税理士・診断士の税務&マネジメントお役立ちブログ

税務・会計はもとより、経営戦略・戦術、起業、医療問題、その他雑談、ぼやき等、中小企業経営に役立つ話題を中心にお送りする、武蔵野、三鷹近辺で活動する税理士・中小企業診断士のブログです。中小企業経営者、これから起業を目指したいと考えている皆様に「とても役に立つ(かもしれない)」と思われる話題を提供できるよう、日々、精進に努めさせていただきます。

マーケティング

葬儀の常識

人間、だんだん年をとるに連れ、葬儀に参列する機会が増えてくる。今生の別れ、愛する人や身近な人との別れは悲しいものである。また、仕事をする人は、取引先の葬儀に参加する機会も多いと思う。私の職業も、やはりそういう機会は多い。
日経新聞に「葬儀の常識」の記事が掲載されていたので、私はここら辺の常識に疎いので、確認の意味でまとめておきたい。日経新聞であるから、ビジネスを前提としているが、ポイントをまとめると以下のようなものである。

○通夜と告別式のどちらに参列するか
◆告別式の日程しか知らされなければ、通夜ではなく葬儀・告別式に参列する。
 事情で告別式には参加できない場合、事前に連絡して通夜に参列。
◆通夜の連絡もあれば、両方に参列するのが本来の姿。
◆ただ最近は、通夜か告別式のどちらかに参列すれば礼を尽くしたと受け止められるようになってきている。

○香典等
◆手伝いをする人も香典は必要。焼香は混雑時をさける。
◆「ご厚志は辞退」というのは、香典も受け取らないという趣旨。
 しかし念のため香典は用意し、会場の様子を見て対応する。
◆香典は最初の弔問時に持参する。
通夜、告別式両方に持参するのは「不幸が重なる」意味合いにもなるので注意する。
◆事前に宗派がわからない場合の香典袋・・・四十九日の法要の前までは「御霊前」、法要当日からは「御仏前」となる。
◆金額は年齢や立場で異なるが、会社関係は5千円〜2万円程度。
◆連名は3人まで。4人以上の場合は「○課一同」などと記し、全員の氏名は別紙に書いて中包みに入れる。
◆通夜や葬儀に参列できない場合、弔電を打ち、後日、香典を郵送しても失礼には当たらない。

○社葬の場合のビジネス上のマナー
◆相手が社葬を行う場合、一般的には故人と同じぐらいの役職の人が参列する。
◆代理人を立てる場合、自分の名刺を持たせる。
◆花輪や供物の役割は、個人葬より重要。
◆社葬では、受付での記帳時に名詞を差し出すが、この際、名詞の右肩に「弔」と書くか、左下を内側に折り曲げて差し出すのがマナー。
◆上司の代理として出席する場合は、上司の名刺に「弔」と書き、自分の名刺には「代」と書く。

(日経朝刊 07.09.08  NIKKEIプラス1より)

猛暑なのに、インスタントラーメンがばか売れ

連日、記録的な猛暑が続いている。今年から、35度を越える日は「酷暑日」というそうであるが、福島や群馬では、その酷暑日をはるかにしのぐ、40度を超える気温も記録している。岐阜県多治見市、埼玉県熊谷市で気温が40.9度を記録した。1933年7月25日に山形市で記録した40.8度を上回り、日本の観測史上最高気温が74年ぶりに更新されたそうである。
気象庁はこのような猛暑は予想しなかった。気象庁の予想は見事に外れたわけである。経済にとっては暑い夏というのは、基本的にはよい影響を及ぼすものである。ビールや清涼飲料水、クーラー、その他夏物など、順調に売上が伸びるからである。海やプールなども盛況であろう。

しかしその中で、意外なものが売れているという。このように猛暑なのに、インスタントラーメンがばか売れだという。イトーヨーカ堂では大セールも奏功し、前年同期比2.5倍も売上が伸びたという。理由は単純である。「暑いキッチンに、長時間たたなくてすむから」(広報センター)ということだそうである。インスタントラーメンには、カップめんや冷やし麺、焼きそばなども含まれているのかは定かではない。
キッチンでガスなどを使って10分も調理すれば、キッチンの中の温度は40度をはるかに超えるだろう。そうした中で、お湯を沸かしてその後3分から5分で出来上がるインスタントラーメンは、暑いときにはいいのかもしれない。ということは、電子レンジで簡単にできてしまう冷凍食品なども、よく売れているのかもしれない。

そのほか、冷蔵庫もよく売れているという。猛暑で無理に冷やそうと熱負荷が高まり、故障が増えているという。『お客様の「今すぐ届けて欲しい」という電話が引っ切りなし。例年の3〜4割売れています』(ヨドバシカメラ総合センター家電担当)ということである。
(日刊ゲンダイ07.08.17号より)

ガソリン高で、はとバスやネットショッピング活況

◆原油高が様々な業界に影響
石油情報センターによると、8月6日時点のレギュラーガソリンの小売価格は、前週比3.8円高い、1硲隠苅機ィ臼澆箸覆蝓■隠坑牽掲の調査以来の最高値を更新したそうである。
そのガソリン高の影響で、はとバスやネットショッピングが盛況だそうである。以前、ガソリンの値上がりで、大豆が値上がりしたということを書いたけれども、原油価格の値上がりは、様々なところに影響を与えている。

◆マイカー控え、はとバス盛況
はとバスを利用する人が増えている。同社の8月11〜20日の都内観光の予約件数は前年同期比15%増、21〜30日では30%増と急増しているとのこと。これはガソリン価格の高騰により、マイカー使用を控える消費者が増え、予算や時間が手ごろなはとバスに客が流れていることが原因ではないかと分析している。ちなみに売れ筋は、船の科学館など博物館をまわる「宿題応援ツアー」。また、中高年の利用が多い、「クラブツーリズム」も4泊5日のバスツアーが好調であるという。

◆重い商品はネットで
また、イトーヨーカ堂が33店舗で実施するネットスーパーでは、飲料、コメ、紙おむつなど、重くかさばる商品の売上が春先に比べ、約2倍に膨らんでいるという。全商品に対する重い商品の構成比も従来の4割程度から、5割以上にたかまってきたそうである。またいなげやなどのネットスーパーを代行する伊藤忠食品子会社でもその傾向が高くなって、2箸離撻奪肇椒肇覦料などのまとめ買いが増えているという。

◆郊外型飲食店苦戦
また一部の外食店では、マイナスの影響も出ているという。ファミレスの郊外型店舗では、マイカー客の利用が減って売上に影響を与えているそうである。通常、猛暑の年は喫茶需要が増え、郊外立地の店の売上は上向く。ところが今年は前年割れの店舗が相次いでいるという。ただドライブスルーを積極展開をするマクドナルドやスターバックスなどの売上は好調に推移しているそうである。
(07.8.14日経朝刊より)

営業利益率50%、キーエンスという会社

◆キーエンスという会社
8月13日、夜10時からのテレ東の「カンブリア宮殿」。今回は東証一部上場の「キーエンス」という会社にスポットを当てていた。日経新聞が毎年発表する優良企業ランキングに18年連続ランクインしている会社で、新大阪に大きな本社ビルを持つ。日経新聞などで社名はよく知っていたが、実際どんな会社なのかは全く知らなかった。この番組を見て初めて会社の概要を知った。
創業は1974年。2006年の連結売上高は1827億円。主力商品は、工場で使うセンサーなど。たとえば、工場で商品に貼ったラベルの微妙なゆがみを探知して、即座にはじいてしまうようなセンサーが紹介されていた。ペットボトルへの日付の印字する装置などもある。全体で約200もの商品を取り扱っているそうである。

◆脅威の営業利益率と日本一の高給の会社
この会社のすごいところは、営業利益が何と50.4%であるということ(平成19年3月期)。日本の代表的な製造業の数字と比較すると、キャノン17.0%、トヨタ自動車9.9%、松下電器4.8%となっている。その営業利益50.4%という数値がいかに驚異的なものであるかがわかる。
それとともにすごいのが、社員の給料水準である。32歳の平均給与は1380万円。東洋経済の調査によれば、生涯賃金は日本の大手企業のトップで6億1804万円であるという。「業績賞与」というものがあり、これは通常の賞与と違い、毎月支給されるのだという。仕事のやりがいもあり、高給ということで、当然、学生の人気は高い。

◆高い営業利益の秘密
営業利益50.4%という高い営業利益の秘密は、製品の高付加価値化である。
新商品の7割が世界初、世界最小であるという。つまり、他社が追随できない高付加価値の製品を作るから、高い値付けをしても売れるということである。開発担当者は「まず常識を疑ってかかる」のだという。
たとえば世界最小の駆動システムを搭載した、5000倍に拡大できる「マイクロスコープ」が紹介されていた。また「蛍光顕微鏡」は、1台700万円以上という値段で売っているが、医療や科学の研究に欠かせないものであるという。今まで暗闇の中でしか見れなかったものが、通常の明るさの中で見れるようになったものだ。それから、世界初の「3次元制御レーザマーカ」も紹介されていたが、これはなんと、ホッチキスの針にも印刷ができるというものである。番組の中の実演を行っていたが、実際にあの細いホッチキスの針に、「カンブリア宮殿」としっかり印刷がされていた。

またこの会社は自社工場を持たない「ファブレス企業」でもある。その商品に応じて、生産工場によって得意な技術があったり、最先端の設備を使えるというメリットがあるという。それとともに、生産設備に対する投資が不要であるから、これもまた粗利益率を高める大きな要因のひとつになっているといえる。

◆高いコンサルティング営業力
それからこのキーエンスという会社の強みは「営業力」にもある。コンサルティング営業が大きな強みとなっている。「代理店制度」は採用せず、すべて自社の営業である。製品の納入はとてもスピーディで、午後3時までの注文なら基本的に直販、翌日即納であるという。
番組で古いタイプの営業と対比して紹介していた。古い営業とは、「アポを取れば安心」「努力、根性、忍耐のみの営業」「とにかく外に出ればいいと思っている」「営業ノウハウは誰にも教えない」といったものである。
これと対極なのが、キーエンスの営業であるという。まず営業マンは所長などの上の人間が、ロールプレーイングによって、シミュレーションをして若い社員を徹底的に鍛える。挨拶がよくなったなどのアドバイスをしている。またGAIHO(外部報告)というシステムがあり、営業の前後には全員報告し、先輩にアドバイスを受ける。若手営業マンは営業前と営業後にアドバイスを求め、その営業能力を高めていく。
そして「パソコンの地区の顧客リストから、商品に合った顧客を効率的に絞り込んでアポを取る」「週一回の勉強会で商品の徹底的に研究し、顧客ニーズに素早く対応」「営業ノウハウは社内で共有」「顧客からのニーズカードを作成し、開発に回しフィードバックする」といったもの。また接待やお中元などの交際費は基本的には使わないという。

◆フラットで風通しのよい組織
組織はとてもフラットで、会長と社長、取締役2名でその下には直接、9つの各事業部が来て「部長などの役職」はないという。まあ、事業部責任者とグループ長その下が担当者となっているけれども、肩書きでは呼ばないようである。
佐々木社長が出演していたが、社長秘書はいなくて、すべて自分で処理をするのだという。という。また社長室のドアはいつも開いており、社員がアポなしで自由に相談できるそうである。
会議は活発で意見が飛び交い、意見を言わない人は参加しない。また、席順は入室順で、社長といえども遅く入室すれば末席であるという。
当然「就職したい会社」としてもとても人気がある。その採用ノウハウというものも確立され、企業秘密ということであまり触れられなかったが、基本的に「意見を言わない人は採用しない」ということであった。
会社のいたるところにアンモナイトのような古代の「化石」が置かれている。これは「変化に対応しないとすぐに化石のようになってしまう」「過去を振り返らない」というメッセージであるという。

キーエンスの売り上げ構成比は国内75%、海外25%である。NASAやFBI、ボーイングなども顧客に持つということであるが、海外の売り上げ比率がかなり低いのである。海外市場がキーエンスの課題であるということでもあるが、海外市場の開拓に成功すれば、この会社はこれからももっと伸びてゆくのであろう。

ビリーのヒットは口コミから

2007年上半期の大ヒット商品のひとつに、短期集中型のエクスサイズDVD「ビリーズブートキャンプ」がある。
DVDを販売するのは、「オークロンマーケティング」。06年7月にDVDを発売した当初は、海外で使われていた映像を放送していたが、今年に入って、日本人の利用者のコメントをいれるなどして編集し直して流した結果、売上が伸び始めたそうである。「ブログやネットの書き込みなど、口コミパワーが大きかった」と担当者は言う。
(日経朝刊7月9日号より)

やはり、売り方を変える事によって、売上が大きく変わるという一つのいい例であろう。特に「口コミの効果」は大きいのであろう。
また、芸能人が多く利用していたということもあるようで、こちらの効果もかなり大きいのではないか。またひょっとして、メタボリック症候群対策が騒がれたことも影響しているのではないのだろうかと感じる。
また、アメリカで実際にブームになったのは、もうかなり前のことで、確か7〜8年以上も前のことだそうで、ビリーはもう過去の人であるという。どちらにしても、私にはこのヒットはけっこう不思議に思えてしまう。

シャンパンやスパークリングワインが夏でも売れている

(日経朝刊07年7月7日号より)

◆夏でもシャンパン
従来、シャンパンやスパークリングワインは「結婚式などの祝いの席や、クリスマスや年末年始に特別に飲む酒」であったが、暑い夏にも自宅などで気軽にシャンパンを楽しむ人が増えているそうである。
シャンパンは仏シャンパーニュ地方で作り、瓶内2次発酵などの条件を満たしたものだけが名乗れるもの。06年のシャンパンの日本への輸入量は約800万本で、前年比3割の伸び。値ごろなスパークリングワインも売れているそうである。
30歳前後の独身女性や夫婦が寝る前や休日の食卓、ホームパーティー向けに買うケースが目立ち、「雑誌などを読んでシャンパンの知識を豊富に持つ若い消費者が増えており、銘柄を指定して買う人も多い」と売り場担当者は言う。

◆各百貨店の販売状況
新宿京王百貨店では6月、シャンパンとスパークリングワインの売上が、前年比4割増。シャンパンは一本5千円台が売れ筋であるという。阪急梅田本店では、直近3ヶ月でシャンパン販売が2割増しとなり、20代〜30代の女性客の姿が目立つという。三越銀座店では、6月のシャンパン・スパークリングワインの販売が13%増。シャンパンの中心価格帯は5〜7千円とワインの2倍ほどだが購入者の8割が女性とのこと。

フランス料理店やイタリアンの飲食店でも、シャンパンやスパークリングワインのウエイトを高めることを検討されたらいいのではないかと思った。

葬儀ビジネスは2兆円超の巨大産業

◆巨大産業、葬儀ビジネス
葬儀ビジネスは、今や2兆円超の巨大産業なのだそうである。
わが国の年間死亡者数は、2003年に100万人を突破。以後は50年まで5年ごとに10万人のペースで増加していく。ビジネスという観点から見れば、とても有望な市場である。当然、多くの人や企業がこの市場を狙っている。
異業種からの参入や、今まで川上だった業者が参入することも多い。墓石屋や仏壇仏具店が葬儀に直接参入するケースも多いそうである。たくさんのパチンコホール、ファミレス業界、アパレル店などが葬儀会館に衣替えしているそうである。
市場規模の内訳は以下の通り(合計2超1500億円)。
・葬儀業・・・1兆6700億円
(生花祭壇等、飲食・返礼品等、霊柩車関連、遺影写真を含む)
・墓石・霊園販売業・・・3000億円
・仏壇・仏具販売業・・・1800億円

◆葬儀ビジネスの特徴
葬儀業界の特徴としては、以下のものがある。
・市場占有率の低さと地域特性
業界首位の燦(サン)ホールディングスの前期連結売上高は、約174億円。それでも市場シェアは1%弱。葬儀というものは、地域特性が大きく、その地方の慣習が大きく影響するため、地域密着型の会社でないと難しいということなどが、大手のシェアが低い理由でもあるようである。

・葬儀の場所の変化
葬儀の場所も大きく変化しているそうだ。一昨年の公正取引委員会の調査では、過去5年間で「自宅」が29.4%から16.2%に半減。逆に「民間・公共の葬祭会館」は50.0%から69.4%に跳ね上がっている。そういうところから、葬儀会館の建設も増えているそうである。

・参入障壁の低さ
葬儀会社には、免許もいらなければ、監督官庁もない。その参入障壁の低さが新規参入に拍車をかけている。しかも上述のように大手のシェアが低いため、その分、新規参入もしやすいし、中小にも入りやすい業界ではないのか。

・不透明な価格・サービスと価格破壊
葬儀会社の不透明な価格・サービスに対する消費者の不信感も大きい。これに対して、明確な価格設定と、質の高いサービスを売り物に業界参入する企業も多い。たとえば「家族葬」のエポック・ジャパンなどがある。一件当たりの葬儀料も、実際、2001年を1995年と比較すると、5%以上減少している。

◆米国葬式事情
米国から3年半前に日本に進出したオールネイションズ・ソサエティのセールスポイントは「明朗会計」。葬儀料金は50万円、70万円、100万円の3種類しかなく、葬儀に関する追加料金は一切不要(飲食費等は別)。また一種の生前予約システムを導入し、1万円を払って同社の会員になれば、それぞれの料金が10万円割引になる。すでに2000人の会員を擁するという。
米国ではFTC(連邦取引委員会)が1994年に「葬儀規則」を改定。葬儀価格の細目と提供するサービスについて、費用明細見積もりの形で消費者への提供を義務付けたそうである。

◆新規参入は多種多様
新規参入は多種多様である。結婚式のテイクアンドギブニーズの創業者の一人である中川貴之氏はアーバンフューネスコーポレーションを設立し、結婚式で培ったノウハウを葬儀に応用している。仏壇のはせがわは、葬儀会社の紹介事業に参入。墓石販売大手のメモリアルアートの大野屋、墓苑、納骨堂の開発・販売大手のニチリョクなどが葬祭事業に参入済みであるという。
また、パソコンやテレビなどの電気製品の最安値価格をインターネットで検索できるサイト、「価格・com」では、いまや葬儀も対象商品であるという。登録されている葬儀会社19社の見積価格が安い順に表示されるそうである。

◆葬儀業者には心が必要
このように、葬儀業界というのは将来有望で儲かるビジネスといえる。しかし葬儀は、亡くなった人を弔い、あの世へ送り出すための儀式でもある。亡くなった方の冥福を祈り、残された家族の悲しみをともに分かち合うような、そして心の中でしっかり手を合わせることができるような業者でないとやってはいけないと思う。やはり、単なる金儲けだけで参入する業者は淘汰されてほしいと思う今日この頃である。
(週間ダイヤモンド2007/5/21号より)

たこ焼きを150億円売る会社

たこ焼きチェーン、「築地銀だこ」をチェーン展開するホットランド(佐瀬守男社長)という会社がある。たこ焼きだけで売上げの9割を占め、年商150億円を超える。週間ダイヤモンドの「起・業・人」で紹介されていたが、興味深かったところを紹介したい。

◆研究と創意工夫を怠ってはいけない
ここのたこ焼きは「表面はパリッとして、中身はトロッ、タコはプチッ」という感じでとてもおいしいのだそうである。この味が生まれたのは次のような経緯だったそうである。
佐瀬社長は、たこ焼きに目をつけ、東京築地市場に通って、タコについて学び、一年かけて全国のたこ焼きを食べ歩いていたという。ある日、佐瀬社長がテレビを見ていたら、北京ダックが紹介されていた。油をかけてパリッとさせている。これを見てひらめいた。「たこ焼きの仕上げに油をかけてみよう」。作ってみると、今までに食べたことのない食感のたこ焼きが出来上がった。これならいけると確信したそうである。1997年3月に1号店を出店すると、口コミで評判になり、店舗には連日長蛇の列ができたという。
やはりたこ焼きについて、いつもアンテナを張り巡らし、考え続けていたからこのような商品が生まれたのであろう。考え続け、創意工夫を怠らないことがとても重要であると感じた。

◆値下げが裏目に出る場合
また03年3月に、従来の8個入り400円の商品をやめ、6個入り300円にすることで、安さを売りに勝負に出た。ところが、売上げは4割も減ったそうである。6個と言う数は、皆でつつくには中途半場で顧客の支持を受けられなかったというのが理由なのだそうである。
むやみに「安ければいい」ということではないのであった。難しいところであるが、このように目に見えないところも検討しなければいけないということである。この場合、たこ焼きは大勢でつついて食べることが多い、というシチュエーションを想定しないといけないのであろう。また、6個だとたこ焼きは腹の足しになりにくいということもあるのかもしれないと感じた。

またこの会社は、株式の公開は目指さないのだそうである。数千人の焼き手の従業員こそ唯一の財産。社員の利益還元を優先し、社員を幸せにすることこそが、良い商品を生み出せるし、ひいては顧客の喜びにつながるという考えとのことである。香港、韓国、台湾、タイに店舗を持ち、欧州への進出も検討しているそうである。
(週間ダイヤモンド2007/05/26 起・業・人より)

常識を打ち破って成長する会社、ソースネクスト

◆ことごとく常識を打ち破り成長
成長する会社というものは、多かれ少なかれ既存の常識というものを打ち破って大きくなっているものである。パソコンソフト製造・販売の「ソースネクスト」という会社は「常識を打ち破って成長する」ということでは典型的な会社であろう。例えば、以下のような所で常識を打ち破っている。
パソコンソフトの値段が5千円〜1万円した時代に、1980円のソフトを次々と発売。また大きな箱であったソフトのパッケージをDVDソフトと同程度のパッケージに変更、それによって、書店やコンビになどまったく新しい流通チャンネルを開拓。それから購入時に支払えば、年間の更新料がまったく不要のコンピュータウイルス対策ソフト「ウイルスセキュリティZERO」の発売など、今までの業界の常識を打ち破ることで大きく業績を拡大している。

◆吉野家のように安くできないか
この業界の常識を打ち破る発想は、すべてソースネクストの創業社長、松田憲幸氏のものである。松田社長は、日本IBMを経て1993年にシステムコンサルティング会社を設立するも、成長の限界を感じ96年にソースネクストを設立。パソコンの動作速度を上げるソフト「驚速」を発売。1万本売れれば大ヒットというソフト業界の常識を大きく打ち破る年間20万本の実績を残し、その後もロングセラーとなっているソフトである。
2003年には1980円のソフトの発売を開始してパッケージもDVDソフトと同程度に変更。前述のように、パソコンソフトの値段が1万円もする時代であった。もちろん現在でも1万円を越える高額のソフトは多いが、これによってパソコンソフトは消費者にとってとても身近なものとなり、書店やコンビニ、ディスカウントストアなどでも販売されるようになった。このソフトの低価格戦略を思いついたのは、牛丼の吉野家の阿部社長の本を読み、コンピュータソフトを安くできないか、と思ったことがきっかけだったという。

◆社長が量販店の店頭に、現場主義で顧客ニーズを吸い上げる
またこの松田社長のすごいところは、大型商品が発売されると、社長という身分を隠しハッピをまとい、首都圏の家電量販店の店頭に立つところである。これも常識破りである。それによって消費者の生の声や苦情を直接吸い上げるのだそうである。
04年には新宿の家電量販店で、「ソースネクストの商品を二本購入すれば、抽選で商品が当たる」というキャンペーンを行い、松田社長も店頭に立っていた。しかしソフトを二本購入する客はなかなか現れない。一人の客が社長と知らずに、松田社長にこうつぶやいたそうである。「おたくの商品は二本も買えない」。理由を聞くと、「ビジネスソフトや実用ソフトは二本もいらない。しかし、ゲームがあれば二本同時に買うかもしれない」と。
当時、ソースネクストはゲームソフトを発売していなかったのである。そして松田社長は会社に帰るなり、まったく面識のなかったゲームソフト会社、「コーエー」の首脳に連絡して面会、その年の12月にはコーエーの人気ゲームソフトを1980円で発売したのであった。究極の現場主義ともいえよう。

◆ウイルスセキュリティZEROの秘密
そして06年7月には、コンピュータウイルス対策ソフト「ウイルスセキュリティZEROを発売。ウイルス対策ソフトはインターネットに接続するパソコンには必須のものである。このソフトがないと、ほぼ100%、パソコンはウイルスに感染してしまうであろう。しかし、どのウイルス対策ソフトのメーカーも、毎年数千円の更新料を徴収していた。この更新料をソースネクストはゼロにしたのである。
なぜ更新料をゼロにできたのか。その秘密の一端は人件費の抑制であるという。「じつは、更新の際にかかってくる問い合わせの電話は非常に多い」。その人件費がセキュリティソフトにかかわるコストの多くを占めていた。それが不要になることで、更新料ゼロでも採算が取れるのだという。

あくまでユーザーの視点に立ち、「今後も業界の常識を破るような商品を出す予定」と松田社長はいう。
(週間ダイヤモンド07/05/19号より)

飲食店の販促のキーワードは「誕生日」

「ぐるなび」というサイトがある。ほとんどの人は知っていると思うが、宴会や友人と飲みに行ったりするときに、インターネットで飲食店を検索でき、なおかつ、ドリンクや割引のサービスを受けることができる。その他にも、リクルートの「ホットペッパー」などが有名ではないのだろうか。こちらは無料情報誌とインターネットの両方が使える。
私もこれらはよく活用させてもらっている。その「ぐるなび」の久保征一郎社長によると、「団塊の世代の方や、企業の社長さん、大臣の方も実際に使っていらっしゃるようです」という。

その大久保社長があるインタビューで「消費者が検索によく使うキーワードは?」と聞かれて、次のように答えている。「常に多いのが、『誕生日』というキーワードですね。そこで誕生日特典があるお店には、ぐるなび上で表記してもらったり、こうしたニーズに(店に)対応してもらうこともできますね」。

このように、消費者が検索によく使うキーワードは『誕生日』なのだそうである。やはり誕生日というものは、その人にとって「特別の日」である。誰だって誕生日を祝ってくれたらうれしいであろう。それがお店のファンになるきっかけになり、その後リピータとなってくれることもある。誕生日にプレゼントをしたり、ドリンクなどのサービスをしたり、ワインボトルをプレゼント、写真撮影などのサービスなど、色々あると思う。

「リッツカールトン」という客を感動させるサービスをすることで有名な高級ホテルがある。先日、テレビを見ていたら、そのリッツカールトンで、あるご婦人の誕生日に、バースデーケーキのプレゼントをし、さらに従業員が数名集まって、歌のプレゼントをしていた。さすがにけっこう練習しているようで、歌もなかなか上手であった。
そのご婦人は、二人の娘さんから、誕生日のプレゼントとして、リッツカールトンでの食事に招待されたのだそうである。そして、ホテルからの予期せぬ歌とケーキのプレゼントにもこのご婦人は感動していた。

まだ「誕生日」の販促を取り入れたことのない飲食店などは、何か誕生日のイベントやプレゼントなどの企画を取り入れたらよいのではないのか。また、飲食店以外でも、誕生日の販促は使えるのではないのであろうか。

ブランド認知が脳に与える影響・・・脳の前頭葉や海馬が強く活動

◆ブランドに関する興味深い実験
米ベイラー大学のリード・モンタギュー教授らは、ブランドに関して以下のような脳の科学的な分析を行った。ブランド名を聞いただけで、脳に一定の刺激が生まれるという、興味深いものである。

◆ブランド名を教えただけで、脳が刺激される
コカコーラとペプシコーラ、どちらか一方のファンという人を集め、好きなほうを飲んでいるときの脳の活動を磁気共鳴画像装置(MRI)で測定した。
コカコーラ好きの人で、ブランド名を教えた場合とそれを伏せた場合を比較したところ、前者の場合だけ脳の前頭葉や海馬が強く活動していた。このため、これらの部分はブランドの認識にかかわっていると見られる。
一方、ペプシ好きの人の実験では、ブランド名がわかってもわからなくても活動はなかったそうである。「ペプシファンは、味で製品を選び、コカコーラファンは、ブランドの影響を強く受けているのだろう」と教授らは分析する。

◆ブランドの持つ力
このように、脳科学を販売戦略や製品開発に生かそうという研究は「ニューロマーケティング」と呼ばれ、ここ数年で急速に発展してきたものだそうである。
興味深い実験結果であるが、「ブランド」というものはコカコーラのファンが示したようなものかもしれない。たとえば「グッチ」とか「エルメス」などの高級ブランドファンなどもそうなのではないのか。もちろん品質が良いのはもちろんであるが、それ以前にその名前を聞いただけで、脳に刺激を及ぼし買ってしまうとか、そういう心理状態になるものなのだろうと感じた。
これは「顧客ロイヤリティ」ということにも通じるのであろう。熱狂的な特定ブランドのファンという人を時々見かけるが、やはり、脳や心理状態に大きな影響を与えているのである。
このようなブランド認知力を持った商品はとても強い。また、このようなブランド認知力を持ちたいものである。
(日経朝刊 06.11.06より)

レジ専門のニッチな人材サービス「チェッカーサポート」

(日経朝刊07.04.09「新進気鋭」より)

◆従業員派遣後の技能向上がポイント
レジ業務専門の人材サービスを展開して業績を伸ばしている会社がある。東京江東区にある「チェッカーサポート」という会社である。大丸やイトーヨーカ堂、京王百貨店など流通企業約60社と契約しているという。人材派遣でもこのようにニッチ戦略で、他社と差別化して業績を伸ばしている興味深い事例である。
チェッカーサポートの伏見啓史社長は「接客時の顧客満足をいかに高めるかが重要」と強調する。「従業員を派遣した後の技能向上を怠る人材サービス会社が多い」そのため派遣先の流通企業で従業員を教育する負担が増しているという。そこに目をつけて事業を起こしたのだという。そのため以下のような「従業員の技術向上のためのシステム」に力を入れている。

◆接客態度評価の専門部署、時給に反映
同社は従業員の接客態度を評価する専門部署「CS部」を設け、従業員の技能向上を継続しているそうである。
CS部にいる十三人のスタッフが、業務を請け負う店舗を毎月170店舗巡回し、自社従業員の接客態度などを覆面審査する。審査項目は、笑顔や声の大きさ、お辞儀など5項目の接客態度を5段階で評価。評価結果は、全従業員に公開し、「自分の接客態度を客観的に判断してもらう」のだそうである。また評価結果を時給にも反映するそうである。

◆正社員を現場管理者として常駐
また業務を請け負う場合、20〜30歳代の社員を現場管理者として常駐し、従業員のスケジュール調整や接客態度を指導する。それが「大学生やフリーターなど若い従業員と同じ目線で仕事ができる」ため、現場の一体感の強化にもつながっているそうである。

◆レジは顧客と接する数少ない重要なポジション
セルフサービスが一般的なスーパーでは「レジは顧客と接する数少ない場所」(中堅スーパー)のため、自前運営にこだわるスーパーも多いという。それだけに「接客態度の質が問われる」という。このような「接客態度の評価」や「正社員の常駐」は、派遣スタッフの質を高めるのに大きく役立つのであろう。東急ストアでは、約20店のレジ作業を業務委託するが「自社従業員と同じレベルの接客態度」と評価しているそうである。

◆レジ業務以外の派遣も
レジ業務以外でもスーパーでの需要が増し、鮮魚や精肉など技術者の派遣にも力を入れているそうである。また、接客態度を向上させるノウハウを活用して、企業のコンサルティングも展開する考えだそうである。
会社データ:設立2002年1月、売上高60億円(2007年3月期見込み)、経常利益1.5億円(同)、従業員数約180人(登録従業員除く)

ナンバーワングルメサイト、「オーガニックサイバーストア」の秘密

ナンバーワングルメサイト、「オーガニックサイバーストア」の秘密

◆ヤフー、楽天でナンバーワンサイト
ヤフーショッピングや楽天市場の飲食・グルメランキングで常に上位にランクされているインターネットサイトがある。「ドゥマン」が運営するサイト「オーガニックサイバーストア」(池田俊宏社長)である。
ヤフーショッピングでは、年間・下半期ベストストア食品部門カテゴリー第一位、楽天市場ショップ・オブ・ザ・イヤー2006年食品ジャンル賞などを受賞。ほかにも「今すぐ食べたいデザートランキング56週連続一位」など、インターネットのケーキや洋菓子、野菜などの食品販売でグルメランキングの常連となっているサイトである。
今年、平成19年は、売上げ10億円台を突破する見込みとのこと。一日にこのサイトだけで、数百万から1000万円を超える売上げを稼ぎ出すということだ。

◆きっかけは「シュークリーム」とマーケティング
この快進撃のきっかけとなったのは、04年にモデルチェンジして売り出した「濃厚ミルクシュー」。この商品はまた、ビジネスモデル・マーケティングを新たにして挑んだ最初のものであったという。新たなマーケティング戦略とは以下のようなものである。
まず、複数の工場から出来上がる新商品の案内をメールマガジン会員40万人に送り反応を見る。それが4日で100個売れなければ不採用とし、週に100個売れればプロモーション費用をつけ大々的に売り出す。そしてショッピングサイトで一位を獲得すれば、すかさず類似商品を投入し、二位三位以下まで一気に独占してしまうというものである。さらに、他社が追随してくる前に価格を下げてしまうのだという。つまり、他社に類似品などを投入するなどのミートされる前に徹底した対策を打つのである。
これがオーガニックサイバーストアの主な戦略なのだそうである。

豆乳クッキーで売上高100億円を目指す企業

◆2006年度売れ筋ランキング一位
主力商品の豆乳クッキーで、今期売上げ100億円突破見込みの企業がある。「健康コーポレーション(瀬戸健社長)」という会社である。インターネット仮想商店街「楽天市場」では、「2006年度の売れ筋ランキング」で第一位に選ばれたそうである。2006年6月には札幌証券取引所アンビシャスへ上場を果たしている。
この主力商品の「豆乳クッキーダイエット」は、500円玉の大きさのクッキーが7枚入った一食分が、9セットで5300円。おいしいのはもちろんだが、満腹感が持続するということで満足感が高いのだそうである。

◆健康にターゲットを絞る
この健康コーポレーションの瀬戸健社長の実家は、北九州市でパン屋兼なんでも屋を営み、少の頃より「自分でパンを仕入れ、学校で高く売って小づかい稼ぎをしていた」という。「28歳までに上場企業の社長になる」と決め、24歳で事業家としての第一歩を踏み出した。学生時代に健康食品ブームが高まり「長寿国日本は、諸外国と比較して、老若男女が健康に関心を持っている。健康こそ、将来有望な事業領域ではないか」。そう考えて、健康にターゲットを絞った。

◆ネット通販で起業、資本金が底をつく
瀬戸社長は健康食品のネット通販事業に打って出た。商品第一号は「大豆成分の入ったサプリメント」。親戚しか購入してくれる客はおらず、月商は30万円、ひどいときには月に300万円の赤字。900万円あった資本金は、ほとんど底をついたそうである。

◆あるきっかけで「大豆クッキー」に火がつく
意外なところで、現在のクッキー商品群の原型である「大豆クッキー」がばか売れした。
それは「サプリメント」の購入客にプレゼントしていたものであった。それが「ヘルシーでおいしい。ぜひ、売ってくれないか」という問い合わせが殺到した。そして、ただちにダイエット食品として、クッキーを商品化したそうである。それが現在の「豆乳クッキー」となったわけである。

◆マーケティング力の強化
瀬戸健社長は、「いくら商品力があっても、モノを売る力、マーケティング力がないと売れない」ということを強く感じたそうである。実は、売れ筋ナンバーワンを獲得した「楽天市場」での売上高は、全売上高の1割を占めるに過ぎない。自社のサイトやチラシのほうが売上げに貢献しているそうである。とりわけ、新聞の折り込みチラシや通販カタログ向け広告、雑誌広告などの、紙媒体を介した通販実績が急進しているという。

◆チラシ広告の妙
とりわけチラシ広告の作成方法は興味深い。
ひとつの商品を宣伝するために、30通りものチラシを作成し、地域限定して配布する。そのなかで、もっとも販売実績につながるチラシを選んで、一気に全国展開するそうである。「最小のコストで最大の売上高を獲得する仕組み」である。

◆広告費は売上高の約6割
しかし、広告宣伝に費やす金額は半端ではない。「最小のコスト」などといいながら、売上高の約6割も費やすそうである。前期のネット広告ランキングでは、全上場企業のうち大手自動車メーカー、消費者金融などに続く第4位である。また、季節的にもメリハリをつけ、ダイエット効果意欲が高まる夏に集中的に広告を出すそうである。冬には意図的に広告を絞るから、売上げは落ちるのだそうである。

◆次の商品がポイント
この会社ははっきり言って、売上げの9割を稼ぐ「豆乳クッキーダイエット」で持っている。当然、次の課題は第二のヒット商品であり、クッキー単品商売からの脱却である。2007年度の売上げ予測は100億円とのことであるが、2007年度を見ると、はっきりした数字は出ていないが10億円前後である。豆乳クッキーも、幾分、飽きられる心配もあるし、第二の柱となる商品を見つけないと、この目標達成は危ういのではないのか。
また、広告に売上げの6割も費やすのならば、その分、値下げをしてくれと考える消費者もいるのではないのであろうか。

マルチコンセプト(個店主義)で上場した飲食企業「ダイヤモンドダイニング」

(週間ダイヤモンド07.03.31号より)
◆チェーン展開ではなく、個店主義
通常、飲食店などは、同一業態をチェーン展開して多店舗展開を図っていく。
オペレーションの効率やコスト削減効果などを考えると、当然の選択である。ガスト、マクドナルド、ワタミ、吉野家など、上場している飲食店は多業態を持っているが、ほとんど同一業態を多店舗展開している。
しかし、それぞれ一店舗ごと、店名もコンセプトやメニューの業態が違う店舗で上場した飲食企業がある。今年3月に大証に上場した「ダイヤモンドダイニング」(松村厚久社長)である。この会社が運営するレストランは、「迷宮のアリス」「竹取物語」「オペラハウスの魔法使い」など、おとぎの国のような店名をつけている店舗も多い。当然、店舗コンセプトもそれぞれ違う。いわゆるマルチコンセプト(個店主義)戦略で業績を伸ばしている飲食企業なのである。

◆原材料費と人件費のコストは50%以下
前述のように、マルチコンセプトで展開すると、設計・設備、マニュアル、オペレーションの標準化で、かなり効率化やコストの削減が可能である。食材や設備などの仕入れもバイイングパワーで仕入れ価格の引き下げもしやすい。しかし、同社の原材料費を合わせたコストは50%以下で、業界の基本目安の60〜65%をかなり下回っている。その秘蜜は、同社の出展戦略と店舗の運営手法にあるという。
業態が違っても原材料は、7割は共通化できるため、大量仕入れによるコスト引き下げも可能である。また店舗に大幅な権限委譲を行っている。たとえば、団体客のキャンセルが出て食材が大量に余ってしまったときなど、他社の場合、廃棄処分になってしまうこともある。だが同社では、権限の委譲により店舗の裁量で、付け出しに回すなどの使い回しを行い廃棄を抑えている。このようにして、原材料比率の抑制が可能となっている。
また、店舗投資もいわゆる「居ぬき物件」を活用する。もとの飲食店の内装や設備の利用が可能であるため、通常の新規出店の3分の1から5分の1のコストですむそうである。

◆新業態開発の秘訣
次々と新業態を考え出していくというのも大変なものである。それを支えているのが、社内横断チーム「チームファンタジー」なのだそうである。
たとえば、赤坂に出店した「黒提灯」。もともとはフレンチレストランだった物件で、当初はオイスターバーにしようと考えていたが、周辺の飲食店を徹底的にリサーチしたら、一番流行っていたのは焼き鳥屋であった。そこで、同業態で「差別化」を図りながら、江戸時代の闇酒場をイメージした「焼き鳥と焼酎の店」に変更。「チームファンタジー」は、このような仕事を行っている。

◆リスクの分散効果などのメリット
松村社長は「同一業態の多店舗展開ではすぐにまねされ、飽きられてしまう」と考え、チェーン展開に背を向けて、あえて一業態一店舗というマルチコンセプト戦略を探ったそうなのである。
またマルチコンセプト戦略には「リスク分散」という狙いもあるという。BSEや鳥インフルエンザなど、外食産業にはさまざまなリスクがあり、同一業態だと受けるダメージは非常に大きい。BSE騒動の時の吉野家などいい例である。騒動でつぶれた焼肉店や焼き鳥屋も多いと聞く。このように、マルチコンセプトにはリスクの分散効果がある。

◆松村社長の意外な経歴
松村社長は学生時代の80年代後半、創業初期のサイゼリアでアルバイトをしていたそうである。まだチェーン展開をする前であったが、当時から「値段が安くておいしい」と評判の店であったという。客から「おいしかった」などと声をかけられるのが楽しくて、4年間バイトにのめりこんだそうだ。卒業後はビジネススキルを磨こうとエンターテイメント業界に就職した。ディスコの店長などをまかされ様々なイベントを仕掛けたりして集客のノウハウを学んだそうである。
結婚を機に独立し、飲食店の立ち上げを目指したが、銀行融資をすべて断られた。そこで初期投資が少なくてすむ「日焼けサロン」の経営をした。顔黒ブームに乗り成功を収めて資金を蓄え、2001年に飲食店第一号を立ち上げた。2007年3月現在で、東京と大阪に38店舗を展開。うち35店舗が業態の異なるレストラン。最近は業態の豊富さが評価され、大型商業施設からの出店要請が絶えないそうである。


管理職はお客様との接触を持たないといけない

◆管理職は定期的にお客様と接触を持たないといけない
すばらしい顧客本位のサービスを行うことで有名なアイルランドの食品スーパー「スーパー・クイン」の創業者ファーガル・クインは、その著書『ブーメランの法則』で、以下のようなことを書いている。「管理職は定期的にお客様との実際の接触を持たなければならない。そうして初めて正しい判断ができる」。このような信念を持っている。

◆過去に経験すればもう必要ないのか
クインがアイルランド郵政サービス協会の会長に就任したときのこと。その行動指針を実行に移したそうである。郵便を配達するほか、郵政サービスにかかわるさまざまな業務を一ヶ月に一度、実際に自ら体験したそうだ。
しかし郵政幹部は現場で汗することには消極的で、「我々にはその必要はありませんよ。この事業についてはよく知っていますから。二十年前にこの現場の仕事から始めて組織のトップに上ってきたのです。もう現場仕事に戻ってみる必要はありませんね」という態度であったそうである。

◆市場は常に変化し続けている
しかしクインは、「それは間違っている。多くの人が彼らと同じ過ちを犯すのだ」という。そして以下のように説明している。
「市場は常に変化し続けているという現実があります。その変化にいつも接しているためには、あなたが退職し、永久に組織を離れるまでは、自分でお客様に会い続けなくてはなりません。そうでなければ、過去の世界、つまりすっかり変貌してしまったかもしれない世界を基準に経営判断をしていることになるのです」と。

この『ブーメランの法則』は、「本物の顧客志向」とはどういうものかを教えてくれる名著であるが、経営幹部が実際に現場に立ち、現場を知り、顧客ニーズや市場の変化を拾い上げ、顧客満足の向上に努めていくことの重要性を随所に説いている。いまだに経営幹部で現場を重視せず、机上の空論だけを振りかざす経営幹部も多いのではないのか。やはり、経営者は現場を知って初めて顧客満足を向上させるサービスができるのではないのであろうか。

ネット公告が第三の広告媒体に


◆ネット広告収入は雑誌を抜く勢い
国内のインターネット公告料収入が04年にラジオを抜き、06年は雑誌に迫るそうである。日本のネット公告は、05年に2800億円で前年比55%の伸び。既存の広告市場の横ばいが続く中、07年にはテレビ、新聞に次ぐ「第三の広告媒体」の地位をうかがう勢いだそうである。

◆サイトで口コミ効果を上げる「ファイブミニ」
ネット公告も大きく進化し、また既存の公告メディアからネット公告へシフトしている企業も多いそうである。大塚製薬は、主力の食品繊維飲料「ファイブミニ」のテレビCMを流さず、SNSを使った口コミ型の販促活動を行っている。サイトの一日の訪問者は、春の100人前後から3000人前後に急増し、「コンビニでの販売数が増え、口コミ効果を実感できた」そうである。

◆すべての公告をネットに誘導するホンダ
ホンダは2000年に「効果が疑問」として、すべてのネット公告を打ち切った。しかし03年から影響力が無視できないとして再開。今では、テレビや雑誌など、あらゆる公告を自社サイトへの誘導に使う」というネット公告中心の戦略なのだそうである。テレビや新聞に公告を出すと、自社サイトの訪問者がどのくらい増えるか名ドを分刻みで測定し、「消費者の心理を把握」するのだそうである。ホンダ社内では、従来の公告用語「四マス」(テレビ、新聞、雑誌、ラジオの四マス媒体)にネットを加えた「五マス」という用語が使われるという。

(日経新聞 06.11.30より)

中高年世代に読まれる雑誌 大人の雑誌

団塊世代の大量退職やお金持ちの中高年をターゲットにした雑誌が相次いで発刊されているが、50歳以上の会員が約32万人登録するコミュニティーサイト『STAGE』を運営するシニアコミュニケーションが、約300人からアンケートを取りランキングを集計した結果、意外な雑誌がランキングされていた。

最も人気があったのは『サライ』(小学館)。ペルシャ語で「宿」という意味。旅やグルメ、インテリアなどの情報を掲載する。大人の実用情報誌としての地位を確立しているといえる。二位が生活実用誌の定番『クロワッサン』。「他人に相談するほどでもないと思う日頃の疑問に対し、答えを出してくれる(千葉の57歳女性)」という意見がある。家庭生活に参考になる情報が掲載されている。第三位が『文芸春秋』。東京の59歳女性は「総合的な話題、思考傾向が好き」という。第十位の『日経大人のOFF』は、不倫っぽい雰囲気が漂い、「静かな元気が出てくる(52歳男性)」という意見がある。ランク外には『旅』(新潮社)が入っているが、中高年の旅行人気の高さを反映しているようであり、「子供が巣立ち、自由時間が増え、常にどこかに行きたいと思うようになった」という意見があった。

ベストテンのランキングは以下の通り。
.汽薀ぁ。隠院
▲ロワッサン 10%
J厳歃媾 9%
っ砲留れ家 7%
テ経トレンディ 6%
Εレンジページ 5%
日経ビジネス 4%
┣板躄菠鵝。魁
日経マネー 2%
日経大人のOFF 1%

(夕刊フジ 06.11.30より)

団塊世代、退職後の消費

2007年問題と呼ばれ、団塊世代が60歳を迎え、次々と退職していく。労働力不足や、熟練労働者の退職など、企業に大きな影響を及ぼすといわれる。
その団塊世代の消費について、日経新聞でアンケートをまとめているので紹介したい。
調査は、首都圏および近畿圏それぞれ30膳の団塊世代(57歳〜59歳)の男性480人から日経MJと日経産業消費研究所の調査によるもの。
退職記念に大型の支出を計画しているが、その後の生活は意外と地味。貯蓄も充分に用意する。また、旅行に対する支出が高いことが見て取れる。

◆定年退職記念の買物、トップは大型テレビ
退職記念に買いたいものは以下の通り
大型テレビ・・・17.3%
国産車・・・15.9%
デジタル一眼レフカメラ・・・9.5%
アウトドア用品・・・5.9%

◆定年退職記念に真っ先にしたいことは旅行
定年退職を記念して真っ先にしたいことでは、国内旅行と海外旅行がそれぞれ一位、二位になっている。
国内旅行・・・40.9%
海外旅行・・・40.5%

◆生活費以外に重点的に支出したいものは旅行
また「日常生活以外に重点的に支出したいもの」でも旅行がトップで、以下の通り。
国内旅行・・・64.8%
海外旅行・・・40.5%
03年6月に実施した前回調査では、それぞれ54.4%、29.8%であったので、旅行に対するウエイトがさらに高くなっているのが見て取れる。

◆日常生活費は1ヶ月28万4千円
また日常生活は控えめにする予定の人が多く、退職後の1ヵ月辺りの生活費は、28万4千円で、現在より4万5千円少なく、03年調査よりは2万円増加している。
また、年金を完全に受け取れるまで働ける人も29.4%に達している。

◆退職後に必要な貯蓄額は、4310万円
退職後に必要な貯蓄額は4310万円。これは、03年の2433万円から1.8倍も増えている。
(日経朝刊 06.12.8より)

家電のファブレスで伸びる会社・・・「アマダナ」

◆家電の企画販売で伸びる会社
家電の企画販売で業績を伸ばしている会社があるそうである。東京の渋谷にある「リアル・フリート」。大手家電がひしめく日本で一見、難しそうな事業であるが、ターゲットを絞り込み見事に業績を拡大している。「アマダナ」という家電ブランドを持ち、直営販売を行う。
製品の企画をすると、実際の生産は国内の中国の製造会社に委託し、木材など天然素材を使ったり、こだわりのデザインを実現できる委託先と共同開発するのだという。
会社データは、2002年11月設立で売上高15億5千万円、経常利益5千万円、従業員30人。

◆デザインと使い勝手を工夫する・・・今までの家電に満足できていない消費者
同社の特徴は、デザインや使い勝手。最先端機能が詰まっているわけではないが、デザインや使い勝手で人々を引き付ける商品を作るのだそうである。
ターゲットは明確である。商品を購入するのは今までの家電に満足できていない消費者。「十人中十人が欲しい商品ではなく、十人中二人に必ず売れる商品作りをめざす」(熊本浩志最高執行責任者)という。
たとえばアマダナブランドのオーブントースターの外見は、まるでデジタル家電のようになっているという。調理時間を知らせる発光ダイオード(LED)やハーフミラー型の前面硝子を使って、賛嘆的な雰囲気を打ち出しているそうである。価格は一万五千七百五十円。量販店では三千円程度で購入できるものである。

◆チャンネル政策・・・販売店を絞ることで、購入者からの生の反応
もう一つの特徴は、自社で生産した商品を直営店やインテリア・雑貨店などの少数店舗で販売する。販売店を絞ることで、購入者からの生の反応を受け取りやすくなるという。通常は量販店で売ることによって、販売量が増えると考えるが、「それでは商品が量販店が売りやすいものに流れてしまう(熊本COO)」のだという。
同社のCEOとCOOの両者は、東芝でデザイン性が特徴の家電シリーズを商品化した経験を持つそうである。そのとき大きな話題を集めたが、大手企業の中では、製品か出来ても販売までは手が届かなかったそうである。販売ルートの限定は、大手企業にとってリスクが大きいのだという。そこで「企画担当者も販売ルートも絞り込む」という手法で「消費者が欲しいと思う製品を提供できる仕組みをつくろう」と独立に踏み切ったのだという。

◆ファブレス企業のメリットと難しさ・・・「デザイン性」と「販売チャネル」で差別化
いわゆる工場を持たない「ファブレス企業」である。大きな設備投資が必要なく、効率の良いビジネスであるが、やはり企画やスピードが勝負である。ノートパソコンなどで、コストパフォーマンスの高い製品を開発する会社が一時、先行して話題をさらっていたこともあったが、いつの間にか消えていってしまっている。スピードだけの勝負ではいつかは大企業に追いつかれてしまうのかもしれない。
家電製品のファブレス企業というのは意外な感じがしたが、このリアル・フリートという会社は、ターゲットを明確化して「デザイン性」と「販売チャネル」で差別化している。こういう「ニッチ」を狙ったほうが大企業と勝負できるのかもしれないと感じた。
(日経朝刊 06.11.04 新進気鋭より)

市場調査の限界(スーパー・クインの場合)

◆スーパー・クインで肉の対面販売導入時の話
市場調査、マーケティングリサーチというものは、顧客のニーズや嗜好、市場動向を知るためにはとても重要である。しかし、そこには限界もある。その一例を紹介したい。
顧客志向のサービスで有名なアイルランドの食品スーパーマーケット、スーパー・クインの創業者、ファーガル・クインがその著書『お客様がまた来たくなる ブーメランの法則』で書いていたことである。
スーパー・クインでは、創業当時の1960年代、お客様が精肉を買うときに、対面サービスを必要としていることを知り、対面サービスを導入して大成功を収めたという。肉の専門家を雇い、お客様の目の前で肉をカットし、何を買いどう料理するのかをアドバイスしながら肉を売る方法である。
対面サービスは通常、専門店などでしか扱っていなかった。対面サービスの導入は、時流に逆らっているかのようでもあった。そういった懸念もあり、ファーガル・クインは「これがあなたのお好みの販売方法ですか」と、毎年毎年、様々な方法でお客様に問いかけたという。どのような方法で尋ねても、「対面サービスが私たちの買い物客が求めるものです」という答えが返ってきたそうである。

◆担当者の直観力や感性が問題
通常のマーケティングの担当者だったら、何の疑問も持たずにこの結果に満足していたであろう。しかし、ファーガル・クインは違った。あるとき顧客モニターへのグループインタビューで「対面販売の賛否」の問いかけをしたとき、他の主婦が圧倒的に対面販売を賞賛したのに対して、一人だけ次のような反対意見を言った主婦がいた。「たまたま友人と一緒にここに参加したけれども、私はここでは肉は絶対に買わないわ。他の店では財布の都合に合ったパック商品を探せるから」
統計上はこの意見は重要ではなかったが、ファーガル・クインは、直感的にその意見を放棄できなかったという。そこで、ある実験店舗でセルフ方式の「パック詰め」商品も一緒に並べてみたという。これは大成功で、何と精肉の売上が二倍になったそうである。
前述のように市場調査では、対面販売にはほとんどのお客様が満足して、ほとんど誰も反対意見は言わなかった。通常のマーケティング担当者ならこの結果に満足して、何もリアクションは起こさなかったはずである。しかしファーガル・クインは違った。これは、「市場調査データをそのまま鵜呑みにはできない」ということ、そして「それを受けて分析する者の感性や直観力」が大事であるということを物語っているものであろう。

ドラッカーが経営者に与えた影響・・・松下電器、中村邦夫会長の場合

ピーター・ドラッカーが世界の経営者に与えた影響は大きい。特にアメリカと日本の経営者に与えた影響は計り知れないものであるであろう。ジェームズ・C・コリンズも、名著『ビジョナリー・カンパニー』で、ドラッカーの著作に多大な影響を受けたと書いている。
『週間ダイヤモンド』06.11.11号で、「ドラッカー経営論の読み方」という特集を組んでいるが、松下電器を経営危機から見事に復活させた立役者である、中村邦夫会長もドラッカーの著作に大きな影響を受けたひとりだという。松下電器における社員人生の節目となる岐路において、ドラッカーの著作を読んで示唆を受けたという。知る人ぞ知るドラッカーファンで、社内でもドラッカーに言及することがしばしばあるそうである。
経営者というものは、やはり書物からも多く学んでいるということである。その内容が大変興味深いものであるのでご紹介したい。ドラッカーの書物を熟読、消化し、それを見事に実践に生かしているということが見て取れる。「出会い編」と「講義編」に分かれているが、とても示唆に富むものである。

●出会い編
中村氏は、松下電器における大きな三回の転機において、ドラッカーのそれぞれの著作や言葉に影響を受けたという。以下のような内容である。
◆第一の転機・・・販売会社の常務に
中村氏は20代後半の若さで、三重県にある販売会社の再生を突然、任されたという。80人ほどの社員がほとんど年上だったそうであるが、プレッシャーでひとり空回りする日が続いた。その時に出会ったのが『経営者の条件』で、一読して目から鱗が落ちたという。以下のような言葉に特に影響を受けたそうである。「強みによって人を配置し、いかに成果を上げてもらうかを考える。優先順位と劣後順位を決める、アクションプランを理解してもらう」また、「成果をあげる能力は、天賦の才能ではなく、努力によって身につけられるものである」という主張に大いに励まされたそうである。
◆第二の転機・・・48歳で米国赴任
1987年、初の米国赴任。48歳という年齢で、異文化に飛び込み、かつ現地法人の経営を行っていくのは至難の業であったという。しかも激動の時代。いったい今、何が起きているのか。これから社会や生活は同変わるのか。未来に向けて今、何を決断すべきか。そんなとき刊行されたのが、『すでに起こった未来』であった。邦訳を待ちきれず、辞書を引きながら原著で読んだという。数多くの考えるヒントを与えられたそうである。
◆第三の転機・・・社長就任
第三の大きな転機は、社長就任時。「古いものの計画的な廃棄こそ、新しいものを協力に進める唯一の方法」というドラッカーの有名な言葉。すでに機能しなくなったものに資源を投じてはいけないのだ。たとえば、永遠に通用する組織形態などない。環境変化に合わせて換わらなければならない。これは、松下幸之助の「日に新た」の考えにも通じ、中村氏を支える大切な教えとなったという。このような考えを背景にして、事業部制の大胆なリストラなどを断行したのである。

●講義編
講義編では、あまたの教えの中から、中村氏自身が大切にしてきた五つのポイントを紹介している。その五つとは、第一に自己管理、第二に、働くことの意味を知り、第三に、何を持って貢献するかを考えること。第四に、強みを伸ばすこと。第五に時間の管理である。
◆第一に、自己管理
すべてのプロフェッショナルに求められるのが「自己管理」。メモをして、目的や行動を常に意識しておく必要がある。自分を高める努力を怠らない。インプットの有効な手段の一つが読書で、プロセス思考を養う最良の方法。ただし、「読んで実践する」というサイクルを繰り返し、習慣化することが大切であるという。
◆第二に、働くことの意味を知り、第三に、何をもって貢献するかを考えること
日常生活においては、「どのように」働くかが優先され、「なんのために」がおろそかになりがちである。しかし、目的を見失った仕事ほど無駄なものはない。
「社会の公器として、事業を通じて社会に貢献する」ことが会社や組織の存在理由。お客様にとって価値のない仕事は意味がない。目的に目を向け、そこから自分の果たすべき貢献を考えることによって、初めて成果が上がる。
◆第四に、強みを伸ばすこと
成果をあげるには、強みを伸ばすこと。弱みを懸命に補強したところで、人並みになるのが精一杯。また、日本人ならではの「チームワーク」という長所にも言及している。
◆第五に、時間の管理
「成果をあげる者は、務めて時間を記録し、管理し、まとまった時間をつくる」。時間管理で大切なのは、最も重要なことから始めること。優先順位、スピード、効率性、現在価値―――何にせよ、時間の感覚が必要となる。


十年偉大なり、掃除の力・・・イエローハット創業者、「鍵山秀三郎」

◆掃除に人生を学ぶ
掃除をビジネスの基本に置く経営者経営者は意外と多い。掃除がビジネスに与える好影響というものを知っているのであろう。イエローハットの創業者(現相談役)の鍵山秀三郎さんもその1人である。その1人というより、第一人者といっても過言ではないようである。掃除のプロといってもよいのかもしれない。
この鍵山さんは、現在73歳。93年に岐阜県の中小企業経営者の人たちとともに「掃除に学ぶ会」を発足。それから十余年、「地域の学校のトイレや公園を掃除し、自分の心を磨き、社会をよくしよう」という志を抱く人の輪は広がり、年間十万人が参加しているそうである。

◆人間は見ているものに心が似ていく
「掃除道」へのきっかけは、二十代で会社を創業したのがきっかけだったという。
創業時に入社してきた社員は、いろいろなところを渡り歩いた人が大半で、心がすさんでいる人もいた。彼らに心穏やかに働いてもらうにはどうしたらいいか考えた結果、「職場をきれいにすれば社員の心も変わる」と考えたそうである。言葉や文章で伝えるのが下手だったということもあるという。
「人は見ているものに心が似ていくから、荒れ放題の中にいればどんな人でも気持ちが荒れるし、清められたところにいれば心も和むものだ」と鍵山さんは言う。

◆十年偉大なり
意を決して、会社に朝早く行って、従業員の車を全部洗い始めたという。最初は従業員は関心を示さないどころか、トイレ掃除をしている横で平気で用を足したそうである。何度もやめようと思ったが、一年、五年、十年と続けるうちに社員たちに変化がでて、車やトイレの掃除を徹底してやるようになったそうである。そして、美しいトイレの心地よさを感じると、オフィスもきれいにするようになり、さらには会社の周辺の掃除まで始めたという。さらに、社内の協調性や連帯感も生まれたそうである。まさに好循環である。
あるとき「十年偉大なり、二十年畏るべし、三十年歴史なり」という言葉を読んで、鍵山さん自身の人生もその通りだと実感したという。

◆信念をもって継続する
以上は06.10.30日経夕刊「人間発見」の要約である。
前述のように、掃除を会社の経営理念に掲げて実践している経営者は意外と多い。また、荒れた大阪の松虫中学を陸上日本一に育て上げた、カリスマ体育教師といわれる原田隆史さんも、掃除や服装それから靴をきちんと並べたりする、「生活態度」を重視している。明らかに環境を整えることによって、心理面・精神面に、目に見えない大きな影響が及ぶようである。掃除をすることによって、心もピカピカに磨かれるのかも知れない。このようなことを本気で実践している会社というものは、業績や人間環境も良好な場合が多いはずである。
また創業期の会社というものは、やはり人材の確保で苦労する。優秀な人間はまず採用できないし、能力の劣った人や心がすさんだ人が多いというのが一般的である。このような環境の中で、社員の心まで変えてみせたのであるから、鍵山さんはすごい。そして、信念を持って続けるということが、とても偉大な力を発揮するということを感じさせられた。まさに「十年偉大なり、二十年畏るべし、三十年歴史なり」である。

ロードサイド型飲食店の危機

◆飲酒運転への取締強化
郊外型飲食店が苦境に立たされている。飲酒運転に対する取締り強化や社会の風当たりが強くなったからである。それを端的に示す記事が、10月4日の日経新聞15面に小さく掲載されていた。
が名古屋を中心に、あみやき亭がチェーン展開をする「美濃路」という「焼き鳥店」が、釜飯を中心にした「家族向け鳥料理店」に業態転換するそうである。
8月に福岡で起きた飲酒運転事故により、幼い子供3人が犠牲になる等、飲酒運転による事故が多発し、それ以来、美濃路は売上が減少し、8月は前年比売上高マイナス4%、9月はマイナス12%と落ち込みが激しいそうである。
そのため、「酒類の販売に頼らない店作りを目指したい」と社長は言う。この美濃路という飲食店は、郊外立地の店が多く、車での来店客も多いそうである。

◆ロードサイド店舗は、酔っ払い運転を暗黙のうちに了承か
もともとロードサイド型の飲食店は全国に多くあるが、飲み屋のような店舗も多い。平成14年6月に道交法が改正され、飲酒運転に対する取締りが強化された時も、ロードサイド型の飲食店の売上が大きく落ち込み、「業態転換」が急がれた。
飲酒運転に対する取締りが強化されて、ロードサイド店の売上が減るということは、かなり酔っ払い運転が日常化しているということである。さらに最近の相次ぐ痛ましい事故で取締りが強化され、社会の風当たりも強くなりまた売上が減ったということは、まだまだ酔っ払い運転をする懲りない人たちが多くいるということである。そもそも、ロードサイド店舗に飲み屋が多くあるということは、店側もそうであるが、社会的にも酔払い運転を暗黙のうちに認知しているような状況もあることは間違いないであろう。「飲酒運転をすれば、即刻、刑罰にせよ」という過激な意見もあるが、やはりもっと厳しい措置は必要かもしれない。あのような痛ましい事故のニュースなど本当に聞いていてつらくなるものである。

◆酒類販売に頼らない業態転換が急務
郊外型、ロードサイド型の酒類に売上を頼るような店舗は、業態の転換が急務である。社会的にも厳しくなるし、実際売上は減少するであろうから。業態転換といっても難しいが、酒の売上に頼らないようにするのであるから、「ファミリー客」をターゲットにするというのが一般的であろう。では、この「美濃路」の具体的な業態転換の方法を見ると以下の通りとなっている。頑張ってほしいものである。
〔槁乎
・ファミリー層の来店増
・酒類の販売を現在の25%から客単価アップ等により18%へ引下げ。
▲瓮縫紂
食事類のメニューを増やし、焼き鳥中心から鳥料理全般に変える。
釜飯の酒類を7種類に倍増。
しゃぶしゃぶなど鳥鍋料理の充実
設備など
・座席レイアウトや看板なども見直し。

通販の快進撃

◆通販の活況
通販の活況が続いている。『週間東洋経済』(06.9.9号)の特集、「通販の力」からご紹介する。
通信販売協会によれば、05年度の通信販売業界全体の売上高は、推計で3兆5千億円。この数字は百貨店売上高の約4割、スーパー売上高の約3割という規模である。伸び率でいうと05年度は前年度比10.5%増。04年度も9%増という高い数字であったが91年以来、15年ぶりの2ケタ増だそうである。
この通販市場の拡大要因は、「市場参加者の増加」、つまり出店者とユーザーの増加、それと「商品の広がり」の二つの要因が大きいという。通販が普及し始め頃は、「商品の信頼性の高まり」「宅配事業の普及」「電話やインターネット等、通信インフラの普及」「女性の社会進出」などが、通販市場の拡大要因とされていたと思うが、今はそういうものは当り前の環境となって、市場参加者の増加や商品の広がりが、大きな市場の拡大要因となっているようである。

◆通販の種類いろいろ・・・ラジオ通販が意外な検討
通販にもいろいろある。私はヤフー、楽天、アマゾンなどに代表されるように、「ネット通販」をまず思い浮かべる。ちなみに楽天だけで、年間350億円を超える売上があるという。最近では「携帯によるネット通販」が普及しているが、千趣会、通販生活などの昔ながらの「カタログ販売」も元気なようである。百貨店やスーパー、それから無印良品、ユニクロなどの専門店なども通販に力を入れている。また「テレビ通販」も専用チャンネルによる販売まで行っている。
そのなかで、私が面白いと感じたのは「ラジオ通販」であった。「モノが見えない」ラジオ通販で、かなりの売上を上げているのだという。ラジオ通販は意外と「対面販売」的な要素が強く、テレビ通販に比べ、圧倒的に返品も少ないのだという。時間帯によって売れる価格帯や商品が違ったり、パーソナリティーが紹介するか否かによっても商品の売上は大きく違ってくるのだという。「商品が見えないからこそ、リスナーは伝え手の言葉や感動の信憑性に敏感になるのだ」と、あるラジオ通販の担当者は言う。

◆カーテンは通販向きの商品
また通販に向いた商品や、そうでない商品もあるようである。
私自身はインターネット通販を活用することがあるが、最近買ったものは、「書籍」「ワインなどの酒類」「蟹などの特産品」などである。書籍などは、本屋で探すのは時間がかかる場合が多いし、品切れの商品などでもすぐに手に入れやすいなどが理由である。まとめて買う場合も重いものを運ぶ手間が省ける。「酒類」などかなりの重量があるものは、わざわざ運ぶ必要がないし、値段も手ごろであるという理由で買っている。「菓子や特産品」は、珍しいし値段的にも手ごろだったので試しに買ってみた。そいうような理由である。基本的に、「重いもの」や「ある程度品質も分かって、信頼性の高いもの」で、値段的にもお得感のあるものは、ネットで買おうと考えている。しかし、故障などトラブルの起きる確率の高いパソコンなどは「アフターサービス」が心配な場合があり、ちょっと躊躇してしまう。また、忙しい現代人や、働く主婦などが多いという社会環境なども、通販市場拡大の要因の一つにあげられている。
今回、『東洋経済』に紹介されていたもので、通販に適した商品には意外な商品があることを知った。「カーテン」「枕」「加湿器」などといった商品である。「カーテン」はホームセンターなどの店舗に行っても窓のサイズが分からなくて出直すことも多いが、自宅ならその場で計ればいいということで、通販に向いているそうである。また「枕」や「加湿器」は、店頭では違いが分かりにくいが、カタログなら情報をじっくり検討できるから向いているのだそうである。
売れ筋商品の基本は、やはり価格がリーズナブルであることや、商品の希少性であるようだ。いずれの通販の形態にせよ、各業者の経営努力はすさまじいし、通販市場はこれからも伸びていくのであろうと感じた。

トラベルカフェ

◆トラベルカフェという喫茶店業態
「トラベルカフェ」という面白い業態の喫茶店チェーンが伸びているそうである。トラベルカフェの店舗は、9月25日時点で14店。外観は、客船(横浜セルテ店)や海外の高級ホテルのラウンジ(大阪の江坂東急ビル店)など、旅心を誘うような形にし、旅行パンフレットと旅行グッズを置き、大画面テレビで旅の映像も流すのだそうである。
これらはテーマを一国に絞らないのであるが、7月下旬に東京・飯田橋に一国にテーマを絞り込んだ「トラベルカフェフィリピン」を開業した。50型の大型テレビにセブ島の美しい砂浜が映し出され、壁には旅行会社のパンフレットが並ぶそうである。メニューも84品のうち54品がフィリピン料理で、フィリピンの煮込み料理「アボド」780円など、現地と同じ味を再現したとのこと。今秋以降、ニュージーランドやブラジルなどの一国に絞り込んだ店も開業するそうである。

◆広告収入でコスト高を補完
この旅行と喫茶店を組み合わせた狙いは、「旅行好きを集める」ことであるが、実は、別のところにも大きな狙いがあるそうである。旅行と喫茶店を組み合わせることによって、広告収入や協賛金などの収入が入るそうである。トラベルカフェフィリピンは、フィリピン観光省の協力を得て運営資金の補助を受ける代わりに、フィリピンの観光情報発信基地の役割を担うのだそうである。
店の大きさ、立地によって収入額は変わるが、このような広告収入や協賛金は、各店平均で年間一千万円前後だという。チェーン店のメリットの一つに、店舗の標準化や大量仕入によるコスト引き下げなどがある。このトラベルカフェは、チェーン店であっても一店一店、違う店を作るのであるから、当然、標準化が難しく非効率で、高コスト体質となってしまう。このシステムは、これを補う以上の収入をもたらすようである。

◆ドトールの元常務が経営
この「トラベルカフェ」の社長は、「ドトールコーヒー」の元常務の永嶋万州彦氏、副社長は「はとバス」で海外旅行の企画をしていた後藤一之氏。「理想の喫茶店をつくりたかった永嶋氏と、ゆっくり旅遊びができる場所をつくりたかった後藤氏の思い」が重なったのだという。
会社データは、2001年7月設立で、売上高2億2800万円(05年12月期)、最終利益800万円(同)、店舗数14店、従業員数60人。また、07年には30店を出店し、総店舗数は現在の3倍増の見通し。

この永嶋万州彦氏は、喫茶店経営に関する書籍も何冊か執筆している。私は永島氏の書籍『人気のカフェをつくる本』を読んだが、良書である。喫茶店や飲食店を開きたいと考えている人にはお勧めの本である。けっこうボリュームのある本であるが、様々な喫茶店業態や喫茶店経営の細部にまで踏み込んで、具体性が高い。この人の「コーヒーに対する思い」や「喫茶店経営に対する造詣の深さ」などが伝わってきて、とても勉強になった。この人の人間的な温かみも伝わってきたと思う。
実は「トラベルカフェ」は、その本の中に、喫茶店の一業態として紹介されていた。その本の中では、チェーン展開のことは記されていなかったし、私はチェーン展開できるような業態とは思わなかった。しかし、このようにチェーン展開をして、しかも広告収入や協賛金を収入の柱にするという発想も、見事なものである。一度、トラベルカフェを訪問して、ゆっくりと海外旅行に思いを馳せてみたいものである。

旭山動物園の改革とサービス

◆上野動物園を抜いてトップに
北海道旭川市にある旭山動物園の勢いが止まらない。平成18年9月28日現在の入園者数がすでに200万人を突破したそうである。平成17年度の入園者数は、約207万人(前年度比43%増)。東京の上野動物園の338万人に次ぐ数字であった。それが今年はもう4月から9月の半年間で、ほぼ去年の入園者数を記録している。ちなみに上野動物園は27日現在で約181万5千人。今年は上野動物園を抜いて、年間入園者数では動物園でトップに躍り出る可能性が高いという。しかし場所がら冬場は入園者数がぐんと落ちるのであるから、夏場の入園者数がかなりの割合を占める。
躍進の原因として、テレビドラマの題材に取り上げられたことで、より知名度がアップして本州などからの観光客がふえたことや、修学旅行のコースに編入されたりしたこと、それから8月に新たにオープンした「チンパンジーの森」の効果などが大きいようである。
この旭山動物園は、『週間ダイヤモンド』恒例の名物企画でもある「儲かるサービス」(06.06.24日号)の総合ランキングでも、東京ディズニーランドを抑えて堂々のトップに躍り出ている。ディズニーランドとの比較というのも難しいものであるが、様々な評価項目のうち、「割安な価格設定」という面でかなり上回ったようである。ちなみに入園料は大人580円(TDRの大人用一日パスポートは5500円)、中学生以下、70歳以上の旭川市在住者などは無料。無料入場者は17年度で25%を占めるそうである。また面積は、東京ドーム約3個分である。

◆昔は閑古鳥が鳴いていた
昔はありふれた地方の市営動物園に過ぎなかった。お客を増やすために1983年にはジェットコースターを導入したこともあったそうである。「そのころは正直言って、動物園の経営に対する意識はなかった。ただ、動物園なのに遊園地と同じ土俵で勝負してどうなる、という思いはあった」と小菅園長は言う。
小菅園長は、まだ飼育係であった86年に、市役所の人から「このままではダメだ。どうしたらいいか、おまえが考えろ」と言われ、初めて動物園全体のことを考えるようになった。3年後に仲間と一緒にまとめた企画書を市役所に提出。
「動物の生態を間近に観察し、においも感じる。そのためには、檻の中といえども、野生に近い動物を再現する。展示のあり方などを絵にした14枚の理想の動物園のスケッチを作った。」これが今の旭山動物園の原点になったのだという。
しかし、それは市役所で検討されることはなかった。それで、おカネがかからないことをコツコツと実行したという。例えば、飼育係が動物たちのエピソードを説明する「ワンポイントガイド」、ライオンやトラなど夜行性の動物を見せる「夜の動物園」など、ユニークな試みはこの頃から行っているという。
小菅氏は95年に園長に就任したが、その就任の前年に市長が変わり、理解を寄せてくれ
て初めて1億円の予算がついたという。しかし就任当時の95年には、人気のゴリラの感染症で閉園に追い込まれ、翌年も入園者数は26万人にまで落ち込んだという。

◆同じ商品でも、魅せ方でまったく違ってくる
この旭山動物園は、パンダやコアラなどの人気の高い動物はほとんどいないのだという。この動物園がこれほど人気を博している原因は、「動物を実際の生態に近い形で見せること」である。「ありふれた動物であっても、その魅力を独自の展示方法で伝え、その背後にある自然界の素晴らしさまで思いを馳せてもらう。それがわれわれの使命だ」と小菅園長は言う。
転機は98年に完成した「もうじゅう館」。ライオンやトラの檻の金網は、熊の金網よりも極端に細い。だから、網目に邪魔されずに動物の姿をより鮮明に見ることが出来るそうである。習性というものを熟知した設計である。ネコ科の動物はつめが命、木で研ぐことはあっても鉄をガリガリすることはないので、金網を補足しても問題はないそうである。
とはいっても、「万が一の場合、誰が責任を取るんだ」と、大喧嘩を繰り返しながら、設計完了までに1年を費やしたという。
このように、まったく同じ動物を扱うにしても、サービスや魅せ方で素晴らしい動物園が出来上がる。もちろん整備費用はかかっている。予算がついた96年以降、旭山動物園の施設整備に掛けた資金は05年までに約30億円というが、それでもなかなか出来ないことである。また、地域への波及効果は数百億円という。

このようなことは、動物園に限らずあらゆる商品やサービスに通用するものだと感じた。同じ商品やサービスでも、工夫次第でいくらでも効果を高める余地があるのであろう。変えていく余地があるのであろうと感じた。動物園は、大人でも好きだという人が多いのではないのだろうか。私の知人にも「ボーっと見ているだけで和む」という人がいる。いわゆる癒し効果があるのではないだろうか。北海道ツアーに組み込まれていることも多い。私もいったことはないのだが、是非、一度行ってみたい思った。

(『週間ダイヤモンド』(06.06.24日号)「儲かるサービス」より)

(参考)
http://wwwmainichi-msn.co.jp/shakai/photojournal/news/20060929k0000m040175000c.html

好業績時に次の一手が打てるか

◆成功から一転、転落へ
今年8月にヘラクレスに上場した、低価格メガネチェーンを展開するジェイアイエヌ社長の田中仁氏は、24歳で起業。最初は雑貨販売などを手がけていた。1980円のエプロンや化粧ポーチなどがヒットし、一時は年商4億円、年間利益4千万円までいったという。そして成功に浮かれ、毎晩のようにクラブやバーへ繰り出す派手な生活に。それが90年代に入ると、中国製の服飾雑貨が市場に流入し、国産のジェイエヌアイの商品は価格競争力を喪失、年商は3億5千万を割り込み、年間2千万円の赤字に転落してしまった。

◆業績のよいときに、次の一手が打てるか
この赤字が経営者としての自覚を持つきっかけになったという。「自分本位の経営をしており、従業員の意見を聞くことがなかった」と、田中社長は振り返る。そして単身中国に渡り、生産委託先を捜し求め、生産委託が決まった。その結果、ジェイアイエヌは価格競争力を取り戻し、会社は再び成長軌道を描いていったという。
そして田中氏は、日ごろから「業績がよいときに、次の一手を打たなければならない」と考えるようになったそうである。そして出会ったのが、メガネのSPA(製造小売)業態であった。

◆メガネに流行のデザインを取り込む
田中氏は出店を決断した。会社が好調なときに、次の一手を打ったということである。2000年当時、メガネはいやいやながら仕方なく使用するもので、ファッションアイテムとして認知されていなかった。「服飾雑貨のように、メガネに流行のデザインを取り込めば、日本でも受け入れられる」と考えたのだという。コンセプトは「洋服のようにメガネを着替える」である。現在店舗数30、年商は39億円に達する見込みである。

◆成長の分岐点
このように会社が危機の時に、単身中国に渡り、危機に対して迅速に対応したことも重要であるが、「業績が回復したときに、しっかり次の一手を考えていた」ということがポイントであったのだと思う。ここがジェイアイエヌの成長の分岐点となったとも言える。たとえ好業績であってもそれに浮かれないで、次の一手を打てるかどうかということはとても重要なことであるし、その経営者を判断するチェック基準にもなるということだと感じた。

(週間ダイヤモンド 06.09.2 「企・業・人」より)

カスタムメイドの食品詰め合わせ

◆カスタムメイドの食品詰め合わせ
様々な分野で、カスタムメイドやオーダーメードの商品が増えている。そういった、消費者の選択肢が増える中で、食品の詰め合わせを自分仕様に選択できるデリバリーがあるそうである。
「イースイーツ」という会社が運営する食品通販サイト「デリバイキング」がそれであるが、例えば、「金沢産の烏骨鶏の卵を使ったプリン」と「南米産のフルーツ果汁入りカムカムドリンク」一缶の注文など、従来は詰め合わせなどで、大量に注文するしかなかった食品が、一個からでも注文できるというもの。
1人暮らしの人などは、従来のセットで注文すると食べきれなくなってしまったり、たくさん買ってもおいしいかどうか分からない場合も多い。また、あれもこれも食べたいというニーズもある。
そこで社長の藤原氏は、「お取り寄せ」が好きな女性をターゲットとし、レストランのバイキング料理のようにいろいろな食品類を少しずつ組み合わせて配達してもらえる「デリバイキング」を考案したという。このシステムは「ビジネスモデル特許」も出願済みであるという。
現在、このデリバイキングに出店しているメーカーは、菓子やジャム、調味料、漬物、コーヒー・飲料など45社であるが、将来的には150店に増やしたいと言う。
2007年3月期の見込み売上高は約4000万円で、企業の出店料と売上高ロイヤルティーが収入だそうである。

◆消費者の多様なニーズに応えるビジネスモデルが増える
様々なところで、カスタムメード・オーダーメードの商品が増えている。多品種少量生産の時代になって久しいが、消費者はそれでは飽き足らずに、より「自分仕様」の商品やサービスを要求する時代になっている。また、ITや宅配便などの普及で、そのような消費者の多様なニーズに応えることができる環境になってきている。
このような食べたい食品を様々なメーカーから自分の食べたい分、ほしい分だけ選べるというビジネスモデルは、面白い試みである。これからもっと、いろいろな商品やサービスで、比較的安くかつ迅速に、自分仕様の商品やサービスを手に入れることができる時代になっていくと考えられる。また、そういったニーズに応えていく企業が伸びていくとも感じた。


既存顧客の囲い込みで売上を伸ばす

日経新聞で、既存顧客を大切にする、いわば「顧客の囲い込み」によって売上を伸ばしている企業や営業の事例が掲載されていたので、ご紹介したい。以下のような事例である。

◆サポートシステムの充実で売り上げ増
NECのパソコンの出荷台数は、2000年度の348万台から2002年度は260万台に激減。しかし、コールセンターのサポート強化などにより05年度は、290万台に回復したのだという。その数値は再購入希望率に表れ、2000年の外部調査では、3.4%と惨憺たる結果だったものが、2005年度には59%に上昇し、それが売上回復にもつながっているのだという。その顧客サポートサービスの強化は、顧客を一分間以上待たせないシステムの構築や、客が組み込んだ他社ソフトのトラブルにも対応することなど。

◆チラシをまかない美容サロン
通常、美容サロンの売上アップには、チラシが欠かせないが、さいたま市の美容サロン「アンジュ」は、チラシをまかないそうである。しかし、06年3月期の売上高は3億9千万円で、3年間で倍増しているという。ではチラシもまかないで、どのように売上をアップしたかというと、「顧客アンケート」によるサービス改善なのだそうである。
その顧客アンケートは、「不満足度調査」で、「技術や接客態度が劣る」「料金と内容が伴わない」など、選択肢には否定的な項目ばかりが並ぶそうである。「不満を洗い出し解決することがサービス改善になる」と、アンジュの社長は言う。つなぎ止めた6000人の固定客が売上の8割を占めているという。

◆AOKIのトップ営業マン
紳士服AOKIの町田氏は20年以上もトップ営業マンを保っている。その営業の基本となっているのが2回以上自分を指名して来店してくれた、1500人の「顧客台帳」だそうである。台帳を見直しては、しばらく顔を見ていないなじみ客に近況を尋ねるのだそうである。1着数万円のスーツを1人で年間、2億円以上の売上をあげるという。

◆新規顧客の開拓は既存顧客より高くつく
一般に経営学では、1:5の法則というものがあり、新規顧客に販売するコストは既存顧客に販売するコストの5倍かかるといわれている。であるから、既存顧客の維持に力を注ぐほうが、効率が良いということである。
ところが、それ以上に新規顧客の開拓には経費がかかるという調査結果があるそうである。
川崎市のコンサルティング会社の武田マネジメントシステムの調査では、「新規顧客の開拓経費は、既存客の再購入にかける経費の8倍かかる」という結果が出たそうである。
販売促進のCMやチラシの大量投下、営業マンへの報奨金等など、せっかく新規顧客を開拓しても、「1年後の離脱率は約25%が現実」と同社の武田社長は言う。

もちろん既存客を維持するだけでは、売上を維持できないケースも多く、新規顧客の開拓というものは重要であろう。しかし、「安売りで新規顧客の開拓ばかりにコストをかけると、採算が悪化する悪循環に陥りかねない」、「これからの少子高齢化社会、一人ひとりと長く付き合い、リピート需要を引出すことが大事」と同記事では結んでいる。

(日経新聞 06.08・06「消費をつかむ第3部3」より)
Profile

松村会計事務所

QRコード
QRコード
Recent Comments
  • ライブドアブログ