先日フェイスブックで発信した高齢者の運転について、気になったので少し追加して調べた。
フェイスブックで書くにはあまりにも長文になったので、こちらで書いてみることにした。
考え違いや異論もあるかもしれないが、一般的な理解と相違があるように思えたので、興味が
あればご覧いただきたい。
高齢者が加害者となる事故は多いのか。それについて少し調べてみた。
よくブログなどで使用されている資料に<資料A>のようなものがある。
<資料A>
そしてその見出しに
「高齢者の運転は要注意!事故時、重大な過失をする危険大」
というようにかかれているものなどをみることはないだろうか。
これをみると、80歳~84歳の高齢者の運転が平均の4倍くらいの危険があるようにみえる。
しかしよくみると、死者数と書いてあることがわかる。つまり被害者が含まれているのだ。
では実際の運転者としての高齢者の運転はどうなのだろうか。
そこで別の資料をさがしてみた。<資料B>である。
<資料B>
これは年齢別免許保持者数における、第一当事者(おそらく運転者)の年齢別の
件数である。これによると、75歳未満の平均が3.8に対し、75歳以上は8.9と多い。
しかし24歳以下も相当に大きいことがわかる。16歳なので原付の若者などもいるため
だろうか。たしかに若い時代には無茶も多い。運転時間も異なるが、24歳以下も気に
なる数値である。
次に<資料C>である。
<資料C>
これは75歳以上の死亡事故件数を示したものであるが、年間で概ね450件程度
ということがわかる。
次に<資料D>である。
<資料D>
この資料には大きな気づきがあった。75歳以上の事故において突出しているのは
車両単独の事故である。いわゆる自損事故で200件程度の死亡がある。
反対に75歳未満で多いのは<人対車>である。車が人をはねたものということであろう。
死亡1件が死亡1人と想定し、自損事故での死亡を差し引くと、次のようになる。
75歳以上 273件 (10.8%)
75歳未満 2,256件 (89.2%)
75歳以上免許保持者割合が6.2%であることから、10.8%はそれと比べてたしかに少し
多いことがわかる。また、実際に運転をしている時間ということであれば、さらに75歳以上
の事故率が高いといえる。
そうではあるものの、75歳未満でも相当の数の死亡があり、歩行者の被害は1,000人を
超えることには注意が必要である。
更に<資料D>を<人対車>だけに絞り、比較を行った。
75歳以上 81件
75歳未満 1,117件
この結果と<資料B>の値を組み合わせて<資料B>の値を<人対車>の値に読みか
えると次のようになる。
75歳以上 8.9→1.57
75歳未満 3.8→1.44
高齢者は自損事故が多い分、<人対車>での値は小さくなる。
高齢者においては、運転時の判断ミスという事例も多いので、同様に<資料D>より車両
単独だけを除いた場合では、<資料B>の値は次のように変わる。
75歳以上 8.9→5.37
75歳未満 3.8→2.93
以上の結果からみると、<人対車>という点では、75歳未満も75歳以上もその事故率
には大きな差が見られない。その一方、<車対車>という点では、高齢者の死亡事故は
75歳未満の事故と比較して多いことがわかる。
高齢者の運転時間が現在と変わらないとした場合、現段階で考えられる対応としては、
自分が運転をする際には、「相手が高齢者であるかもしれない」と予想外の動きをする
かもしれないと常に意識することが大切だと考える。
今回は75歳以上で区切り、一部には高齢者の運転に不安の残る結果がみられた。
さらに80歳や85歳というものであれば、大きく危険度も跳ね上がるのではと推察できた。
歩行者としては高齢者の運転は危険ではないかと思うが、高齢者ドライバーが増加する中、
車を運転する場合には、注意をすることが必要であろう。