結局は"継続こそ力なり"という点だと思うわけで。そんな地方発→全国行きの切符を握りしめたNegiccoが活動10周年の節目に小西康陽をプロデューサーに迎え放つ"ザ・カウンターソング"。アイドル好きでアイドルばかりを追い掛ける男の子に、ひたすら思い寄せる女の子のジェラシーをポップに吐き出しています。ピチカート・ファイブの「男の子女の子」の現代版解釈、とでも言える楽曲。ストリングスからカッティングまで、シンプルなのにクセがあるのもまさに小西節。この曲は特に歌詞に面白さが詰まっていて、アイドルばかり追い掛けるボーイフレンドに「アイドルばかり聴かないで」と言っておきながら、ラストに持ってくるオチも皮肉タップリでとてもキュート。サビ前の「ざんね~ん」という殺し文句もフックが効いてる。でも、こんな女の子、実際いないだろうなぁ...

MVもレトロ。カット割りが見ていて新鮮に思えてくるのもNegiccoの力?

アイドルばかり聴かないで(初回限定盤) [CD+DVD]
アイドルばかり聴かないで(初回限定盤) [CD+DVD] [CD]

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❻Brennisteinn - Sigur Rós
シガーロスの魅力を短い文章で語るのは難しい。クラシック、ノイズ、アンビエント、インダストリアル、メタル、シューゲイザー...どれも作品ごと、または楽曲ごとに当てはまるキーワードだ。彼らの作品タイトルが読みにくいのはバンドがアイスランド出身だから。北欧のケルティッシュな佇まいからは想像できない音楽を、もう20年近く鳴らしており、それがここ日本で受け入れられているこもスゴイことだ。そんなシガーロスの最新アルバム『クウェイカー(Kveikur)』は、とにかくダーク。正直、彼らの音楽を聞き始めたいと思う人にはかなりのストレスが伴うはず。特にこのリード曲「ブレンニステン」のドロドロとした音像は、恐怖を感じずにはいられないダークサイドトラック。前作『ヴァルタリ(Valtari)』のライトなムードの方が初心者向けだろうが、どうせなら最新形のシガーロスを聴いてから、過去のアーカイブへアクセスしてみてもいい。闇の中にある光を、リスナー自身が見つけることが出来れば、この音楽は眩しいくらいの光になるはずです。

リード曲「Brennisteinn」のMV。映像とセットで聴いた方がわかりやすいかも。

Kveikur
Kveikur [CD]


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❼Take Your Way - Livetune adding Fukase (from SEKAI NO OWARI)
アニメ「DEVIL SURVIVOR2 the ANIMATION」の主題歌。SEKAI NO OWARIのFukase(Vo)をヴォーカルに向かえた最新作は、声を活かしながらも幼さの中にある「大人の決意」をしっかり表現した曲に。livetune/kzなどのアウトプットを持つアーティストだからこそのチョイスとアレンジ。SEKAI NO OWARIでのFukaseさんの声は少年性を含んだ声でシリアスなフレーズを歌っている。その"妙"が反作用的にフックにもなっている。今回のコラボレーション楽曲を聴くにあたって、サウンドとしてシリアスな側面が削れた分、livetuneの独特の切なさを忍ばせたメロディーセンスがその"妙"の代わりと言ってもいいだろう。livetuneの作品でもあり、Fukase名義の作品でもある。そういうお互いの理解を超えた先にある"ポップスの世界"が、この曲には詰まっている。今作のナタリーによるインタビュー記事も是非。

「Take Your Way」のMV。前作「Transfer」に引き続きファンタジスタ歌磨呂の監修による作品。

前作「Transfer」のMV。ループする主人公が無数のパラレルワールドを駆け抜けていく。ラストには不思議なギミックが。
ナタリー - [Power Push] livetune×ファンタジスタ歌磨呂「Transfer」対談


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❽You Know You Like It - AlunaGeorge
Alunageorge(アルーナジョージ)”はその名の通り、ヴォーカルのアルーナ・フランシスとトラックメイカーのジョージ・リードからなるUK男女ユニット。ソウル、エレクトロニカ、ファンク等のトラッキング。そこに90'sR&Bテイストを強く持つアルーナの艶めくハイトーンが乗る。おそらく日本なら萌え声(?)に属するのではないか。そんな男女2人組は2011年にインディーでデビュー後、数枚のEPをリリース。他にもリミックス等の活動を続けてきました。今年7月に1st AL『Body Music』が発売。今が知るタイミングとしてはベストだと思います。最近ではDisclosureのデビューアルバム『Settle』に参加するなど、ダブステップ以降、ニューソウルやウィッチハウスなどのジャンルまで飲み込んでいるイギリス界隈のミュージックシーンはどこからつまみ食いしてもとにかく面白い!(こちらの国分純平さんのブログにてEvy Jane、New Lookなどと一緒に詳しく紹介されてます。)

メジャーデビューアルバムに合わせた新MV。

こちらは旧Ver。

Disclosure - White Noise ft. AlunaGeorge[MV]
最近ではDirty Projectorsのリミックスなども手掛けています。

他にもJungle BookやFrank Oceanのカバーも。

「Your Drums, Your Love」のremix集。Friendly Firesなどが参加。

Disclosure - White Noise ft. AlunaGeorge


ボディ・ミュージック
ボディ・ミュージック [CD]


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❾今更 - 赤い公園
平成生まれが「ゆとり」と揶揄されてきた時代は終わった、と言いたくなるのは自分も平成生まれだから。現にこの”赤い公園”というバンド、そんな平成生まれという立場を逆手に取ってます。もちろん、良い意味で。いや、面白い解釈で。つまりはバブルという、日本全体の過度期を横目に成長してきた世代なんだよね、平成の初めに生まれた私達は。だからこのバンドが、ポップでもロックでもダンスでも、他人からの偏見を自らをアップデートさせる糧として昇華しているのが個人的には痛快で、さらにはウキウキしてくる。去年10月にギターの津野米咲が急病のためバンドとしての活動を一時休止。そして今年3月に活動再開を宣言。そして"復活盤"と題しトリプルAサイドシングル「今更/交信/さよならは言わない」を7/3にリリース。8月にはバンド初の1stフルアルバム『公園デビュー』も発売決定。とにもかくにも、引っ掻き回してほしい、J-POPを。そしてロックバンドを。平成を。
  
「今更」のMV。途中メンバーが入れ替わるところも含めて、遊んでますね。
 
こちらは「交信」のMV。こちらも名曲。「E.T.」のような世界観も見所。
「今更」とは繋がっているので一緒に。


今更/交信/さよならは言わない (初回限定盤)(DVD付)
今更/交信/さよならは言わない (初回限定盤)(DVD付) [CD]


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❿Free Download - Oval
 Oval(オヴァル)はドイツ出身のマーカス・ポップによるテクノユニット。おそらく2013年の今、J-POPに慣れ親しんでいる人にはかなりキワモノな存在かも。ただ、昨今サカナクションやPerfumeのようなテクノロジーを多用していくアーティストが現れたこともあり、ミニマルテクノや音響派と言われるようなカテゴリーミュージックももっと聴かれていってほしいと思う。オヴァルの緻密でいながら崩壊していくそのサウンドスケープは、元となる他のアーティストCDにフェルトペンで落書きをし、それをプレイヤーにかけることで生じるスキップ音をサンプリングするという制作プロセスから生み出されている。音楽を壊し、音を歪ませ、再び音楽と成す。それでもオヴァルの生み出す音楽はどこか懐かしくもあり、異世界から異次元へ向かうワームホールにもなり得るはずだ。
 そんな彼が過去にリリースした作品の日本盤を自身のbandcampにてフリー公開している。難しい音楽だとか、音楽的背景を知らないからという理屈は抜きに、まずはこの機会に聴いてみてほしい。


Oval-Liturgy Split EP(Oval Side) (2011)

ovalcommers(2001)

pre/commers(2000)

ovalprocess(2000)

Dpk(1998)

Aero Deko(1998)

szenario(1999)



OvalはMVまでその音楽性を表してます...