問題意識を持った人のみの話し合いは、意思決定の効率を高める

◆信越化学工業のケース
信越化学工業は7年連続最高益をあげた優良企業として有名であるが、その信越化学工業を優良企業に押し上げた金川千尋社長は、信越化学の意思決定が速い理由を次のように述べている。
「わが社の意思決定はいつも速いのですが、これには理由があります。よくあるように事業案を会議にかけ、全役員がそろって相談するといったことはしません。そんなことをすれば異論が百出し、結論が出なくなってしまいます。事情をよく知らない人の一般論などは重要ではないのですから、事情を本当に理解している人間同士で話をすれば、それで充分です。そこから出た結論について、トップである私が全面的に責任を負い、事業を決めてしまいます。ですから、意思決定が速くなるわけです。」

◆旭山動物園のケース
また、昔は閑古鳥が鳴いた旭山動物園を入園者数200万人超の、日本有数の動物園に育て上げた小菅院長は、昔、旭川市役所から「有識者や市民の代表を集めた懇話会」を開き、その意見を参考にするようにアドバイスを受けたそうですが、それは徹底して拒否したそうである。
理由は「どうせ、また新しい遊園地を併設するという話が出てくる。われわれの動物園に対する思いがそれによって薄まるのがいやだった」からということだそうです。結局、本当に問題意識や見識を持っている人が話し合わないと、一般論しか出てこないでおかしな方向に進んだり、時間のムダになるということが多いのである。

◆非公式なコミュニケーションを大事にする
結局、会議などはむやみに多くの人数で行うものでなく、事情をよく知って理解している人や、当事者意識を持った人だけでやったほうが、より良い意見や考えが出て、話がスムーズかつ迅速にまとまりやすいということがあるのだと思う。
公聴会などで知らない人が意見を言っても、一般論しか出てこないケースも多く、かえってくだらない一般論が多数意見となって、おかしな方向へ行ってしまうということだってある。
また、会議を行うより、その問題に直接かかわる当事者間や見識を持つ人のみで、非公式な打合せをしたほうが、迅速でよりよい意思決定が出来るケースが多いということである。例えば、ホンダやキャノンなどが行う「ワイガヤ」や、非公式なコミュニケーションなどの効果が高いなどというのも、このような所から説明できるかもしれない。
人が多ければいい意見が出るというものではない。問題意識を持った人たちだけで。少人数で意思決定をしたほうがいい意見が出て、かつ、迅速な意思決定や行動につながるということである。そのためには、非公式なコミュニケーションも重要である。