◆負債依存度30%割れ
日経新聞によると、上場企業の財務体質が大きく改善しているそうである。「有利子負債依存度」とは、借入金や社債などの有利子負債が、総資産に占める割合。この有利子負債依存度が2005年度末で27%台と、バブル後初めて30%を割ったとのこと。直近では1993年度末の41.6%がピークであったそうである。
見方を変えれば、この負債が30%割れということは、自己資本が70%近くあるということも言える。また、実質的に無借金の上場企業は666社で3社に1社にのぼるそうである。

◆金利上昇に強い経営体質
これは企業の業績面でみると、金利上昇に強い体質ということが言える。ゼロ金利が解除され、デフレが収束し、たとえこれから金利が上昇しても、これらの大企業にとってはそれほど金利負担増の影響は受けにくいということになる。それどころか、受取利息・配当などの余剰資金の運用益で、会社の業績に好影響が生まれる企業もあるということである。

◆筋肉質の財務体質
この負債依存度の減少、財務体質改善の主な要因は、次のようなものである。
景気回復による収益増で資産が増加し、その余剰資金を借金返済に充てたこと、バブル期の余剰資産を売却して負債返済に充てたこと、リストラによる人員整理、それから、昨今の株価の上昇などが要因と言える。これは、バブル期の贅肉がついた体質、いわゆる「人・設備・負債の余剰」といわれた時期から、無駄な贅肉のないスリムな財務体質に企業体質の転換が進んだということも可能である。

◆製薬会社の抜群のキャッシュフロー
記事には、手許資金超過額ランキング20社が掲載されているが、10社を順番にあげると、1武田薬品工業、2松下電器工業、3キャノン、4任天堂、5日本たばこ産業、6アステラス製薬、7第一三共、8ファナック、9村田製作所、10信越化学工業となって、製薬会社が3社もランクインしている。20社で見ると、15エーザイ、20大正製薬がランクインしている。製薬会社の財務体質の強さが浮き彫りになった形である。ちなみに、トヨタやNTTは、ベスト20にはランクインされていない。

◆余剰資金をどう生かすか
同記事では最後に、野村證券のストラジテストの指摘として「市場の関心は、負債削減が一巡した企業が、企業価値を高めるためにどのような財務戦略をとるかに移っている」と書いている。この余剰資金を将来のどのような投資や戦略に生かすのか、それができなければ配当に回すかということであろう。
データは、1985年度から連続して比較可能な上場企業(金融と新興市場を除く)1755社を対象に割り出しているとのこと。

(日経朝刊 06.08.25より)