(日経夕刊07.08.27号より)

◆波瀾万丈の経歴を持つウインザーホテル
北海道の洞爺湖を囲む山の頂に立ち、来年の主要国首脳会議(サミット)の舞台となるザ・ウインザーホテル洞爺。このホテルは経営悪化、閉鎖、オーナー交代、そして再生と、波乱に満ちた経歴を持つ。

◆ウインザー再生の立役者
その運営会社のザ・ウインザーホテルインターナショナル(東京・港)の窪山哲雄社長が
このホテル再生の立役者である。97年の春、それまで6年間勤めたハウステンボス(長崎市佐世保市)にあるホテル運営会社の社長を辞め、現在の会社を設立し、ウインザー再生に取りかかった。長崎から洞爺へ一緒に来てくれたスタッフは十数人。本当は50人が名乗り出たが、向こうの運営に支障がないよう絞り込んだのだという。

◆心理的な壁で客の振る舞いも変わってくる
そのとき、施設は国際的にも一流であったが、経営が苦しく一泊6千円で客室を販売していた。サンダル履きの人がビールを持ち込み、部屋で焼き肉を焼く。注意した社員は殴られた。
これでは一流リゾートの空気はつくれない。そこでドアマンの服をフォーマルに変え、玄関には高級車を置いた。「心理的な壁」なのだという。面白いことに、そうするとお客様の振る舞いは自然に変わったという。ちなみに今の客単価は5万円台とのこと。

◆外見や形が人の心理に与える影響は大きい
「サンダル履きでビールを持ち込み、部屋で焼き肉を焼く」そういう客がいた。ドアマンの服をフォーマルに変え、玄関前に高級車を置くことによって、自然に振る舞いが変わってきたという。「心理的な壁」というが、これは興味深い。やはり、形を整えることによって、人間の心理に与える影響というものも大きいのだと思う。

ちょっと違うかもしれないけれども、ニューヨーク市が行った「割れ窓理論」というのもがある。この「割れ窓理論」を連想させる。ニューヨークは犯罪が多い都市でもあるが、当時のニューヨーク市長ジュリアー二がこの理論を政策に取り入れたことで、犯罪も大きく減少したという。
また、企業などでも「事務所やエントランス」など、外見を必要以上に立派に見せたりする会社もある。外見は立派でも、中身はたいしたことがない会社も多いのであろうが、これによって顧客に与える心理というのも大きいのであろうと感じた。

(以下、ウィキペディア(Wikipedia)より引用)
★割れ窓理論(われまどりろん、Broken Windows Theory)は、軽微な犯罪も徹底的に取り締まることで凶悪犯罪を含めた犯罪を抑止できるとする環境犯罪学上の理論。アメリカで考案された。「建物の窓が壊れているのを放置すると、誰も注意を払っていないという象徴になり、やがて他の窓もまもなく全て壊される」との考え方からこの名がある。「ブロークン・ウィンドウ理論」、「破れ窓理論」、「壊れ窓理論」ともいう。この理論をビジネスに
応用する企業が増加している。
また、この理論の効果に対する批判もあるという。

★ニューヨークの例
ニューヨーク市は1980年代からアメリカ有数の犯罪多発都市となっていたが、1994年に検事出身のルドルフ・ジュリアーニが治安回復を公約に市長に当選すると「家族連れにも安心な街にする」と宣言し、ケリングを顧問としてこの理論を応用しての治安対策に乗り出した。
彼の政策は「ゼロ・トレランス(不寛容)」政策と名付けられている。具体的には、警察に予算を重点配分し、警察職員を5,000人増員して街頭パトロールを強化した他、
落書き、未成年者の喫煙、無賃乗車、万引き、花火、爆竹、騒音、違法駐車など軽犯罪の徹底的な取り締まり
ジェイウォーク(歩行者の交通違反)やタクシーの交通違反、飲酒運転の厳罰化
路上屋台、ポルノショップの締め出し
ホームレスを路上から排除し、保護施設に収容して労働を強制する
などの施策を行った。
その結果、就任から5年間で犯罪の認知件数は殺人が67.5%、強盗が54.2%、婦女暴行が27.4%減少し、治安が回復した。また、中心街も活気を取り戻し、住民や観光客が戻ってきた。需要の増加を反映して、中心街の家賃は45%も上昇したという。