◆人口減少・少子高齢化社会の処方箋
日本は2005年に、ついに人口減少社会に突入した。戦争や飢饉などを除いて有史以来初のことである。しかもその人口減少は「少子高齢化」という構造を伴う。人口減少・少子高齢化社会が日本に与える影響は大きい。そのような中で、タイトルにあるとおり、人口減少は怖くないということをこの本は教えてくれる。
人口減少というのは暗いイメージがあるが、そうではなくて「人口減少社会は怖くない。それどころか楽しいものだ、希望が持てるものである」ということを、多面的にデータも駆使して展開している。

著者が言うように、人口問題は社会のあらゆる分野に関係しているので、この本では人口問題のみならず、生産性や医療・福祉制度など、多面的な問題を扱っている。
具体的には、日本の人口減少の現状、身近に控える団塊世代の大量退職による労働者不足、いわゆる「2007年問題」、将来の人口減少の見通し、世界の国の人口事情、人口減少のメカニズム、人口減少を食い止めるための方策などを述べ、その中で「人口減少を前提とした方策を考えていくしかない、人口減少社会は怖くない」と結論付けている。
この本に書いてあることは納得でき、実現可能性の高いものも多い。人口減少、少子高齢化社会の一つの処方箋となるのではないのかと感じた。

◆人口減少で何が問題か
アメリカなどを除いて、多くの先進国で人口が減少している。ヨーロッパのみでなく、東南アジアなどでも人口減少が深刻である
しかし人口減少は、悲観的なことだけでもない。例えばフランスなどは、日本の半分の人口でも豊かに暮らしている。シンガポールや香港など、人口1000万人に満たない国でも、購買力平価で見ると、日本より豊かなくらいであるという。人口減少により、土地が安くなり、一人当たりのゆとりが増えるなどのメリットもある。

人口減少社会で何が一番問題か。
問題なのは、簡単に言うと、以下のことである。
・人口のパイが減るため、GDP国民総生産が減少する。
・高齢者の人口構成が高くなるめ、医療費と社会保険の負担が増加する。
・団塊世代の大量退職等、高齢化による労働力不足。

◆ビジネスのあり方が大きく変わる
人口減少社会でのビジネスのあり方について、以下のように言及しているのが興味深い。
「ただし、人口減少社会での企業の対応は難しい。そのことを概念的に述べてみよう。」
「二つの国を考えてみる。A国では、一人当たりの所得が同じで、30年後に人口が倍になる。B国では、人口がまったく増えないで、一人当たりの所得が増えて30年後には倍になる。しかし、この二つの国で販売されているものはあまったく違うものになるだろう。」
「人口が倍になるA国では、これまでとかなり似たものが倍売れるようになるだろう。ところが一人当たりの所得が倍になるB国では、これまでとまったく異なったものが売れることになるだろう。」

◆人口減少社会を乗り切るための処方箋
人口減少・少子・高齢化社会を乗り切るためには、以下の三つのすべてを行うしかないという。これが著者の処方箋であり、後半にスペースを多く割き、具体的な対処法を展開している。
々睥霄圓増大するのだから、高齢社会の負担を引き下げる。
⊃邑が減少するのだから、その中で、なるべく多くの人が働く。
Fく人が減少するのだから、働く人一人当たりの生産性を引上げる。
例えば、日本の年金の給付水準は、世界一高いという。それを引き下げてもそれほど問題ではないという。女性や高齢者の働く比率を引き下げることも可能であるし、日本の得意分野である機械化やロボットの活用によって、生産性は飛躍的に引き上げが可能であるという。

人口減少社会は怖くない