税理士・診断士の税務&マネジメントお役立ちブログ

税務・会計はもとより、経営戦略・戦術、起業、医療問題、その他雑談、ぼやき等、中小企業経営に役立つ話題を中心にお送りする、武蔵野、三鷹近辺で活動する税理士・中小企業診断士のブログです。中小企業経営者、これから起業を目指したいと考えている皆様に「とても役に立つ(かもしれない)」と思われる話題を提供できるよう、日々、精進に努めさせていただきます。

2006年12月

ネット公告が第三の広告媒体に


◆ネット広告収入は雑誌を抜く勢い
国内のインターネット公告料収入が04年にラジオを抜き、06年は雑誌に迫るそうである。日本のネット公告は、05年に2800億円で前年比55%の伸び。既存の広告市場の横ばいが続く中、07年にはテレビ、新聞に次ぐ「第三の広告媒体」の地位をうかがう勢いだそうである。

◆サイトで口コミ効果を上げる「ファイブミニ」
ネット公告も大きく進化し、また既存の公告メディアからネット公告へシフトしている企業も多いそうである。大塚製薬は、主力の食品繊維飲料「ファイブミニ」のテレビCMを流さず、SNSを使った口コミ型の販促活動を行っている。サイトの一日の訪問者は、春の100人前後から3000人前後に急増し、「コンビニでの販売数が増え、口コミ効果を実感できた」そうである。

◆すべての公告をネットに誘導するホンダ
ホンダは2000年に「効果が疑問」として、すべてのネット公告を打ち切った。しかし03年から影響力が無視できないとして再開。今では、テレビや雑誌など、あらゆる公告を自社サイトへの誘導に使う」というネット公告中心の戦略なのだそうである。テレビや新聞に公告を出すと、自社サイトの訪問者がどのくらい増えるか名ドを分刻みで測定し、「消費者の心理を把握」するのだそうである。ホンダ社内では、従来の公告用語「四マス」(テレビ、新聞、雑誌、ラジオの四マス媒体)にネットを加えた「五マス」という用語が使われるという。

(日経新聞 06.11.30より)

外食・小売にも日払いバイト拡大

◆外食・小売にも日払いバイトが
外食産業や小売業のアルバイトなどは、接客や商品管理が必要で、教育訓練が不可欠なため、日払いバイトなどはほとんど考えられなかった。日払いと言えば、いわゆる「日雇い労働」といわれる工事現場や引越しの手伝いなど、肉体労働系の仕事が多かった。
その日払い制が、外食・小売業で拡大しているそうである。

◆パート・アルバイトの定着難しく
理由は若年人口の減少、パート・アルバイトの正社員への登用する動きの広まり、働きたい時だけ働くなどといった「労働意識の変化」などである。パート・アルバイトの減少や労働意識の変化に対応するために、雇用形態の変化が進んでいるということである。

◆大手が続々採用
たとえは、「築地銀だこ」のホットランドは、年内にも全300店に導入、働いた日から3日後に銀行口座へ振り込み。月払いとの選択制で、日払いは時給が100円安いそうである。ローソンは10月から首都圏89店で、携帯電話を使ってアルバイトを緊急募集し、日払いをする実験を始めた。また低価格ステーキ店「ペッパーランチ」を出店するペッパーフードサービスは、昨年12月から都内の20店で、給与を日割計算し、2日後に支払う制度をはじめたそうである。これらはアルバイトの求人に対して、一定の効果を上げているようである。



「貧しくなった層」が増えた、との回答が圧倒的

◆貧しくなった層が増えた
日経新聞が、20代から70代の男女に「豊かになった層」と「貧しくなった層」のどちらが増えたかというアンケートをとったところ、「貧しくなった層」が増えたという回答が圧倒的で、82%だったそうである。これは一般庶民の偽らざる実感であろう。
調査はマクロミル社への委託による、20から70歳の男女に対するインターネット調査で、有効回答は618人。

◆いずれも実感のこもった理由が
回答の理由としては「給食費の滞納などのニュース」や「生活保護が増えているという記事」など、貧しくなった層の増加を意識させる報道が多いことなどが多かったそうである。また生活実感としては「給料はそんなに上がっていないのに、税金や社会保険料がアップし、手許に残るお金が減っている」というのが代表的な声。さらに10月から高齢者を中心に医療費負担が増えたことは「命の格差につながる」との声もあったという。

◆庶民の手取り収入は確実に減少している
いずれの意見も実感がこもっている。一世帯当たりの平均所得は、04年に8年ぶりに上昇したが、その内訳は上位4割の年収が増加する一方、下位6割は減少している(厚生労働省)そうである。やはり格差は拡大しているのである。
下位4割の一般庶民にとっては、給料の減少、配偶者特別控除の縮小、老年者控除の廃止、定率減税の縮小などの税金のアップと社会保険料のアップ、医療費負担の増加など、マイナス要因がとても多い、明らかに手取り所得は減っているのである。日々の生活にも四苦八苦している人も多いということも聞く。さらには消費税の税率アップも控えている。

◆豊かになった層が増えたという理由にも一面の真理が
また18%の少数派である「豊かになった層」が増えた、と答えた人の理由は次のようなものであった。「(お金は)あるところにはあるんだなあと感じる時が多い」「都内の高級マンションが多く売れている」など、一部の高額商品の売れ行き好調を指摘する意見があったとのこと。これもある意味、一面の真理であると感じた。

(日経朝刊 06.12.10より)

中高年世代に読まれる雑誌 大人の雑誌

団塊世代の大量退職やお金持ちの中高年をターゲットにした雑誌が相次いで発刊されているが、50歳以上の会員が約32万人登録するコミュニティーサイト『STAGE』を運営するシニアコミュニケーションが、約300人からアンケートを取りランキングを集計した結果、意外な雑誌がランキングされていた。

最も人気があったのは『サライ』(小学館)。ペルシャ語で「宿」という意味。旅やグルメ、インテリアなどの情報を掲載する。大人の実用情報誌としての地位を確立しているといえる。二位が生活実用誌の定番『クロワッサン』。「他人に相談するほどでもないと思う日頃の疑問に対し、答えを出してくれる(千葉の57歳女性)」という意見がある。家庭生活に参考になる情報が掲載されている。第三位が『文芸春秋』。東京の59歳女性は「総合的な話題、思考傾向が好き」という。第十位の『日経大人のOFF』は、不倫っぽい雰囲気が漂い、「静かな元気が出てくる(52歳男性)」という意見がある。ランク外には『旅』(新潮社)が入っているが、中高年の旅行人気の高さを反映しているようであり、「子供が巣立ち、自由時間が増え、常にどこかに行きたいと思うようになった」という意見があった。

ベストテンのランキングは以下の通り。
.汽薀ぁ。隠院
▲ロワッサン 10%
J厳歃媾 9%
っ砲留れ家 7%
テ経トレンディ 6%
Εレンジページ 5%
日経ビジネス 4%
┣板躄菠鵝。魁
日経マネー 2%
日経大人のOFF 1%

(夕刊フジ 06.11.30より)

団塊世代、退職後の消費

2007年問題と呼ばれ、団塊世代が60歳を迎え、次々と退職していく。労働力不足や、熟練労働者の退職など、企業に大きな影響を及ぼすといわれる。
その団塊世代の消費について、日経新聞でアンケートをまとめているので紹介したい。
調査は、首都圏および近畿圏それぞれ30膳の団塊世代(57歳〜59歳)の男性480人から日経MJと日経産業消費研究所の調査によるもの。
退職記念に大型の支出を計画しているが、その後の生活は意外と地味。貯蓄も充分に用意する。また、旅行に対する支出が高いことが見て取れる。

◆定年退職記念の買物、トップは大型テレビ
退職記念に買いたいものは以下の通り
大型テレビ・・・17.3%
国産車・・・15.9%
デジタル一眼レフカメラ・・・9.5%
アウトドア用品・・・5.9%

◆定年退職記念に真っ先にしたいことは旅行
定年退職を記念して真っ先にしたいことでは、国内旅行と海外旅行がそれぞれ一位、二位になっている。
国内旅行・・・40.9%
海外旅行・・・40.5%

◆生活費以外に重点的に支出したいものは旅行
また「日常生活以外に重点的に支出したいもの」でも旅行がトップで、以下の通り。
国内旅行・・・64.8%
海外旅行・・・40.5%
03年6月に実施した前回調査では、それぞれ54.4%、29.8%であったので、旅行に対するウエイトがさらに高くなっているのが見て取れる。

◆日常生活費は1ヶ月28万4千円
また日常生活は控えめにする予定の人が多く、退職後の1ヵ月辺りの生活費は、28万4千円で、現在より4万5千円少なく、03年調査よりは2万円増加している。
また、年金を完全に受け取れるまで働ける人も29.4%に達している。

◆退職後に必要な貯蓄額は、4310万円
退職後に必要な貯蓄額は4310万円。これは、03年の2433万円から1.8倍も増えている。
(日経朝刊 06.12.8より)

視聴率で見ると、忘年会のピークは意外に早い

テレビの視聴率で忘年会のピークがわかるそうである。平成17年度は12月9日の金曜日だった。なぜわかるのかというと、ゴールデンタイム(夜7時〜10時)の総世帯視聴率の高低で、分かるのである。

飲み会というものは、一般的に週末の金曜日が一番多い。その次が木曜日であろう。ゴールデンタイムの視聴率を見ると、平成17年度は9日の金曜日が極端に減少している。つまり、この日が忘年会のピークであるということだ。10日の月曜日には、視聴率はまた極端に上昇している。つまり、月曜日に忘年会をする人は少ないということである。そして月曜日をピークに、その週の視聴率は徐々に下落している。その週は、14日の木曜日の視聴率が16日の金曜日よりも若干下がっている。その後の週、つまり12月の後半になると、徐々にゴールデンタイムの視聴率は上昇しているようである。

私は忘年会のピークは、少なくとも12月の後半以降であると思っていたが、10日前後が忘年会のピークが来るようである。これは意外であった。しかし忘年会を企画するときは、皆「月の後半が忘年会などで忙しくなる」という前提で計画を立てることも多いのではないであろうか。そういうこともあって、12月の初旬にもう忘年会のピークが来るのではないのかと私は思った。これから類推解釈すると、平成18年の忘年会のピークは、8日の金曜日かもしれない。
ちなみに17年の12月11日の日曜日は、全日(朝6時〜深夜零時)の視聴率が低い。これは、「ボーナスサンデー」で、買物に出かけた影響ではないかとのことである。視聴率から忘年会のピークが推測できる。多分この仮説はあたっているのであろう。
(日経夕刊06.12.04より)

厳しくなった相続の物納制度

◆物納は相続税納付の強力な手段
もう平成19年度の税制改正大綱が発表されるが、平成18年度の税制改正で、相続税の物納の要件が厳しくなった。それを確認しておきたい。
相続が発生して相続税を納付する際、現金で納付する代わりに、土地や株式で相続税を納付する制度がある。土地持ち資産家の相続など、土地が相続財産の大部分であったりする場合、相続税納付の強力な手段となり、一般的に広く活用されている。それが相続税の物納制度であるが、その物納制度が平成18年の税制改正で厳しくなった。その概要は以下の通りである。

◆物納不適格財産と物納劣後財産
これまでは相続税の申告期限までに「物納申請書」を提出しておけば、その後に現金に納付に切り替えることも可能であった。物納の申請をしておけば、物納と現金納付のどちらかを選択することも可能であったのだ。しかし、今回の改正ではそれが難しくなった。
どのように難しくなったのかというと、「物納不適格財産」と「物納劣後財産」というものが定められ、物納できる財産と出来ない財産とがはっきりしてきたためである。
そのため、物納申請された財産に物納不適格財産があったり、物納劣後財産を物納申請するにあたり、劣後財産の他に適格財産を所有してたりする場合は、「申請は却下される」ということになる。却下された場合は、その却下から20日以内に一回限り、再申請が可能となる。
以上を整理すると、以下のようになる。
(納財産の区分が必要。
「物納適格財産」「物納劣後財産」「物納不適格財産」の区分が明確になった。
∧納劣後財産より物納適格財産を先に申請することが必要。

◆物納申請時の書類
物納申請時に提出する書類も従来と大きく変わった。物納財産の多くが不動産であるが、その場合、以下の書類が必要である。
・登記簿
・測量図
・境界確認書等
従来は、とりあえず物納申請をして、その後測量等をして必要書類を早急に集めるということが許され、実際にそのように行われることが多かった。
しかし、測量や境界確認書を隣接者から取り付け、登記を行うまでにはかなりの労力と時間がかかる。測量だけで数年かかることもまれではない。

◆20日の猶予期間のみ・・・生前に財産の整備が必要
上記の物納申請に必要な書類の記載に不備、あるいは必要な書類の提出がなかった場合、
「20日以内に補正・提出をしなければ申請を取り下げたものとみなす」
という厳格な規定となった(ただし、最長1年の延長あり)。

仮に一年の延長が認められたとしても、すべての書類を揃えるのは大変な作業である。
例えば、100件以上の貸し宅地を持つ資産家も少なくない。つまり、底地だけを所有し、借地権者が家を建てて居住しているというケースである。このような場合、資料を集めるのに数年の時間がかかるケースもある。
これからは、このようなケースはすべて物納できなくなるということである。このようなケースに備えて、生前から財産や相続税の概算を把握し、事前に書類の整備をしていくことが大切である。

家電のファブレスで伸びる会社・・・「アマダナ」

◆家電の企画販売で伸びる会社
家電の企画販売で業績を伸ばしている会社があるそうである。東京の渋谷にある「リアル・フリート」。大手家電がひしめく日本で一見、難しそうな事業であるが、ターゲットを絞り込み見事に業績を拡大している。「アマダナ」という家電ブランドを持ち、直営販売を行う。
製品の企画をすると、実際の生産は国内の中国の製造会社に委託し、木材など天然素材を使ったり、こだわりのデザインを実現できる委託先と共同開発するのだという。
会社データは、2002年11月設立で売上高15億5千万円、経常利益5千万円、従業員30人。

◆デザインと使い勝手を工夫する・・・今までの家電に満足できていない消費者
同社の特徴は、デザインや使い勝手。最先端機能が詰まっているわけではないが、デザインや使い勝手で人々を引き付ける商品を作るのだそうである。
ターゲットは明確である。商品を購入するのは今までの家電に満足できていない消費者。「十人中十人が欲しい商品ではなく、十人中二人に必ず売れる商品作りをめざす」(熊本浩志最高執行責任者)という。
たとえばアマダナブランドのオーブントースターの外見は、まるでデジタル家電のようになっているという。調理時間を知らせる発光ダイオード(LED)やハーフミラー型の前面硝子を使って、賛嘆的な雰囲気を打ち出しているそうである。価格は一万五千七百五十円。量販店では三千円程度で購入できるものである。

◆チャンネル政策・・・販売店を絞ることで、購入者からの生の反応
もう一つの特徴は、自社で生産した商品を直営店やインテリア・雑貨店などの少数店舗で販売する。販売店を絞ることで、購入者からの生の反応を受け取りやすくなるという。通常は量販店で売ることによって、販売量が増えると考えるが、「それでは商品が量販店が売りやすいものに流れてしまう(熊本COO)」のだという。
同社のCEOとCOOの両者は、東芝でデザイン性が特徴の家電シリーズを商品化した経験を持つそうである。そのとき大きな話題を集めたが、大手企業の中では、製品か出来ても販売までは手が届かなかったそうである。販売ルートの限定は、大手企業にとってリスクが大きいのだという。そこで「企画担当者も販売ルートも絞り込む」という手法で「消費者が欲しいと思う製品を提供できる仕組みをつくろう」と独立に踏み切ったのだという。

◆ファブレス企業のメリットと難しさ・・・「デザイン性」と「販売チャネル」で差別化
いわゆる工場を持たない「ファブレス企業」である。大きな設備投資が必要なく、効率の良いビジネスであるが、やはり企画やスピードが勝負である。ノートパソコンなどで、コストパフォーマンスの高い製品を開発する会社が一時、先行して話題をさらっていたこともあったが、いつの間にか消えていってしまっている。スピードだけの勝負ではいつかは大企業に追いつかれてしまうのかもしれない。
家電製品のファブレス企業というのは意外な感じがしたが、このリアル・フリートという会社は、ターゲットを明確化して「デザイン性」と「販売チャネル」で差別化している。こういう「ニッチ」を狙ったほうが大企業と勝負できるのかもしれないと感じた。
(日経朝刊 06.11.04 新進気鋭より)

任せれば人は動く(権限委譲の重要性)

◆再建請負人、星野佳路氏の場合
再建請負人として何十ものホテルや旅館を再生したことで有名な、星野リゾート社長の星野佳路氏は、従業員に対していつも「あなたたちが主役である」と熱く語りかける。従業員を信じて、「任せれば人は動く」という強い信念を持っている。
しかし、昔はそうではなかったそうである。むしろまったく逆であった。アメリカでホテル経営学を学び、帰国後外資系銀行へ勤め、経営が落ち込んだバブル崩壊時の31歳の時に、実家である軽井沢の星野リゾートに社長として戻ってきた。詳細な接客マニュアルなど、アメリカ仕込みの経営理論を取り入れた。改革を急ぐため、最新の経営理論を楯に、「トップダウン」で指示を行っていったそうである。それが完全に人を信じて任せるタイプとなった。
きっかけは挫折であった。トップダウンで従業員を動かす星野社長への反発によって、ベテラン社員が次々と退職し、100人いた従業員の3分の1になってしまったそうである。職安で人を集めようとしても人はまったく集まらない。職安の壁に「星野へ行けば殺される」というような落書きもあったそうである。これでは会社が立ち行かない。お客さんがきてもホテルは運営できない。どうすると人は働いてくれるのか、夜になると考えるということが2〜3年続いたそうである。
そこで緊急措置として、ホテルの大きな収益源であるブライダル部門の責任者に、結婚式場のカメラマンであった人間を担当者としてあてた。入社10年目の31歳、まったく人を使ったこともない若手の現場担当者であった。経営や人の使い方など基本的なことをレクチャーしてそして任せた。最初は「どうすればいいでしょうか」という相談ばかりでおぼつかなかったけれど、だんだん意識が変わり始めてやる気が出てきたそうである。自分で考え、決定するという面白さに目覚めたそうである。そしてブライダル部門では、欧米で人気であった「シャンパントースト」を導入するなどした。それが当たって看板商品となり、新たな集客源となったそうである。従業員にもやる気を与えた。
それがきっかけ、転換点となって星野社長は「任せれば、人は楽しみ、人は動く」ということを確信したそうである。どん底の中から生まれた確信である。この信念が生まれるまでは、このようなとても大きな困難・挫折があったということである。

◆権限委譲の条件
「ドンキホーテ」や「ブックオフ」なども、従業員に権限委譲して責任を持たせて任せることによって、従業員も業績もアップしたというようなことを聞いたことがある。その他の会社にも多くこのような実例があるであろう。やはり「権限委譲」というのは、従業員に、自ら考え行動するきっかけを与え、従業員の成長を促し、そして会社の業績をアップさせるものなのであろう
もちろん、単純に任せるだけでは失敗することも多いのではないのかと思う。従業員がやる気を出すように仕向け、松下幸之助のいうように、「まかせてまかさず」のような姿勢も必要なのであろう。任せはするけれどもじっと見守って、危ない時は手を差し伸べてあげるような配慮も必要なのだと思う。適材適所のような考え方も必要であろう。星野佳路氏は「ほとんど従業員の意思決定に任せるが、そのプロセスが大切である」と言っている。「その意思決定に至る分析やプロセスが合っていれば、だいたいその結論も正しい」のだそうである。

◆若手に情報収集をさせるスーパー・クイン
徹底的な顧客志向の姿勢をとるスーパーマーケットとして有名な、アイルランドの「スーパー・クイン」では、世界中の英語の小売部門専業誌をすべて購読しているそうである。新しい販売手法などの情報を取り入れるためである。このような大事な情報の収集は、通常、本部が行うものである。しかしここでは本部はそれを行わない。会社中から、現場で若い助手的な仕事をしている人々を選び出し、各人に一誌ずつを持たせて情報収集をしているそうである。
そしてこのようにいうそうである。「会社であなただけに、いってみればアイルランドであなただけに、毎週この特定の専門誌が届きます。ですからその国で何が起きているかについて、あなたは当社の目であり、耳であるのです。専門誌が届くたびに読み、当社に役立つ何か発展的なことがあるか徹底的に調べることが、あなたの役目です」と。本部に近い人間がやるより、市場に近い人が行うほうが、ずっと効果的なのだそうである。そして、それが実際に「サラダバーの導入」などで、大きな成功を生み出したという。


市場調査の限界(スーパー・クインの場合)

◆スーパー・クインで肉の対面販売導入時の話
市場調査、マーケティングリサーチというものは、顧客のニーズや嗜好、市場動向を知るためにはとても重要である。しかし、そこには限界もある。その一例を紹介したい。
顧客志向のサービスで有名なアイルランドの食品スーパーマーケット、スーパー・クインの創業者、ファーガル・クインがその著書『お客様がまた来たくなる ブーメランの法則』で書いていたことである。
スーパー・クインでは、創業当時の1960年代、お客様が精肉を買うときに、対面サービスを必要としていることを知り、対面サービスを導入して大成功を収めたという。肉の専門家を雇い、お客様の目の前で肉をカットし、何を買いどう料理するのかをアドバイスしながら肉を売る方法である。
対面サービスは通常、専門店などでしか扱っていなかった。対面サービスの導入は、時流に逆らっているかのようでもあった。そういった懸念もあり、ファーガル・クインは「これがあなたのお好みの販売方法ですか」と、毎年毎年、様々な方法でお客様に問いかけたという。どのような方法で尋ねても、「対面サービスが私たちの買い物客が求めるものです」という答えが返ってきたそうである。

◆担当者の直観力や感性が問題
通常のマーケティングの担当者だったら、何の疑問も持たずにこの結果に満足していたであろう。しかし、ファーガル・クインは違った。あるとき顧客モニターへのグループインタビューで「対面販売の賛否」の問いかけをしたとき、他の主婦が圧倒的に対面販売を賞賛したのに対して、一人だけ次のような反対意見を言った主婦がいた。「たまたま友人と一緒にここに参加したけれども、私はここでは肉は絶対に買わないわ。他の店では財布の都合に合ったパック商品を探せるから」
統計上はこの意見は重要ではなかったが、ファーガル・クインは、直感的にその意見を放棄できなかったという。そこで、ある実験店舗でセルフ方式の「パック詰め」商品も一緒に並べてみたという。これは大成功で、何と精肉の売上が二倍になったそうである。
前述のように市場調査では、対面販売にはほとんどのお客様が満足して、ほとんど誰も反対意見は言わなかった。通常のマーケティング担当者ならこの結果に満足して、何もリアクションは起こさなかったはずである。しかしファーガル・クインは違った。これは、「市場調査データをそのまま鵜呑みにはできない」ということ、そして「それを受けて分析する者の感性や直観力」が大事であるということを物語っているものであろう。

店舗撤退支援サービスが増加

◆店舗撤退支援サービス
撤退を考える経営者が店舗をネットオークションにかけ、最も高い価格を提示した人に売却するなどといった、撤退支援のサービスが増えているそうである。M&Aオークション(東京・中央)は、主に鹿児島県内の飲食店を対象に試験導入して、200社近くが登録し、約10件の売買が成立したそうである。
店舗仲介の日本ソフト店舗(横浜市)は、2年前に開店支援室を設置。撤退を考える事業者から相談を受け、損失を少なくして廃業する方法の提案を開始。飲食店のほか、工場や倉庫、病院、ホテルなど、1日10件以上の案件が持ち込まれるそうである。廃業する店舗を新たな利用者とマッチングさせ、ホテルを病院に用途転換したり、リゾート施設を老人向け施設にした例もあるという。
牛角などを運営するレックスホールディングのグループ企業、テンポリノベーションでは昨春、閉業する飲食店経営者から店舗設備の買取を始め、開業希望者に貸し出しているそうである。

◆売却者、購入者、双方のメリット
飲食店などを開くには、初期投資に数百万円以上の初期投資が必要。そしてそこから撤退するには、賃貸借契約上、廃業時に内装を撤去しなければならない。通常、数十万円から数百万円の費用がかかる。売上不振店が閉店を考える場合、その多額の内装撤去費用が撤退に二の足を踏ませ、傷口を広げてしまうケースも多いそうである。このような廃業支援サービスにより撤退をスムーズに行えるようになり、再チャレンジもしやすくなる。。
一方、購入する側にとっては、いわゆる「居抜き物件」の購入は初期投資が少なくてすみ、その分リスクが減るというメリットがある。また「内装が残る居抜き物件への評価は十人十色。幅広く買い手が集まるオークションの対象に最適」とM&Aオークションの大桑社長は言う。つまりオークション形式では、居抜き物件の選択肢もかなり広がるということである。
しかし、廃業をした物件ということは、立地が悪かったり、何らかの事情で集客に難点があったりするケースも多いと考えられる。コストが安上がりというメリットは魅力ではあるが、居抜き物件を購入する時は、充分な検討が必要ではないのであろうか。

◆事業のM&Aも加速
上記は主に、店舗の売買であるが、事業の撤退や再構築の手段としてのM&Aが加速しているそうである。日本M&Aセンターは、事業から撤退を考えている企業経営者に事業の譲渡先を仲介する。毎月50件以上の相談が持ち込まれ「潜在顧客は10万社以上。ニーズは今後も高まる」と同社経営企画室長は言う。
このM&Aが増えている要因の一つには、後継者難の企業が増えたことが大きいという。兵庫県の加古川商工会議所は、昨年、転業・廃業を支援する特別相談室を設置。「経営者が高齢化しているが後継者が見つからず、取引先との関係なども障害となって点廃業できない経営者が多い」そうである。
また中小企業庁によると、01年〜04年の廃業率は6.1%で1975年以降最も高い。それに対して企業の開業率は3.5%で開廃業率の逆転現象が続いている。しかし、個人の自営業に関しては90年代以降、年間50万人前後と高水準が続いており、また産業構造の変化により、サービス業での開業が増えているそうである。
(日経朝刊 06.11.20シグナル発見より)

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