税理士・診断士の税務&マネジメントお役立ちブログ

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2006年06月

『ビジョナリーカンパニー Good To Great』ジェームズ・C・コリンズ (日経BP社)

◆膨大な時間と歳月を費やされた本
1994年に出版され、ベストセラーになった「ビジョナリーカンパニー」から6年後、6年の歳月をかけて出版された本。全作と同様、膨大な資料と歳月・時間をかけた本であり、また、名著に数えられる本である。経営者や企業幹部、その他リーダー的な仕事に携わる人にとって、わくわくさせてくれる本だと思う。今回はジェリー・ポラスとの共著ではなく、ジェームズ・C・コリンズの著作。
きっかけは、マッキンゼーの上級コンサルタントの一言であった。「素晴らしい本であるけれども、役に立たない。あれらの企業は、始めから偉大だった。・・・でも、自分の会社はたしかに良い企業だが、偉大な企業出ないことはどこかで気付く。そういう企業はどうすればよいんだ」。そこから、凡庸な企業が偉大な企業になるための研究が始まった。「良い企業は偉大な企業になれるのか。そして、どうすれば偉大な企業になれるのか」という研究である。野中郁次郎教授の解説も興味深い。

◆調査対象企業の抽出方法
調査対象となった企業は11社で、一言でいえば、「凡庸から偉大に飛躍した企業」である。フォーチュン誌のアメリカ大企業500社に登場した企業のうち、調査対象の基準を満たした企業のすべてである。その基準はきわめて厳しく、15年間にわたって株式運用成績が市場平均の3倍を超えていることで、傑出した実績を持続する以前に、市場平均並みかそれを下回る時期が続いていた企業である。15年ものこの持続性の基準を満たす企業はきわめて少なく、それが11社という数の調査対象企業の数に表れている。前作と同じように、「比較対照企業」となる企業との比較がなされている。

◆なじみのない経営者と企業がメイン
ビジョナリーカンパニーでは、超優良企業となった企業と経営者がほとんどメインであったが、ビジョナリーカンパニー兇任蓮△曚箸鵑鋲本ではなじみのない企業が多い。経営者にいたっては、アメリカでもほとんど注目の浴びることのない経営者が紹介されている。しかし、これらの経営者は紛れもなく「名経営者」なのである。
調査対象となった飛躍した企業は次のとおり。アボット、サーキット・シティ、ファニーメイ、ジレット、キンバリー・クラーク、クローガー、ニューコア、フィリップ・モリス、ピットニー・ボウズ、ウォルグリーンズ、ウエルズ・ファーゴ。唯一、前作である「ビジョナリーカンパニー」にも登場していた企業がある。それは、「フィリップモリス」である。

◆第五水準の経営者と人材の考え方
この本の中でも、とりわけ興味を引くのが「第五水準の経営者」である。この本の対象となった偉大な企業を築き上げた経営者にすべて共通するのが、第五水準の経営者と言うことであった。
この本では、経営者を五つの段階に区分している。この第五水準の経営者とは一言で言えば、人間性も兼ね備えた経営者である。謙虚で控えめな性質をもち、マスコミなどに積極的に取り上げられることをよしとしないような経営者である。従って、積極的にマスコミに登場したがり、ともすれば、目立つのが大好きというような経営者ではない。従って目立たないし、マスコミ受けせず、あまり積極的に取り上げられることはないような経営者である。しかし、紛れもなく歴史に名を刻むような名経営者なのである。

◆すべての章が有機的に関連している
第五水準の経営者がこの本で紹介されている偉大な企業の大きな特徴であるが、この本に書かれているすべての要素が「偉大に企業」になるために必要な項目である。針鼠の概念、誰をバスに乗せるか、などすべて関連している。
章立ては、第9章で構成されており、はじめに、第1章時代を超えた成功の法則から、第五水準のリーダーシップ、だれをバスに乗せるか、厳しい現実を直視する、針鼠の概念、規律の文化、新技術に振り回されない、劇的な転換はゆっくり進む、第9章ビジョナリーカンパニーへの道、おわりに、と続く。

◆人材の考え方
人材の考え方も非常に特徴的である。経営者を選ぶ時に、マスコミ受けするような派手な経営者ではなく、長期的な視点でものを考えるような経営者で、人間性というものを第一に考えるべきだという。そして、人材を選ぶために徹底的に時間をかけるべきだという。
幹部以外の人材を採用する場合も、勤勉性とか誠実さなどを重視することが必要だと説いている。
ただ、この能力よりも人間性を重視するという方法が極端になると、とても面白みのない人間の集合体となるであろう。あくまで、能力と人間性を兼ね備えた人間で、天秤にかけると人間性が勝っているという人材が必要なのだと思う。また、個性的で人間性も備わっているという人も多いはずである。

◆現実を受け止めることから始める
ピーター・ドラッカーがこのようなことを言っていた。「カリスマ経営者などはいない。本当のリーダーというものは、診断と分析からはじめる」。
実際そうなのである。現実を直視して、そして次の一手を打っていくということがとても重要であり、また、基本なのである。現実を受け止めることが出来ない経営者がいかに多いものかと思う。会社の経営不振の原因を突き止めようとせず、また、原因は分かっていても、それを認めようとしないような経営者がいかに多いか。
現状を分析し、問題点を突き止め、自社の強みを生かしていくということが基本なのである。これが出来ない経営者がいかに多いかということも「比較対象企業」の事例でよく分かる。この基本を外さなければ、多分、大概の事業はうまくいくのではないのか。

◆ビジョナリーカンパニーの先に来るもの
このビジョナリーカンパニー兇砲弔い撞い砲覆襪里、ビジョナリーカンパニーとの関連である。
「本書は、ビジョナリーカンパニーの続編ではなく、逆に前編なのだと私は考えるようになった」。本書が扱っているのは、「良い組織を偉大な実績を持続できる組織に飛躍させる方法である。『ビジョナリーカンパニー』が扱ったのは、「偉大な実績を上げている企業を偉大さが永続する卓越した企業にする方法である。
著者のジェームズ・C・コリンズは、以下のようにも述べている。「思いもよらなかったことだが、この本は、『ビジョナリーカンパニー』の続編ではなく、逆に前編なのだと私は考えるようになっている。」「この本で扱った方法を適用して、ベンチャー企業や既存企業を偉大な業績を持続できる企業にする。次に『ビジョナリーカンパニー』で紹介した方法を適用して、偉大な企業が偉大さを永続できるようにする。」

『破天荒 サウスウエスト航空―驚愕の経営』ケビン&ジャッキー・フラインバーグ(日経BP社)

◆感動的な本でもある
ユニークな経営と、航空業界でもトップクラスの非常に高い経営業績をあげることで有名な、サウスウエスト航空の経営の秘密を余すことなく書きつらねてある。会社と従業員が一体となる社風というものの作り方や、従業員への情報提供方法など、経営に対するヒントなどが満載である。いいことしか書いていないのだが、感動すら覚えるところが随所にある本。また、サウスウエスト航空を立ち上げ、軌道に乗せるまでに、ハープ・ケレハーを始めとした創業者たちの、すさまじい戦いの歴史も垣間見ることが出来る。既存の勢力と戦って、既存勢力や規制を打ち破るための苦労は並たいていではなかったことを思い知らされる。
有名な経営コンサルタントである、トム・ピーターズが「今年はビジネス書を一冊しか読む暇がないという人には、ぜひ本書を推薦したい」という本だけあって、430ページもあるが、飽きずに読むことができる。1994年に出版され、ベストセラーとなった。著者二人は夫婦である。

◆どこが破天荒か
どこが破天荒なのかというと、格安の航空運賃とユーモア精神あふれる顧客サービス、従業員第一主義の経営方針、それから創業者の1人で、長年、同社のCEOを勤めたハープ・ケレハーという人物そのものもなどである。
スチュワーデスなどフライトアテンダントの顧客サービスは、ユニークで他の航空会社には見られないものである。格安運賃なのに良質のサービスを提供するということは、とても難しいことであるが、それを両立している。短時間のフライトで機内食はなく、ドリンクとピーナツだけのサービスなのだが、歌を歌ったり、ゲームをしたりと、とにかく乗客を楽しませてくれる。それから顧客より従業員が大切と宣言するし、ハープ・ケハレーという人は今は引退したが、ユーモアやパーティーが大好きで、とても誠実な人柄、全米でも屈指の経営者である。

◆従業員第一主義の会社
サウスウエスト航空は、自らを「従業員第一主義の会社」と言ってはばからない。これは、顧客をおろそかにするということではない。従業員を大切にしてこそ、充分で行き届いた顧客サービスができるということである。従業員を「拡大家族」とし、家族のように対応している。
たとえば、顧客が従業員を侮辱するような態度があれば、その顧客には、今後、他の航空会社を利用するように勧めている。いわゆるクレーマーといわれるような、顧客に対してそういう対応をしている。これは「どのような顧客でもお客様は神様である」というような捉え方をする日本の会社などとは異なる対応である。
このように理不尽な態度をとる顧客に対しては、毅然とした対応をすることによって、従業員の志気が上がるということもある。こちらのほうが正しいような気がする。もちろんこのような対応を取れるのも、この会社が安い航空運賃と温かいサービスで、多くの顧客の支持を得ているからできることなのであろう。

◆実はとても堅実な会社
サウスウエスト航空というのは、ユニークさばかりに目を奪われるが、実際は、とても堅実な会社である。格安運賃を提供するためには、ローコスト経営に徹しなければならないのであるが、いたるところでコスト削減の努力をしている。従業員は実際、経営意識を持ち、様々なアイディアを出したり、いたるところで創意工夫をしている。
いたずらに売上を伸ばすためにシェアを追わずに、頑ななまでに、ひたすらニッチに徹している。顧客満足の高さで売上を伸ばすという、王道を行くパターンである。ここ数十年、大手の航空会社を始めとして数十社の航空会社が倒産している。その中で営業利益率が5%超と、世界的に見てもトップクラスの営業成績をあげている。従業員の生産性なども非常に高く、財務体質もしっかりして、借入金も少ないというような会社である。

◆従業員がやる気をだす社風
この会社は、機長が客室乗務員と一緒に機内の掃除をするような会社である。会社の役員たちも、繁忙期などは、作業員と一緒に作業着を着て荷物を運んだりするという。通常、考えられない会社である。このようなことが、会社の上下関係や横の、人の垣根をなくしたりしている。
また従業員に、徹底した情報提供を行ってもいる。『ラブ・ライン』という、とても優れた社内情報誌を発行しているし、あらゆるところで繰り返し繰り返し、会社やライバル会社の動向を従業員に伝達している。そして、従業員が自らサービスや業務を行う場合の判断基準や創意工夫のためのヒントとなるようにしている。もちろん、その他の教育訓練や情報伝達なども行っている。社内パーティーが大好きな会社でもある。
また、従業員の持ち株比率は10%を超えている。持ち株会を作っても、うまく機能していない会社も多いのであるが、このサウスウエスト航空は、これも従業員の志気を高める手段の一つになっている。結局、従業員への情報提供や教育など、他の手段とうまく融合しないと、従業員が株を持っても、経営参加意識は出ないのであろう。

◆ビジョナリー・カンパニーの要件を備えている
『ビジョナリー・カンパニー』という有名な本があるが、その本でいう、永続的に繁栄する優良会社、ビジョナリー・カンパニーの要件として、以下のようなものをあげている。つまり、経営理念を持ち、顧客満足を実践し、従業員の教育を重視し、組織をつくり、社風を確立し、現状に満足せずに、たゆまざる改善を行っていくような会社、などというものが要件であるが、このような条件にほとんど当てはまっていると感じた。
「ハープ・ケハレーというカリスマ経営者がいなくなると、この会社はどうなるんだろう?」という声も多く聞かれるが、このようなすばらしい社風を築き上げた会社というものは、それが原動力となり、未来永劫に繁栄していくのだろうと感じた。

『ビジョナリー・カンパニー 時代を超える生存の原則』ジェームズ・C・コリンズ/ジェリー・ポラス(日経BP)

◆経営に携わるすべての人が読むべき本
1994年に米国で出版され、ベストセラーとなったジェームズ・C・コリンズとジェリー・ポラスの共著による経営書。
この本の「はじめに」では、以下のように書いてある。「この世のすべての経営者、経営幹部、企業家は、本書を読むべきである。取締役もコンサルタントも、投資家も、ジャーナリストも、ビジネス・スクールの学生も、この世でとくに長く続き、とくに成功している企業の特徴に関心があるすべての人は、本書を読むべきである・・・」と。
ずいぶん大胆な文章であるが、読めば納得する本である。企業経営のヒントがいたるところに満載の本である。1995年に日本で発売されて以来、十数年の歳月が経っているが、歴史がこれを証明している。多くの経営者がこの本に触発されたと言っている。マネックス・ビーンズ証券の松本大などもその1人である。

◆ビジョナリー・カンパニーとは先見的で卓越した企業
ビジョナリー・カンパニーをこのように定義している。「ビジョンを持っている企業、未来志向の企業、先見的な企業であり、業界で卓越した企業、同業他社の間で広く尊敬を集め、大きなインパクトを世界に与え続けてきた企業である」。
この本で取り上げられているビジョナリー・カンパニーは18社、3M、アメリカン・エクスプレス、ボーイング、シティーコープ、フォード、GE、HP、IBM、ジョンソン&ジョンソン、マリオット、メルク、モトローラ、ノードストローム、P&G、フィリップ・モリス、ソニー、ウォルマート、ウォルト・ディズニーである。これに対して、ビジョナリーカンパニーまで至らないが、優れた会社としてGMやファイザー、ケンウッドなどを挙げそれらの企業を対比している。

◆完成までに膨大な労力
ビジョナリー・カンパニーの選択基準の概要は以下の通り。
1998年8月に、フォーチュン誌やインク誌などの主要数百社のなかから選び出したサンプル企業700社のCEOにアンケート調査を依頼。そして、特に「ビジョナリー(未来志向)」と思う企業を5社まであげてもらう。アンケート調査の回答率は23.5%。この調査データをもとに、20社を選び、リストを作成。そこから1950年以前に設立した企業を除外。そのなかから調査する最終リストを18社とした。
完成までに6年を費やしている。多くの協力者がいてやっと完成する。1人では到底、書きあらわすことは出来ないような著作である。「設立からの年数が平均で90年を超える36の企業に関する情報を集めるため、100冊近い本と3000点を超える資料にあたった。控えめに見積もっても、6万ページを超える資料を調べた。」などと書いてある。

◆十二の崩れた神話
本書は十一章からなり、はじめに、第一章 最高のなかの最高、第二章 時を告げるのではなく、時計をつくる、第三章 利益を越えて、第四章 基本理念を維持し、進歩を促す、第五章 社運を掛けた大胆な目標、第六章 カルトのような文化、第七章 大量のものを試して、うまくいったものを残す、第八章 生え抜きの経営陣、第九章 決して満足しない、第十章 はじまりの終わり、おわりに、付録、という構成となっている。
第一章では、十二の崩れた神話というものに言及している、たとえば、「すばらしい会社を始めるには、すばらしいアイディアが必要である」などというのは神話であり、HPのようにビジョナリー・カンパニーのなかには具体的なアイディアをまったく持たずに設立されたものもあるという。このような十二の神話を覆すのが本書であるということも可能である。

◆時を告げるのではなく「時計をつくる」
「時を告げるのではなく時計をつくる」。第二章のタイトルであるこのフレーズも、けっこう有名なのではないのだろうか。「時を告げる」とは、すばらしいアイディアを持っていたり、すばらしいビジョンを持ったカリスマ的指導者であることであるという、一代限りのカリスマ指導者ではその会社は未来永劫に繁栄する会社とはならない。それに対して、一人の指導者の時代をはるかに超えて、いくつもの商品のライフサイクルを通じて繁栄し続ける会社を築くのが「時計をつくる」ことなのである。つまり、自立的に会社が成長していくように、人を育て組織や社風を作っていくことが重要であるということである。

◆経営理念の重要性
第三章、利益を超えてでは、経営理念の重要性について書かれている。自分たちの会社をビジョナリー・カンパニーにしたいという頻繁にうける質問に対しては、著者はまず「基本理念をしっかりさせることが重要である」と答えている。
ビジョナリー・カンパニーは、みな素晴らしい経営理念を持っている。「利益を超えて」という章のタイトルにもあるように、社会貢献など利益を超えた経営理念を持っているのが特徴の一つである。この章に記されているいくつかの企業の経営理念を参考にすることもできる。
ただ起業家、中小企業経営者への注記として、「ビジョナリー・カンパニーのほとんどが、設立当初は会社を軌道に乗せ、成功させるのに必死だった。はっきりした理念を掲げられるようになったのは、会社が発展してからだ。だから、基本理念を文書にしていなくても問題はない。」と書いている。

◆多くはアイディアなしで創業・成長した
興味深いものの一つに、ビジョナリー・カンパニーの中にはまったくアイディアも事業計画もなしに、会社を始めて大企業に成長したものが少なくない。HPの創業者ビル・ヒューレットは「たまに、ビジネス・スクールで公演する機会があるが、会社をはじめたとき、なんの計画もなく、臨機応変になんでもやったというと、経営学の教授は唖然とする。わたしたちは、カネになりそうなことは、なんでもやってみた。」と述懐している。
ソニーは会社が始まった後で、どんな製品をつくるか、意見を出し合った。設立後すぐに、ソニーに入社した盛田昭夫は、こう語っている。「わずかな仲間たちは・・・事業資金をかせぐにはまずどんな商売をはじめるべきか、数週間にわたって協議した」。

◆カルトのような文化
第六章 カルトのような文化では、ノードストロームの例があげられているが、興味深い。
ノードストロームでは、新入社員の50%は、1年以内に辞めていくそうである。「就職案内―アメリカのベスト100社」には次のように紹介されている。「社員がいつも全速力で突っ走っているようながむしゃらな職場で働くのが好きでないのなら、この会社に就職すべきではない」と。
他の社会では受け入れられないようなカルト的文化がビジョナリー・カンパニーの発展に寄与しているという。

◆たくさんのことを試して、うまくいったものを成長させる
第七章では、ビジョナリー・カンパニーがとる最善の動きの中には、実験、試行錯誤、臨機応変によって、そして、文字通りの偶然によって生まれたものがある。後から見れば、実に先見の明のある計画によるものに違いないと思えても、「大量のものを試し、うまくいったものを残す」方針の結果であることが多いという。いわゆる「トライアンドエラー」と同じ概念である。
そのほか、常に改善を続けていくこと、大胆な目標を掲げていくこと、組織作り、教育の重要性などに触れている。
また、ヒューレット・パッカードのビルヒューレットにインタビューしたとき、特に尊敬し、手本にしている企業があるかと質問したそうである。一瞬のためらいもなく「3Mだ」という答えが返ってきたそうである。「今後50年間、100年間、成功を続け、環境の変化に対応していく企業を一社だけ選べと言われたら、私たちは3Mを選ぶだろう」と作者は言う。

◆後継者づくりの重要性
第八章 生え抜きの経営陣では、次のように述べている。ビジョナリー・カンパニーの経営者はほとんど「生え抜きの経営者」なのだそうである。GEの当時のCEOジナルド・ジョーンズは、ジャック・ウエルチを後継者として選ぶ7年前、1974年に「CEO引継ぎの道筋」という文書を作った。同社の経営人材委員会の全面的な支援を受けて、ジョーンズは2年間かけて、当初、生え抜きばかり96人に登った候補者を12人に絞り込み、次に、ウエルチらの6人まで絞り込んだ。この6人をテストし、見極めるために、全員を「事業部責任者」にし、経営委員会の直属にした。それから3年間、ジョーンズは徐々に的を絞っていき、候補者に厳しい課題を与え、面接し、エッセーコンテストを行い、評価していった。この過程のひとつに「飛行機事故問題」があり、ジョーンズが候補者のひとりひとりに同じ質問をした。「きみとわたしが社用機に乗っていて、墜落したとしよう。ふたりとも死亡したら、誰をゼネラル・エレクトリックの会長にすればいいのか」。このような長期で厳しい道のりをえてジャック・ウエルチは後継者として選ばれた。

◆決して満足しないこと
第九章を中心に記されているが、本書には次のように書いてある。「実際のところ、ビジョナリー・カンパニーが飛び抜けた地位を獲得しているのは、将来を見通す力が優れているからでも、成功のための特別な「秘密」があるからでもなく、主に、自分自身に対する要求が極めて高いという単純な事実のためなのである」と。
実際、多くの優れた企業をみてもそうである。トヨタ自動車は「停滞は悪である」と言っている。ユニクロを展開する柳井氏も、現状に満足しないで、会社の拡大に対して飽くなき貪欲さを見せている。そのほかの成長企業も同じである。

◆人を育て、権限と責任を委譲していく
ビジョナリー・カンパニーは、組織作りや人を育てるのがとてもうまい。次のような記述なども興味深い。
サム・ウォルトンは、変化、実験、不断の改善を大切にしたという。しかし、こうした価値観を説いただけではなく、変化と改善を促す組織としての具体的な仕組みを変えた。「店舗の中の店舗」と呼ばれるコンセプトを打ち出し、部門責任者にそれぞれの部門を自分の会社であるかのように運営する権限と裁量を与えた。ほかの店舗でも使えそうな経費節減やサービス向上のアイディアを出したアソシエーツ(従業員)には奨励金を出し、表彰した・・・・・・。1985年、ある株式アナリストはこう表現した。従業員は変化を奨励する環境で働いている。たとえば・・・・・・店員が商品や経費削減のアイディアについて提案すると、そのアイディアは即座に広がる。750を超える店舗と、8万人を超える従業員(それぞれが提案をする可能性がある)が様々な提案を活かしていけば、売上は大幅に伸び、経費は大幅に削減され、生産性は大幅に上昇する。

◆本書にもピーター・ドラッカーの影響
本書は第十章で構成され、「おわりに」では頻繁に受ける質問に対する回答が、付録として「調査方法」などが記されている。このおわりにでは、ドラッカーについて、次のように言及している。
「私たちの調査結果は、ピーター・ドラッカーの著作とも共通点が多い。私たちは、ドラッカーの先見性を心から尊敬するようになった。『会社と言う概念』『現代の経営』『創造する経営者』などの古典的とも言える著作を読むと、今日の経営理論をはるか以前に提唱していたことに驚嘆させられるはずだ。私たちが調査を進めていくと、いくつもの企業がドラッカーの著作から大きな影響を受けていることがわかった。」
その他には、『エクセレント・カンパニー』からも影響を受けていると言う。


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