2006年11月27日

舞城王太郎「世界は密室でできている」5

「何とかと煙は高いところが好きと人は言うようだし父も母もルンババも僕に向かってそう言うのでどうやら僕は煙であるようだった」
高いところに登って今までケガしたことなかったから さすがは煙り

煙になれなかった「涼ちゃん」が屋根から飛び下り死んで二年
十五歳になった「僕」と十四歳の名探偵「ルンババ」が行く東京への修学旅行は
僕たちの“世界と密室”をめぐる冒険の始まりだった!

修学旅行先で 不倫相手に暴力振るってた椿さんに出会ったコトから知り合いになった椿&榎姉妹
不倫相手の様子がおかしいと岡山まで助けを求めてやってきているさなか
東京では家族3人が殺されて妊婦のお腹から9ヵ月になる赤ちゃんが盗まれた事件が発生
それが、この不倫相手の男の家族だと気がついた由紀夫とルンババは東京に向う....
講談社ノベルス二十周年記念の密室ミステリ

「煙か土か食い物」に出て来るルンババ12ことババジュンと友紀夫の中学生の頃の話
ルンババは14才で、すでに名探偵になってて姉の自殺の真そうや密室の事件を次々解決
家族殺害の事件を解決後、地元岡山でまた20人くらい殺された
密室事件を解決したりと名探偵
登場人物達の性格はいつも通りめちゃくちゃだったりするけど、
わけわからない世界に突入したりしないし意外と普通 
二人の男の子は岡山弁で超バカバカしい幼い男子中学生会話がね〜リズムがあってとても面白い!

密室殺人にエドワードホッパーの見立てとか出て来て、大量殺人も見立てが使われている
4コマ漫画みたいに
「誕生→成長過程に必然的に起る親との衝突→成長最終段階にある親との和解→新しい家族の形成」
とか、この話は家族とか愛がテーマになってます たぶん
ルンババの姉は、失踪癖があり両親が窓を鉄格子にしたりとか
攻防をするんだけど、その果てに涼ちゃんは死んでしまった
名探偵であるルンババは12才で心に傷を作ってしまってるんですね
だから何年かたっても傷が奥底にあって、最後に爆発するんですが
そこのところのルンババを受け止める由紀夫との関係がとてもイイ
エノキじゃないけど、私も由紀夫に傍にいて欲しいよとか思ったりする ほろり

今まで読んだ舞城のなかでも一番普通っぽいので「煙りか...」の次とかに
読むといいんじゃないでしょうか?
けっこう舞城はストレートに愛とか語るんだけど自分にはとっても心地よい
というか心にズンッと来る
なんかもっと素敵に分析できないもんかなぁ...と思ってたら
「好き好き...」が芥川賞落ちた時の選評をみたら、
ま〜皆様結果として意味わかんねー的な感想とか
選評すら触れてない作家がいたんですが、山田瑛美が書いてるのが

 たくらみも過ぎるほどフツーに見える見本 
 そのほとんどフツーが成功した希有な例であって
 こんな本を推せる機会があってうれしいと思ったら、
 ほかの人達のすごい嫌悪感であっさり却下されちまったよ..

と書いてあった ブラボーえいみ〜!今までイメージで読まなくてゴメンね〜
嫌悪感まで行くかな〜? ま〜いいやどうでも 好きなので(放りっぱなしか!)
というコトで、阿修羅ガールより好きかな ダメだこれも好きだぁ

tg-wco4be2 at 00:57│Comments(4)TrackBack(0)clip!舞城王太郎 

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この記事へのコメント

1. Posted by 菱沼   2006年11月27日 21:15
きりりさまo(^-^)oこんばんは。きりりさまの読まれた本に岡山が登場すると「でぇれぇうれしい」菱沼です。ところでこの作家さん岡山の方ですか?
2. Posted by TALKING MAN   2006年11月27日 21:32
こんばんは

かなり強烈なデビュー作から読んでましたけど、ミステリというより一風変わった青春小説として読めるこの作品が一番好きだったり。

直木賞は渡辺淳一とか石原慎太郎が選考委員やってる限り難しいでしょうね。
3. Posted by きりり   2006年11月27日 23:54
菱沼さま
しまった 舞城は福井です 岡山は岡崎隼人だ!
私としたことがごちゃまぜになってしまいましたよ菱沼さま〜
4. Posted by きりり   2006年11月28日 01:00
TALKING MANさん
なんだかいいですよね この話 
ちょっとこっぱずかしいようなあたりまえのコトをこうも書いて、いい話だ..とか思えるのはないって言うか
ミステリーとしては2つめの密室とか、もう判らなかったですよ 

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