◆多くの人に影響を与えた、ロングセラーの自己啓発書
訳者前書きによると、この本は約100年前の1902年に書かれたもので、世界の歴史上、もっとも多くの読者を獲得してきた自己啓発書であり、今なお世界中で確実に売れているロングセラーの書。
この本はまた、のちの欧米の自己啓発作家たちに強い影響を及ぼした。ナポレオン・ヒル、デール・カーネギー、アール・ナイチンゲール、ノーマン・ヴィンセント・ピール、デニス・ウェイストリー、オグ・マンディーノなどがその代表的な名前であり、こぞってこの本の内容を引用しているのだそうである。そして本書は、日本でもベストセラーとなり、大きなブームとなった。

◆内容はいたって詩的でシンプル
日本語訳のタイトルは、『原因と結果の法則』であるけれども、原題は『AS A MAN THIKING』というもの。あとがきまでのページ数が、95ページでありボリューム自体はとても少ない。書物の価値は、枚数だけでは計れないという一例といえるかもしれない。そして内容はいたって詩的でシンプルである。
この『原因と結果の法則』という邦題自体がこの本の内容を表すといっても過言ではない。結果にはすべて原因がある。よき種をまき、よき原因を作らないといけない、そのように解説できるのかもしれない。

◆極めて瞑想的・宗教的な本
結論として、本のタイトルにあるように「原因と結果」の関連性ということを無視することは出来ないということを書いてある本。その今現在ある「結果」としての現実というものにはすべて「原因」がある。それを突き詰めて、そしてそれを糧とし、将来の人生に生かしていかなければいけない、そういうことが書いてある。
とても薄くて文章量も少ないのだけれども、この本は、本人の瞑想から生まれたものだということが、感じられる本。実際、ジェームスアレンの日々の生活を見てみると、極めて瞑想的な生活をしていたということがわかる。

◆前半は人格と健康の形成、後半は成功論
この本は、七つの章から構成されている。まず最初は「思いと人格」、以下のように書かれている。「私たちの人生は、ある確かな法則にしたがって創られています。私たちがどんな策略をもちいようと、その法則を変えることはできません」と。
以下、「思いと人格」「思いと環境」「思いと健康」「思いと目標」「思いと成功」「ビジョン」と続く。いたって東洋的な思想書ともいえる。実際、アレンは仏教などをよく学んでいたようでもある。思いの重要性、そして、その思いという「原因」から「結果」が生まれてくる。自分の内側で機能している「原因と結果の法則」をはっきり認識することが必要であると述べている。「心の法則」「宇宙の理法」と言い換えてもいいのかもしれない。
アレン自身、前書きで以下のように述べている。「この小冊子は、私の瞑想と体験のなかから生まれたものです。よって、私はこれを、昔から頻繁に論じられてきた『思考のパワー』の完璧な解説書である、などと主張するつもりはまったくありません。私がこの本を通じて行っていることは説明というよりも提案である。

◆ジェームズ・アレンという人物
ジェームズ・アレンの私生活に関する情報はほとんど残っていないそうであるけれども、あとがきには、次のように彼の人物像の一部が紹介されている。
イングランドに生まれたアレンは作家になる前は、数名の工業家のコンサルタントとして生計をたてていた。作家活動を始めてからは、海沿いのインフラクームに移り住み、朝早く起きて、午前中は丘で瞑想や執筆活動をして、午後からは家庭菜園で農作業に精をだすというのが日課であった。夕方には、知人たちの訪問を頻繁に受け、友人の一人の話によると、「夜になると、いつも我々小グループに、瞑想や哲学、トルストイや仏陀について、また、どんな生き物も絶対に殺すべきではない(食用にするものを除いて)といったようなことを静かに語って聞かせたものでした」という。