◆キーエンスという会社
8月13日、夜10時からのテレ東の「カンブリア宮殿」。今回は東証一部上場の「キーエンス」という会社にスポットを当てていた。日経新聞が毎年発表する優良企業ランキングに18年連続ランクインしている会社で、新大阪に大きな本社ビルを持つ。日経新聞などで社名はよく知っていたが、実際どんな会社なのかは全く知らなかった。この番組を見て初めて会社の概要を知った。
創業は1974年。2006年の連結売上高は1827億円。主力商品は、工場で使うセンサーなど。たとえば、工場で商品に貼ったラベルの微妙なゆがみを探知して、即座にはじいてしまうようなセンサーが紹介されていた。ペットボトルへの日付の印字する装置などもある。全体で約200もの商品を取り扱っているそうである。

◆脅威の営業利益率と日本一の高給の会社
この会社のすごいところは、営業利益が何と50.4%であるということ(平成19年3月期)。日本の代表的な製造業の数字と比較すると、キャノン17.0%、トヨタ自動車9.9%、松下電器4.8%となっている。その営業利益50.4%という数値がいかに驚異的なものであるかがわかる。
それとともにすごいのが、社員の給料水準である。32歳の平均給与は1380万円。東洋経済の調査によれば、生涯賃金は日本の大手企業のトップで6億1804万円であるという。「業績賞与」というものがあり、これは通常の賞与と違い、毎月支給されるのだという。仕事のやりがいもあり、高給ということで、当然、学生の人気は高い。

◆高い営業利益の秘密
営業利益50.4%という高い営業利益の秘密は、製品の高付加価値化である。
新商品の7割が世界初、世界最小であるという。つまり、他社が追随できない高付加価値の製品を作るから、高い値付けをしても売れるということである。開発担当者は「まず常識を疑ってかかる」のだという。
たとえば世界最小の駆動システムを搭載した、5000倍に拡大できる「マイクロスコープ」が紹介されていた。また「蛍光顕微鏡」は、1台700万円以上という値段で売っているが、医療や科学の研究に欠かせないものであるという。今まで暗闇の中でしか見れなかったものが、通常の明るさの中で見れるようになったものだ。それから、世界初の「3次元制御レーザマーカ」も紹介されていたが、これはなんと、ホッチキスの針にも印刷ができるというものである。番組の中の実演を行っていたが、実際にあの細いホッチキスの針に、「カンブリア宮殿」としっかり印刷がされていた。

またこの会社は自社工場を持たない「ファブレス企業」でもある。その商品に応じて、生産工場によって得意な技術があったり、最先端の設備を使えるというメリットがあるという。それとともに、生産設備に対する投資が不要であるから、これもまた粗利益率を高める大きな要因のひとつになっているといえる。

◆高いコンサルティング営業力
それからこのキーエンスという会社の強みは「営業力」にもある。コンサルティング営業が大きな強みとなっている。「代理店制度」は採用せず、すべて自社の営業である。製品の納入はとてもスピーディで、午後3時までの注文なら基本的に直販、翌日即納であるという。
番組で古いタイプの営業と対比して紹介していた。古い営業とは、「アポを取れば安心」「努力、根性、忍耐のみの営業」「とにかく外に出ればいいと思っている」「営業ノウハウは誰にも教えない」といったものである。
これと対極なのが、キーエンスの営業であるという。まず営業マンは所長などの上の人間が、ロールプレーイングによって、シミュレーションをして若い社員を徹底的に鍛える。挨拶がよくなったなどのアドバイスをしている。またGAIHO(外部報告)というシステムがあり、営業の前後には全員報告し、先輩にアドバイスを受ける。若手営業マンは営業前と営業後にアドバイスを求め、その営業能力を高めていく。
そして「パソコンの地区の顧客リストから、商品に合った顧客を効率的に絞り込んでアポを取る」「週一回の勉強会で商品の徹底的に研究し、顧客ニーズに素早く対応」「営業ノウハウは社内で共有」「顧客からのニーズカードを作成し、開発に回しフィードバックする」といったもの。また接待やお中元などの交際費は基本的には使わないという。

◆フラットで風通しのよい組織
組織はとてもフラットで、会長と社長、取締役2名でその下には直接、9つの各事業部が来て「部長などの役職」はないという。まあ、事業部責任者とグループ長その下が担当者となっているけれども、肩書きでは呼ばないようである。
佐々木社長が出演していたが、社長秘書はいなくて、すべて自分で処理をするのだという。という。また社長室のドアはいつも開いており、社員がアポなしで自由に相談できるそうである。
会議は活発で意見が飛び交い、意見を言わない人は参加しない。また、席順は入室順で、社長といえども遅く入室すれば末席であるという。
当然「就職したい会社」としてもとても人気がある。その採用ノウハウというものも確立され、企業秘密ということであまり触れられなかったが、基本的に「意見を言わない人は採用しない」ということであった。
会社のいたるところにアンモナイトのような古代の「化石」が置かれている。これは「変化に対応しないとすぐに化石のようになってしまう」「過去を振り返らない」というメッセージであるという。

キーエンスの売り上げ構成比は国内75%、海外25%である。NASAやFBI、ボーイングなども顧客に持つということであるが、海外の売り上げ比率がかなり低いのである。海外市場がキーエンスの課題であるということでもあるが、海外市場の開拓に成功すれば、この会社はこれからももっと伸びてゆくのであろう。